理学療法学
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42 巻, 3 号
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研究論文(原著)
  • -電極貼付部位および電流強度の影響-
    宮口 翔太, 大西 秀明, 小島 翔, 菅原 和広, 桐本 光, 田巻 弘之, 山本 智章
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 3 号 p. 213-219
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,電流強度および電極貼付部位の違いが経頭蓋直流電流刺激(transcranial direct current stimulation;以下,tDCS)の効果に与える影響を明らかにすることとした。【方法】対象は健常成人9名とした。tDCS介入条件は,陽極電極を左一次運動野領域に貼付し,陰極電極を対側前額部または対側一次運動野領域(bilateral tDCS)に貼付し,1.0mAまたは2.0mAにて10分間刺激する計4条件とした。各条件におけるtDCS介入前後に経頭蓋磁気刺激により左一次運動野領域を刺激し,運動誘発電位を記録した。【結果】bilateral_2.0mA条件においてのみtDCS介入前に比べ介入終了2分後,10分後の運動誘発電位が有意に増大した。【結論】bilateral tDCSにより2.0mAにて刺激することで,大脳皮質の興奮性が安定して増大することが明らかになった。
  • 川越 厚良, 清川 憲孝, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 坂田 俊一, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 3 号 p. 220-227
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】COPD患者における低強度運動療法を主体とした在宅呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)が身体活動量(以下,PA)に与える影響を検討する。【方法】対象は呼吸リハ未経験のCOPD患者15例(年齢76±8歳,%FEV_1:56.6±18.7%)であり,PAの評価には3軸加速度計A-MES^<TM>を用いた。呼吸リハ開始前(以下,開始前)と呼吸リハ開始後1年(以下,1年目)における,呼吸・身体機能評価とPAを比較した。また,PAと呼吸・身体機能評価の変化量同士の関連性を検討した。【結果】開始前と比較し,1年目では歩行時間は有意に増加し,臥位時間は有意に減少した。呼吸リハ前後におけるBODE index,6MWDや下肢筋力の変化量と,1日の歩行時間の変化量は有意な相関関係を示した。【結論】低強度運動療法を主体とした在宅呼吸リハにより,PAの増加がみられ,身体機能の向上が歩行時間の増加と関連している可能性も示唆された。
  • -動作時疼痛の有無による比較-
    上野 貴大, 高橋 幸司, 座間 拓弥, 鈴木 英二, 原 和彦
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 3 号 p. 228-236
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】大腿骨近位部骨折患者の立ち上がり動作を運動力学的・筋電図学的に解析し,疼痛の有無による運動様式とその際の筋活動の差異を明らかにすることとした。【方法】対象は,認知機能が保たれ,重篤な既往を有さない大腿骨近位部骨折患者21名であった。下腿長の120%の高さの椅子からの上肢支持を用いない立ち上がり動作を対象動作とし,3次元動作解析装置,表面筋電計を用い計測を行った。対象を疼痛あり群・疼痛なし群に分類し,動作分析結果を群間で比較した。【結果】疼痛はおもに患側大腿四頭筋に認めた。患側股運動範囲・患側股伸展モーメントは,疼痛あり群で有意に小さかった。患側膝伸展モーメントは疼痛あり群で有意に大きかった。筋活動量健側比は,疼痛あり群の外側広筋で有意に大きかった。【結論】疼痛を生じている例では,患側股関節機能低下に対する患側膝関節機能による代償が確認され,回復期に生じる筋痛発生への関与が示唆された。
  • 山内 真哉, 森下 慎一郎, 本田 陽亮, 長瀬 雅弘, 津田 宏次郎, 眞渕 敏, 児玉 典彦, 道免 和久
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 3 号 p. 237-245
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,急性期病院入院中の内科疾患患者において,自立歩行の関連因子とそのカットオフ値を検討することである。【方法】研究デザインは横断的研究とした。対象は内科疾患入院患者170例であった。対象を歩行非自立群と自立群に分類し,身体機能,認知機能,血液検査データの項目をもとにロジスティック回帰分析を行った。さらに,ROC曲線からカットオフ値を算出した。【結果】抽出された項目とカットオフ値は,膝伸展筋力;0.30kgf/kg,片脚立位保持時間;2.9秒,MMSE(Mini-Mental State Examination)スコア;27/28点,TP(total protein)値;5.95g/dlであった。【結論】本研究の結果から,膝伸展筋力,片脚立位保持時間,MMSEスコア,TPは急性期病院入院中の内科疾患患者の自立歩行に関連しており,歩行自立判定にはこれら評価項目の必要性が示唆された。
  • -活動と参加に着目して-
    中村 睦美, 木勢 千代子, 山形 沙穂, 森田 真純, 長谷川 恭一, 浅川 育世, 水上 昌文
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 3 号 p. 246-254
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,人工膝関節置換術患者を対象にICFの観点から,活動,参加の術後変化を明らかにすることである。【方法】人工膝関節置換術者51名を対象とし,術前,退院時,術後3ヵ月,6ヵ月に,活動,参加について,それぞれ実行状況,能力の評価を行った。評価項目にはICFの変形性膝関節症に対するコアセットを用いた。【結果】術前と比較して,活動の実行状況では術後6ヵ月で有意に低値を示し,能力では術後3ヵ月と6ヵ月で有意に低値を示した。参加は実行状況,能力ともに,術後6ヵ月で有意に低値を示した。【考察】術後は活動,参加ともに術前より改善するが,参加の改善は活動に比べて遅延すること,また,能力と比較して実行状況の改善は遅延することが明らかになった。本研究の結果は,人工膝関節置換術後患者における活動や参加に関する理学療法アプローチの一助となると考えられる。
  • 藤田 英二, 沢井 史穂, 田中 寿志, 福永 哲夫
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 3 号 p. 255-261
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】携帯型Bモード超音波装置のプローブに圧力計を備えつけた荷重超音波装置を用い,加えた圧力に対する筋形状の変形量を直接計測し,ヒト骨格筋の筋硬度を評価する手法(超音波筋硬度測定法)の妥当性と信頼性を検証する。【方法】3種類の異なる硬度のファントムゲルを用い,超音波硬度測定の精度と再現性を検証した(実験1)。また,ヒト肘屈曲筋を対象として,超音波筋硬度測定値の安静時での再現性(実験2),および筋の力発揮レベルとの関係について検証した(実験3)。【結果】3種類のファントムゲル硬度を正しく(r=0.990)かつ信頼性をもって(ICC=0.703〜0.968)検出した(実験1)。さらに,ヒト肘屈曲筋においても高い再現性(ICC=0.806)を示し(実験2),力発揮レベルとも有意な正の相関関係(r=0.967)を示した(実験3)。【結論】荷重超音波装置はヒト骨格筋の筋硬度を精度よく評価できる。
  • 中野 禎, 村西 壽祥, 新枦 剛也, 桑野 正樹, 中土 保, 伊藤 陽一
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 3 号 p. 262-270
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】肩関節疾患におけるShoulder36(以下,Sh36)の評価意義を検討すること。【方法】対象は,肩関節鏡視下手術時に正確な確定診断が可能であった116肩であり,内訳は腱板断裂55肩,肩峰下インピンジメント症候群41肩,拘縮肩20肩であった。本研究における評価は術前評価を基本とし「筋力」,「疼痛」,「可動域」の評価値および3領域のSh36スコアを算出し,評価値と3領域のSh36スコアとの相関関係について,疾患群ごとに統計学的に検討した。【結果】Sh36による評価は,術前の腱板断裂および肩峰下インピンジメント症候群症例に対する筋力,疼痛および可動域の3領域の評価値との間に有意な相関を認めた。【結論】本研究により,Sh36による評価は,腱板断裂および肩峰下インピンジメント症候群患者に対しては筋力,疼痛および可動域の評価値を反映しており,有用な評価法であることが示唆された。
  • -リハビリテーション病院における後方視的検討-
    古関 一則, 吉川 憲一, 前沢 孝之, 浅川 育世, 水上 昌文
    原稿種別: 本文
    2015 年 42 巻 3 号 p. 271-279
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的】リハビリテーション病院(以下,リハ病院)入院時点の身体状況から,脊髄不全損傷者の歩行獲得に影響を及ぼす因子および予後予測のアルゴリズムを明らかにすること。【方法】脊髄損傷者87名を対象に診療録より後方視的に調査した。調査項目は入院時の基本情報,神経学的情報,動作能力等を含む14項目とし,退院時の歩行自立度を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。【結果】自立歩行獲得にはASIA Impairment Scale・寝返り・Functional Independence Measure認知合計・Walking Index for Spinal Cord Injury IIが,屋外歩行獲得には受傷年齢・立位が予測因子として挙げられた。【結論】リハ病院において使用可能な客観的予後予測の指標を作成できたことは,計画的かつ効率のよい介入内容の選択や目標の統一を図るうえで大きな意義がある。
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