陸水学雑誌
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短報
  • 村上 哲生, 久野 良治, 岡田 真衣, 上野 薫, 南 基泰
    2019 年 80 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2020/02/15
    ジャーナル フリー

     飛騨山脈の高山域に分布する池溏の形状,水質,生物について報告する。高山の池溏は特異な陸水環境であり,また近年は気温や降雪の経年変化の監視のための適地として注目されているものの,この地域の池溏群については半世紀来,調査活動が行われていない。このような山地の池溏群は,細かく畦で区分された田圃と形状が似ているため,「田」,「餓鬼田」と呼ばれてきた。池溏はその形態と位置により二つの型に区別できる。急斜面にある不規則な形の池溏と,平地か緩斜面にある孤立した丸い形の池溏である。二つの型の池溏とも雪融け水により涵養されるものであるが,前者は一時的な水の流れに沿って斜面が侵食され不規則な形となり,後者の孤立した型は風により岸を均等に侵食し円形の湖盆を成したものである。
     調査した6箇所の池溏の水のpHは池溏の大きさや形状の違いには関係なく4.5前後であったが,この値は50年前の観測値と比べると0.7程低くなっている。恐らく近年の酸性化した降水による変化であろう。水中に植生が見られない池溏では堆積した泥の酸素消費により,真昼の時間帯になっても酸素濃度は不飽和のままであった。一方,ミズゴケが水中に進入している池溏では,真昼に酸素過飽和が観測された。ミズゴケの酸素生産速度は温度に依存する。現地の17℃の水温では生産速度は0.26±0.13 mgO2 wet g-1 h-1 と推定されたが,27℃ では0.72±0.29 mgO2 wet g-1 h-1 に増加した。
     調査した池溏の底泥では糸状の黄緑色藻綱のTribonema affinisと好酸性の珪藻綱,例えばFrustulia rhomboidesPinnularia spp. が優占していた。

資料
  • 芳賀 裕樹, 酒井 陽一郎, 石川 可奈子
    2019 年 80 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2020/02/15
    ジャーナル フリー

     琵琶湖南湖で2017年9月に沈水植物の現存量(乾燥重量)の平面分布をSCUBAサンプリングにより調査した。沈水植物は52地点中40地点に出現した。南湖における全沈水植物の単位面積あたり平均現存量は54 g dry wt. m-2だった。これらの結果から,沈水植物の分布範囲の面積と現存量はそれぞれ39.7 km2,2761 tと推定された。沈水植物は13種が出現した。1地点あたりの平均出現種数と標準偏差は4.5±3.0だった。優占したのはクロモ Hydrilla verticillata とコカナダモ Elodea nuttallii で,それぞれの現存量は777 tと776 tだった。以下,センニンモ Potamogeton maackianus (556 t),オオカナダモ Egeria densa (283 t),ホザキノフサモ Myriophyllum spicatum (257 t)の順で続いた。他の沈水植物の現存量はすべて100 t未満だった。特徴的なこととして糸状藻類の現存量が大きいことが挙げられる。糸状藻類の現存量は1161 tであり,この値は,沈水植物全体の現存量の約4割に相当した。

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