陸水学雑誌
Online ISSN : 1882-4897
Print ISSN : 0021-5104
ISSN-L : 0021-5104
74 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著
  • 冨永 敦, 半澤 浩美, 野内 孝則, 荒山 和則
    2013 年 74 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/27
    ジャーナル フリー
     霞ヶ浦の魚類と甲殻類の現存量が漁獲量と同調して減少しているかを検証するため,1986~2005年に霞ヶ浦の北岸と南岸で行われた定置網調査のデータを解析した。その結果,解析対象の魚類38種と甲殻類2種の調査1回あたりの平均入網総重量は北岸,南岸ともに増加し,また,入網1個体あたりの平均体重も増加していた。各種の平均入網重量の経年変化は種によって動向が異なっており,北岸でいえば,アユやニゴイ,コイ,フナ類,チャネルキャットフィッシュなど11種では増加し,ワカサギやクルメサヨリ,ヌマチチブなどハゼ科魚類4種は減少していた。以上のことから魚類と甲殻類の現存量は,漁獲量とは異なり20年間で増加傾向にあることが強く示唆され,現存量を把握するためには漁獲統計に基づかないモニタリング調査が必要といえた。また,この現存量の増加は小型魚の増加によるものではなく,中・大型魚の増加によるものと考えられた。
資料
  • 臼井 靖浩, 粕渕 辰昭
    2013 年 74 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/27
    ジャーナル フリー
     水田湛水層におけるCO2,溶存酸素(以下,DO),pHおよびRpHは,日射量の変動に関連して変動していることが確認された。変動している各要素の相互関係についての報告はされていないことから,これらの変動を3つに分け解析することとした。
     フェーズIでは,日射量の増加とともに,CO2は減少し,DOおよびpHは増加した。 CO2とDOの値,および CO2の対数値とpHとは,ともに線形関係を示した。フェーズIIでは,日射量があるにも関わらず,湛水層における CO2は,ほとんどゼロを示した。DOおよびpHはピークに達した後,徐々に減少した。フェーズIIIでは,日射量の減少とともに CO2は増加し,DOおよびpHは減少した。
     CO2とDOとの間には,直線的な部分と曲線的な部分からなる関係が,log[CO2]とpHとの間には,部分的に直線形でその傾きは同程度であり,それぞれにヒステリシスの関係が見られた。
     水田湛水層におけるこれらの現象は,化学的な変化のみでは説明することが困難であった。その要因として,湛水層に生息するシアノバクテリアや藻類の活動が水質に影響を及ぼしていることが考えられた。今後,ヒステリシスの関係を生じさせる原因を明らかにするために,水田湛水層に生息するシアノバクテリアや藻類の物理現象への役割について,より詳細に明らかにしていくことが課題である。
  • 奥村 康昭, 遠藤 修一, 石川 俊之
    2013 年 74 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/27
    ジャーナル フリー
     多項目水質プロファイラーを使用して,びわ湖を南部から北部へ縦断する測線に沿った水質調査を1996年から続けている。北小松沖の定点における水温,濁度,クロロフィル量と透明度のデータを使って,水質の変化傾向を調べた。水温のデータには特に温暖化の傾向は見られなかった。濁度とクロロフィル量は漸減傾向であり,透明度は高くなっていることが分かった。びわ湖の水質は改善傾向にあるといえる。
feedback
Top