【目的】pull-type hand-held dynamometer(以下,pull-type HHD)を用いた,簡易的な脚伸展筋力測定法の有用性を検証した。【方法】対象は高齢者108 名とし,pull-type HHD で脚伸展筋力と膝伸展および屈曲筋力(以下,KE,KF)を測定した。脚伸展筋力は膝屈曲60 度(以下,LP60),30 度の2 施行とした。移動機能の指標には,ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)の有無,最大・至適歩行速度を用いた。筋力値の再現性は,ICC(1,1)とBland-Altman 分析で,移動機能に対する筋力値の関連は,多変量解析で検討した。【結果】各筋力値のICC(1,1)は0.92 以上であり,いずれも固定誤差を認めた。ロコモにはLP60 が,最大歩行速度にはLP60,KE,KF が,至適歩行速度にはKE が有意に抽出された。【結論】pull-type HHD によるLP60 での測定は,最大歩行速度のみならずロコモの状態を反映する測定法となり得る。
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