理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
6 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 井上 由紀子, 山根 一人, 大河 俊博
    1991 年 6 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    健常人の反応時間に対する学習効果を筋電計とパーソナルコンピューターを用いて検索した。刺激パターンは学習前後で同一とした。また、対象は男性9名、女性11名の20名とし、平均年齢は26.8歳であった。測定回数を重ねるにしたがって、反応時間も短縮される傾向にあった事から、測定の中間に反応時間の変動要因を置き、反応時間の短縮が認められても、その全てを促通効果と見なすには一考を要すると思われた。
  • 小室 透, 間瀬 教史, 居村 茂幸, 藤原 誠, 辻田 純三, 中村 あゆみ, 田中 隆司
    1991 年 6 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    片麻痺患者6例に対して約3カ月間の有酸素トレーニングを行い、その効果を呼気ガス、心拍数、10m歩行スピードよリ検討した。酸素摂取量より算定した作業時のエネルギー効率が改善したのは6例中2例であったが、VATは6例中4例に改善を認めた。10mスピードは測定し得た5例全員に何らかの改善が見られた。一方、6例中4例に同一労作時における心拍数の増加を認めた。以上の結果より、片麻痺においても有酸素トレーニングが有用な効果を提供し得ると考えるが、同時に心循環系の反応に留意する必要があることが示唆された。
  • 大渕 修一, 柴 喜崇
    1991 年 6 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    この研究は、若年健常成人の肩関節等運動性筋力を左右差、角速度との関係、拮抗筋の筋力の割合、体重との相関から分析することを目的として行われた。対象は、20才から35才の健常成人33名で、肩関節内旋・外旋・伸展・屈曲・内転・外転をそれぞれ角速度60度毎秒、180度毎秒で測定された。その結果、男性の速い速度ですべての運動に左右差が認められた。女性の外転を除くすべての運動で左右差が認められた。外旋/内旋、屈曲/伸展比は約70%であった。内転/外転比はそれよりやや低く約60%であった。この拮抗筋の筋力差はスピードの増加にともない著しくなった。男性では体重との相関は認められなかった。これらの結果は、臨床上の有用な情報になるものと考えられた。
  • 大島 吉英, 井口 茂, 鶴崎 俊哉, 中野 裕之, 田原 弘幸, 穐山 富太郎
    1991 年 6 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    加齢にともなうバランス反応の低下をバランスボードを用いて評価した。対象は神経・筋、骨関節疾患がなく日常生活を支障なく送っている172例(男76、女96)である。テストした13項目全てに年齢と負の相関があり、本テストはバランス反応評価基準の一つとして有用と思われた。総得点の検討では、男は40代以降、女は50代以降バランス反応に低下が認められた。項目別の平均点をみると、男女とも同様の低下を示しており、項目を3群、すなわち高得点群をI群、中得点群をII群、低得点群をIII群に分類できるものと考えられた。従って、本テストの運用に際しては、まずII群から行い.バランスの良い者はIII群へ進み、悪い者にはI群の項目を実施するという方法が考えられた。バランス反応の低下は老人の日常生活に様々な形で影響を及ぼす。そこで、本テストの有用性に基ずきバランス反応を評価し、理学療法を計画することが重要である。
  • 岩月 宏泰
    1991 年 6 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    脳梗塞患者における不整脈を24時間連続記録心電図(Holter心電図)を用いて解析し、急性期と慢性期を比較検討した。症例は55歳男性で、左内包部の梗塞による右片麻痺患者である。Holter心電図はCC5誘導で、発症後3週、2,4及び6か月の4回記録した。24時間あたりの不整脈のうち心室生期外収縮(PVC)が全ての記録で10発以下であり、上室性期外収縮(SVPC)は狭心症発作が出現した4か月目を除いて30発未満であった。またSVPCは早朝及び夜間睡眠時に増加した。上室性不整脈は脳梗塞の誘発因子の1つであることから、急性期から慢性期の過程の中で、標準12肢誘導心電図よりも不整脈を検出しやすいHolter心電図を用いた検討が必要と考えられた。
  • 久保 晃
    1991 年 6 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    健常成人19名を対象に,自己の日常の歩行,その1.5倍(50%増)の速さに感じられる歩行,0.5倍(50%減)の速さに感じられる歩行の3条件の歩行速度を設定し,床上とトレッドミル上で比較検討した。その結果,対応するどの条件においても,床上での歩行速度が速いことが判明した。その程度は,床上の日常の速度がトレッドミル上での1.5倍(50%増)に感じられる速度にほぼ相当していた。したがって,床上の速度を基準にトレッドミル上を同じ速度で歩くとかなり速く感じられることが裏付けられたと思われる。また,床上とトレッドミル上の歩行速度には対応関係が認められることや,速度調節に共通した特性が存在することも明かとなった。
  • 潮見 泰蔵
    1991 年 6 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本稿では、トレッドミルを用いた運動負荷試験において、しばしば利用される手すりが生理的反応にどのような影響を及ぼすかにっいて、諸家の報告と筆者らの行った実験の結果をまじえて述べた。手すりの影響に関する研究では、手すりを使用した場合には、手すりを使用しない場合に比べ、エネルギー消費量の減少や運動時間の延長がみられたとする報告が多くみられる。また、この手すりの影響がエネルギー消費量を推定する際の、実測値と予測値との間の誤差要因の一つと考えられている。筆者らの行なった低強度の運動負荷試験では、傾斜の増加に伴って、手すりの有無による酸素摂取量の差が大きくなり、また片手よりも両手による把持のほうが、より大きな影響を示す傾向がみられた。この手すりの影響を最小限にとどめるための具体的な方法についても紹介した。
  • 相澤 直行
    1991 年 6 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    これまで本講座で取り上げてきた統計解析の方法は、主として計量値のデータを解析の対象とするものであった。そこで本論では、計数値の分布による検定の方法、計数値を計量値の分布である正規分布に近似して検定・推定を行なう方法、適合度の検定および分割表など計数値データの解析方法にっいて例題を中心に解説している。
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