日本臨床外科医学会雑誌
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43 巻, 8 号
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  • 臨床外科医に期待するもの
    北原 哲夫, 紀伊國 献三
    1982 年 43 巻 8 号 p. 855-860
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 43 巻 8 号 p. 861-874
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 43 巻 8 号 p. 875-916
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 佐田 英信, 大熊 利忠, 多田 出, 夏山 秀康, 砥上 幸一郎, 萩原 直樹, 大塚 憲雄, 後藤 平明, 宮内 好正
    1982 年 43 巻 8 号 p. 917-923
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    食道癌はいまだ進行癌が大部分を占めている疾患で,癌の深達度が粘膜下層までに限局するいわゆる食道早期癌および表在癌は1977年までの本邦集計でもわずか101例にすぎない.しかしながら予後については進行癌との間に著しい差異がみとめられている.一般に本邦での食道癌治療の主体は,外科的切除で,それに術前後の合併療法を付加する方法がとられている.これらは主として進行癌に対する治療方針であり,早期癌および表在癌に対してはいまだ確たる基準はない現状にある.われわれは1981年4月までに8例の早期癌および表在癌を経験した.これら8例には,進行癌とほぼ同等量の治療を行なつており, 5年1カ月の生存を最長として全例,生存中である.これら8例をもとに,主として病理組織学的所見等につき,進行癌の切除例48例との比較検討を行なって,早期癌および表在癌の治療方針について考察した.その結果,リンパ節転移や脈管侵襲の頻度,およびskip lesionの有無については,進行癌と大差なく,食道癌の予後がこれらの諸因子に関連していることを考えると,早期癌および表在癌といえども進行癌と同等量の治療を行なうことが望ましいと思われた.
  • 猪苗代 盛貞, 森 昌造, 佐藤 雅男, 岡本 和美, 別所 啓司, 大津 友美, 小高 庸一郎, 菊地 慎太郎, 安部 彦満
    1982 年 43 巻 8 号 p. 924-928
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    末期進行胃癌の33例に対して持続動注療法を試み,これに高カロリー輸液を併用した場合としない場合の生存期間,免疫能に対する影響を検討した.動注療法群はこれを行わなかった群40例と比較して有意に生存期間の延長を得たが,高カロリー輸液の併用による生存期間の延長では有意差を得られず,動注療法を2カ月以上積極的に行い,これに高カロリー輸液を併用した場合には有意の傾向で生存期間の延長を得た.末期進行癌患者では,高カロリー輸液の併用は,栄養状態の改善よりもむしろ免疫能の改善をもたらした.高カロリー輸液併用による栄養状態と免疫能の改善がどの程度生存期間の延長に有効性をもつかは不明であった.現在のところ,癌患者に対する高カロリー輸液の投与は,手術療法や化学療法を積極的に行う場合の有力な補助療法としての意義が大きいと考えた.
  • 小豆畑 博, 小川 健治, 菊池 友允, 芳賀 駿介, 湖山 信篤, 成高 義彦, 中田 一也, 服部 俊弘, 梶原 哲郎, 榊原 宣
    1982 年 43 巻 8 号 p. 929-933
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    術後高カロリー輸液施行中に発症した亜鉛欠乏症を経験したので報告する.
    症例は14歳,自閉症の男児.虫垂穿孔による汎発性腹膜炎および術後出血性胃潰瘍で,計3回の開腹術を行った.術後25日間高カロリー輸液を施行した後,経口栄養に切換えたが,87日経過しても消化管外瘻の治癒が遷延していたため,再び高カロリー輸液とした.この間亜鉛をはじめとする微量金属の投与は行っていない.高カロリー輸液再開後18日より,顔面の膿痂疹,陰嚢・肛門周囲の糜爛,続いて指趾末端の発赤・硬結・膿疱が出現,さらには口内炎,舌炎,脱毛,発熱などもみられた.これらの諸症状より亜鉛欠乏症を考え,血漿亜鉛値を測定したところ, 24μg/dlと著しい低値を示した,これに対し,経静脈的にトレース・エレメンツ液を投与し, 15日後には著しい諸症状の改善をえた.
    亜鉛は必須微量金属の1つで,ある種のMetalloenzymeの構成成分であると同時に,蛋白合成などにも関与し,創傷治癒過程にも影響を及ぼすといわれる.ヒトの亜鉛欠乏症は1961年Prasadらにより,イランの地方病として報告されたが,高カロリー輸液にともなう亜鉛欠乏症は1975年岡田らによりはじめて報告されている.自験例の症状は岡田らの記載とほぼ一致し,典型的な亜鉛欠乏症であったと思われる.高カロリー輸液施行中の亜鉛の必要量,投与量については,維持量として40~60μmol/dayとされているが,欠乏症状に応じ追加投与も必要であろう.
    高カロリー輸液を施行する際には,亜鉛をはじめとする微量金属の欠乏に十分な注意を払い,何よりもこれら欠乏症の発生を未然に防ぐことが肝要である.
  • 森本 雅巳, 志田 寛, 井之川 孝一, 津金 次郎, 杠 英樹
    1982 年 43 巻 8 号 p. 934-939
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    優れた心筋保護法とは大動脈遮断中,良好な心筋保護を行うとともに血流再開時のReperfusion lnjuryを防止することであろう.この観点より心筋保護についての実験が行われ,その実験成績から現在われわれが施行している独自の心筋保護法が考案された.今回この実験の概略と本心筋保護法を施行した開心術例について臨床的検討を加えたのでその成績を報告する.実験:雑種成犬の摘出左室心筋潅流標本について, (1)薬物の冠動脈注入によるmyocardial contractilityおよび心筋内カルシウム含有の測定, (2)阻血前後のisometric tensionを比較し,その%recovery rateを心機能回復の指標とする実験で,各種薬物を注入し,心筋保護効果を判定する方法において, (1) Dilazepが抗カルシウム作用を示し, (2) Dilazep前処置にYoung液を冠潅流することが,ほかの薬物と比較して心筋保護効果が有意に認められた.臨床的検討:実験より次の心筋保護法を臨床に応用した.方法:Dilazep (300mg/日)を約10日間経口投与し,大動脈遮断後Young液による急速心停止およびice slushによる心表面冷却を行う.次にBlood Potassium Cardioplegia液(10%マルトース液200ml+ヘパリン血200ml, K 28.5mEq/L) 5ml/kgを冷却して間歌的(30分毎)に落差冠潅流を行う方法である.対象:後天性心疾患34例,先天性心疾患14例など計49例.これらの症例につき,手術成績,CPK-MBの変動,左心室機能の推移などを検討し,ほぼ満足すべき成績を得た.すなわち,抗カルシウム剤(Dilazep)とBlood Potassium Cardioplegiaによる心筋保護法は臨床的に満足されるものと考えられる.
  • 浅井 康文, 伊藤 敏行, 乳井 誠悦, 山田 修, 上田 睦, 安倍 十三夫, 安喰 弘, 小松 作蔵
    1982 年 43 巻 8 号 p. 940-944
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    昭和56年12月末までの過去25年間に外科手術を行った大動脈縮窄症は41例で,その内訳は,管前型17例,管部型5例,管後型19例となっている.管前型17例のうち,早期に失った6例は,いずれもCoarctation Complexであった.管前型極型で左subclaviansteal症候群を伴った例に,ダクロングラフトによるバイパス術を行い,術後右上,下肢の不全麻痺が出現したが,術後10年の現在健在である.
    管前型の晩期死は3例でいずれもCoarctation Complexであった, 1例はPDA離断術のみを行ったが,術後6カ月に心不全で, 1例はPDA結紮術と肺動脈絞扼術後, 1年2カ月後にBlalock-Park法,ついで4カ月後に, VSDパッチ閉鎖を行ったが腎不全,呼吸不全で,他の1例は縮窄部切除・端々吻合を行ったが,状態の改善が得られず, 1カ月後に高位VSDのパッチ閉鎖を行ったがLOSで失った.
    管部型および管後型の早期死はない.管部型の1例にsubclavian flap法を用い,良好な術後経過を得,今後とも試みる方針である.
    管後型2例に再手術を行った.1例は初期の例で,テフロン人工血管置換3カ月後に,吻合部仮性動脈瘤にて,再人工血管置換を行ったが, 2カ月後に喀血にて失っている.
    他の1例は,テフロンパッチによる縮窄部拡大術を行い経過良好であったが,術後7年目より胸部X線写真上に異常陰影をみ,術後10年目に,テフロンパッチ部分の仮性動脈瘤を確認し,再手術により瘤切除・ダクロン人工血管置換を行い,術後2年の現在経過良好である.このように本症は術後綿密な長期経過観察の必要性がある.
  • 安斉 徹男, 吉田 一郎, 前原 正義, 斉藤 光男, 加藤 盛人, 小西 敏雄, 飯島 哲夫, 小林 剛一, 川辺 昌道, 荻原 州吉, ...
    1982 年 43 巻 8 号 p. 945-950
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    高齢者胸部外科手術の特異性を探り,適応の確立を図ることを目的として,65歳以上の60例の検討を行なった.なお対照群としては50~64歳の96例をとった.
    高齢群60例の内訳は,肺癌45例(75%), 良性腫瘍,炎症,嚢胞性疾患などが各々3例である.対照群96例では肺癌34例(35%), 炎症38例,嚢胞性疾患15例などである.
    術前の肺機能は,高齢群では1秒率がやや低く,残気率がやや高かった.腎機能では高齢群でPSP値がやや低かったが,いずれも有意差を示すものではなかった.
    術後人工呼吸器を2日以上使用した例の,術前肺機能は両群とも非使用群に比して,比肺活量, 1秒率,分時最大換気量率が低く,残気率が高かったが,有意差ではなかった.肺切除及び腫瘤剔出例のみについて換気機能図をみると,高齢群では混合型障害群において,人工呼吸器使用頻度が大きかった.一方対照群では, 1秒率70%の上下にて,人工呼吸器使用頻度の差がみられた.更に長期に亘り人工呼吸器使用を要した例では,ことに高齢群において1秒率が50%以下の混合型障害例にみられた.
    死亡例は高齢群で4例, 6.6%,対照群で1例1%であるが,全て肺切除以上の手術例であった.死因は呼吸障害1例,心不全1例,消化管出血1例,抗生物質による紅皮症1例であったが,今後改善の余地があるものと思われる.
    結論として,高齢者の胸部手術,ことに肺切除例では術前の呼吸機能が混合型障害の場合には,術後呼吸管理上の問題を来たす可能性があると考えられる.しかし適応を慎重に選べぱ手術は安全に行われると思われる.
    術後管理の点からは,人工呼吸器の適切な使用,心.肝・腎機能のチェックのみならず,精神面での術前・術後の指導にも充分の配慮を要すると考えられる.
  • 上田 忠晴, 中谷 勝紀, 白鳥 常男
    1982 年 43 巻 8 号 p. 951-954
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胃細網肉腫について諸々の報告があり,術前診断の困難さを訴えるものが多い.我々も術前にBorrmann III型進行胃癌と診断したが,術後,胃細網肉腫と診断された1症例を経験した.そこで我々は,一般的に施行されている, X線透視,内視鏡所見などについて,諸家の報告と,我々の自験例とを照し合わせて検討した.その結果,術前に胃細網肉腫を疑い得たのではないかと思われた.
  • 川田 良得, 川村 一彦, 田崎 紀元, 小林 杏一, 岩下 清志, 木下 博, 庄司 佑
    1982 年 43 巻 8 号 p. 955-959
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胆のう内容が灰白色不透明な乳汁様で,炭酸石灰を主成分としているものを石灰乳胆汁といい,比較的まれなものとされている.最近われわれは,石灰乳胆汁の症例を2例経験したので報告する.症例1は53歳の女性で,上腹部膨満感,嘔吐を主訴とし,腹部単純撮影で右季肋部に結石陰影を認め,胆のう造影では造影不良であった.胆摘を行なうと,胆のう内にビリルビン結石が3個あり,そのうち1個が胆のう管に嵌頓していた.胆のう内は,白色半流動性泥状物質で占められていた.症例2は34歳の男性で,上腹部疝痛を主訴とし,腹部単純撮影で,右季肋部に結石陰影を認め,胆のう造影では胆のうが造影されなかった.手術を行なった結果,胆のう頚部にコレステリン結石が嵌頓していることがわかった.胆のう内には微黄色透明粘稠な胆汁に混って白色泥状の物質を認めた.この物質は98%以上がCaCO3であった.
    石灰乳胆汁における臨床症状は,一般の胆石症と変りがないが,特徴として腹部単純撮影で胆のうが造影されること,胆のう管に結石が嵌頓しており,胆のう造影で新たに胆のうが造影されにくいことなどがあげられるが,われわれの2症例はいずれも腹部単純撮影では胆のう影は認めず,手術を行なった結果初めて本症と診断された.
    石灰乳胆汁の成分の大部分は炭酸カルシウムであり,成因としては, (1)胆のう管の閉塞, (2)胆のう炎, (3)胆のう内pHの上昇, (4)カルシウム塩の析出というメカニズムが考えられている.カルシウム代謝異常との関連は現在のところ不明で, 2症例とも血清カルシウム値は正常であった.
  • 鮫島 恭彦, 内村 正幸, 武藤 良弘, 脇 慎治, 林 輝義, 中山 正明, 山田 護
    1982 年 43 巻 8 号 p. 960-966
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    内胆汁瘻の83%を占めた胆石による内胆汁瘻例24例を検討した.これは,自験胆石症1,041例の2.3%に相当し,平均年齢は63.5歳で,男女比は1:3であった.瘻孔部位としては,十二指腸-胆嚢が14例(58%)で,他に結腸-胆嚢,胃-胆嚢,総胆管-胆嚢,右肝管-胆嚢等があり,胆嚢が主役(胆嚢が関与した割合は約85%)であった.しかし,最近, ERCにより,総胆管末端と十二指腸傍乳頭との瘻孔例が発見されるようになり, 3例を経験した.結石ではビ系石;コ系石は8:5であり, 10~15mmの大きさのものが63%を占めた.症状では,腹痛99%,発熱66%,黄疸41%で,本症に特有のものはなく,胆石症々状として総括されるが,瘻孔形成後は腹痛の減少が認められた.瘻孔形成期間はacute obstructive cholecystitisの経過とよく一致し,第3期 (ishemic, bacterial infectionの時期)に,発生後10日前後で瘻孔形成がなされると思われた.本症は,胆管炎,胆嚢炎が高度であり,肝障害例も多いので,早期の診断・手術が必要と考えられた.確診にはX線検査が有用であるが,腹部単純写によるair-cholangiogram, UGI seriesでは診断率57%, 74%にとどまった.しかし, PTC, ERCの導入により81%, 91%と成績の向上をみた.
  • 井上 直, 中谷 守一, 吉岡 幸男, 木下 博明, 酒井 克治
    1982 年 43 巻 8 号 p. 967-971
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胃石による小腸閉塞は非常にまれである.本症は67歳の男で腹痛および嘔吐を主訴として来院した.初診時急性膵炎を疑われて保存的療法を受けたが,小腸閉塞の症状が改善せず,緊急手術を施行したところ,トライツ靱帯より3m肛門側の小腸内に鶏卵大の異物を認め,異物による小腸閉塞症と診断した.摘出標本からシブオールは検出されなかったが,臨床像の経過ならびに摘出標本の性状より,この異物が胃石であると判断した.
    胃石はBaudamnt(1779年)の報告以来多数報告され,本邦でも最近10年間に約250例を集計することができたが,それによる腸閉塞は比較的まれで自験例を含め20例にすぎない.今回われわれは小腸閉塞の原因となった胃石の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 及能 達男, 下段 光裕, 西田 陸夫, 藤沢 泰憲, 戸田 和則, 石川 秀人
    1982 年 43 巻 8 号 p. 972-978
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    最近著者らは重症の大腸蜂窩織炎の1例を経験した.
    症例は53歳,女性で6年間肝硬変の加療を受けていたが,突然の腹痛で発症し,加えて発熱,嘔吐を主訴として当院を訪れた.汎発性腹膜炎の診断で開腹したが,病変は回盲部から横行結腸までの暗紫色壊死状を呈した大腸であり,同時に肝硬変,腹水も認めた.術後はadult repiratory distress syndrome, disseminated intravascular coagulationそしてendotoxin shockなどを合併したmultiple organ failureの病態であったが,救命治癒させることができた.腹水中,動脈血中からはE. coliが同定され,また切除標本からは粘膜下層,筋層に浮腫,充血を著明に認め,同時にグラム陰性杆菌球菌および好中球の著しい浸潤が認められた.
    大腸蜂窩織炎は胃,十二指腸,小腸などの蜂窩織炎に同様に腸管壁粘膜下層,筋層に拡がる非特異性急性炎症であり,本症例は我々の確認できた範囲では本邦22例目の大腸蜂窩織炎の症例であった.渉猟できた報告を集計し,併せて内外の文献から本疾患についての考察を行った.
    1),患者平均年齢は37.2歳で男女比は2.1:1と男性に多く発症する様である.
    2),主症状は腹痛,発熱,嘔気嘔吐の腹膜炎症状であり,また本症では約半数の症例に突然の腹痛で発症していることが認められた.
    3),発症部位は盲腸,上行結腸そして横行結腸が72%を占めていた.
    4),本症では腸管壁粘膜下層,筋層を主として拡がり,浮腫,充血の組織中にはグラム陰性陽性菌と好中球の浸潤が認められる.
    5),成因としては肝疾患との関連が注目された.
  • 藤原 敏典, 善甫 宣哉, 小林 修, 新谷 清, 守田 知明, 兼行 俊博
    1982 年 43 巻 8 号 p. 979-982
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    最近我々は比較的まれな疾患とされる閉鎖孔ヘルニアを経験したので報告するとともに,本邦報告例を集計し検討を加えた.
    本症はやせ形で高齢の婦人に多く,分娩回数の多いものに多発する傾向にあった.イレウス症状により発症するものが殆んどであり, Howship-Romberg徴候は80%に認められた.術前診断率は27%と未だ低値ではあるが,年を追うに従い上昇していた.ヘルニア門の処置としては,結節縫合による閉鎖法が最も多用されていたが,壁側腹膜を結節縫合する場合には再発の危険があるため骨膜と閉鎖膜を縫合することが望ましい.
    高齢女性で突然イレウス症状を呈した場合には本症をも念頭に置くベきである.
  • 横須賀 稔, 本多 元陽, 田崎 博也, 谷本 康信, 庄司 佑
    1982 年 43 巻 8 号 p. 983-989
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    熱傷により皮膚の保護機能が破壊されると体液の喪失と細菌感染によって生命の危険を伴うこともあり,さらに激しい落痛が加わってくる.治療法としてはII度の熱傷は感染を予防し自然の治癒にまかせ,またIII度の熱傷は焼痂を切除して自家植皮を行うことである.そこで異種植皮である凍結乾燥豚皮(lyophilized porcine skin以下LPSと略す)を一時的生体包帯(temporary biological dressing)としてII度の熱傷に水疱を除去した後に貼付し, III度の熱傷には焼痂切除後の肉芽創に貼付する方法が行われている.これによって鎮痛効果,浸出液抑制効果,感染防止効果,処置簡易効果が期待出来る. LPSは滅菌され,パックされているので必要な時に十分な量を手に入れることが出来る. LPSの使用法は生理食塩水に約30分浸して軟らかくし,水疱は出来るだけ除去した熱傷創に豚皮の真皮面を密着させて用いる.貼付したLPSの上に厚い滅菌ガーゼを当てて弾性包帯を巻いて密着させるが, LPSはよく密着しなければ効果が少ないので比較的大きなサイズを使ってずれないように貼付した.症例は1979年10月から1980年12月までに小山市民病院外科に来院した患者で, II度の熱傷創にLPSを貼付し平均日数は9.2日であった.貼付した症例の20%に感染が認められたが著明な鎮痛効果によって毎日のガーゼ交換は容易に行なうことが出来た. LPSはII度熱傷創の一時的生体包帯として有効であった.
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