この報文は,1990年8月28日横浜市で開催された国際生態学会のシンポジウム"生物圏・大気圏の炭素・窒素循環"で発表された論文を表題の線に沿ってまとめたものである。先ず大気降下窒素化合物の生態系への供給や炭酸ガス・メタン・窒素ガス・亜酸化窒素ガスの生態系からの発生についての一般的な知見と考察を人間活動,特に化石燃料の消費や作物生産の増大に関連させて論じた。すなわち大気中のCO
2の増加はC-O-Fe-Sサイクルと大気の間の短絡に起因し,メタン・亜酸化窒素の増大は有機物の増産に起因している。
生態系各論においてはいつくかの代表的な場(ヒースランド,水稲根圏,ツンドラとタイガ,湖,熱帯ダム湖,河口と沿岸域)および地球規模のN
2Oに関する大気・生態系相互作用に関する最近の成果をまとめ,いくつかの場については模式図を提示した。
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