霞ヶ浦流域では,福島第一原子力発電所の事故によって一部の地域に高濃度の放射性セシウム(
134Csおよび
137Cs)が沈着した。本研究では
134+137Csの沈着量が異なる河川で河床堆積物を採取し,シルト・粘土,砂,礫に分画して,
134+137Cs濃度を比較した。同地点での
134+137Csをシルト・粘土,砂,礫で比較すると,シルト・粘土の分画が全地点において最も高い値を示し,
137Cs濃度は比表面積が大きいほど高くなるという既報の見解と一致した。しかし砂と礫の分画で比較した場合,砂よりも礫の方が高かった地点もあり,比表面積だけで堆積物中の
134+137Cs濃度を説明できない例もあった。シルト・粘土の分画での濃度は,砂の分画での濃度より1.4~4.0倍高かった。全粒径でみた河床堆積物の
134+137Csは,サンプリング地点よりも上流の平均沈着量と正の相関が確認された。このことから河床堆積物中の
134+137Cs濃度は,流域の
134+137Csの沈着量と対応していると推定された。
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