日本臨床外科医学会雑誌
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42 巻, 1 号
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  • 高橋 信次
    1981 年 42 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 高田 利広
    1981 年 42 巻 1 号 p. 3-5
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 小柴 康
    1981 年 42 巻 1 号 p. 6-13
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    乳癌根治手術後の局所再発は手術手技に起因するところも少なくないとされている.とくに皮膚切除範囲との関係は大切と思われるが,これについての詳細な報告は少ない.著者は,当科で乳癌根治手術をうけた原発性乳癌症例133例の5年予後を追跡し,局所(皮膚)再発の発生状況について調査し,とくに術前皮膚所見および皮膚切除範囲と局所再発の関係について検討を加えた.
    局所再発は10例(7.5%)にみられた.その発生は腫瘤の大きさおよび病理組織学的リンパ節転移の状況と密接な関係があり,また硬癌に多くみられた.
    術前の皮膚所見や皮膚切除範囲(腫瘤外縁から皮膚切開線までの距離)と局所再発の発生については, 1) 皮膚所見のみられなかった37例では,皮膚切除範囲が2cmの14例を含めて局所再発は1例もみられなかった. 2) slight dimpleが認められた38例では,皮膚切除範囲が2cmの13例には局所再発はなかったが, 3cmの18例中2例に局所再発がみられた.再発の1例は腫瘤径6cm症例で,他の1例は術前N1bと考えられたn2症例であった. 3) 皮膚固定所見がみられた53例では7例に局所再発がみられた.とくに完全固定が認められ皮膚切除範囲2cmの3例は全例局所再発がみられ,また5cmの4例中1例にも局所再発がみられた.
    以上より, 1) 術前皮膚所見のない場合は皮膚切除範囲は2cmで十分である. 2) slight dimpleが認められる場合,原則として2cmでよいが,腫瘤が大きいとき(5cm以上)や腋窩リンパ節転移が高度と考えられるとき(N1b以上)にはより広範な皮膚切除が必要である. 3) 皮膚固定所見が認められる場合,少なくとも5cm以上の皮膚切除範囲が必要であると考えられた.
  • 山田 真一, 北出 文男, 関本 嚴, 荒木 京二郎, 岡田 勝彦, 安田 正幸, 革島 康雄, 八木 敦夫, 桜本 邦男, 岡島 邦雄, ...
    1981 年 42 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    癌の血清学的診断法の一つとしてCEA値は重要である.胃癌144例につき,術前血清CEA値を測定し, CEA陽性胃癌と陰性胃癌とに分け,臨床病理学的に比較検討し,その臨床的意義につき考察した.血清CEA値は,ダイナボット社のサンドイッチ法にて測定し, 2.5ng/ml以下を正常値とした.胃癌144例中,術前に血清CEA値が異常を示したものは39例(27.1%)に認められた. Stage別には進行度が増すにつれ血清CEA陽性率は上昇する傾向が認められる.病型の肉眼分類別にはBorr. II型において, 47.8%の最も高い陽性率を示し0型(14.7%), IV型(17.6%), V型(17.6%)と比べ推計学的に有意差が認められた.胃壁の深達度別には, m, smの早期癌症例では19.4%, pm以上の進行癌では27.2%であり,早期の症例で低い傾向が認められる.次に肝転移の有無別には無転移例が23.9%,有転移例が70.0%の陽性率を示し,肝転移例で有意の陽性率の上昇が認められた.組織型別にはpap, tub1の分化型腺癌では45.7%, tub2, por, sig, muc等の低分化型腺癌では16.1%と,分化型腺癌に有意に高い陽性率が認められる.さらに胃壁の腸上皮化生の程度別に検討してみると, -~+の軽度の群では8.1%と陽性率は低く, 廾~卅の中等度以上の群では, 42.2%と高く両者間に有意差が認められた.治癒切除がなされた94例の術前血清CEA陽性率は21.1%で非治癒切除,非切除50例のそれは38%であり両老間に有意差が認められる.術後にも血清CEA値を測定しえたのは48例であり,これらの検討から術後経過中の血清CEA値は再発の一つの示標となると考えられた.
  • 高橋 正人
    1981 年 42 巻 1 号 p. 23-37
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胃癌患者の癌進行度とT細胞動態の関係について検討することは,担癌宿主の非特異的免疫能を知る上に重要であり,しかも癌の集学的治療法に於ける非特異的免疫療法の効果判定のためのパラメータとして大きな意味がある.
    著者は胃癌患者170例(対照群20例を含む)に対して末梢血中白血球数,リンパ球数及び比, T細胞, B細胞, IgGFcR+T細胞を測定した.又胃癌患者を癌の進行度としてstage分類と更にS, P, H, Nの各因子に分類し各項目の測定値をstudent studyとして統計的処理を施行した.その結果,対象の年齢,性に於ては特に有意差はないが, stage分類, S, P, N各因子による分類でリンパ球数及びリンパ球比, IgGFcR+T細胞の項目では有意差がみられ, T細胞, B細胞,白血球数の項目では有意差が認められなかった.
    従って,担癌宿主に於ける診断パラメータとして癌の進行に従って末梢血中リンパ球数及び比は減少傾向がみられ,更にIgGFcR+T細胞は増加するのでsuppressor T細胞を反映しているものと思われ,癌患者の補助的診断のために,又治療経過,予後の判定に役立ち有効な指標となると考えた.
  • 倉田 悟, 藤原 敏典, 野並 芳樹, 中山 富太, 江里 健輔
    1981 年 42 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    54歳の男性で肺剥皮術を行い治癒せしめた自然血気胸の1症例を経験した.本症例は出血の速度が遅くかつ量が少なく月に数回の胸腔穿刺を受け保存的療法のみで経過を観察していたが次第に呼吸困難,胸痛,易疲労感が増強し8カ月後に出血巣の確認,凝血塊の除去,肺の再膨張を計るため手術を行なった.幸い感染を伴わなかったため肺胼胝と肺胸膜の間を比較的容易に剥離することが出来た.
    本症は出血速度と量により臨床症状も様々であり治療方針も異なるが,われわれの症例の如く, 8カ月間の長期に亘り保存的療法を行なった症例は稀で,発生後の期間が長ずるにつれて,手術侵襲も大となるので,出来るだけ早期に外科的治療を行うべきである.
  • 内藤 宗紀, 田中 忠良, 宮原 義門, 森重 一郎, 中村 英典
    1981 年 42 巻 1 号 p. 42-45
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    脂腺癌のほとんどのものは,マイボーム腺由来であり,眼瞼以外の本邦報告例はわずか25例で,ほとんどが顔面および頭部である.最近われわれは,右腋窩に発生した脂腺癌のきわめて稀な症例を経験したので報告する.
    症例は, 58歳,女性で昭和53年1月頃,右腋窩の腫瘤に気づき, 3カ月後に外来受診,生検の後,手術が施行された.
    腫瘍は直径5cmの半球状,弾性硬,境界鮮明,表面凹凸不整,易出血性,中心部に3cmの潰瘍形成を認め,辺縁隆起,腫瘍底に黄白色・褐色の膿苔が付着し,腫瘍全体に黒褐色の色素沈着を認めた.
    病理組織学的には,真皮上層から皮下組織にかけて大小の胞巣を形成して浸潤性に増生する腫瘍組織がみられ,ほとんどが大型の泡沫状あるいは空胞状の胞体をもっていたが,基底細胞様の腫瘍細胞はみられなかった.腫瘍細胞の胞体内には, Sudan III染色で陽性の脂肪滴がみられた.
  • 深井 泰俊, 吉田 英晃, 堀田 敦夫, 桜井 隆文, 中野 博重, 日浅 義雄
    1981 年 42 巻 1 号 p. 46-52
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    最近著者らは術前診断の困難な肝内胆管癌を合併した肝内結石症例を経験した.
    症例Iは71歳,男性,本症例の術前診断は総胆管結石兼肝内結石であったが術中肝の左内側下区域(一部はCantlie線をこえて右側に及んでおり内腹斜筋にも浸潤を認める)に表面が凹凸不整,硬度硬,色調が黄白色を呈した部位があり,肝生検により胆管癌と診断された.
    症例2は42歳男性,術前,肝動脈撮影, CEAなどの諸検査成績から肝癌と診断されたが腫瘍占居部位,肝予備力の面から切除不可能な肝癌と診断されたために癌化学療法を施行したが延命効果は得られず昏睡状態になり死亡した.剖検後,肝内胆管癌を合併した肝内結石症と診断された.
    肝内胆管癌と肝内結石の相関は実験的,臨床的立場から説明されており実験的には猫にchlonorchis sinensisを感染せしめ,長期の炎症性感染を起した動物のみが肝内胆管上皮のadenomatous hyperplasiaと胆管癌を発生せしめており,また臨床的には胆管周囲の慢性炎症所見に加えて拡張した同一胆管内で癌化した部分とhyperplasiaを示す部分が混在していた症例が報告されており肝内胆管癌の発生に対して肝内結石の直接的な関与を示唆している.しかし自験例2例は胆管炎症状の出現はあったが肝内結石の存在していた同一胆管内上皮(症例2)にはリンパ球の浸潤と結合織の著明な増生がみられるのみであり癌化の混在はなかった.この問題に関しては今後さらに多くの症例から検討されなくてはならない点である.
    本疾患の術前診断は困難であり,多くは手術時,あるいは剖検後に診断されているにすぎない.その他本疾患の性別,年齢分布,初発症状,発現時期,病悩期間,診断ならびに治療について文献的考察の面から検討を加えた.
  • 竹井 信夫, 勝見 正治, 青木 洋三, 谷口 勝俊, 佐々木 政一, 柿原 美千秋, 山本 真二, 小林 康人
    1981 年 42 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    先天性胆道拡張症Congenital Biliary Dilatation (以下CBDと略)は,欧米ではまれであるが,本邦では比較的多い疾患である.本症の診断には超音波断層法や99mTc-(Sn)-Pyridoxylideneisoleucine (99mTc-PI)と略)を用いた胆道シンチグラムが有用であり,本症には膵胆管合流異常を伴うことが多く,最近では, ERCP, PTCで術前に診断されることが多い.本症の合併症として胆石症以外に胆管拡張部の癌発生の頻度が高いことが注目されている.
    教室では1968年より1980年までに成人例2例を含めた10例のCBDを経験し,その中の1例に,嚢腫空腸吻合術後, 2年経て嚢腫壁から発生したと思われる癌化例を経験した.本症例を報告するとともに本症の悪性変化について文献的考察を行った.
    本症の治療としては,嚢腫腸管吻合術は,感染,発癌の点から適当ではなく,嚢腫切除・肝管腸管吻合術が望ましい.
  • 石本 喜和男, 勝見 正治, 浦 伸三, 青木 洋三, 田伏 克惇, 庄司 宗弘, 家田 勝幸, 松本 孝一, 河野 裕利, 橋本 忠明
    1981 年 42 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    遺伝性球状赤血球症はメンデルの法則にもとづく常染色体優性遺伝により家族性に発生する疾患で,臨床的には貧血,黄疸,脾腫を主症状とし,血液検査では末梢血中への球状赤血球出現,赤血球浸透圧抵抗減弱,赤血球寿命短縮及び網状赤血球数増加を特徴とする.
    教室では最近10年間に,本症の4例に対して脾摘を施行した. 4例のうち遣伝関係が証明されたのは1例(25%),胆石を合併していたもの1例(25%)であった.脾摘により,貧血及び黄疸は全例とも1~2週間後にはほぼ正常に改善された.一方,末梢血中の球状赤血球数も減少し,そのうち1例で消失を見たし,赤血球寿命は1例で著明な回復が得られた.しかし赤血球浸透圧抵抗は脾摘後も改善は見られなかった.
    本症の成因に関しては,現在では赤血球膜の異常を一次原因とする疾患とされているが,臨床的には脾摘により,貧血,黄疸等の症状はすみやかに改善され,血液学的にも球状赤血球数の激減,赤血球寿命の改善等の報告はしばしば見られる.
    本症の脾内では,球状赤血球の髄質から脾洞への通過が困難とされ,髄質内にうっ滞し,それゆえに赤血球の代謝に必要なグルコースが十分に供給されにくくなり,赤血球の球状化及び脆弱性の亢進等の異常が増強されると考えられる.
    したがって,本症に対する脾摘の施行は,このような病態生理の改善にはきわめて有効な手段であり,われわれの4例の経験からも,臨床的にも,血液学的にも,その効果は確認された.
  • 浅江 正純, 浦 伸三, 山口 敏朗, 竹井 信夫, 江川 博
    1981 年 42 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    成人の腸重積症は比較的少なく,多くは比較的緩慢な経過をたどる.腸重積症の原因は色々あるが,今回われわれはまれな腸石によると考えられた成人反復性腸重積症に遭遇したので報告する.
    症例は28歳男性,腹痛を主訴とし, 5年前にも同様の発作がある.初診時の腹部単純レントゲン撮影にて,イレウスの像とともに, 2個の結石陰影を認めた. 5年前にも,同じ2個の結石陰影を指摘されたが,泌尿器科的なものでないと診断された.今回注腸透視にて回腸末端部に存在する腸石と判明した.腸石を摘出し,成分を分析したところ,炭酸カルシウムを主成分としていることがわかった.
    腸石は,仮性腸石と真性腸石にわけられ,真性腸石は非常に少ない.本症例は炭酸カルシウムを主成分とする真性腸石であったが,このカルシウム塩腸石は,本邦では第2例目と思われる.またその発生のための条件をみたす部位としては,回腸以遠に限られてくる.このようにカルシウム塩腸石は,非常にまれなものであるが,腸石の診断は比較的容易である.しかし,その存在のため,腸重積症や腸閉塞症を生じたりすることもあり,臨床上注意すべきである.
  • 梛野 正人, 七野 滋彦, 佐藤 太一郎, 磯部 豊, 岸本 秀雄, 秋田 幸彦, 河野 弘, 加藤 岳人
    1981 年 42 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    大腸憩室病で右型は欧米に比べ我が国に多いとされているが,たとえ合併症が起ってもその多くは保存的療法で軽快する.しかし中には手術に至るものもあり,最近われわれは右側憩室炎によると思われる腹膜炎の2症例を経験したので報告する.
    症例1. 22歳男. 1年前に虫垂切除.回盲部痛で来院.開腹するとBauhin弁直上の上行結腸内側像に鶏卵大弾性硬の膿瘍形成が認められた.まずドレナージを行ない,後日に回盲部切除を行なった.
    症例2. 50歳男.発熱,回盲部痛で来院したので限局性腹膜炎として開腹した.まずドレナージをして4週間後に回盲切除を行った.
    2例とも回盲部から上行結腸にかけて多数の憩室を認め,そのうちの1個に急性化膿性炎症が起って腹膜炎に至ったもので,病理学的には症例1は真性,症例2は仮性の憩室であった.
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