理学療法学
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40 巻, 5 号
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研究論文
  • -ブタ膝関節を用いた実験研究-
    飯島 弘貴, 青山 朋樹, 伊藤 明良, 太治野 純一, 長井 桃子, 張 項凱, 山口 将希, 秋山 治彦, 黒木 裕士
    原稿種別: 本文
    2013 年 40 巻 5 号 p. 355-363
    発行日: 2013/08/20
    公開日: 2017/07/13
    ジャーナル フリー
    【目的】ブタ脛骨軟骨における半月板に被覆された軟骨(被覆部軟骨)は被覆されていない軟骨(非被覆部軟骨)と比較して力学的特性や表層コラーゲン線維を中心とした組織学的所見が異なるのかを検証する。【方法】豚膝関節の内外側関節面における被覆部軟骨,非被覆部軟骨から骨軟骨プラグを採取した。各領域から得たプラグに対して力学的特性の評価としてインデンテーション試験を,組織学的評価としてサフラニンO染色を,コラーゲン線維構造の評価として走査型電子顕微鏡による観察を行った。【結果】被覆部軟骨は圧縮負荷に対する変形量が非被覆部軟骨よりも大きかった。組織学的に被覆部軟骨のサフラニンO染色性は低く,表層コラーゲン線維の密度が低かった。【結論】日常的に半月板を介在して荷重を受けていた被覆部軟骨は軟骨基質成分に乏しく,半月板損傷,半月板切除後に被覆部軟骨が直接荷重を強いられると局所的に大きな変形を生じる可能性がある。
症例研究
  • 近藤 美緒, 岩田 康弘, 飯田 有輝, 遠藤 乙音
    原稿種別: 本文
    2013 年 40 巻 5 号 p. 364-370
    発行日: 2013/08/20
    公開日: 2017/07/13
    ジャーナル フリー
    【目的】Binswanger病のパーキンソニズムによる動作障害に対して,バランスボールを用いたリズム運動の有効性を検討した。【対象と方法】60歳代,男性。既往にBinswanger病があり,パーキンソニズムによる立ち上がりと歩行に動作障害を認めた。研究デザインはA-B-A-B型Single subject studyを用いた。操作導入期はバランスボールを用い,リズム運動の後立ち上がり動作を繰り返し行った。非導入期には立ち上がり反復のみを繰り返した。評価項目は,立ち上がり時間,歩行速度,FIM,パーキンソン病統一スケール(UPDRS)とした。【結果】立ち上がり時間は操作導入期において反復動作前後で有意な改善を認めた(p<0.05)。また,Split-middle lineによる立ち上がり時間の変化の比較では,操作導入期で有意な改善を認めた(p<0.05)。歩行速度,FIM,UPDRSに有意差は認めなかった。【結論】パーキンソニズムを呈したBinswanger病患者に対して,バランスボールを用いたリズム運動により立ち上がり時間が短縮した。効果として,動作開始までの反応時間の短縮と座位姿勢の安定性向上が示唆された。
短報
  • -シングルケースデザインによる検討-
    松永 玄, 山口 智史, 大高 洋平, 近藤 国嗣, 里宇 明元
    原稿種別: 本文
    2013 年 40 巻 5 号 p. 371-377
    発行日: 2013/08/20
    公開日: 2017/07/13
    ジャーナル フリー
    【目的】回復期脳卒中片麻痺患者を対象とし,ペダリング運動中に電気刺激を行うことで,交互運動の改善に伴う歩行能力の改善効果が得られるかを検討した。【方法】6名の対象者を各2名ずつペダリング運動と治療的電気刺激の併用,ペダリング運動のみ,治療的電気刺激のみに分けた。それぞれにおいて,シングルケースデザイン(ABAB)を用い,非介入期(A:5日間)と介入期(B:5日間)の最大歩行速度,歩行率,重複歩距離を評価した。また初期評価と最終評価において,下肢伸展トルクを測定した。【結果】ペダリング運動と治療的電気刺激を併用した2症例のみで非介入期と比較して介入期の最大歩行速度に有意な改善を認めた。【結論】ペダリング運動と治療的電気刺激の併用は,脳卒中片麻痺患者の歩行能力を向上させる可能性が示された。
調査報告
  • 上岡 裕美子, 松田 智行, 飯島 弥生, 斉藤 秀之, 千田 直人, 浅川 育世, 小林 聖美, 伊佐地 隆
    原稿種別: 本文
    2013 年 40 巻 5 号 p. 378-385
    発行日: 2013/08/20
    公開日: 2017/07/13
    ジャーナル フリー
    【目的】訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)の知識・技術を備えた理学療法士の養成に資するため,訪問リハの実践家から見て必要な教育の内容をあきらかにする。【方法】郵送法自記式質問紙調査を行った。回答数165人(回収率47%)のうち訪問リハ従事経験を有する理学療法士56人を分析対象者とした。【結果】現在の訪問リハの教育内容に対しては75%が不十分と認識していた。強化が必要な教育内容としては,「病態把握・リスク管理」が飛び抜けて多く,次いで「目標設定」,「他職種・他機関との連携」,「社会活動・生活の質向上への知識・支援技術」であった。訪問リハの臨床実習は,実習指導者が行う評価・プログラムを手伝う,が適用であるとする回答が多かった。育成すべき学生の能力について,質的データ分析の結果3カテゴリーが形成された。【結論】訪問リハの実践家が重要と考える教育の内容があきらかになり,訪問リハの教育を強化するためのひとつの目安が得られた。
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