陸水学雑誌
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66 巻, 1 号
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  • 齋藤 光代, 小野寺 真一, 竹井 務
    2005 年 66 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2005/04/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    本研究では,硝酸性窒素(NO3--N)の陸域から海洋への流出過程を明らかにするため,沿岸扇状地の果樹園の広く分布する小流域において,洪水流出時を含めた河川の上流から下流へのNO3--N負荷量の変動を確認するとともに,地下水としてのNO3--N流出量の見積もりを行った。その結果,以下のことが明らかになった。1)平水時には,河川の中流から下流に向かって河川流量が減少し,それにともないNO3--N負荷量も減少した。2)総雨量11mmの降雨イベント時には,河川流量の増加にともないNO3--N負荷量が増加し,流量のピーク時には平水時の約16倍に達した。また,イベント全体を通しては,河川からのNO3--N流出量が,平水時約4日分の量に相当した。3)地下水のNO3--N濃度は中流域で20mgL-1を上回る高濃度を示したが,最下流域では2.0mgL-1以下に減少した。その結果,地下水としての海洋へのNO3--N流出量は,施肥としての年間窒素インプット量の約2.4%程度であると推定された。また,下流域におけるNO3--Nの消失は脱窒反応によるものである可能性が示唆された。
  • チェックリストおよび学名についてのノート
    石綿 進一, 竹門 康弘
    2005 年 66 巻 1 号 p. 11-35
    発行日: 2005/04/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    日本産カゲロウ目における和名の普及と安定をはかることの意義について論じるとともに,日本産カゲロウ目の命名法的地位について概括した。各論では,日本産カゲロウ目全13科39属142種の和名を整理し,今後の標準和名として利用するためのリストを提唱した。さらに, Ishiwata(2001)のチェックリスト以後に公表された属名,種名などの変更や訂正についても,本稿に反映させ,日本産カゲロウ目のチェックリストとしても最新のものとした。
  • 峯 孝樹, 小野寺 真一, 齋藤 光代
    2005 年 66 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2005/04/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    川には脱窒作用や植物による吸収など,窒素に関する自然浄化機能が備わっており,これらのメカニズムは研究されてきた。しかし,河川中の状態が平水時とは大きく異なる降雨時において,これらの浄化機能がどのように変化するかは明らかにされていない。そこで本研究ではこれらの事を明らかにするため,広島県東広島市を流下する黒瀬川において,降雨時における河川流量と溶存窒素フラックスの変動に着目した。水源より17km下流に位置する地点にて,降雨時に自動採水機をもちいて2日寺間ごとに河川水を採取し,同時に水位計を用いて河川の水位を自動測定した。採取した河川水は溶存窒素(DN),NO3--N,NO2--N,NH4+-Nについて定量分析し,得られた水位データより河川流量を算出した。結果として,DNフラックスが流量の増加に伴い減少する傾向にあり,その減少にNO3--Nが大きく寄与していた。このことは観測地点より上流側からの窒素流出過程に,流量の増加が影響を与えていることを示唆している。
  • 尾駮沼に生息するウネナシトマヤガイに関する種の再確認
    近藤 邦男, 植田 真司, 山口 啓子, 初見 眞知子, 河野 正剛, 小林 大輔, 築地 由貴, 稲葉 次郎, 大桃 洋一郎
    2005 年 66 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 2005/04/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    青森県の汽水湖尾駮沼に生息するウネナシトマヤガイと考えられている種と中海に生息しているウネナシトマヤガイを比較すると,成貝の最大個体サイズが大きく異なると共に,殻の殻幅/殻長比や表面の模様などの形態的特徴にも相違がみとめられる。
    尾駮沼に生息する種と中海に生息する種の遺伝的変異が同一種の範囲内にあるか,否かの確認をアイソザイム多型分析により,遺伝子分化の観点から検討した。尾駮沼個体群および中海個体群からAAT,ACP,CK,FDH,FUM,αGPD,IDH,LAP,MDH,ME,PGMおよびSODの12種のマーカー酵素を検出し,対立遺伝子頻度,平均ヘテロ接合率(H),遺伝的類似度(1)および遺伝的距離(D)を求めた。
    両個体群における遺伝的分化の程度を判定した結果,両個体群はそれぞれ独自の遺伝子プールを持っているものの,種が異なるほどの遺伝的分化は認められず,両湖沼に生息するウネナシトマヤガイは同種の範囲内にあると判断された。
  • 村上 利之
    2005 年 66 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2005/04/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    傾斜地に展開する棚田は,従来の田越し灌漑によって独特な水循環系を形成している。灌漑用水量と消費量を明らかにするため,長野県千曲市姨捨棚田において水収支測定を行った。実測圃場の水位は,上流からの水を掛け流しするために比較的高く維持されている。無降雨日における水収支解析では,流入量が他の項目を支配する最も重要な要因であることが明らかになった。上位の圃場は浸透によって水を消費するが,最下位の圃場では上位の圃場の畦畔浸透を通して水を得ているために,巨視的な水収支解析の結果として,この地区の浸透量は比較的少なかった。圃場間の浸透と浸透流入の相互作用から,棚田は独特の水循環系を作り出している。
  • 2005 年 66 巻 1 号 p. 76
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
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