本研究の目的は,足圧中心(CFP)位置を指標とした立位側方不安定位置における高齢者の姿勢制御特性について,CFP動揺特性と下腿筋活動から検討を加えることである。対象は健常高齢群12名と若年群10名とした。設定した課題動作において,CFP全移動距離の80%以上を最大移動区間と定義し,この区間におけるCFP動揺速度標準偏差と下腿筋活動量を2群で比較検討した。下腿筋活動量は高齢群で有意な差は認めなかった。加えて高齢群では,前後方向動揺速度標準偏差と長腓骨筋活動量との間に有意な正の相関関係を認めた(r=0.752, p<0.01)。側方最大移動区間における高齢群の特徴としては,足関節周囲筋群を包括的に収縮させることで足関節の固定を得ていたこと,さらにCFP前後方向の振動の大きさと長腓骨筋活動量に関係があることが見出された。
抄録全体を表示