理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
3 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 岩月 宏泰, 室賀 辰夫, 木山 喬博, 辻井 洋一郎, 猪田 邦雄
    1988 年 3 巻 4 号 p. 215-219
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    傾斜板及び平坦な床上に両側アキレス腱に70Hzの振動刺激を与えながら直立位を保持させ、脛骨神経を最大閾値で刺激し腓腹筋から誘発されるSilent Periodの消長から老年群(9名)の姿勢保持障害を若年群(10名)と比較検討した。
    (1)老年者の安静時SPは若年群に比べて床立位で24.0ms、傾斜立位では10.8msと延長した。
    (2)床、傾斜立位に限らず老、若年群とも振動負荷中は安静値よりも延長する傾向が認められた。
    直立位に於て脊髄前角細胞の興奮性を表すSPが振動負荷時に延長した事は、末梢の固有感覚系の外乱に対して上位中枢での制御系の関与が大きいことが推測された。
  • 猪股 高志, 松本 正彦, 斉藤 隆夫, 馬庭 美和, 岩名 達夫, 岡田 紀子
    1988 年 3 巻 4 号 p. 221-226
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    両側膝関節伸展制限が歩行時の生理的反応に及ぼす影響を知るために、膝関節伸展のみを制限する膝装具を用い、10°ごとに40°までの実験的な両側膝関節屈曲拘縮の状態にし、水平トレッドミル上を各被験者の至適速度で歩行させた。対象は健常成人男性8名、平均年齢26.1歳。測定項目は酸素摂取量、心拍数、cadenceであった。その結果、各測定項目とも、膝角度と各測定値の間にそれぞれ有意な正の相関が認められた。酸素摂取量では、膝角度0°に対し、膝角度40°で約31%の増加がみられた。また膝角度0°と20°の比較では、酸素摂取量と心拍数において有意な差は認められず、20°程度の両膝屈曲拘縮での歩行ではこれらの反応に変化のないことが予想された。しかし、疲労の影響も考慮する必要があリ、これらを臨床的に応用するには、今後、検討を要する。
  • 遠藤 美香
    1988 年 3 巻 4 号 p. 227-231
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Skin Hold Caliper法において皮脂厚を測定した場合の測定値の信頼性や再現性を検討した。1人の被験者を10名の検者が4回ずつ測定した。その結果 1)測定部位や方法によりぱらつきがみられた。 2)測定部位や方法を規定したプロトコールに従い、測定回数を増すごとに検者内、また検者間の測定値のばらつきが小さくなった。 3)Skin Hold Caliper法についても、他の評価法と同様、検者の教育と熟練が必要といえる。
  • 源 菜穂子, 谷 浩明, 梅村 守
    1988 年 3 巻 4 号 p. 233-237
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    運動負荷装置を上肢エルゴメータとし、そのスピードと運動方向の生体へ及ぼす影響について、心拍数及び酸素摂取量より検討を加えた。被験者は健常成人男性3名である。運動負荷強度はすべての実験で同一であり、スピードを30rpm、60rpm、90rpmとし、運動方向をForward、Reverseとする。その結果、心拍数、酸素摂取量とも運動方向の与える影響は少なくスピードによるものが30rpm、60rpm、90rpmの順に大きいことがわかった。また、心拍数と酸素摂取量とが直線関係にあることより、上肢エルゴメータにおいても酸素摂取量を測定することなく簡易な心拍数を生理的指標として用いることが可能であると考える。
  • ―同一負荷量による等尺性運動―
    丸山 仁司
    1988 年 3 巻 4 号 p. 239-242
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    同一負荷による左、右および両側の膝伸展時(等尺性収縮)の酸素摂取量、心拍数、血圧を測定した。被験者は健常成人男性4名である。運動負荷は椅子座位、膝関節90度にて、右足、左足、両足の足首に10kgの重錘、5kgの負荷を左右に別々(合計10kg)に負荷した場合の4通りの等尺性運動(大腿四頭筋)であった。負荷時間は2分間であった。被験者、順序、負荷方法を因子とした4×4のラテン方格法を用いた。その結果、心拍数は負荷方法に有意な主効果がみられた。右足に10kgの負荷時の心拍数が最も低く、両足同時に負荷した場合の方が高い値を示した。同じ負荷量であれば両足、すなわち、多くの筋を使用した場合の方が高い生理的反応を示すことを示唆している。
  • 岩月 宏泰, 木山 喬博, 室賀 辰夫
    1988 年 3 巻 4 号 p. 243-246
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    健常者を対象に上肢挙上位と体側位で3種類の開始肢位(背殿位50°,70°,下垂位)からブリッジ運動を行い表面筋電図と足底部の荷重圧を測定した。その結果上肢体側につけた背殿位では広背筋の筋放電が増加した。膝屈曲角度50°でGMが70°でHamの活動が増加した。上肢挙上した背殿位では膝関節角度50°,70°ともに脊柱起立筋、GM、Hamの活動が高まった。下垂位ではGM、Hamの活動性が高かった。一側の足底部にかかる荷重圧は背殿位、下垂位ともに体重の約12%であり、各条件における差は認められなかった。
  • 金子 断行, 服部 克彦
    1988 年 3 巻 4 号 p. 247-249
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    非侵襲的、非拘束的スパイロメーターは様々な原理のものが発表されているが、非常に高価である。我々は、できるだけ安価な材料を用い、しかも多少の電子工作の心得があれば簡単に製作できる呼吸パターン測定システムを開発し、評価した。測定システムの原理は、歪みゲージをセンサーとして使用し、ブリッジ回路網を用いてセンサーアンプの入力とした。センサーアンプはロードセルコンバータLC630を用いて自作した。正常児の呼吸パターンを測定した結果、呼吸曲線を簡単に記録することができた。実際に観測している量は、ゴムバンド内に発生する応力の相対量であるが、呼吸パターンを研究する上で測定感度から言っても問題は全くない。
  • 大貫 義人
    1988 年 3 巻 4 号 p. 251-258
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
  • 根立 千秋
    1988 年 3 巻 4 号 p. 259-265
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ハワイ、ホノルル市のRehabilitation Hospital of the Pacificにおいて主として脳卒中の理学療法とリハビリテーションの課程の研修内容を紹介する。
    1)リハビリテーション専門病院として100床、それに対して職員数250人と大変多い。2)外来サービスの充実、特にIWCで行われる職業復帰までのサービス、慢性疾患に対する機能の維持のための各種プログラム。日本では老人保険法のなかで機能訓練事業がスタートしているが今後このようなプログラムの多様化が望まれる。3)脳卒中患者の6週間という短期入院。4)1日のなかで行われる各種訓練時間の長さ(一般の患者でおよそ5時間の訓練時間) 5)PTの訓練はDisability levelでの機能の獲得が重要視される。日本の場合は逆にImpairment levelがより重要視されているようである。6)Home visiteやFamiiy Orientaion等にみられる実際的プログラムが一般化している。7)障害者をとりまく環境のなかで特にリハビリテーションに対する一般市民の理解が大きい。
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