老年期における記憶障害を中核とする精神機能障害は老年期痴呆として現在の高齢社会における大きな問題の一つである。老年期に起こる痴呆の2大原因である血管性痴呆と変性性痴呆は、その予防、治療には多くの問題があり現在でもかなりの部分が不明のままである。我々の行っている臨床的検討の成績を以下の点に注目して述べた。
血管性痴呆の現在の問題は脳血管障害の予防である。我々は、最近開発された凝血学的分子マーカーを用いて、脳梗塞に対する1次・2次予防のstrategyを検討した。さらに再発以外の増悪因子について述べた。
変性性痴呆の代表であるAlzheimer型痴呆の臨床的検討より、病期と脳血流シンチ、脳血流シンチを用いたprospective study、生化学的マーカーを用いた早期診断の可能性について報告した。
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