理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
6 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 中村 律子
    1991 年 6 巻 2 号 p. 55-61
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    肩関節の動作分析には、写真撮影や電気角度計による測定など様々な方法が用いられているが、これらには簡単に行えないという欠点がある。また、ADLとの関係を調べる際には、各方向の最大可動域を測定する場合が多く、動作時の実測値を測定したものは少ない。そこで今回我々は、結帯・結髪動作における肩関節角度(実測値)・指椎間距離・各方向の最大可動域を測定した。その結果、結髪動作における挙上角度には屈曲よりも外転がより影響していることが分かった。また、指椎間距離の測定によリ結帯動作における内旋可動域の重要性が再確認できた。健常群と拘縮群との比較では、結髪動作ではA-T angleと肘屈曲に、結帯動作では水平の動き・見かけ上の外転・肘屈曲・指椎間距離に差を認めた。
  • 望月 久
    1991 年 6 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    健常者、高齢者、パーキンソン症候群患者を対象に上下肢によるタッピング動作を行い、その達成度を分析した。その結果、パーキンソン症候群患者では上下肢にわたる複合パターンの達成度が低いこと、高齢者でも健常者に比して上下肢にわたる複合動作能力の低下がみられることが確認された.
  • 小林 茂, 西本 勝夫, 金尾 顕郎, 大谷 真由美, 辻 英次, 藤本 繁夫, 栗原 直嗣
    1991 年 6 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    比較的軽度な慢性閉塞性肺疾患患者7名に対して、8週間のトレッドミル負荷訓練を実施した。そして、運動時の換気諸量・呼吸困難感(Borg scale)・6分間歩行テスト(6MD)・日常生活活動(ADL)に及ぼす効果を検討し、以下の結論を得た。負荷訓練後、VO2、VE、Borg scaleが改善され(p<0.001)、さらに、anaerobic threshold(AT)レベルが上昇した(p<0.01)。負荷訓練後、呼吸困難感の改善に伴い6MDが延長し、(p<0.005)、ADLが改善された(p<0.05)。慢性閉塞性肺疾患患者の理学療法は呼吸訓練に加え、適切な運動処方のもとに運動負荷訓練を実施することが、運動能力を改善する効果があると考えられた。
  • 田代 勝範, 仲沢 仁, 内 昌之, 藤井 克仁, 坂本 美喜, 原田 孝
    1991 年 6 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    健康成入32名について、日常生活の基本的動作である椅子からの立ち上がり動作を重心計と筋電計により観察した。立ち上がり動作における足底圧中心の変化は前後成分が主であり、支持脚には個人差がみられた。また、足底圧中心位置と身長・体重との間には、それぞれ相関関係がみられた。手を膝の上に置いた肢位からの立ち上がりは、手を身体の側面に下垂した場合よりも安定していた。表面筋電図所見にて、椅子からの立ち上がり動作に一致した一連の筋活動パターンが観察された。三次元的な重心の移動・動揺を探究していくことが、客観性のある動作の評価につながっていくものと思われ、今後の研究課題としたい。
  • 吉元 洋一
    1991 年 6 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    発症後1年以上を経過した脳卒中片麻痺患者42例に、姿勢反射機構検査を実施し歩行能力との関連性について検討した。年齢と歩行能力との比較では有意な相関を認め(r=-0.4368:p<0.01)、特に60歳未満と60歳以上との比較においては有意差を認めた(X2=14.611:p<0.01)。さらに、姿勢反射機構検査得点についても、麻痺側では有意な差を認めず、非麻痺側では60歳未満の得点が有意に高い得点となる(p<0.01)。姿勢反射機構検査と歩行能力との比較では、麻痺側と非麻痺側との間に有意な差を認め(自立歩行、監視歩行、歩行不能:p<0.01、介助歩行:p<0.05)、各歩行能力間の比較では、自立歩行と監視歩行との間に有意差を認めた(麻痺側:p<0.05、非麻痺側:p<0.01)。
  • 浅川 康吉, 中井 光, 蟻川 美夏子, 磯部 啓子, 亀田 実, 遠藤 文雄
    1991 年 6 巻 2 号 p. 87-90
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    トライアスロン愛好者7名について最大酸素摂取量を測定し、予測値との比較を行った。トレッドミルでのブルース法を用いた最大運動負荷試験の結果、その最大酸素摂取量は、55.3±6.4ml/kg/minであり日本人の体力標準値に比べ有意に高い水準にあった(p<0.01)。また、予測最大酸素摂取量は、心拍数が120より170(拍/分)の範囲とその間の酸素摂取量を用いた一次回帰式にKarvonenの式より得た年齢別予測最大心拍数を代入して求めた。その結果は48.6±8.Oml/kg/minで1-26%の範囲で誤差があったものの実測値に比し有意な差は認められなかった。
  • 久寿米木 和繁, 山本 信行, 久保 晃, 千野根 勝行, 古名 丈人
    1991 年 6 巻 2 号 p. 91-93
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    日常場面の階段昇り時での運動は短時間で終了してしまい、定常状態にならない。どの程度の身体反応強度なのかを健常成人を対象に計測し、トレッドミルでの負荷と対比して検討した。階段昇り時に要する運動時間は平均約10秒で、身体反応強度は、10.2METSであった。しかし、1分ごとにMETSを求めると最高2.7METSであった。トレッドミルでの負荷は、傾斜25%固定で速度を2km/h、4km/h、6km/hを約10秒間行わせた。4km/hでの速度の時が最も階段昇り時に近い強度となった。今後、定常を示さない運動では強度を決定する場合、注意が必要である。
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