理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
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原 著
  • 鈴木 あかり, 金子 秀雄
    2020 年 35 巻 5 号 p. 597-601
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕地域在住高齢者における4週間の咳嗽力改善プログラムの効果を検証すること.〔対象と方法〕地域在住高齢者34名を対象とし,咳嗽力改善プログラムを行う介入群17名と行わない対照群17名に分けた.介入群には自宅で咳嗽力改善プログラム(ハーフカットポール上背臥位,呼気筋トレーニング,咳嗽力の確認)を週5回以上,4週間実施させた.介入前後に咳嗽力(咳嗽時最大呼気流量)と肺機能,呼吸筋力,胸腹部可動性を測定した.〔結果〕介入群は介入後に咳嗽時最大呼気流量と最大吸気圧が有意に増大した.〔結語〕地域在住高齢者に対する4週間の咳嗽力改善プログラムは咳嗽時最大呼気流量と最大吸気圧の向上に有効である可能性が示された.

  • 高島 恵, 堀本 ゆかり
    2020 年 35 巻 5 号 p. 603-606
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究の目的は,理学療法士における自己効力感と自己調整学習の特徴を明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は,経験年数6年目以上の理学療法士52名とした.調査項目は,日本語版MSLQの動機づけ尺度(MSLQ)および,一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSES)とし,アンケート調査を実施した.解析方法は,GSESの高低により2群に分け,MSLQの差について検定を実施した.〔結果〕2群間で差のあったMSLQ項目は31項目中10項目あり,自己効力感の低い群のみテスト不安が強かった.〔結語〕テスト不安を軽減することが自己調整学習を促進させる手掛かりとなる可能性が考えられた.

  • 栗原 靖, 烏野 大, 大杉 紘徳, 松田 雅弘
    2020 年 35 巻 5 号 p. 607-613
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕modified Star Excursion Balance Test(mSEBT)に影響する運動機能因子を検証することとした.〔対象と方法〕対象は,A大学女子ソフトボール部20名とした.mSEBTの3方向(前方・後内側・後外側)の%下肢リーチ距離(棘果長で正規化)と,下肢の関節可動域・体幹の柔軟性,体幹・下肢筋力との関連を検証した.〔結果〕mSEBTの前方方向の%下肢リーチ距離は,軸脚の足関節背屈可動域および股関節外転筋力と正の相関を認め,後内側方向および後外側方向の%下肢リーチ距離は,体幹および軸脚の股関節外転筋力と正の相関を認めた.〔結語〕大学女子ソフトボール選手のmSEBTに影響する運動機能因子として,軸脚の足関節背屈可動域,股関節外転筋力および体幹筋力の項目が抽出された.

  • 東 伸英, 菅野 智也, 菅原 慎弥, 小坂 正裕
    2020 年 35 巻 5 号 p. 615-619
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕福井県高等学校野球連盟主催の傷害予防研修会の参加者に,理学療法士が講師を務めた研修会の満足度と改善項目を調査した.〔対象と方法〕高校入学後に硬式野球部への所属を希望している中学3年生38名に対するアンケート調査から,customer satisfaction analysisとテキストマイニングを用いて研修会の改善項目を抽出した.〔結果〕研修会は97.4%と高い満足度を示し,要改善項目として「開催場所」,「時間」が抽出された.〔結語〕研修会は実技を取り入れることにより,高い満足度が得られるが,「開催場所」の設定や研修会の「時間」の配分には配慮が必要であった.

  • 田村 俊太郎, 小林 真, 斉藤 康行, 朝倉 智之, 臼田 滋
    2020 年 35 巻 5 号 p. 621-627
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕転倒・転落アセスメントシートを妥当性と簡便さを備えた評価へと改訂すること.〔対象と方法〕1309人の入院患者を対象とした.転落アセスメントシートと転倒の有無からリスク因子の抽出と重みづけを行い,改訂転倒・転落スコアを算出し,その予測精度求めた.改訂スコアに対しては潜在ランクによる危険度の分類を行った.〔結果〕転倒の因子は39項目から7項目となった.予測精度は従来のスコアが感度88.5%,特異度43.0%,Area under the curve(AUC)0.700であり改訂スコアが感度65.6%,特異度71.0%,AUC 0.718であり潜在ランクごとの転倒数には有意差が認められた.〔結語〕改訂スコアによる転倒予測と,潜在ランク理論による危険度の分類は妥当である.

  • 古本 太希, 片山 綾音, 川村 由佳, 友成 健
    2020 年 35 巻 5 号 p. 629-633
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究の目的は,人工膝関節全置換術(TKA)後6ヵ月の筋力低下例を予測する術前因子を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は,変形性膝関節症の診断で片側のTKAを施行した患者108名とした.筋力は,術前,術後2週,3ヵ月,6ヵ月時に最大等尺性膝伸展トルクを体重で除した値を計測した.術前因子は,基本属性,膝可動域,大腿部筋形態,筋力を抽出した.重回帰分析にて,術後6ヵ月の筋力値に影響する術前因子を解析した.〔結果〕術前の大腿部筋横断面積と筋力が術後6ヵ月の筋力を予測する因子であった(p<0.01,R2=0.45).〔結語〕TKA後6ヵ月時に筋力低下が残存する症例は,術前に大腿部の筋萎縮と筋力低下を認めている可能性が高いことが示唆された.

  • 神山 真美, 堀本 ゆかり, 高島 恵
    2020 年 35 巻 5 号 p. 635-638
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕作業療法士および理学療法士の職業生活満足度に影響を与える要因を明らかにする.〔対象と方法〕本校卒業生で就業年数1年目から9年目までの作業療法士65名,理学療法士80名の計145名を対象に,WEBアンケートにて職業生活(11項目)の満足度を調査した.〔結果〕職業生活全体の満足度への影響を与える要因(標準化回帰係数)は,仕事に対するやりがい(0.279)仕事の内容(0.275),教育・能力開発のあり方(0.210),職場の人間関係・コミュニケーション(0.150),賃金(0.149),雇用の安定性(0.119)が採択された.〔結語〕自己成長・キャリアに意味付けされる要因が重要であることが示唆された.

  • 小林 賢祐, 石川 定, 和田 善行, 徳田 光紀, 脇本 謙吾, 川平 和美
    2020 年 35 巻 5 号 p. 639-646
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕急性期から慢性期までの入院中の脳卒中患者に対し,併用促通反復療法(持続的電気刺激と振動刺激痙縮抑制法の併用)を同一施設で実施し,麻痺改善効果に与える治療開始の時期と麻痺重症度の影響を検討した.〔対象と方法〕対象は当院に入院した急性期,回復期,慢性期の脳卒中患者211名(上肢195名,手指202名)で,片麻痺上肢と手指に併用促通反復療法を実施し,評価には上田式12段階片麻痺機能テスト法を用いた.〔結果〕併用促通反復療法による上肢と手指の改善は麻痺の程度や病期にかかわらず有意であった.〔結語〕併用促通反復療法は,麻痺の程度や病期にかかわらず片麻痺を改善する.

  • 片山 慎吾, 竹重 絢介, 佐伯 美鈴, 古谷 祥宏, 人見 里絵, 星 侑佑, 人見 太一
    2020 年 35 巻 5 号 p. 647-651
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究の目的は,ストレッチと筋膜リリースの効果を比較することである.〔対象と方法〕健常成人16名を2群に8名ずつ割り付けた.評価指標は,SLRにおける最大挙上時の踵から床までの距離,最大挙上時のつっぱり感(VAS),心理的指標であるリラクセーション短縮版(S-MARE)を用いた.〔結果〕SLRとVASはストレッチ,筋膜リリースともに介入前後で有意な変化が認められ,SLRは増加,VASは減少を示した.S-MAREは筋膜リリースでのみ有意な変化が認められ,介入前後で増加を示した.〔結論〕本研究で検討した指標では,筋膜リリースが最も効果的であった.しかしながら,これらの知見だけでは有効性を断定できず,状況に応じて適切な介入を選択する必要があると考えられる.

  • 本島 直之, 紅野 利幸
    2020 年 35 巻 5 号 p. 653-658
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕起立動作に成功する片麻痺者と失敗する片麻痺者の筋電図学的解析の違い からその特徴を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象は起立に成功する片麻痺者(成功群),失敗する片麻痺者(失敗群)各20名とした.成功群と失敗群における, 離殿から麻痺側下肢の筋活動開始時点までの時間を比較した.〔結果〕腓腹筋のみ,失敗群 において離殿より前に筋活動が開始し,成功群よりも有意に早かった.また,失敗群において膝関節と足関節周囲の筋群が同じ時点で活動を開始する傾向にあった.〔結語〕片麻痺者が起立動作に失敗する原因は,腓腹筋の離殿よりも前の活動開始,膝関節と足関節周囲筋の異常な筋活動の出現であることが示唆された.

  • 水野 稔基, 樋口 由美, 上田 哲也, 今岡 真和, 藤堂 恵美子, 北川 智美, 安藤 卓
    2020 年 35 巻 5 号 p. 659-665
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕体幹筋トレーニングを付加した大腿骨近位部骨折術後プログラムの効果について検証した.〔対象と方法〕回復期リハビリテーション病棟に入院する術後患者を,対照群(通常の理学療法)9名と介入群(体幹筋トレーニングを付加)9名に分けた.4週間の介入前後で,体幹機能,歩行能力,バランス機能,下肢筋力,疼痛,転倒自己効力感尺度を測定し,2群間の変化を比較した.〔結果〕介入群は,体幹機能(腹直筋・胸部脊柱起立筋・外腹斜筋の筋厚および腹筋持久力),歩行能力(Timed Up and Go test),バランス機能(Berg Balance Scale)が対照群に比べ有意に改善が認められた.〔結語〕術後患者に対する体幹筋トレーニングの導入は歩行能力およびバランス機能の回復を促進できる可能性がある.

  • ─術後1日目における理学療法介入時の因子に着目して─
    文 聖現, 上田 哲也, 野村 日呂美, 片田 理恵, 松本 龍也, 服部 玄徳, 松井 沙也加, 中村 智里, 當麻 俊彦
    2020 年 35 巻 5 号 p. 667-672
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕大腿骨近位部骨折後に手術を施行した65歳以上の高齢患者に対し,方向性早期決定に関与する因子を検討することを目的とした.〔対象と方法〕大腿骨近位部骨折手術後の65症例を自宅退院群と転院群の2群に分け,診療録より患者情報を収集し,退院先との関連因子を分析した.〔結果〕方向性早期決定に関する因子として,術後1日目における担当理学療法士の回復予測(オッズ比8.9),動作レベルとして車椅子移乗の実施(オッズ比8.3)が抽出された.〔結語〕本研究では,術後1日目における理学療法士の回復予測と,車椅子移乗実施の有無が,方向性早期決定の因子になりうることが示唆された.

  • 佐藤 稜, 沢谷 洋平, 柴 隆広, 広瀬 環, 佐藤 南, 石坂 正大, 久保 晃
    2020 年 35 巻 5 号 p. 673-677
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕要支援・軽度要介護高齢者における抑うつとサルコペニアの関係を明らかにすること.〔対象と方法〕通所リハビリテーション利用者,要支援1・要支援2・要介護1の65歳以上の高齢者79名,男性45名,女性34名を対象とした.抑うつの程度におけるサルコペニアの有病率と抑うつの程度における筋力,身体機能,骨格筋量の関係を検討した.〔結果〕男性のみ抑うつの程度とサルコペニアの有病率に有意な関連を認めた.また,男性は抑うつが強くなるに伴い骨格筋量の有意な低下が認められた.女性においては有意差が認められなかった.〔結語〕抑うつとサルコペニア間に,性差が存在し男性要支援・軽度要介護高齢者において抑うつとサルコペニアに関連があることが明らかとなった.

  • 伊佐次 優一, 乾 淳幸, 佐藤 優, 廣瀬 健太, 山田 拓実
    2020 年 35 巻 5 号 p. 679-683
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕変形性膝関節症患者の膝蓋骨周囲へ筋膜リリースを実施し,膝関節屈曲可動域および膝蓋下脂肪体(IFP)の厚みの変化を検討した.〔対象と方法〕対象は膝関節屈曲可動域制限を有する高齢女性の内側型変形性膝関節症患者25例(年齢は70.9 ± 9.9歳,OA gradeは2.1 ± 1.0)とした.評価方法は介入前後に殿踵間距離(HBD)を測定し,IFPの厚みは超音波画像による短軸像にて計測した.介入方法は膝蓋骨離開リリース,膝蓋骨上方・下方リリースを各3分間実施した.〔結果〕HBDは平均14.2 cmから10.1 cmと改善し,IFPの厚みは,平均21.6 mmから20.7 mmと減少した.〔結語〕膝蓋骨周囲への筋膜リリースはHBDの改善に有効であった.IFPの厚みの変化による臨床的意義に関しては,今後さらなる検討が必要である.

  • 広瀬 環, 沢谷 洋平, 柴 隆広, 小野田 公, 久保 晃
    2020 年 35 巻 5 号 p. 685-688
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕要支援・要介護高齢者の足関節上腕血圧比(ABI)が0.90以下および0.91~0.99を呈する割合や疾患要因を明らかにすること.〔対象と方法〕通所リハビリテーション利用者130名を対象に,利用時の運動療法前の時間にABI測定を血圧脈波検査装置(VaSera VS-2000)を使用して行った.〔結果〕ABIが0.90以下で下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に該当する者は全体の21.6%で,0.91~0.99の境界域に該当する者は13.8%で,合わせて35.4%あった.しかし疾患別での要因に有意差は認められなかった.〔結語〕要支援・要介護高齢者は先行研究と比べて,下肢閉塞性動脈硬化症のリスクが高く留意する必要性が示唆された.

  • 酒井 孝文, 坂本 竜司
    2020 年 35 巻 5 号 p. 689-692
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕足圧分布計測システムをベルト面下に配置したトレッドミルを用いて,連続した後ろ向き歩行におけるcenter of pressure(COP)の軌跡に着目し,その特徴を明らかにすることとした.〔対象と方法〕健常学生13名とした.足圧評価解析機能を有するトレッドミルを用いて30秒間の歩行の計測を行った.足圧データは踵接地から離床までのCOP軌跡から立脚期長,単脚支持期長を算出した.COP軌跡の交差点の前後変動量,左右変動量を算出した.また,時間距離的因子である重複歩距離,歩行率を算出した.〔結果〕後ろ向き歩行では,単脚支持期長,前後ならびに左右変動量に有意な増大が認められた.〔結語〕後ろ向き歩行では単脚支持期長の増大と重複歩距離の減少により歩幅の調整を行い,安定性を保っていると考えられる.

  • 浅見 崇之, 堀田 一樹, 石井 佑典, 酒井 渉, 小島 将, 森下 慎一郎, 椿 淳裕
    2020 年 35 巻 5 号 p. 693-698
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕今回,我々の行った研究では,片脚での漸増負荷ペダリング運動中の非運動脚母趾皮膚温および皮膚血流の変化を評価することを目的とした.〔対象と方法〕健常成人男性13人を対象にし,リクライニング肢位にて右脚での漸増負荷運動を実施した.運動プロトコルはリクライニング肢位での安静4分,ウォーミングアップ3分(5 W),右脚漸増負荷ペダリング運動(10 W/分),クールダウン3分(0 W)とした.〔結果〕非運動脚母趾皮膚温および皮膚血流は,安静時と比較して運動中に有意な変化を示さなかった.しかし,被験者は皮膚血流によって2つの群に分けられた.運動中に非運動脚母趾皮膚血流が安静時血流の2SDを超えた群(逸脱群:n=7),安静時血流の2SDを超えなかった群(非逸脱群:n=6)である.また,最大運動時間と最大運動強度は,逸脱群で最大運動時間:565.71 ± 61.73秒,最大運動強度:99.00 ± 9.96 W,非逸脱群では,最大運動時間:477.50 ± 59.49秒,最大運動強度:84.33 ± 9.83 W(p<0.05)であった.〔結語〕今回,我々の研究では,片脚での漸増負荷ペダリング運動中の非運動脚母趾皮膚温および皮膚血流は変化しなかった.したがって,片脚ペダリング運動では非運動脚母趾皮膚血流を増加させることは困難であることが示唆された.

  • 岡山 裕美, 大工谷 新一
    2020 年 35 巻 5 号 p. 699-703
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕ダイナミックストレッチング(DS)実施回数の違いによる股関節屈筋群の等速性筋力と表面筋電図の関係について検討した.〔対象と方法〕健常男性7名を対象とした.DSは股関節屈曲運動とし,10回,20回,30回,40回,50回行った.DS実施前後に股関節屈曲ピークトルクを計測し,同期して,大腿直筋,大腿筋膜張筋,長内転筋の表面筋電図を記録した.〔結果〕ピークトルクは20回のDS実施後にのみ有意に高値を示した.測定したすべての筋,すべてのDS実施回数において,筋電図積分値と中間周波数はDS実施前後での有意な変化は認められなかったが,DS20回後においてのみスケイログラムに変化を認めた.〔結語〕DSを20回実施した後にピークトルクは増大し,筋活動量の変化を伴わない筋力発揮の変化が確認できた.

  • 秋本 剛, 河村 顕治, 和田 孝明, 河野 達哉, 石原 直道, 横田 あかね, 杉之下 武彦, 横山 茂樹
    2020 年 35 巻 5 号 p. 705-710
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕変形性膝関節症(膝OA)患者における膝関節伸展運動時の疼痛の有無によって関節機能や身体能力が相違するかを検討することを目的とした.〔対象と方法〕膝OA女性患者31名とした.膝伸展運動時の疼痛について,①自動的膝伸展運動,②足踏み運動,③片脚スクワット運動の3条件における疼痛の有無を調査した.さらに膝伸展可動域,伸展筋力,5 m歩行,Timed Up & Go Test(TUG),Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)を評価した.〔結果〕自動的膝伸展運動にて疼痛あり群の方がWOMACは有意に高く,伸展筋力,伸展ROMは有意に小さく,5 m歩行(最大速度),TUGは有意に遅い結果となった.足踏み運動時の疼痛あり群では上記に加えて5 m歩行(快適速度)が有意に遅い結果となった.〔結語〕膝OA患者において膝伸展運動時の疼痛がある場合は,膝関節機能と歩行速度が低いことが示された.

  • 杉田 翔, 藤本 修平, 小向 佳奈子, 小林 資英, 堀 翔太
    2020 年 35 巻 5 号 p. 711-718
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕リハビリテーション専門職(リハ専門職)の脳卒中後うつ患者に対する評価,介入の視点を明らかにする.〔対象と方法〕15名のリハ専門職に対し半構造面接を行い,テーマ分析にて脳卒中うつ患者に対する評価・介入の視点について抽出した.〔結果〕逐語録より73のコード,20の1次カテゴリ,10の2次カテゴリに分類された.評価は,患者の【悲観的な発言】や【気分の落ち込み】,【意欲の低下】といった日々の観察に基づく【うつ症状の現れる状況の整理】が抽出された.対応・介入は,【悲観的にならないための声掛け】や【自立度を向上させる介入】,【本人のペースに合わせた介入】が抽出された.〔結語〕リハ専門職は,日々の発言や評価からうつ症状の現れる状況を整理し,悲観的にならないための声掛けを行いながら日常生活動作の自立度向上に向け取り組んでいた.

  • 善田 督史, 服部 知洋, 小河 裕樹, 吉田 誠也, 木戸 聡史, 丸岡 弘
    2020 年 35 巻 5 号 p. 719-727
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕呼吸器疾患において大腿四頭筋筋力(QF)は日常生活動作(ADL)に関連するが,QFは患者努力を要し測定困難なことがある.本研究は,大腿四頭筋筋厚(Qt)とADLの関連を検討した.〔対象と方法〕対象は慢性呼吸不全患者39名で,Qt測定は大腿直筋と中間広筋とし,ADL評価に長崎大学ADL評価表(NRADL)を用いた.また,肺機能・心エコー・血液検査を行った.解析はSpearmanの相関係数を用い,さらにNRADL合計を従属変数,関連因子を独立変数とし,重回帰分析を行った.〔結果〕NRADLとBMI,Qt,%一酸化炭素肺拡散能(%DLco),血清アルブミン,吸入酸素濃度(FiO2)に有意な相関が認められた.重回帰分析より,Qtと%DLcoが抽出された.〔結語〕QtはNRADLと関連しており,慢性呼吸不全患者において,QtからADLを推定できると考える.

  • 石井 美和子, 山本 澄子
    2020 年 35 巻 5 号 p. 729-734
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕3次元動作計測を用いて立ち上がり動作中の仙腸関節の運動方向を計測する際,自然座位で体表マーカーを貼付する方法が妥当であるか明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象は健常者15名30仙腸関節とした.マーカーを自然座位と離殿姿勢の2条件で貼付し,立ち上がり動作を計測した.動作開始から離殿までの分析区間の仙腸関節角度を求め,仙骨に対する寛骨の運動方向を2条件で比較検討した.〔結果〕分析区間の仙骨に対する寛骨の運動方向はマーカー貼付姿勢による違いはなく,対象とした全関節で一致していた.〔結語〕体表マーカーを用いた立ち上がり動作の計測で,本研究の分析区間では自然座位でのマーカー貼付で仙腸関節の運動方向を検出できることが示唆された.

  • 平沢 良和, 松木 良介, 谷名 英章, 惠飛須 俊彦, 浜本 芳之
    2020 年 35 巻 5 号 p. 735-739
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕男性2型糖尿病患者の上下肢および体幹筋量とインスリン抵抗性との関連をそれぞれ検討した.〔対象と方法〕対象は男性2型糖尿病患者136名とした.上肢筋量(ULM),下肢筋量(LLM),体幹筋量(TM)を体重(Wt)で補正し,HOMA-IRとの関連を肥満の有無で2群に分けて検討した.〔結果〕全体および肥満群ではHOMA-IRはULM/Wt,LLM/Wt,TM/Wtと有意な負の相関を認めた.非肥満群ではHOMA-IRはLLM/WtおよびTM/Wtと有意な負の相関を認めた.全体でインスリン抵抗性を示すカットオフ値のArea under curve(AUC)はULM/WtよりLLM/WtおよびTM/Wtが高かった.〔結語〕男性2型糖尿病患者のULM/WtとTM/Wtがインスリン抵抗性を評価するうえで有用である可能性が示唆された.

症例研究
  • 髙橋 真, 桑水流 学, 岩本 浩二, 宮内 幸男
    2020 年 35 巻 5 号 p. 741-749
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕インターナルインピンジメント症状を呈した高校野球選手に対し全身的介入による改善効果を検討した.〔対象と方法〕症例は後方関節唇損傷,上腕骨大結節背側損傷を呈した高校野球選手であった.理学療法は投球強度を調整し,肩関節の炎症鎮静をはかった.また,肩甲上腕関節,肩甲帯,投球の運動連鎖を考慮に入れた体幹・下肢筋群の機能的アプローチを40分,週1回,10ヵ月行った.〔結果〕肩関節の炎症所見は消失し,肩関節後面筋群の柔軟性,腱板筋群と僧帽筋の筋力,片脚立位姿勢は改善した.理学療法介入から7ヵ月後で投球痛は消失し,9割の投球が可能となり,投手として競技に復帰した.〔結語〕肩関節,投球早期に着目した体幹・下肢筋群の機能的アプローチはインターナルインピンジメント症状の再発,予防に効果を示した.

  • 成田 寿次, 秋山 浩一, 三浦 俊之, 角田 莉奈, 小島 奈穂, 佐藤 和強, 松本 卓也
    2020 年 35 巻 5 号 p. 751-755
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)にて呼吸状態が悪化し体外式膜型人工肺(ECMO)が導入され救命が得られ,廃用に対し理学療法を実施した一症例を経験したので,ここに報告する.〔対象と経過〕69歳,男性でクルーズ船に乗船し,その後SARS-CoV-2に感染し,2月11日他院に入院となった.2月16日より人工呼吸器管理,2月17日よりECMOを導入した.2月20日ECMO装着下で当院に搬送となる.2月25日ECMOを離脱,2月29日人工呼吸器を離脱した.3月5日集中治療室から陰圧病棟へ転棟した.実際に陰圧室の前室で看護師にチェックしてもらい入室した.3月21日日常生活が自立し,独歩で自宅退院となった.〔結語〕肺炎による重症呼吸不全と同様の理学療法を施行した.理学療法中のSpO2の変動が大きかった.レントゲン上肺浸潤影が最後まで残存しており,換気血流比不均等が生じていたと考えられた.

総 説
  • 松野 悟之
    2020 年 35 巻 5 号 p. 757-763
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿は新設された運動量増加機器加算について概説した.運動量増加機器は,能動型屈伸・屈伸回転運動装置(歩行支援ロボット),歩行神経筋電気刺激装置,能動型上肢用他動運動訓練装置(上肢用ロボット)に分類される.算定条件として,脳血管疾患等リハビリテーションⅠまたは脳血管疾患等リハビリテーションⅡを算定していること,脳卒中・脊髄損傷の急性発症に伴う上肢または下肢の運動障害を有していること,医師または理学療法士・作業療法士がリハビリテーション実施計画書を作成し,運動量増加機器を用いる必要性が明記されていることが挙げられる.診療報酬点数は150点であり,月1回に限り算定可能である.算定が可能な対象疾患は,脳血管疾患のみであるため今後,他の疾患における運動量増加機器使用の有効性を裏付けるエビデンスが構築され他の疾患のリハビリテーションにおいても算定できるようになることを期待したい.

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