根治術不能大腸癌に対し.腫瘍の減量を図るReduction Surgeryの意義と条件を知る目的で,教室の大腸癌症例163例中, 44例の非治癒手術例の解析を行った.
非治癒手術例は,右側結腸36.6%,左側結腸23.1%,直腸25.3%にみられ,やや右側結腸に高率であった.根治術不能の原因としては,腹膜播種24例,広範囲浸潤21例,肝転移16例であり,遠隔転移,リンパ節転移によることは少なかった.非治癒因子が複合するもの25例,単一のもの19例であった.
それらの平均生存期間をみると複合群8.5か月,単一群11.5か月であったが,推計学上の差はなかった.治療別によると,切除群11.0か月,電気凝固群13.5か月,非切除群4.5か月で, Reduction Surgeryの意義がみとめられた(p<0.01). しかし,治療と因子との組合せでみると,平均生存期間は,単一因子切除群16,7か月,複合因子切除群8.5か月,単一因子非切除群5か月,複合因子非切除群3.6か月となり,複合因子切除群と非切除群の間には有意の差がなく, Reduction Surgeryは単一因子の時に意義が大きいと結論した.特に,非治癒因子として腹膜因子をもつ時には,他にも複合して非治癒因子を有し, Reduction surgeryの意義は少なく,肝因子と複合する時には全く意味がなかった.
電気凝固群は,それらに比し有意に生存期間の延長をみ, poor risk例に今後,多く用いるべきと結論した.
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