理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
28 巻, 1 号
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原 著
  • ─首都圏の1大学病院における調査─
    安井 健, 横田 一彦, 長野 宏一朗, 芳賀 信彦
    2013 年 28 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕特定機能病院において退院支援は重要であり,1大学病院における理学療法士の退院調整への関与状況を調査した.〔対象と方法〕対象病院の理学療法部門および退院支援専門部署が介入した患者の,3ヶ月間での転帰と両部門の重複介入の状況,理学療法士による在宅調整の実施状況を,整形外科とそれ以外の依頼科に二分して比較した.〔結果〕理学療法部門と退院支援専門部署が重複介入している患者で転院率が有意に高かった.整形外科以外の患者では,整形外科の患者に比して在宅調整への介入率が有意に高かった.〔結語〕特定機能病院では,整形外科以外の分野で理学療法士の在宅調整への積極的な関与が求められることが示唆された.
  • ─理学療法専門学校における考察─
    小枝 英輝, 小枝 美由紀, 小枝 允耶, 柿花 宏信, 田川 雄一, 沖田 任弘, 高見 栄喜, 成瀬 進, 井上 由里, 二重作 清子
    2013 年 28 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法学生が臨床実習において,どのようなコミュニケーション技術を体験しているのか明らかにすることを目的とした.〔対象〕K専門学校理学療法学科生102人とした.〔方法〕コミュニケーション成立要因,不成立要因,改善点について自由記述形式のアンケート調査を実施した.分析は,Burnardの内容分析手法を用いた.〔結果〕学生が体験しているコミュニケーション成立の要因は,送り手である学生側の自分の態度,受け手である患者側の状況,そしてメッセージやチャンネルに関連する話題,話し方,非言語的コミュニケーション,時間の共有のカテゴリに分類できた.〔結語〕臨床実習で体験しているコミュニケーション技術を参考に,学生のコミュニケーション技術の学習支援の方向を具体化することは有用である.
  • 徳田 継祐, 李 範爽, 栗原 純一, 松本 哲朗, 風間 寛子, 白倉 賢二, 椎原 康史
    2013 年 28 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕手関節に装着した携帯型加速度計の24時間記録によるカウント数から算出された側性係数(acti-LQ)を用い,上肢機能の左右差を評価することを目的とした.〔対象〕健常者40名(実験1)と,さらにそのうちの右利き15名(実験2).〔方法〕実験1:質問紙での利き手の程度とacti-LQとの相関を調べた.実験2:1)制限なし,2) 右手関節または3)肘関節のサポーターによる可動域制限の3つの条件下で得られたacti -LQを比較した.〔結果〕実験1:既存の利き手スケールとacti-LQに有意な相関を認めた.実験2:肘関節制限でacti-LQが有意に減少した.〔結語〕加速度計の記録から算出されたacti-LQは,肘関節制限を来す運動器疾患における機能的左右差の評価に有用である.
  • 森上 亜城洋, 西田 裕介
    2013 年 28 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕下腿最大周径,ヒラメ筋組織構造的要因,下腿底屈筋力との関係を検討し,下腿周径測定が反映する理学療法評価構成要素の再考に寄与することを目的とした.〔対象〕対象は,足部に疾患既往の無い健常成人50名とした.〔方法〕下腿最大周径は,下腿長を100%とし腓骨頭下端から26%部位を測定した.ヒラメ筋組織構造要因を筋厚,羽状角,筋線維長とし超音波画像診断により測定し,またヒラメ筋筋力を測定した.〔結果〕筋厚と羽状角は筋断面積としての要素,羽状角と筋線維長は筋力を反映する要素があるため,下腿最大周径,下腿底屈筋力の把握には筋組織構造的要因が関与していることが示された.〔結語〕下腿最大周径は筋組織構造的要因や下腿底屈筋力を反映していると示唆された.
  • ─虚弱高齢者用10秒椅子立ち上がりテスト(Frail CS-10)を用いて─
    岩瀬 弘明, 村田 伸, 阿波 邦彦, 松尾 奈々, 佐藤 光美, 原田 純, 今西 和也, 福永 恵子, 窓場 勝之
    2013 年 28 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕様々な疾患を有する入院患者を対象に,虚弱高齢者10秒椅子立ち上がりテスト(Frail CS-10)が下肢機能を反映する有用な評価法であるか否かについて検討した.〔対象〕A病院に入院中の回復過程にある患者28名である.〔方法〕Frail CS-10を測定し,下肢筋力,歩行能力,ADL能力(FIM-MならびにFIM-M下位項目)との関連を男女別に検討した.〔結果〕Frail CS-10は男女ともにほぼ全ての評価項目と有意な相関あるいは,有意な相関を示す傾向が認められた.〔結語〕Frail CS-10は疾患を統一せずに様々な疾患を有する患者を対象としても,下肢機能を反映する有用で簡便な評価法であることが示唆された.
  • ─足底圧中心による検討─
    丸岡 祥子, 高木 綾一, 鈴木 俊明
    2013 年 28 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕肩関節屈曲位を保持した状態からの肘関節伸展運動という上肢遠位部の関節運動時COPの前後方向移動パターンに着目し,APAについて検討した.〔対象〕整形外科学的および神経学的に問題のない健常男性10名(23.8±1.9歳)とした.〔方法〕右肩関節120°屈曲位を保持したまま肘関節伸展運動を二種類の速度で行い,このときのCOP移動方向のパターン分類を行った.〔結果〕前後方向においては速い課題ではCOPは後方に,遅い課題では前方に移動するという結果が有意に現れ,左右方向では速度による有意な差はみられなかった.〔結語〕本研究より立位において上肢遠位関節の運動を行う場合,動作開始直前のCOP移動が生じる可能性が示唆された.
  • 井川 達也, 勝平 純司, 山本 澄子
    2013 年 28 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者と若年者の平地歩行・階段昇降動作時の筋の同時活動の筋電図学的相違を分析し,その要因を明確にすることとした.〔対象〕高齢者と若年者を各々14名とした.〔方法〕筋電計測の対象はヒラメ筋,前脛骨筋とした.床反力計および表面筋電計を用い,平地歩行・階段昇降動作中に計測された位相ごとの筋活動を分析し,高齢者と若年者との間で比較した.〔結果〕歩行立脚後期および階段昇降の全周期において,高齢者は若年者に比べ前脛骨筋活動量が有意に高値を示した.〔結語〕高齢者は前脛骨筋活動量を増大させ,足関節の剛性を高めていることが示唆される.
  • ─CSポートフォリオ分析の応用─
    濱田 浩樹, 橋元 孝典, 石塚 隆二, 西田 徳和, 西川 明子, 中川 法一
    2013 年 28 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕学生が臨床実習直前に抱く不安要因を明らかにすることである.〔対象〕鹿児島県内養成校1校の理学療法学科・作業療法学科の4年生となる学生151名とした.〔方法〕CSポートフォリオ分析を用い,アンケートの回答から不安につながる要因を割り出した.〔結果〕学生が,臨床実習直前に抱く不安要因として,「レポート作成」,「検査・測定」,「質問を受ける」,「治療・訓練」,「リスク管理」が抽出された.〔結語〕今回の結果は,学生による個別の利用者の担当,独力での評価と治療およびレポート指導への偏重に起因する,セラピスト界で一般的だと考えられている臨床実習方法に対する学生のイメージを反映するものである.
  • 財前 知典, 小関 博久, 田中 亮, 川﨑 智子, 小関 貴子, 多米 一矢, 平山 哲郎, 小関 泰一, 川間 健之介
    2013 年 28 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,足底接地(以下FF)の速さと後足部レベル横アーチパッド貼付による歩行時下肢筋活動変化について明確にすることである.〔対象〕健常成人28名,43脚(男性22脚,女性21脚)とした.〔方法〕Foot Switchを用いてFF早期群および遅延群に分類し,表面筋電図にて群間ならびに後足部レベル横アーチパッド貼付後の下肢筋活動変化について比較検討した.〔結果〕前脛骨筋および外側ハムストリングスはFFの速さにより有意に筋活動が変化し,長腓骨筋活動と内側ハムストリングスではパッド貼付により筋活動が有意に変化した.〔結語〕FFの速さと後足部レベル横アーチパッドの高さにより,下肢筋活動は変化することが示唆された.
  • 日髙 雅仁, 諸井 典子, 三浦 幸治, 伊藤 秀幸
    2013 年 28 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ストレッチポールoエクササイズによるバランス能力に対する介入の効果を明らかにすることである.〔対象〕健常成人26名とした.〔方法〕閉眼片脚立位時間,Time up & go test(TUG),Functional Reach Test(FRT)前方及び側方の4項目について,エクササイズ前後での値を比較した.〔結果〕閉眼片脚立位時間とTUGは有意に向上し,前方FRTは有意に低下した.また側方FRTは有意差を認めなかった.〔結語〕バランス能力の指標によっては改善につながらないこともあることから,エクササイズにおいて改善を図るバランス能力を考慮しなければならない.
  • 小野 隆, 涌井 佐和子, 前上里 直, 広沢 正孝, 島内 憲夫
    2013 年 28 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕多領域の自己効力感(self-efficacy:以下SE)に対する運動機能向上を目的とした介護予防事業の効果について明らかにすること.〔対象〕認知症のない51人の虚弱高齢者(平均年齢79.1±5.6歳).〔方法〕運動介入前と3ヶ月後に転倒経験,3つのSE尺度の質問紙法を行った.3つのSEは,外出SE,転倒予防SE,および健康SE(下位尺度:保健SE,運動SE,食事SE,精神SE)より構成される.〔結果〕外出SE得点と健康SE「保健」,「運動」得点において介入後有意に上昇した.介入前後変化において,転倒非経験者では外出SE得点が有意に上昇し,一方,転倒経験者では健康SE「保健」得点の有意な上昇が認められた.〔結語〕包括的にSEをみることの重要性が示唆された.
  • ─FIMで評価できるところとできないところ─
    荒尾 雅文
    2013 年 28 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は脳卒中者への訪問リハビリはどんな項目を改善させるかを調査することである.〔対象〕新規依頼があった脳卒中者76名である.〔方法〕評価はFIMとFIM以外の点で改善した部分の自由記載の2点について行った.FIMのみ,あるいはFIMとFIM以外で改善が得られた者を「FIM改善群」とし,FIM以外でのみ改善が得られた者を「FIM以外改善群」と定義した.また利用者を回復期群,慢性期群に分類しそれぞれの人数を比較した.〔結果〕回復期群の97%,慢性期群の72%がFIM改善群であった.またFIM以外で効果が得られた項目は床からの立ち上がり等様々なものがあった.〔結語〕訪問リハビリの効果の多くはFIMで評価できること.またFIM以外の評価は多岐にわたることが本研究より明らかになった.
  • 斉藤 嵩, 勝平 純司, 丸山 仁司
    2013 年 28 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕片脚立位時における足関節肢位の変化が下肢,骨盤,胸郭にどのような変化を起こすかを検討し,理学療法評価の一助とすることである.〔対象〕健常成人男性40名とした.〔方法〕三次元解析装置を用い,10°の斜面台にて足関節回内,背屈,回外,底屈と通常肢位の計5条件にて片脚立位を行い,骨盤,胸郭,下肢三関節の角度変化を検討した.〔結果〕前額面上では,回内と回外で有意差がみられた.水平面上では,回内,背屈間で同様の変化を回外,底屈間でも同様の変化が起きた.〔結語〕足関節肢位変化により,前額面上では支持基底面変化による姿勢制御が起き,水平面上では股関節,骨盤で角度変化が起きた.
  • 水野 智仁, 山中悠紀, 佐藤 剛介, 上田 絵美, 松尾 真輔
    2013 年 28 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕先行肢をつく位置と高さの違いが側方移乗動作に与える影響を調査する.〔対象〕日常的に側方移乗を行っている脊髄損傷者3名(男性2名,女性1名)とした.〔方法〕先行肢をつく位置が着座面の側方・斜前方,高さが着座面と同じ・10 cm上・20 cm上の6課題で側方移乗動作を実施させ,デジタルビデオカメラ画像から臀床距離と移乗動作に要した時間を算出し,反復測定two-way ANOVAで先行肢の位置と高さの影響を調査した.〔結果〕先行肢をつく位置に有意な効果を認めたが,高さによる有意な効果や交互作用は認められなかった.〔結語〕先行肢をつく位置を考慮した側方移乗動作の指導が有益である可能性が示唆された.
  • 幸地 大州, 大角 梢, 柳澤 正, 臼田 滋
    2013 年 28 巻 1 号 p. 77-81
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕回復期リハビリテーション病棟1病棟における病棟練習実施状況の推移と病棟練習の効果について検討した.〔対象〕平成19年4月から平成22年3月の期間に当院回復期リハ病棟に入退院した682名であった.〔方法〕病棟入院日数,治療単位数,入退院時FIM,FIM利得・効率,自宅復帰率等について後方視的に調査した.〔結果〕病棟練習における実施状況の年次推移は,病棟練習実施割合が平成19年度45.8%,平成20年度26.8%,平成21年度38.4%であった.病棟練習を実施した場合には,そうでない場合に比べて病棟入院日数と治療単位数が有意に多く,退院時FIMやFIM利得,FIM効率,自宅復帰率が有意に高かった.〔結語〕通常の理学療法に加えた病棟練習の実施はADLの拡大や自宅復帰率の向上に効果的である.
  • 有田 真己, 竹中 晃二, 島崎 崇史
    2013 年 28 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕要支援・要介護者における在宅運動の実施に影響を与える要因を明らかにすることである.〔対象〕介護老人保健施設Aにおいて通所リハビリテーションを利用する要支援・要介護者86名であった.〔方法〕調査者と調査対象者による半構造化面接を実施.調査項目は,a)対象者の属性,b)在宅運動の実施および非実施理由であった.〔結果〕在宅運動の実施人数における差異が認められた変数は,主疾患であった.在宅運動の実施に影響を与える要因としては,促進要因およびバリア要因ともに4のカテゴリー,および8のサブカテゴリーが抽出された.〔結語〕要支援・要介護者における在宅運動の実施に影響を与える促進要因およびバリア要因が特定され,今後は,抽出された要因を基に効果的な介入方略の開発が必要である.
  • 吉田 一也, 江尻 廣樹, 須藤 慶士, 磯谷 隆介, 諸澄 孝宜
    2013 年 28 巻 1 号 p. 89-93
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕両肩甲骨間に貼付したキネシオテープが肩甲骨位置に及ぼす影響について検討した.〔方法〕対象は肩に障害のない男性18名とした.方法は上肢下垂位,肩90°外転位,180°外転位での肩甲骨位置をテープメジャーにて測定し,キネシオテープの貼付前後の位置変化を比較した.〔結果〕両肩甲骨間に貼付したテープによって胸椎の後弯が減少し,上肢下垂位での肩甲骨位置が内転位となった.〔結語〕両肩甲骨間へのキネシオテープの貼付は,肩甲骨運動を変化させる可能性が示唆された.
  • 北地 雄, 原島 宏明, 宮野 佐年
    2013 年 28 巻 1 号 p. 95-99
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Functional Balance Scale(以下,FBS)の構成要素を明らかにすること.〔対象〕脳血管疾患後の片麻痺者59名.〔方法〕FBSの評価値に対して因子分析をおこない,分類された因子ごとにその妥当性を検討した.〔結果〕FBSは動的バランス,静的バランス,および粗大下肢筋力に分類され,これらの構成要素には身体機能や動作能力との関連性が認められた.〔結語〕FBSの従来の有用性を保ちつつ,今回の分類を用いることで,さらに詳細な評価が可能となることが示唆される.
  • 村野 勇, 浅川 育世, 水上 昌文, 瀧原 純
    2013 年 28 巻 1 号 p. 101-104
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕身体活動量の低下が予測される糖尿病患者の身体活動量評価への活用を目的に,国際標準化身体活動質問表(以下IPAQ)の妥当性を検討した.〔対象〕2型糖尿病患者16人(男性9人,女性7人)を対象とした.〔方法〕スズケン社製生活習慣記録機ライフコーダGS/Meで算出した1週間の運動消費エネルギーとIAPQ日本語版の Short Versionから算出される1週間の運動消費エネルギーとの対応あるt検定およびPearsonの相関分析を行った.〔結果〕対応あるt検定の結果,両者の間で有意な差を認めなかった.また両変数間の相関係数はr=0.69であった.〔結語〕糖尿病患者においてIPAQから算出した身体活動量はライフコーダで算出した身体活動量との間に妥当性を確認できた.
  • 山下 弘二, 伊藤 和夫
    2013 年 28 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,脳卒中患者の随意的咳嗽力と日常生活動作(ADL)との関連性について明らかにすることである.〔方法〕対象は回復期脳卒中患者41名(男20名,女21名,平均年齢70.7±10.9歳)であった.随意的咳嗽力には最大咳嗽流速(PCF),呼吸筋力には最大呼気口腔内圧(MPE),最大吸気口腔内圧(MIP)を用いた.ADLの指標には機能的自立度評価表(FIM),基本動作能力,自立起床能力を用いた.〔結果〕PCFとFIM,PCFと基本動作能力との間に有意な正相関が認められた.自立起床不能群のPCF,MEP,MIPは,自立起床可能群のPCF,MEP,MIPより有意な低値を示した.〔結語〕脳卒中患者の随意的咳嗽力とADL能力との間に関連性が認められた.随意的咳嗽力は自立起床可能群より自立起床不能群の方が小さく,それには腹筋群の弱化が影響していることが示唆された.
  • 福山 勝彦, 小山内 正博, 丸山 仁司
    2013 年 28 巻 1 号 p. 109-113
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕動作時足趾接地状況を加味して分類された,擬浮き趾群と真浮き趾群の足趾機能について検討し,浮き趾抽出の指針を得ることとした.〔対象〕成人女性95名を対象とした.〔方法〕Pedoscopeにて撮影した足趾接地画像から,安静時浮き趾スコア,努力接地時浮き趾スコア,前方移動時浮き趾スコアを求め,正常群,不完全接地群,擬浮き趾群,真浮き趾群に分類した.この4群に対し,足趾把持力,前方移動能力を計測し,比較検討した.〔結果〕足趾把持力は,正常群と真浮き趾群で,前方移動能力は,正常群と擬浮き趾群,正常群と真浮き趾群および擬浮き趾群と真浮き趾群の間で有意差がみられた.〔結語〕擬浮き趾群と真浮き趾群を分けて検討する必要がある.
  • 平野 幸伸, 山本 武
    2013 年 28 巻 1 号 p. 115-118
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的はハンドヘルドダイナモメーター(HDD)を用いたヒラメ筋筋力測定の信頼性を検証することである.〔対象〕対象は検者内および検者間筋力測定として,健常成人7名14肢とした.〔方法〕ヒラメ筋筋力測定は足尖が接地しない椅坐位とし,足底部に測定センサーを配置し,固定ベルトを大腿部に装着して左右各3回ずつ実施した.信頼性の検討は級内相関係数(ICC)を用いた.〔結果〕検者内信頼性はICCが0.975,検者間信頼性はICCが0.915であった.〔結語〕ヒラメ筋筋力測定は,臨床における客観性,信頼性がある測定方法であり,誰でも実施可能であると考えられた.
  • ─胸部回旋・股関節屈伸・歩幅・立位姿勢との関係─
    岡田 裕太, 山本 澄子, 関 健志
    2013 年 28 巻 1 号 p. 119-124
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕歩行中の骨盤回旋の左右非対称と胸部回旋,股関節屈伸,歩幅,立位姿勢との関係を運動学的に検討した.〔対象〕健常成人男性22名とした.〔方法〕三次元動作解析装置を使用し,歩行中の骨盤回旋角度と胸部回旋角度,左右股関節屈伸角度,左右歩幅および静止立位の骨盤回旋角度を計測した.〔結果〕歩行中の骨盤の左右回旋角度の差にはばらつきが認められた.骨盤と胸部の左右回旋角度の違いに関係は認められなかった.骨盤の左右回旋角度の違いに関わらず左右股関節屈伸角度,左右歩幅は一定値を示した.静止立位の骨盤回旋角度と歩行中の骨盤の左右回旋角度の差には強い相関が認められた.〔結語〕歩行中の骨盤回旋は必ずしも左右対称であるとは限らず個人差があった.立位姿勢での骨盤回旋の評価が歩行観察に役立つことが示唆された.
  • 北地 雄, 原島 宏明, 宮野 佐年
    2013 年 28 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕通常のFalls Efficacy Scale(以下,主観的FES),担当療法士が行うFES(以下,客観的FES),これらの差異(以下,FES差),および身体機能評価の関係について検討すること.〔対象〕脳卒中片麻痺者17名〔方法〕客観的FESは,担当療法士が「対象者がどの程度転倒せずに動作を行えるか」に基づきFESを採点した.FES差は,主観的FESから客観的FESを減算して求めた.これらと動作能力,ADL能力,歩行自立度との関連を調査した.〔結果〕主観的FESと客観的FESはともにBerg Balance Scaleと相関し,FES差は歩行自立度と関連が認められた.〔結語〕転倒恐怖感の有無に加え,転倒に対する恐怖という主観的な感情と客観的な身体機能評価の相互関係の検討も重要である.
  • 南部 武志, 森田 直樹, 乙戸 崇寛, 澤田 豊, 赤坂 清和
    2013 年 28 巻 1 号 p. 131-134
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕下腿部への圧迫強度と圧迫部位の違いによる足関節を利用したジャンプ高への影響について検討した.〔対象〕健常男性15名が研究に参加した.〔方法〕圧迫にはマンシェットを用い,圧迫位置を下腿部の近位部または遠位部の2条件,圧迫強度を50,100,150 mmHgの3条件とし,各々の条件で腓腹筋内側頭の深層腱膜移動距離を計測した.また,上記圧迫条件にて滑車台上でのジャンプ高を比較した.〔結果〕近位部,150 mmHgの圧迫条件のみ圧迫しない場合と比較してジャンプ高が有意に減少した.〔結語〕圧迫部位が近位部かつ150 mmHgの圧迫強度ではジャンプ高を低下させた.
  • 岩下 篤司, 小西 有人, 吉田 正樹
    2013 年 28 巻 1 号 p. 135-139
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕60Wと120W,180Wの仕事率で負荷量と回転数を変化させたペダリング時の筋活動を測定し平均値と最大値を検討した.〔対象〕健常成人10名とした.〔方法〕筋電図を用い右側大腿直筋,内側広筋,外側広筋,半膜様筋,腓腹筋内側頭,前脛骨筋を測定した.〔結果〕平均値では60Wと120Wにおいて低負荷高回転で高値を示し,180Wの中負荷中回転にて低値を示した.最大値では60Wの半膜様筋を除く全ての筋で低負荷高回転にて高値を示し,120Wや180Wへ高仕事率になると中負荷中回転では低値,高負荷低回転で高値を示した.〔結語〕各仕事率に,筋活動量を抑え運動効率が高く持久性を目的とする設定や,筋力増強のために筋活動量を高める設定があり,訓練時に考慮する必要性があることが示唆された.
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