陸水学雑誌
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25 巻, 2 号
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  • 上野 益三, 水野 寿彦, 川合 禎次
    1964 年 25 巻 2 号 p. 37-55
    発行日: 1964/06/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    山形県月山南麓志津の小湖,五色沼,中沼ならびに大暮沼の湖盆形態,湖水の陸水学的性質を明らかにした.いずれも深度6mを超えない浅い湖であるが,プランクトンの著しい貧弱さが,その構成種数においても個体数においても指摘される.Bosmina longirostrisと1~2種のCyclopidaeとが主要種で,植物では浮上したアオミドロである.底生動物はイトミミズが優占している.この不調和性の原因は過去5年あまりの間月山鉱業所の廃水が五色沼および中沼に流入したためと思われ,操業休止後の1963年夏になお後遺現象があった.湖水中に溶存している銅は五色沼が<2-≦15μg/l,中沼が≦2-≦20μg/l,亜鉛は前者が≦9-≦85μg/l,後者が≦23-≦45μg/lであつた.この状態は探鉱が再開されない限り徐々に旧態に復するものと思われるが,湖底泥や水草が銅や亜鉛の貯蔵所として,湖水中へそれらのイオンを溶出する可能性がある.
  • 鈴木 静夫
    1964 年 25 巻 2 号 p. 56-62
    発行日: 1964/06/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    志賀高原湖群の湖沼において微生物相の生態学的研究を行ない次のような結果を得た.
    1.糸状菌数は中性湖に多く,酸性湖に少ない.湖底泥の菌類はPenicillium, Pullularia等の2,3の種類が優占する.
    2.細菌数は湖水では中性湖に多く酸性湖に少ないが,湖泥では酸性の腐植栄養湖にやや多い傾向が見られた.
    3.硝酸還元菌,Clostridium,はほとんど全ての湖沼に見られたが,硝化細菌,硫黄酸化細菌,好気性繊維分解細菌は中性湖だけ分布し,酸性の強い湖沼にはほとんど認められない.
    4.微生物の現存量より,志賀高原の湖沼は2群に分けられることが明らかとなつた.
  • 1.河北潟のプランクトンと接合藻(ケイソウとツヅミモ)
    金綱 善恭
    1964 年 25 巻 2 号 p. 63-75
    発行日: 1964/06/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    1958年9月23日に河北潟のプランクトン及び接合藻(ツヅミモ,ケイソウ)について塩素イオンとの関係を分類,生態学的に調査した.
    1.益子及び著者の調査からC1-をみるに,表層水において0.27~8.45g/lと著しく変化し,また,Table 1に示すように向粟崎より西湖岸を北東に進むに従い減少している.これは,風向,風力,汐位等が影響して大野川を海水が逆流することが原因であると考えられる.
    2.出現したプランクトンは,Paracyclopina nana, Pseudodiaptomus inopinusを有力種とする橈脚類3種,輪虫類2種,藍藻類1種,ケイソウ16種であつた.水草に着生しているケイソウはAchnanthes brevipes, A. brevipes var,intermedia, Coscinodiscus lacustrisを有力種とする35種と,ツヅミモ1種,湖底表層中のケイソウ殼は,C. lacustrisを有力種とする30種であつた.
    3.本汽水湖における採集標本中,鹹水域において普通にみられるものは橈脚類のParacyclopina nana, Pseudodiaptomus inopinus, Sinocalasaus tenellus,輪虫類のKeratella valga,ケイソウはAchnanthes brevipes, A. brevipes var. intermedia,Coscinodiscus lacustrisを有力種とする21種が認められた.特に,Achnanthes brevipes, A. brevipes var. intermedia, Coscinodiscus lacustrisの3種が水草に着生している状態は特徴的で,河北潟から大野川となつて流出する付近と,大根布より北東部水域とでは分布の状態が非常に異なつていた.(Table3,.Fig.2).
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