理学療法学
Online ISSN : 2189-602X
Print ISSN : 0289-3770
ISSN-L : 0289-3770
42 巻 , 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
研究論文(原著)
  • 今井 亮太, 大住 倫弘, 平川 善之, 中野 英樹, 福本 貴彦, 森岡 周
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2015/02/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】術後急性期の痛みおよび運動に対する不安や破局的思考は,その後の痛みの慢性化や機能障害に負の影響を及ぼす。本研究は,術後急性期からの腱振動刺激による運動錯覚の惹起を起こす臨床介入が痛みの感覚的および情動的側面,ならびに関節可動域の改善に効果を示すか検証することを目的とした。【方法】対象は,橈骨遠位端骨折術後患者14名とし,腱振動刺激による運動錯覚群(7名)とコントロール群(7名)に割りつけて準ランダム化比較試験を実施した。課題前後に,安静時痛,運動時痛,Pain Catastrophizing Scale, Hospital Anxiety and Depression Scale,関節可動域を評価した。介入期間は,術後翌日より7日間,評価期間は,術後1日目,7日目,1ヵ月後,2ヵ月後とした。【結果】反復測定2元配置分散分析の結果,VAS(安静時痛,運動時痛),関節可動域(掌屈,背屈,回外,回内),PCS(反芻),HADS(不安)の項目で期間要因の主効果および交互作用を認めた(p<0.05)。期間要因では,両群ともに術後1日目と比較し,7日目,1ヵ月後,2ヵ月後に有意差を認めた(p<0.05)。【結論】術後翌日から,腱振動刺激を用いて運動錯覚を惹起させることで,痛みの程度,関節可動域,痛みの情動的側面の改善につながることが明らかにされた。また,痛みの慢性化を防ぐことができる可能性を示唆した。
  • 山内 康太, 島添 裕史, 鈴木 裕也, 熊谷 謙一, 小柳 靖裕, 石村 博史, 海塚 安郎, 東 秀史
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2015/02/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では胃癌に対し待機的胃切除術を施行した症例において術後1日目離床時における起立性低血圧(orthostatic hypotension;以下,OH)が離床経過,合併症,入院期間に与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】2004年4月〜2011年8月までに胃癌で待機的手術を施行し,理学療法を実施した211例を対象とし,術後翌日のOHの有無による2群間において入院経過を比較した。【結果】離床開始日に関しては,端座位,起立,歩行開始日ともOHP(OH positive)群が有意に遅延していた(p<0.001)。術後合併症に関しては,譫妄および呼吸器合併症の発症率に差を認めなかった。術後在院日数はOHP群25.8日,OHN(OH negative)群23.3日であり差を認めなかった。【結論】胃癌術後1日目におけるOHは離床遅延の要因となるが術後合併症,在院日数には差を認めなかった。
  • 西原 賢, 河合 恒, 千葉 有, 五味 敏昭, 国分 貴徳, 星 文彦
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2015/02/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】運動神経機能の加齢変化を詳細に評価することを目的とした。【方法】高齢者25人と若年者26人の握力や歩行速度などの運動機能を計測した。また,誘発筋電図を記録して,従来の算出方法である誘発筋電図の潜時差からの運動神経伝導速度CV1に加えて,相互相関係数最大値R_τMAXまでの時間からCV2,CV1とCV2の比率DCVを算出した。さらに,ピーク時点差によるCV3も算出した。【結果】高齢者の通常歩行時間などは若年者と差がなかった。CV1,CV2,CV3も若年者と高齢者で差がなかった。CV3はピーク形状によって逸脱した値となることがあった。一方,高齢者ではR_τMAXとDCVの間で負の相関,若年者ではR_τMAXとCV2の間で正の相関を認めた。【結論】運動機能や運動神経伝導速度低下を認めない高齢者でも,本運動神経伝導速度関連指標により運動神経機能変化を評価できる可能性が示唆された。
  • 小澤 哲也, 齊藤 正和, 堀 健太郎, 坂本 純子, 秋保 光利, 中澤 麻里子, 原 正樹, 岡村 大介
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 2015/02/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】クリニカルシナリオ(以下,CS)1,2群の高齢心不全(以下,HF)患者を対象とし,歩行能力を維持するための離床開始時期を検討した。【方法】2011年6月〜2013年6月の間に研究協力4施設にて,入院期に理学療法を施行した65歳以上の高齢HF患者607例(男性339例,女性268例,年齢80±7歳)を退院時屋内歩行の可否により自立群491例と非自立群116例に分類した。【結果】退院時屋内歩行能力の規定因子として年齢(オッズ比1.13)と歩行開始病日(オッズ比1.10)が抽出された(p<0.05)。歩行開始病日は退院時屋内歩行の可否を判別する有意な因子であり,ROC曲線よりカットオフ値は入院後4病日(感度0.689,特異度0.520,曲線下面積0.643,p<0.01)であった。【結論】CS1,2群の高齢HF患者における退院時屋内歩行を予測する歩行開始病日のカットオフ値は入院後4病日である。
  • 楠本 泰士, 新田 收, 松田 雅弘, 西野 展正, 松尾 沙弥香, 高木 健志, 若林 千聖, 津久井 洋平, 干野 遥
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2015/02/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】歩行可能な脳性麻痺患者における股関節筋解離術後の動的尖足の重症度変化に影響を及ぼす術前の因子を明らかにし,理学療法の指針を得ることを目的とした。【方法】対象は両股関節筋解離術を施行したGMFCSレベルI・IIの脳性麻痺患者17名17肢とし,術後8週の歩行時動的尖足度から軽減群9肢・非軽減群8肢に分類した。術前のGMFCS・動的尖足度・各筋の侵襲の有無・下肢関節可動域・modified Ashworth scale・下肢関節トルクをχ^2検定,対応のないt検定にて検討した。【結果】軽減群が非軽減群と比べ有意に膝窩角が小さく,膝関節屈曲位足関節背屈角度(以下,DKF)と膝関節伸展位足関節背屈角度(以下,DKE)との差の値が大きかった。【結論】膝窩角の可動域制限はハムストリングスの伸張性低下を意味し,DKFとDKEとの差の値が大きいことは腓腹筋とヒラメ筋の伸張性の程度が保たれていることを意味するため,術前における各筋の伸張性が,術後の動的尖足の改善に影響した可能性がある。
  • 上村 一貴, 高橋 秀平, 塚田 月美, 小倉 広康, 内山 靖
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 2015/02/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】勤労者における抑うつ症状の関連要因の関係性を,パス解析を用いてモデル化し,全体像を明らかにすることを目的とした。【方法】勤労者346名を対象に,Self-rating Depression Scale(以下,SDS)を用いて抑うつ症状を評価した。労働条件,心理・社会的要因,睡眠時間,身体活動習慣,筋骨格系疼痛を調査し,SDSとの関連性の仮説を立てた後,パス解析を用いて修正および改良した。【結果】修正モデルの適合性は十分に高かった(x^2=21, p=0.14, GFI=0.99)。直接的な関係性に加え,人間関係への気掛かりと筋骨格系疼痛は仕事のやりがいやストレスを介して,余暇身体活動は筋骨格系疼痛を介して抑うつに関連していた。【結論】勤労者の抑うつには心理社会的要因に加えて,筋骨格系疼痛と余暇身体活動が直接的もしくは間接的に影響を与えていることが示唆された。
  • 春山 幸志郎, 川上 途行
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 1 号 p. 50-57
    発行日: 2015/02/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】慢性期片麻痺患者の端座位での三平面骨盤アライメントの特徴を調査すること,矢状面骨盤傾斜角度(以下:矢状面角度)の標準値を示し,その関連因子を明らかにすることを目的とした。【方法】片麻痺患者47名を対象に安静端座位での三平面の骨盤アライメントを計測し,矢状面角度について麻痺側殿部荷重率,Brunnstrom recovery stageの下肢項目,殿部荷重感覚,Pusher現象,各基本動作能力との関連を検討した。【結果】三平面上の骨盤アライメントはそれぞれ関連を認めなかった。矢状面角度の平均値は,麻痺側,非麻痺側ともに約10°であり有意差は認めなかった。骨盤前傾群では後傾群と比較して有意に麻痺側殿部荷重率,殿部荷重感覚,立ち上がりおよび歩行能力が良好であった。【結論】片麻痺患者の端座位での矢状面角度が,基本動作能力や殿部荷重,感覚機能をスクリーニングする方法の一助となる可能性が示唆された。
実践報告
  • 岩井 信彦, 山下 和樹, 長尾 賢治, 山本 順也, 西角 暢修, 大川 あや
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2014/02/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は生活の場で遂行されるADL(以下,実行ADL)と特定の環境で可能なADL(以下,潜在的ADL)の差についてその特徴を明らかにすることである。【方法】脳卒中患者391例および大腿骨頸部骨折患者229例の実行ADLと潜在的ADLをFIMで評価し,運動13項目の実行ADLと潜在的ADLの得点差,得点に差のあった症例の割合(以下,不一致割合),不一致割合とADL難度の関係,不一致割合の入院時と退院時の変化,得点差の平均値,得点差の起こる採点を調べた。【結果】両疾患群とも運動項目すべてで実行ADL得点が低かった。不一致割合は入院時,退院時ともに先行研究とは異なった結果であった。ADL難度と不一致割合の相関関係は両疾患群とも見出し得なかった。得点差は項目によっては平均2ないしは3点台のものもあり,得点差の起こる採点は2〜4点が多かった。【結語】実行ADLと潜在的ADLの差の特徴を明らかにすることで,ADL能力をより的確に把握することが可能になると思われた。
理学療法トピックス
講座
feedback
Top