1) 北海道南部の日本海側にある千走川で, 12月13日から15日までの間, 冬期間のヤマメの生態について調査を行なった.
2) この水系においては, 湧水を水源とする冬期間水温の比較的高い支流 (冷水の沢) に比較的多くのヤマメが集まつて越冬していることがわかつた.
3) 胃内容を調べた結果, 0年魚は主として蜉蝣目, 毛翅目, 積翅目, 双翅目を, 1年魚は蜉蝣目, 積翅目の水生昆虫を食べていた.
4) 1年魚は0年魚より摂食率が低く, また空胃の個体が多かつた.したがつて, 摂食活動は1年魚より0年魚の方が活溌であるとみなされ, 年令による冬期の生態の違いが推測された.
5) 1年魚は体の損傷が目立ち, 体全体が黒ずんでいて肥満度も夏期に比べて著しく低かつた.これに対し0年魚では体の損傷はみられず, 体色も鮮明で肥満度の低下も1年魚ほど著しくなく, 1年魚と異なつていた.また銀毛ヤマメ (降海型) への変態はまだ見られなかつた.
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