理学療法学
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46 巻, 6 号
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研究論文(原著)
  • 佐用 寛文, 鈴木 淳, 柳 久子
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2019 年 46 巻 6 号 p. 389-398
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    [早期公開] 公開日: 2019/10/08
    ジャーナル フリー

    【目的】姿位の違いによる全身振動刺激が,腰椎や大腿骨頸部骨密度に与える効果の違いを明らかにすることである。【方法】①60 歳以上の閉経後女性,②腰椎および大腿骨頸部骨密度がYAM(young adult mean)値70%以上,③骨粗鬆症に対する薬剤を使用していない者を対象とした。対象をコントロール群,立位群,座位群,側臥位群の4 群に分け,全身振動刺激介入前と介入後の腰椎および大腿骨頸部骨密度の変化を比較した。【結果】郡内変化においてコントロール群の大腿骨頸部骨密度のみ減少した(P =0.02)。χ2 検定の結果,姿位の違いによる大腿骨頸部骨密度に対する効果として,座位群が他の群と比較して維持,上昇する人数が多かった(P =0.03 V =0.44)。【結論】座位による全身振動刺激が大腿骨頸部骨密度に対してもっとも効果的である可能性があり,姿位の違いによる刺激が特定部位に与える効果が異なる可能性が示唆された。

  • 福尾 実人, 村木 里志
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2019 年 46 巻 6 号 p. 399-406
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    [早期公開] 公開日: 2019/10/09
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では,男性高齢者のフレイルと身体各部位筋量の関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は65 歳以上の地域在住男性高齢者42 名である。フレイルの評価には基本チェックリストを用い,その総合点から3 点以下を健常群,4 点以上のプレフレイルとフレイルをフレイル群に分類した。身体8 部位の筋厚に加え,身長,体重,BMI,握力および5 m 通常歩行速度を測定した。【結果】フレイル群は健常群よりも身体機能,口腔機能,認知機能,抑うつ度得点が高かった。筋量においては,上腕前部のみフレイル群が有意に小さかった。また,基本チェックリスト総合点と上腕前部の筋量は有意な負の相関を認めた。【結論】男性フレイル高齢群の筋量の低下は下肢・体幹には認められず,特定の部位,すなわち上腕前部に生じることが示された。

  • ─「本態性肩こり」における頸胸椎アライメント,頸部屈筋群持久力,頸部機能に着目して─
    神田 賢, 北村 拓也, 金子 千恵, 井出 愛実, 古西 勇, 渡辺 慶, 佐藤 成登志
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2019 年 46 巻 6 号 p. 407-416
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    [早期公開] 公開日: 2019/10/10
    ジャーナル フリー

    【目的】地域在住高齢者女性の本態性慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子を比較した。【方法】地域在住高齢者女性33 名(有訴群22 名,無有訴群11 名,平均年齢71.1 ± 4.4 歳)を対象に,頭部突出角度(以下,FHA),上位胸椎前傾角度,頸部屈筋群持久力,頸部機能不全度(NDI)を評価した。【結果】肩こり有訴の有無におけるFHA,上位胸椎前傾角度では,有意な差を認めなかったが,頸部屈筋群持久力では,有訴群が無有訴群と比較して有意に低い値を示し,頸部機能不全度では,有訴群が無有訴群と比較して有意に高い値を示した。また,筋持久力においては,肩こり有訴群のオッズ比が有意に高い値を示した。【結論】地域在住高齢者女性においては,頸部屈筋群持久力は本態性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子となることが示唆された。また,本態性の慢性肩こり有訴は,頸部機能にも影響を与える要因となることが示唆された。

  • 林 祐介, 吉原 聡, 吉田 久雄, 見川 彩子, 林 明人, 藤原 俊之
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2019 年 46 巻 6 号 p. 417-422
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    [早期公開] 公開日: 2019/11/22
    ジャーナル フリー

    【目的】人工膝関節置換術(以下,TKA)術後患者における術後早期膝関節可動域が自立歩行獲得期間および在院日数に及ぼす影響を検討した。【方法】TKA 術後患者78 例を対象とした。年齢とBody Mass Index,術後4 日時点の膝関節可動域(自動・他動屈曲,自動・他動伸展),運動時痛と歩行時痛(Visual analogue scale),炎症所見(血清C 反応性蛋白)と術後7 日時点の膝関節伸展筋力(ハンドヘルドダイナモメーター)を評価し,在院日数および自立歩行獲得期間に与える影響を重回帰分析(ステップワイズ法)にて検討した。【結果】重回帰分析の結果,在院日数および自立歩行獲得期間に有意に影響する因子は,それぞれ自動膝屈曲可動域と年齢,および自動膝屈曲可動域と自動膝伸展可動域が抽出された。【結論】TKA 術後患者において,術後早期の自動膝関節可動域の拡大は,自立歩行獲得期間および在院日数の短縮に影響を与える可能性がある。

  • 重本 千尋, 海老名 葵, 近藤 有希, 斎藤 貴, 村田 峻輔, 伊佐 常紀, 坪井 大和, 鳥澤 幸太郎, 福田 章真, 奥村 真帆, ...
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2019 年 46 巻 6 号 p. 423-428
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    [早期公開] 公開日: 2019/11/28
    ジャーナル フリー

    【目的】産後の月経再開の有無と産後の腰痛骨盤痛(low back pain and pelvic pain;以下,LBPP)との関連を横断的に調査することである。【方法】4 ヵ月児健診に参加し妊娠中にLBPP を有していた女性99 名を対象とし,自記式質問紙にて,一般情報,妊娠中と産後4 ヵ月時のLBPP の有無・疼痛強度,月経再開の有無を聴取した。統計解析は産後4 ヵ月時のLBPP の有無と,月経再開の有無との関連を検討するためFisher の正確検定,多重ロジスティック回帰分析を用いた。【結果】産後4 ヵ月時にLBPP を有している女性は月経再開群で8 人(8.08%),月経非再開群で50 人(50.5%)と月経非再開群で有病率が有意に高かった。多重ロジスティック回帰分析において交絡要因の調整後も産後の月経非再開群は産後のLBPP の有病率が有意に高かった。

  • ─横断的観察研究による実態調査─
    松本 浩実, 大坂 裕, 井上 和興, 朴 大昊, 萩野 浩
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2019 年 46 巻 6 号 p. 429-436
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    [早期公開] 公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

    【目的】地域高齢者におけるフレイルの進行度と運動および運動自己効力感の関連性を調査すること。【方法】地域の集団健診に参加した239 名中,1)65 歳以上,2)日常生活が自立しているもので,要介護認定者を除外した男性85 名,女性127 名,平均年齢76 歳を対象とした。自己記入式アンケートにて運動および運動自己効力感を評価し,日本版Cardiovascular Health Study Index 基準を用いたフレイル判別にてロバスト,プレフレイル,フレイルに群分けした。【結果】多項ロジスティック回帰分析を実施した結果,プレフレイルと散歩やウォーキングなし(Odds:11.521),筋力トレーニングなし(Odds:6.526),集団体操なし(Odds:10.089)が,フレイルと運動自己効力感(Odds:0.826)が関連した。【結論】フレイル予防には運動習慣とともに運動自己効力感を高める心理的,教育的なサポートが重要である。

短 報
  • 志村 圭太, 竹内 真太, 西田 裕介, 河野 健一, 糸数 昌史
    原稿種別: 短  報
    2019 年 46 巻 6 号 p. 437-441
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    [早期公開] 公開日: 2019/11/25
    ジャーナル フリー

    【目的】実習指導者1 名に対し学生2 名を配置した2 年次検査実習において,学生間の共同学習に影響を及ぼす要因を明らかにすること。【方法】検査実習10 日間を完遂した90 名を対象とし,実習後アンケートでペアの両者が協力できたと回答した群(以下,協力群)と両者または一方がそうではないと回答した群(以下,非協力群)に分けた。情動知能に対する自己評価尺度である情動知能スケール(以下,EQS)を実習前に実施し,その中の対人対応領域得点,下位3 項目得点およびペア間の得点差,性別,通算学業成績およびペア間の学業成績差分を群間比較した。【結果】協力群は30 組,非協力群は13 組だった。群間比較の結果,非協力群ではEQS 対人コントロール下位項目の「共感性」得点が有意に低く,ペア間の「他愛心」得点差が有意に大きかった。【結論】学生間の共同学習を円滑に行うためには,対人対応に関する学生自身の自己評価や,学生間における自己評価の差に着目する必要がある。

症例報告
  • ─超音波画像診断装置を用いた横隔膜移動距離に着目して─
    杉谷 竜司, 西山 理, 白石 匡, 藤田 修平, 水澤 裕貴, 工藤 慎太郎, 大城 昌平, 東本 有司 , 木村 保, 東田 有智, 福 ...
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 46 巻 6 号 p. 442-449
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    [早期公開] 公開日: 2019/11/26
    ジャーナル フリー

    【目的】慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease;以下,COPD)増悪患者の運動時に非侵襲的陽圧換気療法(Noninvasive Positive Pressure Ventilation;以下,NPPV)を併用し,超音波画像診断装置にて横隔膜移動距離の変化を検証した。結果をもとに,理学療法時にNPPV を導入し,良好な転帰が得られたため報告する。【症例紹介】COPD 増悪にて入院し,第5 病日より理学療法を開始。呼吸困難感にて離床が困難であり,運動時のNPPV 併用効果を検証した。【経過】NPPV 併用による運動時間,呼吸困難感,横隔膜移動距離の改善を確認でき,理学療法にNPPV を導入した。日常生活動作の改善にて第25 病日に退院した。【まとめ】COPD 増悪患者の離床促進にNPPV 導入が有効であり,横隔膜移動距離は動的肺過膨張の客観的な評価指標として有用であった。

  • 山本 実穂, 野添 匡史, 大西 晶, 桝矢 璃央, 大澤 摩純, 久保 宏紀, 山崎 允, 間瀬 教史, 島田 眞一
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 46 巻 6 号 p. 450-456
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    [早期公開] 公開日: 2019/11/27
    ジャーナル フリー

    【目的】慢性腎臓病(以下,CKD)を合併した心不全カヘキシア症例に対して,分岐鎖アミノ酸(以下,BCAA)を含むたんぱく質摂取を中心とした栄養療法と運動療法によって身体機能の大幅な改善が得られたので報告する。【症例紹介】心不全(CKD stage3b 合併)を発症後1 ヵ月間の中心静脈栄養管理となり20 kg の体重減少を招いた。身体機能の改善を目的に理学療法が処方されたが,第76 病日時点で疲労感が強く,運動耐容能(6 分間歩行距離150 m)も低下していることからカヘキシアの状態と考えられた。【経過】BCAA を含むたんぱく質の摂取量を1.2 g/kg/ 日まで漸増し,運動療法はレジスタンストレーニングを中心に行った。約3ヵ月間で体重は8.4 kg 増加し6 分間歩行距離は557 m まで改善した。【結論】CKD を合併した心不全カヘキシア例であっても,たんぱく質摂取量を増やした栄養療法と運動療法の併用は有効と考えられた。

理学療法トピックス
シリーズ「糖尿病重症化予防と理学療法」
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シリーズ「英語論文の執筆,投稿,受理を目指して」
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