理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
8 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 浅川 康吉, 遠藤 文雄, 磯部 啓子
    1993 年 8 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    トライアスロン愛好者の運動時代謝に関する基礎的知見を得るため、最大酸素摂取量が同程度のトライアスロン愛好者1名(41歳,172cm,63.0kg,peak VO2;59.4ml/kg/min)と健常男性1名(39歳,177cm,62.4kg,peakVO2;61.4ml/kg/min)を対象にトレッドミルでのブルース法を施行し、換気量、酸素摂取量、二酸化炭素排出量、および呼吸商(ガス交換比)の経時的変化を比較検討した。
    その結果、トライアスロン愛好者のほうが運動継続時間が3分ほど長く、その差は、二酸化炭素排出量の推移から、炭水化物利用能力および乳酸の重炭酸系での緩衝能力にあると考えられた。
  • 望月 久
    1993 年 8 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    膝関節の屈筋・伸筋を対象に、Borgによるcategory-ratio scale (CR-10)の各カテゴリー相当の主観的努力度と相対的筋張力(%MVC)との対応を測定した。CR-10のスコアと%MVCは相関係数0.92~0.94の高い相関を示し、CR-10は等尺性筋力に対して比率的性質をほぼ満たすことを確認した。この結果は筋力増強訓練強度の簡便な指標としてのCR-10の有効性を示すものと考える。
  • 細井 順子, 岩月 宏泰, 津田 千里, 喜多 弘美, 高須 治
    1993 年 8 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    健常青年8名を対象に背殿位から殿部を持ち上げるブリッジ運動を連続30回行わせ、頸部の位置の違いによる呼吸・循環反応の変化について検討した。結果;1.心電図R-R間隔は頸の位置に関わらず、運動開始1分後から有意に減少し、運動中はその状態が続いた。また運動中の心電図R-R間隔は頸屈曲位が中間位より低値を示した。2.呼吸数は安静時から頸中間位より屈曲位で僅かに増加しており、運動中も同様の傾向が認められた。3.呼吸深度は運動開始1分後で頸中間位約50%、屈曲位約10%の増加を認めた。
     以上の結果、頸屈曲位からのブリッジ運動では頻脈となることから、循環器系に問題のある症例では避けるべきと考えられる。
  • 藤澤 宏幸, 大道 憲一, 阿岸 祐幸
    1993 年 8 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本実験は、水中での上肢および下肢運動の呼吸循環応答を明らかにすることを目的とした。運動は肘関節屈曲伸展運動(EFE)および膝関節屈曲伸展運動(KFE)で、水温38°Cのプール内にて、それぞれの運動を反復回数20,30,40,50,60毎分(STAGE I~V)で各々3分間実施し、酸素摂取量(VO2)および心拍数(HR)を測定した。また、陸上運動として自転車エルゴメータによる運動を行いVO2maxを求めた。EFEの各STAGE毎の平均の運動強度は1.4~4.1(METS)、KFEでは1.1~4.0(METS)であった。また、HR(X項目)とVO2(Y項目)の回帰直線を求め傾きを比較すると、VO2 maxが40ml/kg/min以上の被検者5名中4名が、陸上運動、KFE、EFEの順に傾きが小さくなるパターンを示した。全被検者でみると、EFEおよびKFEのHRとVO2の関係は類似していた。
  • 峰久 京子, 清水 光芳, 青戸 啓二, 長尾 哲也, 松永 義博
    1993 年 8 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    健常成人20名を対象に表面筋電図を用いてT波潜時および,不意の外力に対する随意運動発現潜時を測定した。随意運動反応波の波形成分を伸張反射の波形と随意運動の波形とに分離することはできなかったが、長経路身長指数(脊髄より高位の長経路)では青年群においても個人差が認められ,高齢群では有意に遅延していた.変形性関節症は加齢と関係が深く,症状の発現,増悪にはneural factorおよび,局所の関節受容器の障害の関与が示唆された。
  • 岩月 宏泰, 篠田 規公雄
    1993 年 8 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    慢性期脳血管障害患者(脳梗塞33例、脳出血30例)における不整脈をHolter心電図を用いて解析した。心室性不整脈の出現率は脳梗塞群26.1%、脳出血群25.0%、対照群10.0%であり、脳血管障害群は対照群より高値を示した。上室性不整脈は脳梗塞群60.9%、脳出血群20.0%、対照群25.0%であり、脳梗塞群と脳出血群間に有意な差を認めた(p<0.0l)。睡眠時と覚醒時における上室性不整脈出現の比較では脳梗塞群92.9%、脳出血群75.0%が覚醒時より睡眠時に増加した。脳血管障害では上室性不整脈の出現が睡眠時に増加したことから、心臓神経、血清電解質、pHなどの因子が日内変動していることを留意し、理学療法を行っていく必要があると考えられる。
  • 石川 敬, 岩月 宏泰, 金井 章, 篠田 規公雄
    1993 年 8 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    脳血管障害患者79名を対象に発症直後の心電図からRR間隔、QT時間を計測し、QTc時間延長の出現頻度を検索した。
    1.脳内出血、脳梗塞、クモ膜下出血のいずれの群でもQTc延長を公頻度で認めた。
    2.脳内出血部位の違いによるQTc延長の出現頻度に差がみられなかった。
    3.RR間隔とQT時間の関係では、脳内出血、脳梗塞、クモ膜下出血のいずれも正の相関を認めた。
    脳血管障害急性期には高頻度で自律神経障害を呈することから、理学療法を行う上で特別な配慮(循環系のリスク管理など)が必要と考えられた。
  • 木村 かおり, 宮下 国子
    1993 年 8 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    健常成人20名に対し、片脚支持訓練を施行したところ、支持脚の安定性が向上した。また、左脚支持訓練によって、右脚支持訓練に比べ立位の重心動揺が減少し、坐位でも動揺が減少する傾向がみられ、支持脚としての左脚の重要性が窺えた。左脚支持訓練によって反対側にも安定が得られる傾向がみられた。立位と坐位の動揺の変化率については相関は得られなかった。
  • 岩月 宏泰, 室賀 辰夫
    1993 年 8 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本稿では上肢の接触板移動運動の軌跡と主動筋の筋活動から筋電図反応時間を計測し合図の頻度、小脳障害と錐体外路系障害の差異および利き手の特性などについて述べた。
    刺激頻度別によるRTの比較では、老年者のPMTが0.2~1.2Hzまで約130msと変化しなかったことから、老年者では一定の運動パターンでしか対応できないことが推測された。全所要時間にRTの占める割合はSCD、PSとも刺激条件に関わらず両群間に差を認めなかったことから、”運動の切り換え”の障害には筋トーヌス異常、相反性同期性障害の関与が大きいことが推測された。今後、運動開始時の筋電図周波数分析から合図に対する予測効果を運動単位の活動様態から運動準備状態を検索する予定である。
  • 柴田 義貴
    1993 年 8 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    医学文献の概要と文献のさがし方について解説した。参考図書は誰にでもさがしやすいような単純な配列で用語をならべ、参照されることを目的とした図書である。参考図書以外の単行書は読み通すことを前提にして、スタンダードな知識を提供するものである。通常、用語の索引がついている。図書館では単行書を一定の分類法にそって配架している。学術雑誌は主にオリジナルな研究とレビューをのせる媒体である。学術雑誌にのった文献をさがすためには索引誌や抄録誌をつかうマニュアル検索と、オンライン検索やCD-ROM検索のような機械検索の方法がある。文献を効率よくさがすためには主題分析と索引、分類概念の理解が前提になる。
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