本研究では,健常成人男性10名(平均年齢21.7±0.8歳)を対象に,頭低位での低強度運動が生体に及ぼす影響を酸素摂取量(VO
2)および主観的運動強度(RPE)から検討した.運動はTilt table上に背臥位または頭低位(10°傾斜)をとり,ベッド上に90°傾けて設置された自転車エルゴメータで目標心拍数(50%嫌気性代謝閾値時VO
2)にて各10分間,心拍一定負荷で行った.データ解析は,各肢位での運動5~10分におけるVO
2とRPEを対応のあるt検定にて分析した.その結果,VO
2は背臥位と頭低位間において有意な差を認めず,RPEでは頭低位で有意に低い値を示した(p<0.05).つまり,低強度運動の実施形態として頭低位を選択することで,RPEが低い状態で背臥位の運動と同様のVO
2を得ることが可能であり,運動処方における運動の継続性へ期待ができると考える.
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