理学療法学
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43 巻, 3 号
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研究論文(原著)
  • 堀 弘明, 堀 享一, 由利 真, 千葉 健
    2016 年 43 巻 3 号 p. 213-221
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    [早期公開] 公開日: 2016/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】変形性股関節症患者の骨盤傾斜角と股関節形態を定量的に評価し,腹部引き込み運動時の腹横筋厚変化率との関連性について明らかにすること。【方法】変形性股関節症群と健常者群を対象に超音波診断装置で安静時腹横筋厚と腹部引き込み運動時の腹横筋厚から腹横筋厚変化率を算出し比較した。また,変形性股関節症群では腹横筋厚変化率を従属変数とし,骨盤傾斜角,骨頭外方化指数,骨頭上方化指数,大腿骨頭被覆率に対して有意な相関が認められた項目を独立変数とした重回帰分析を実施し,腹横筋厚変化率への影響因子について検討した。【結果】変形性股関節症群は健常者群よりも腹横筋厚変化率は低値を示した。重回帰分析では,腹横筋厚変化率と関連がある項目は骨盤傾斜角(標準化偏回帰係数0.533)と大腿骨頭被覆率(標準化偏回帰係数0.599)であった。【結論】変形性股関節症患者の腹横筋厚変化率は,骨盤前傾角と股関節形態が関連している可能性が示唆された。
  • 久保 宏紀, 金居 督之, 北村 友花, 古市 あさみ, 山本 実穂 , 小林 実希, 野添 匡史, 間瀬 教史, 島田 真一
    2016 年 43 巻 3 号 p. 222-229
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    [早期公開] 公開日: 2016/03/29
    ジャーナル フリー
    【目的】脳内出血患者における急性期病院退院時の機能予後およびその要因を検討すること。【方法】2013年4月~2015年3月に入院となった脳内出血患者88例(男性76%,平均年齢65.2 ± 11.2 歳)を対象に,退院時modified Rankin Scale を用い予後良好群と予後不良群に群分けし,機能予後に影響を及ぼす因子およびそのカットオフ値を検討した。【結果】Cox 比例ハザード分析の結果,退院時機能予後に影響を与える因子として年齢(p = 0.008),入院時NIH Stroke Scale(p = 0.001)および離床開始日(p < 0.001)が抽出され,各カットオフ値はそれぞれ66 歳(感度:0.758,特異度:0.582),7 点(感度:0.970,特異度:0.818),2病日(感度:0.788,特異度:0.836)であった。【結論】脳内出血患者の急性期病院退院時の機能予後は年齢,重症度,離床開始日が関連している。
  • 北村 友花, 野添 匡史, 金居 督之, 久保 宏紀, 山本 美穂, 古市 あさみ, 間瀬 教史, 島田 真一
    2016 年 43 巻 3 号 p. 230-235
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    [早期公開] 公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    【目的】急性期病院入院中の軽症脳梗塞患者における身体活動量と身体機能との関係について検討すること。【方法】院内歩行が自立している急性期軽症脳梗塞連続25 例(以下,患者群),および健常成人13 例(以下,対照群)における一日あたりの総歩数を活動量計にて測定し,身体機能との関係について検討した。【結果】総歩数は対照群に比較して患者群で有意に低値を示した(4,214 ± 1,544 歩:8,205 ± 3,232 歩=患者群:対照群,p < 0.001)。患者群の総歩数(r = –0.45,p < 0.05)およびリハビリテーション非実施時歩数(r = –0.46,p < 0.05)は10 m 歩行時間と有意な相関が認められたが,リハビリテーション実施時歩数はどの項目とも相関関係は認められなかった。【結語】急性期軽症脳梗塞患者の身体活動量は減少しており,その程度は10 m 歩行時間と関係があった。
短 報
  • ─偏相関分析による検討─
    佐藤 惇史, 藤田 貴昭, 小沼 亮, 奥田 裕, 山本 優一, 潮見 泰藏
    2016 年 43 巻 3 号 p. 236-240
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    [早期公開] 公開日: 2016/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】重度脳卒中患者において入院1 ヵ月時のどの起居動作が,ADL 自立度と関連するのかを明らかにすること。【方法】入院時Functional Independent Measure(以下,FIM)が40 点未満の初発脳卒中患者25 名の入退院時FIM,入院時と1 ヵ月時のMotor Assessment Scale(以下,MAS)を評価した。偏順位相関にて,退院時FIM,FIM 利得と1 ヵ月時のMAS 各項目との相関係数を算出した。【結果】退院時FIM と「起き上がり」「座位バランス」「座位から立位」,FIM 利得と「寝返り」「起き上がり」「座位バランス」「座位から立位」との間にそれぞれ有意な相関が認められた。両者とも相関係数は「座位バランス」「座位から立位」が特に高かった。【結論】退院時ADL やADL の改善には,入院1 ヵ月時点での起居動作が関連し,特に「座位バランス」と「座位から立位」が重要であることが示唆された。
  • 奥埜 博之, 西島 勇, 塚本 哲朗, 河島 則天
    2016 年 43 巻 3 号 p. 241-246
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    [早期公開] 公開日: 2016/04/06
    ジャーナル フリー
    【目的】すくみ足(以下,FOG)はパーキンソン病の主要な運動障害のひとつである。FOG の適切な評価はきわめて重要であるが, その程度を客観的に示し得る有効な評価方法が存在しない。本研究ではFOG を簡便かつ定量的に評価できる方法を考案することを目的とした。【方法】16 名のパーキンソン病患者に対し,間口を自身の快適歩行速度で通り抜ける歩行課題を実施した。間口幅は40 cm から10 cm 刻みで100 cm までの7段階で設定し,間口通過の所要時間とステップ数を計測した。【結果】間口幅の減少に伴ってステップ数が増加,所要時間が遅延する傾向が認められ,その関係性は一次直線回帰によって近似可能であった。また,UPDRS スコアのPart Ⅲとの関連は,所要時間との間に有意な相関(r = 0.56, p < 0.05)がみられた。【結論】今回提案した方法は,歩行時間とステップ数という簡便な計測変数であり,歩行評価に即時活用できるものと考えられる。
システマティックレビュー
  • ─システマティックレビュー─
    三根 幸彌, 中山 孝, Steve Milanese, Karen Grimmer
    2016 年 43 巻 3 号 p. 247-254
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    [早期公開] 公開日: 2016/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】非特異的慢性腰痛を有する患者に対する痛みの神経生理学に基づいた患者教育(pain neurophysiology education;以下,PNE)の効果を検討することを目的とした。【方法】英語・日本語の無作為化比較試験を対象として2015年6月5日までの系統的検索を行った。バイアスのリスクの評価にはPhysiotherapy Evidence Database スケールを用いた。データの統合は記述的に行われた。【結果】6 編の英語論文が低いバイアスのリスクを示した。PNE が他の患者教育よりも効果的であるという明確なエビデンスはなかった。また,PNE と他の介入を併用した際に効果が減弱する可能性が示唆された。【結論】PNE を用いる場合は,患者特性と他の介入との相性を考慮する必要がある。将来の研究はこの研究で明らかになった方法論的欠点を解消し,PNE の効果についてより質の高いエビデンスを提示する必要がある。
実践報告
  • ─呼吸器内科病棟でのADL 維持向上等体制加算算定の取り組み─
    平野 明日香, 加藤 正樹, 藤村 健太, 早川 美和子, 加賀谷 斉, 向野 雅彦, 才藤 栄一
    2016 年 43 巻 3 号 p. 255-262
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    [早期公開] 公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    【目的】急性期病院では高齢障害者が増加し,リハビリテーションの重要性が高まっている。当院急性期病棟に理学療法士を病棟配置した効果を検討した。【方法】疾患別リハビリテーション実施者を対象とし,病棟配置前の44例を対照群,病棟に専任配置後の79例を専任群,専従配置(ADL維持向上等体制加算算定)後の83 例を専従群とし,当院患者データベースより後方視的に調査した。【結果】専従群は他2 群よりリハビリテーション実施割合が有意に増加,リハビリテーション開始までの日数,在院日数は有意に短縮した。アンケート調査より,病棟医師・看護師は情報共有がしやすい,リハビリテーション専門職は病棟とのパイプ役として期待との回答が多かった。【結論】理学療法士の専従配置は病棟医師・看護師と情報共有を密に行え,治療の効率化が図れると示唆された。
講 座 シリーズ「エビデンスに基づく理学療法 ─理学療法診療ガイドラインを読み解く─」
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