陸水学雑誌
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52 巻, 4 号
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  • 加藤 和弘
    1991 年 52 巻 4 号 p. 229-239
    発行日: 1991/10/24
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    部分的に水質汚濁が進行している河川ではどのような環境要因が付着珪藻群集に対して重要な影響を及ぼすか,及び,個々の種と環境要因との間にどのような関係があるかを,東京都の浅川において調査した。主成分分析,個人差多次元尺度構成法及び直接傾度分析により,得られたデータを解析したところ,水質汚濁,水温,付着基物の影響が検出できた。浅川においては,水質汚濁が珪藻群集の種組成に最も大きな影響を与える環境要因となっており,付着基物の差による影響はきわめて小さいものであった。また,付着基物は直接に珪藻群集に影響を与えるほか,周囲の水質や温度に差を生じさせることにより群集に影響を与えるという間接的な影響が存在するらしいことが示唆された。
  • 海老瀬 潜一
    1991 年 52 巻 4 号 p. 241-253
    発行日: 1991/10/24
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    河川上流部の山地流域は自然状態での降水から陸水への水質変換の場として重要である。勾配の急な山地の3小河川における降雨時流出負荷量の変化特性を把握するために,降雨時流出の多くの観測,晴天時の高流量時の定期的な観測および降水負荷量の年間観測を行った。2つの山地河川の晴天時高流量時の定期観測結果による年間比流出負荷量への換算値は降水負荷量の約2倍の大きさとなった。その定期調査の流量荷重平均濃度が算術平均濃度より大きく,このことから高流量時の高濃度したがって高負荷量になることが明らかとなった。降雨時流出における流出負荷量の流量に対する回帰式,ΣLgross/A=b・(ΣLgross/A)m,を3河川のそれぞれについて,懸濁態と溶存態の両成分およびそのトータル等に関して13~14の降雨時流出観測結果から求めた。その回帰式の指数mは3河川のNO3-N,NO2-N,PO4-PおよびKについて1.0より大きくなった。これらの解析結果は,降雨時流出期間の高負荷量という流出特性を示すものである。
  • 大久保 紀男, 矢木 修身, 岡田 光生
    1991 年 52 巻 4 号 p. 255-261
    発行日: 1991/10/24
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    霞ヶ浦に出現したMicrocystis属4種の現存量の変化ならびに,霞ヶ浦の水の華より単藻化したM.viridis N-1株および国立環境研究所保存菌株であるM.viridisNIES102株を用いて増殖に及ぼす温度と照度の影響を調べ,霞ヶ浦におけるM.viridisの発生要因について検討を加えた。
    1988年の霞ヶ浦土浦港では,M. aeruginosa f.aeruginosaとM. aeruginosa f. flos-aquaeが夏に優占種となり,M. viridisは秋に優占種となる傾向が認められた。M. aeruginosa f.aeruginosaおよびM. aeruginosa f. flos-aquaeの現存量は水温と高い相関を示したが,M. viridisおよびM. wesenbergiiの現存量と水温との間に相関は認められなかった。
    M. viridasN-1は25℃で最大の比増殖速度(μ)を示し,15℃でも増殖が可能であった。またM.viridis NIES 102は25~30℃で最大のμを示した。M. viridis N―1株は他のMicrocystis属よりも低温で増殖が可能な株と考えられ,夏期には優占種になりにくいものと考えられた。
  • 和田 英太郎, John A. LEE, 木村 真人, 小池 勲夫, William S. REEBURGH, Jose G. TUNDIS ...
    1991 年 52 巻 4 号 p. 263-281
    発行日: 1991/10/24
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    この報文は,1990年8月28日横浜市で開催された国際生態学会のシンポジウム"生物圏・大気圏の炭素・窒素循環"で発表された論文を表題の線に沿ってまとめたものである。先ず大気降下窒素化合物の生態系への供給や炭酸ガス・メタン・窒素ガス・亜酸化窒素ガスの生態系からの発生についての一般的な知見と考察を人間活動,特に化石燃料の消費や作物生産の増大に関連させて論じた。すなわち大気中のCO2の増加はC-O-Fe-Sサイクルと大気の間の短絡に起因し,メタン・亜酸化窒素の増大は有機物の増産に起因している。
    生態系各論においてはいつくかの代表的な場(ヒースランド,水稲根圏,ツンドラとタイガ,湖,熱帯ダム湖,河口と沿岸域)および地球規模のN2Oに関する大気・生態系相互作用に関する最近の成果をまとめ,いくつかの場については模式図を提示した。
  • 1991 年 52 巻 4 号 p. 283-292
    発行日: 1991/10/24
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
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