日本臨床外科医学会雑誌
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41 巻, 1 号
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  • 四方 淳一
    1980 年 41 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 池田 恵一
    1980 年 41 巻 1 号 p. 6-8
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 宮崎 逸夫
    1980 年 41 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 倉本 進賢
    1980 年 41 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 胃癌術前照射を中心として
    牧野 惟義, 佐藤 茂範
    1980 年 41 巻 1 号 p. 17-29
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    放射線療法に際し生ずる白血球,とくにリンパ球を中心とする血液細胞系の障害は古くから知られていた現象である.リンパ球がT細胞とB細胞のsubpopulationに分類され,しかもT細胞が生体において細胞性免疫を司ることが認められている今日, T細胞の検索は患者の免疫動態を知るうえで重要な手段となる.
    そこで著者は放射線療法における細胞性免疫能の動向を知る目的で照射患者の末梢血のT細胞を,照射前,照射中及び照射後6カ月まで経時的に測定した.
    検査対象は東京医大霞ケ浦病病で60Co照射を施行した胃癌20例,乳癌15例,大腸癌9例をはじめとする69例の悪性疾患である.
    1回照射線量は原則として200radとし, 5~6日/週の連日照射を行った.総線量は2,000radから10,000radにわたった.
    T細胞測定はマイクロテストプレート法を用い,照射前1回,照射中は1,000rad毎,照射後6週までは各週,以後6カ月まで毎月1回行った.
    結果: (1) T細胞の減少は3,000radまで著明な減少をみせたがそれ以上の量になると減少は穏やかとなった. (2) T細胞の減少は頭頚部照射例で軽微であり,胸腹部照射で顕著だった.したがって照射部位はT細胞減少に大きな関連をもつと思われた. (3) 照射野の広さからみると,細胞は広範囲の照射野のもので著明に減少した. (4) T細胞の回復は照射線量の少ない程早期にみられ, 7,000rad以上では6カ月以内に回復しなかった. (5) 胃癌では切除例に比べ非切除例のT細胞の回復は明らかな差で不良であった. (6) T細胞の変動を,上昇型, U-型,平坦型,下降句の4型にわけそれぞれの予後を検討すると明らかな差異を認めた.
  • 吉野 肇一, 中村 修三, 春山 克郎, 磯部 潔, 熊井 浩一郎, 石引 久彌
    1980 年 41 巻 1 号 p. 30-39
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    十二指腸潰瘍に対するSPVの成績向上のために,従来の術式に以下のごとき改良を加えた.まず減酸率の向上のために迷切の範囲を拡大した(SPV-Mark II).すなわち,右胃大網動・静脈の胃下方1/3付近での切離,迷走神経幽門洞枝の最口側枝の切離,胃穹窿部の完全遊離と短胃動脈最頭側枝の切離,腹部食道の5cm以上の完全な遊離,噴門背側の左胃膵靱帯の切離と噴門部の完全な遊離などである.補修操作として,術後食道裂孔ヘルニアなどの予防のために胃小弯剥離部の再腹膜化とanterior hemifundoplicationを14例に行った. drainageは可及的に行わない方針であるが,用指ブジーにしても1横指幅が得られない場合には,術後の変形の少ないpartialまたはtotal pylorobulbectomyを13例に行った.
    SPV-Mark IIを26例の十二指腸潰瘍患者(うち5例は急性穿孔例)に施行した.減酸率はBAOで平均91.8%, insulin PAOで84.0%と満足すべき成績が得られた.したがって本術式は,ほとんど全ての十二指腸潰瘍に適応出来るものと思われた.
    迷切範囲の拡大に伴い,手術時間,出血量,術後入院日数のいずれの点においても,待期的手術では従来のSPVよりも,また急性穿孔例では従来の広胃切よりも不良であった.しかし症例を重ねることによって,上記の3点は改善されつつある.
    術後の合併症として2例(7.7%)にアカラジア様症状を, 4例(15.4%)に食道裂孔ヘルニアを認めた.両者は特に関係はなく,また後者のうち3例はhemifundoplicationを施行しなかった例であった.丁寧なhemifundoplicationは食道裂孔ヘルニアの予防に有効と思われた.
    以上のごとき拡大迷切と補修操作は,手術的に習熟すれば,十二指腸潰瘍の手術として,きわめて有意義な術式と思われた.
  • 三輪 恕昭, 折田 薫三
    1980 年 41 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    胃癌130例に,手術,化学療法に加えて, levamisole (LMS)を150mg/日,連続3日間投与,後11日休薬(3投11休)を1カ月以上継続し, 2年までの生存率と副作用について検討し,以下の結果を得た.
    (1) LMSの生存率上昇効果はStage I, IIになく, Stage IIIでは術後経過とともにみられるようになり, 2年後には有意差を示すに至った(p<0.05).しかし, Stage IVでは, 13カ月後を頂点とし(p<0.02), 18カ月後までLMSの効果がみられたが(p<0.05),その後は効果が消失した(p<0.5).手術可能度別にみると, Stage III, IVで治癒切除例においてのみLMSの生存率上昇効果がみられたが(p<0.01),非治癒切除例(p<0.1),非切除例では効果がみられなかった. Stage IVに限り,主腫瘍摘出の有無によりLMSの効果をみたが, LMSは主腫瘍摘出例に有効と思えた. (2) LMSの副作用は投与161例中44例(27.3%)にみられ,消化器症状,中枢神経症状の順に多かった.有副作用例の愁訴数は1.9で,副作用発生時期は投与開始6~12カ月後が最高であった.副作用激しく,投薬中止に至った例は中枢神経症状有するものに多く,全投与例中8.7%,有副作用例中31.8%であった.これら副作用は投薬中止で速やかに消失した.
    LMSは腫瘍が完全に摘出された進行胃癌に最も高い生存率上昇効果をもたらし,副作用少なく長期投与が可能であった.
  • 佐藤 裕一, 高田 忠敬, 金山 成保, 宮崎 典子, 中村 光司, 羽生 富士夫
    1980 年 41 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    肝内結石の治療上大きな問題となる遺残結石を中心に,遠隔成績,肝機能に及ぼす影響を検討し,肝内結石症の治療について考察を加えた.対象は東京女子医科大学消化器病センターにおいて,過去10年間に行われた肝内結石症87例で,これを胆道狭窄の部位を基準とし, I型,肝内・外胆管に狭窄がなく胆管の拡張が軽度なもの12例,II型,乳頭部または下部胆管に狭窄があり,かつ胆管拡張が著しいもの40例, III型,肝内胆管に狭窄があるもの15例, IV型,肝内胆管枝(偏在性)に狭窄があるもの16例, V型,両側の肝内胆管枝に多発する狭窄を有するもの4例に分類し,術後遺残結石率,遠隔成績からみた結石除去の役割,結石遺残の影響について検討した.更に,結石遺残が肝機能からみて予後にどのような影響を与えるかを検討し,病型別に適切な術式の選択について再検討した.術直後の結石遺残率はI型25%, II型23%, III型53%, IV型50%, V型で100%である.術後6カ月の結石遺残率はI, II型では0%, III型では15%, IV型19%, V型は100%である.肝機能は,術直後結石完全除去例,術後3カ月以内結石除去例,術後6カ月以内結石除去例,術後6カ月以上経過結石非除去例の4群に分け検討した.肝機能の改善は結石除去の時期が早い程顕著であり,肝機能の面からも結石の遺残は好ましくないと言える.術式についてみると, I型に対しては,胆管外瘻術, II型, III型には,狭窄部の解放術と胆汁誘導付加手術, IV型には,胆汁誘導付加手術では不十分であり,術後胆道鏡の効果も少ない.このような症例には,病根を絶つ意味でも肝葉切除術を行なうべきものと考える. V型に対しては,いまだ定型的術式を持っていない.
  • 篠崎 登, 児玉 東策, 細谷 哲男, 綿貫 哲, 河西 信勝
    1980 年 41 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    甲状腺機能亢進症の外科的治療法は,近年その安全性と手技の向上に伴ない,治療成績も良好となってきた.しかし,中には術後再発・術後機能低下を示す症例がある.この問題は,手術時の甲状腺残存率や残存量についての確立した見解がなく,各施設・各術者の経験によって異っているためである.更には,甲状腺機能亢進症患者の甲状腺におけるリンパ球の浸潤度や免疫学的な因子も考慮して手術していかなければならないと思われる.
    今回われわれは, 1975年1月~1977年12月までの3年間に,当科において治療した甲状腺機能亢進症の手術治療例44例について,当科における診断と治療の指針を述べるとともに,手術時の甲状腺残存率・残存量と術後機能成績との関係を中心に検討した.
    その結果,甲状腺残存率では,甲状腺総重量が50g以上では約8 (6~10)%・50~30gでは約15 (10~20)%・30g以下では約25%前後残存させると良いと思われた.さらに30g以下の小さな甲状腺については,手術適応の再検討を要すように思われた.
  • 浅井 康文, 千葉 廸夫, 北野 一郎, 安倍 十三夫, 田中 信行, 小松 作蔵
    1980 年 41 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    教室では過去20年間に30症例の収縮性心膜炎に対する外科治療を行なってきた.
    男女比は9:1で男性に多かった.到達方法は,胸骨正中切開21例(70%),左前側方切開4例(13%),左後側方切開3例(10%),教室で開発した「ドア式」開胸法2例(7%)となっている.
    教室で施行している手術方法で特徴的なことの1つには,最近の14症例は,呼吸機能温存の為にすべて胸骨正中切開で到達していることで,第2点は重症心不全例や心膜石灰化が高度かつ広範囲で十分な心膜剥離が困難と予想される場合は,人工心肺装置をStand-byして手術を行なっていることである.実際2症例に対して体外循環を行ない,満足すべき結果を得ている.
    死亡は5例で,そのうち3例は人工心肺の十分に発達していなかった初期の例で出血により死亡,他は蛋白漏出性胃腸症例と僧帽弁置換後の症例でいずれも心不全で死亡した.
    教室での代表的5症例を呈示し,あわせて2~3の考案を行なった.
  • 大田 憲一, 桑島 輝夫, 渡辺 英生, 生野 文彦
    1980 年 41 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    36歳の男性で, Behçét病に合併した腹部大動脈破裂にてKnitted dacron bifurcation graftによる血行再建術後1年10カ月経過してaortoenteric fistulaが発生した1症例を経験した.本症例は両下肢疼痛と著明な貧血を主訴としたが,消化管出血部位診断が術前に得られず,大量下血後の術中内視鏡検査で出血部位を確認することができた.本症例ではgraftが直接十二指腸を侵蝕して発生したものと推定され,むしろ, graft enteric fistulaと称すべきものであった.graft周囲の著明な瘢痕性癒着のためgraftの置換が不可能であった.よって,瘻孔を含む十二指腸部を切除して上腸間膜動静脈の前方で端々吻合にて腸管の再建を行い救命することができた.
    Aortoenteric fistulaは腹部大動脈瘤あるいは腹部大動脈疾患術後に発生する稀れな合併症の1つである.しかし,本症は消化管出血を主症状とするが,消化管出血をきたす疾患ないし病態としては非常に稀れであるためにその診断と治療の時期を失する可能性がある.したがって,本症の診断には特に腹部大動脈疾患手術後に消化管出血を認めたならば,先ず, aortoenteric fistulaの発生を念頭におくことが最も重要であると強調するとともに本症に対する治療,予防等に関して文献的考察を加えた.
  • 奥山 正治, 吉田 宗紀, 阿曽 弘一
    1980 年 41 巻 1 号 p. 72-78
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    膠原病のほとんどが極めて難治な疾患で複雑な臨床像を呈するものである.膠原病のうちで最も消化管病変の多くみられるのは強皮症であり,その消化管病変のうちで食道が最も高頻度に異常が認められる.この食道狭窄による嚥下困難に対して,原疾患には姑息的であるとはいえ,何らかの外科的治療を行なうことが,ときに必要となる.いろいろな多くの合併疾患を有する本症に対して,この外科的治療を最も安全に,最も効果的に行なうには,如何なる方法がよいか議論があろう.
    我々は,最近本症の食道狭窄に対し,秋山らが行なった非開胸による食道抜去ののち,胸骨後に胃を挙上し食道再建手術を行ない良好な結果をえた1例を経験した.そこで,本症の食道狭窄に対し,これまでに如何なる手術方法が何例に行なわれ,その結果は如何であったかについて,文献的考察を加えて報告する.
  • 松本 高, 村上 穆, 俣野 一郎, 柴崎 信悟, 渡辺 晃, 渡部 三喜, 大久保 照義
    1980 年 41 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    Barrett食道の成因に関しては,未だ定説がなく先天性,後天性の2説がある.しかし現在では慢性の酸・ペプシン作用に対する食道粘膜の適応性変化の結果として,下部食道に円柱上皮が出現するものと考えられている.症例は70歳男子,嚥下障害を主訴として入院したが,内視鏡検査にて下部食道に狭窄と食道炎を認め,潰瘍形成もみられた.更にレ線検査の結果,横隔膜裂孔ヘルニアの併存も認められた.潰瘍周辺粘膜の生検で円柱上皮を確認できたので,後天的成因によるBarrett食道と診断した. Barrett食道の悪性化に関する文献的報告もみられるが,著者等は本症例に対し,新しい術式として我々が考案した非開胸食道内翻抜去法-即ち食道ストリッピング法を試み,胸骨後頚部食道-胃管吻合による一期的食道再建術を施行した.切除標本の肉眼的所見では,食道・胃接合部より口側6cmにわたる食道粘膜は,発赤著るしく,その中央より僅かに口側寄りに1.5×1.0cm大のU1-IVの潰瘍を認め,更に口側の食道は強い狭窄を呈していた.組織学的には発赤部位の粘膜は円柱上皮でおおわれ,潰瘍辺縁粘膜に悪性像は認められなかった.術後3年を経過した今日も健在である.
    欧米におけるBarrett食道の報告例は多いが本邦に於ては稀な疾患であり,本症例は20例目と思われる.
    Barrett食道の文献的考察に加えて,特に良性食道狭窄例に対する食道ストリッピング法の有用性を述べた.
  • とくにヘルニア門と肝鎌状靱帯との関係について
    山田 公雄, 水口 嘉治, 須田 厚, 馬場 秀文, 臼田 正敏, 物部 長暢, 監物 久夫, 川原 英之, 加藤木 利行
    1980 年 41 巻 1 号 p. 85-95
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    Morgagni孔(胸骨後裂孔)は横隔膜の胸骨部筋束の左右両側に1対として存在する生理的脆弱部位であり, Morgagniが1761年にこの部のヘルニアについてのべたことから,この裂孔を通って腹腔内臓器が胸腔内あるいは縦隔内に脱出または嵌入するものをMorgagni孔ヘルニアと呼ぶようになった.一方,後年Larreyが腹腔より心嚢に到達する経路として左胸骨後裂孔をあげたことから,左側裂孔のみをとくにLarrey孔とよんでMorgagni孔と区別し,さらには左側に生じたヘルニアをもLarrey孔ヘルニアとよぶ報告がみられるようになった.しかし, Morgagniがこの裂孔について,さらにはこの部のヘルニアについてはじめて記載した歴史的背景から,この部のヘルニアは左右の別なくMorgagni孔ヘルニアと呼ばれるべきであるとする意見が内外ともに多いが,依然としてLarrey孔ヘルニアの名称も用いられている.
    われわれはわが国において過去53年間に自験例2例を含めて122例のMorgagni孔ヘルニアを集計し,内外文献をもとに検討したが,とくに腹腔側においてMorgagniに隣接する肝鎌状靱帯がしばしばMorgagni孔ヘルニアのヘルニア嚢に関与する事実に注目し,ヘルニア門(Morgagni孔)と肝鎌状靱帯の位置関係をもとにMorgagni孔ヘルニアを3型に分類して考察を加えた.この結果,実地臨床上Morgagni孔ヘルニアにおいてはその左右が必ずしも容易に区別しえない場合がありうることを推察するにいたった.このことをもとに,従来一部で用いられている左右を区別した人名呼称の不合理性を強調したい.
  • 本邦成人466例の文献的考察
    田所 陽興, 山口 宗之, 小沢 博樹, 寺嶋 剛, 鈴木 孝雄, 竹内 節夫, 粟津 三郎, 佐藤 克之
    1980 年 41 巻 1 号 p. 96-103
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    先天性胆道拡張症は比較的稀な疾患であるが,しかし我国では世界の報告の2/3以上を占め,たびたび遭遇する疾患である.本症は胆管膵管合流異常を伴うことが多く,また総胆管拡張部に癌発生することがあり,最近注目されるようになった.本稿は我々が最近経験した胆管膵管合流異常を伴った1成人例の報告に,最近13年間(1966年から1978年)の本邦文献報告1,108例のうち,成人(16歳以上) 466例について考察を加えた.
    本症の成人例466例,小児例(15歳以下) 642例あり,成人例は全体の42%であった.また成人例の男女比は1:2.7で,女性に多い.本邦の拡張部癌発生はすべて成人例であり46例の報告があった.また本症の成因として重要であると言われている胆管膵管合流異常の報告は最近多くなり, 50例に認められた.
    本症の治療には絶対的に手術を必要とし,保存的療法では予後は極めて悪い.手術々式は上行性胆管炎,拡張部内結石および拡張部癌発生の予防のため拡張総胆管の切除はぜひ必要であると考える.そして胆道再建は術後上行性胆管炎の起りにくい術式である肝管空腸吻合術, Roux-Y吻合術が最良と考える.
  • 十二指腸を除く自験12例の検討
    下山 孝俊, 北里 精司, 大石 信美, 高木 敏彦, 野川 辰彦, 橋本 茂廣, 藤井 良介, 畦倉 薫, 橋本 芳徳, 石川 喜久, 小 ...
    1980 年 41 巻 1 号 p. 104-111
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    我々は1966年以降に十二指腸を除いた原発性小腸腫瘍を12例経験したので,これらの臨床像ならびに病理組織学的検討を加えて報告するとともに,小腸腫瘍の臨床病態,診断などについて考察を加えた.対象症例は良性腫瘍5例(平滑筋腫2,脂肪腫2,血管腫1),悪性腫瘍7例(癌腫2,悪性リンパ腫5)の計12例である.発生部位は良性5例中4例と癌腫2例が空腸で,悪性リンパ腫と脂肪腫1例が回腸終末部であった.病悩期間は比較的短かく,入院時症状では,脂肪腫は腸重積,筋腫と血管腫は大量下血或は急性腹症,癌腫はイレウス,悪性リンパ腫は貧血,腫瘤触知,イレウス等が主たる症状で,全例に緊急ないし準緊急手術が行なわれた.術前診断は種類により異なっていたが,大部分の症例は無症状に経過し,来院時は進行した状態で緊急開腹されており,早期診断はなされていない.腹部の不定愁訴或いは通過障害,腫瘤触知,下血などの症例では積極的な小腸造影,血管造影などで検索することが大切で,とくに筋腫,癌腫,内腫などでは血管造影が有用な検査法であることを強調したい.
  • 江崎 昌俊, 久米 進一郎, 高橋 勝三, 里見 昭, 石田 清
    1980 年 41 巻 1 号 p. 112-116
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    乳幼児腸重積症402例(特発性は395例)でそのうちの15例に再発を認めた.性比は男12人,女3人である.最終再発時年齢は5カ月から3歳7カ月までで平均10カ月であった.再発までの期間は初回整復後の翌日から2年に及んだが, 1回めの再発が6カ月以内に発生したものが12例(80%)を占めた.再発回数では1回再発が13例で大部分を占め, 2回再発が1例, 9回再発が1例である. 9回再発例は2歳を過ぎて再発防止の手術を行なったにもかかわらず,術後さらに3回も再発を繰り返した後,自然に再発をきたさなくなったものである.
    経験例と文献的考察から, 2歳までは非観血的療法を重視し, 2歳を過ぎて再発をみた場合には開腹精査の適応と考え,器質的疾患の有無を術中検査し,特発性の場合,再発防止の手術としては本症の成立機転に腸管の異常可動性,回盲部の固定不十分が主な条件であることを考慮すると,回腸と上行結腸間の最低10cmにわたる広汎な固定が必要であると思われる.
    従来慣習的に行なわれてきた上行結腸と回腸間の2~3針のみの固定, ileocolic bandの切離,虫垂切除などは再発防止の普遍的手術とはなりえないことを確認した.
  • 岩間 毅夫, 宇都宮 譲二, 今城 真人, 八重樫 寛治, 井上 敏直, 岡村 孝, 沢井 繁男, 東郷 実孝, 市川 敏郎, 藤幡 敏夫, ...
    1980 年 41 巻 1 号 p. 117-125
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    13例のloop ileostomyの経験を述べた.潰瘍性大腸炎4例,大腸腺腫症9例であった. 13例中11例は,全結腸切除,直腸粘膜切除,回腸肛門吻合術に,吻合部空置の目的で行った.残り2例中1例は亜全結腸切除,直腸粘膜切除,上行結腸肛門吻合術に,吻合部空置の目的で行い,他の1例は中毒性結腸拡張症に対し,病変大腸空置の目的で行った.
    回腸人工肛門作成手技,閉鎖手技,合併症時の手術について述べ,装具の重要性を指摘した.術後便の性状は4週目で安定し,便量は自然肛門便の約4倍となった.尿量はそれに伴い減少した.術後3, 4日目にBUNの軽度上昇をみたものがあったが1週目以後は見られなかった.術後減少した体重は徐々に回復し,特に成長期にはるものは早いことが示された.回腸瘻ビランは術後2週目が最も強く,患者の不馴れによるものが多く,適切なる管理により治癒した.
    人工肛門の陥凹,脱出が各1例に見られた.イレウスが2例に見られたが, loop ileostomyとの直接の関連は見られなかった.本法により重篤な骨盤内感染が防止され,罹患大腸の空置のみでなく,全結腸切除,直腸粘膜切除,回腸肛門吻合術の吻合部空置の目的にloop ileostomyは有効であると結論された.
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