理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
6 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 市橋 則明, 吉田 正樹
    1991 年 6 巻 4 号 p. 181-185
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    健常女性6名の腓腹筋を対象に筋疲労回復におけるストレッチングの効果を筋電図周波数解析により検討した。つま先立ちを疲労困憊まで行なわせた後にストレッチングを30秒間行ない、安静とストレッチングの筋疲労の回復効果を比較した。その結果、安静とストレッチングの疲労回復率に有意な差はなかった。この結果より、運動後の筋疲労の回復において筋の伝導速度の回復に関してはストレッチングの効果はないと考えられ、他の因子すなわち輿奮収縮連関や運動終板などが関わっていると考えられた。
  • 岩月 宏泰
    1991 年 6 巻 4 号 p. 187-191
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    健常女性25名(20-79歳)を対象に過呼吸負荷(1分間に12回の深呼吸)した際の心電図のR-R間隔変動を指標として自律神経機能における生理的加齢の影響について検索した。安静時、過呼吸中および終了後とも高齢者は青年者よりSD,CV、MV ratio、HV rateの各指標で有意な低値を示した。過呼吸中のCV増加率は青年者が6.4%であり、高齢者が27.6%であった。また、過呼吸中のHR max-minは青年者、老年者とも約25%の増加を認めた。
  • 竹井 仁, 岩崎 健次, 池田 由美
    1991 年 6 巻 4 号 p. 193-199
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、健常者に対して、一側下肢への補高による脚長差とその際のアーチサポートの有無が歩行に及ぼす影響について検討することである。測定は主に大型三次元床反力計を用い、8項目のタスクに関して、歩幅・歩行速度・歩行率・歩行周期の時間因子について比較検討した。結果、補高量が増すに従い補高脚の歩幅は低下し、非補高脚の歩幅はほぼ一定に保たれる傾向がみられたが、それぞれ有意差はなかった。歩行速度、歩行率、歩行周期の時間因子はタスクに関わらずそれぞれの被検者でほぼ一定に保たれていた。アーチサポートの効果は明確には現れなかった。
    本研究の結果から、片麻痺に対しては、健脚に補高をすることで、補高脚(健脚)で歩幅を調節して相対的に非補高脚(患脚)の歩幅を増大し、非補高脚(患脚)の振り出しが容易になることが示唆された。
  • 篠原 英記, 市橋 則明, 備酒 伸彦, 近藤 奏女, 中山 伸治, 宮本 玲子
    1991 年 6 巻 4 号 p. 201-205
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、脳卒中片麻痺者の体幹機能と身体活動能力との関連を検討することである。本研究の被検者は28名の片麻痺者(男;17、女;11)であった。麻痺側別には右麻痒12名、左麻痺16名であり、年齢は50歳から91歳まで、平均年齢66.6歳であった。被検者の坐位での自動的体幹可動域(屈曲、回旋、側方移動)と、身体活動能力(台からの立ち上がり能力、歩行能力)を測定した。
    その結果、体幹可動域と身体活動能力の聞には有意な関連が認められた(分散分析;P<0.01)。
  • 吉元 洋一
    1991 年 6 巻 4 号 p. 207-212
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    脳卒中片麻痺患者86例の躯幹調節能力を、視覚性および迷路性立ち直り反応(ORR、LRR)により測定し、下肢ブルンストローム・ステージ(下肢BS)と歩行能力との関連性について検討した結果、(1)下肢BSとの比較では、有意な相関関係を認めた(ORR:r=0.6523、LRR:r=0.6518;p<0.001)。(2)歩行能力との比較では、両反応とも麻痩側・非麻痺側において有意な相関関係を認めた(ORR麻痺側:r=-0.6113、非麻痺側:r=-0.6127、LRR麻痺側:r=-0.6195、非麻痩側:r=-0.6314;p<0.001)。(3)両反応の麻痺側間(r=0.9241)および非麻痺側間(r=0.8693)の比較では有意な相関関係を認める(p<0.001)とともに、LRRに比較しORR得点が高くなる傾向を示した。
  • 小川 和広, 横山 由香, ニノ戸 久美子, 高橋 捷夫, 秋山 純和
    1991 年 6 巻 4 号 p. 213-217
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    当病院ではJR社員を対象に糖尿病の教育入院を実施しているが、理学療法部門でもプログラムに参加する機会を得た。糖尿病と診断された未処置の16名、平均年齢44.1歳を対象に運動負荷試験を導入した。方法は、BalkeとEllestad(変法)のプロトコールに基づき実施したが、結果は、酸素消費量安静時と運動終了時においてBALKEで4.15から14.8nl/kg/min、またELLASADでは20.5ml/kg/minの測定値を得た。運動負荷試験での心電図の変化は2名に一過性の期外収縮、1名に運動最終段階でのSTのわずかな低下を認めた。また、今回実施したELLASTADのデータに基づき肥満度別に酸素消費量とATポイントに着目して比較検討を加えた。酸素消費量は肥満度の違いで運動時、回復時共にグラフに差が認められた。ATポイントに関しては同じプロトコールを実施した健常成人のデータも加えて検索したが、明かなATの検出には至らなかった。
  • 三ツ木 豊, 野馬 長子, 三ツ木 裕子, 田村 真佐美, 川島 敏生, 横塚 政久, 粟山 節郎
    1991 年 6 巻 4 号 p. 219-224
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    膝前十字靱帯再建術後の理学療法プログラムの早期化が、術後経過に与える影響を、追跡調査を含めて検討した。ROH、筋力の回復経過、各種の動作可能時期は、プログラムを早期化した群に早期の回復がみられた。スポーツ復帰においても平均5ヶ月の短縮が得られたことよリ、術後プログラムの早期化が術後経過に大きな影響を与えると考えられ、安全性を踏まえた上で、プログラムを検討していく必要性が示唆された。
  • 興儀 清武
    1991 年 6 巻 4 号 p. 225-230
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    米国ハワイ州にあるShriners Hospital for Crippled Children Honolulu Unitで、主に小児整形外科領域における理学療法とリハビリテーションの研修を受けたので報告する。
    1)Voluntory Hospitalで、治療費などはすべて無料。
    2)早期アプローチ、チームアプローチが進み、業務に占めるカンファレンスの時間が多い。
    3)装具や補助器具などを用いたDisability重視。
    4)ハワイのリハビリテーション施設を訪れ、外来サービス部門がすばらしく充実していた。
    5)高い医療費に支えられたマンパワーの数と職種の多さ、訓練室の広さや器具など、設備が充実している。
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