1. 郡山の金魚池の水表面に発生する
Englenaの膜について, 1957年5月の資料, 及び, 今迄に観察された知見に基いて, この膜の生態を考察した.
2. 膜はその色彩, 及びhaematochromeを持っ
Englena sanguineaと持たぬものとの個体数の比率の両者を考えて, 明らかに3groupsに大別し得る (Table2, 3).即ち膜色よりすれば, Light olive group, Old gold group, Bristre groupの3者であるが, この順に, haematochromeを持つ
Euglenaの個体数の緑色の
Euglenaの個体数に対する, 比の値が大となつている。したがつて, 膜の色も主としてこの比によつて定まるものと考えられる.
3.
Euglena sanguineaが膜を形成する場合ゼラチン質様のcap状の円板を作り, 細胞は, 互に連絡して水面に浮ぶ円板の上に乗ることが解明された (Fig.1) 。これは, JAHNのいうtemporaly cystの1形態と思われる.
4. 日立製作所の干渉フィルター8枚 (Table1) を用いて,
Euglenaの膜の, 各波長光に対する透過率を求めて検討した結果, 之等のcurvesはFig.2のごとく, 膜の色の3groupsと同様のgroupに3大別し得た.
5.
Euglena膜の下の池水のpHと, 同じ池における膜の無い部分の池水のpHとを夫々の池毎に測定した結果, 光の透過率の最も高い, Old goldの膜を有する池水においてのみ, その差が認められず, 他の色の膜を有する池では一様に0.3のpHの差を生じていた.この事実から, Light olive, Bristreの色の膜形成が行われた場合にのみ, 池水中のPhytoplanktonの光合成に抑制作用が働くものと考てられる.
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