日本臨床外科医学会雑誌
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43 巻, 9 号
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  • とくに悪性例の術後経過を中心にして
    高場 利博, 舟波 誠, 川嶋 昭, 門倉 光隆, 山田 眞, 虫明 孝康, 石井 淳一
    1982 年 43 巻 9 号 p. 1033-1038
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    昭利40年から昭和56年までの17年間に教室で経験した縦隔腫瘍は43例である.胸腺腫が18例(42%)で最も多く,次いで奇形腫,神経性腫瘍の順で,その頻度は本邦の集計報告と一致していた.年齢層は0歳から66歳に及び,男性に多い傾向がみられたが, 20歳代が最も多かった.また悪性例は全体の60%と多いが, 50歳以上例は全例悪性で,悪性胸腺腫がその主因であった.
    外科治療について良性例で問題となる点は少ないが,悪性例では問題点が多い,すなわち,悪性例26例中19例に手術が行なわれているが,根治手術の行ないえたものは6例にすぎなかった.補助療法としてはコバルト照射と薬物治療が行なわれ,コバルト照射は17例に施行されているが, 1年以上生存中の6例と術後2年以上を経て死亡した2例では明らかなコバルト照射の効果が認められ,非手術例の中でも明らかな延命効果がみられた.
    悪性縦隔腫瘍に対する外科治療は,根治手術が施行できれば一般に長期予後も良好となる例が多いが,今回の検討では根治手術施行例の中にも術後再発例があり,また明らかに非根治手術であった症例でも,術後の積極的な補助治療により長期生存し社会復帰している例もみられた.積極的な外科治療に加えて,術前術後の合併療法が成績向上につながるものと思われる.
  • 小林 建一, 片岡 徹, 河村 一敏, 石井 淳一
    1982 年 43 巻 9 号 p. 1039-1051
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    過去24年間の胃癌切除断端陽性(ow(+), aw(+))症例111例(初発胃癌切除例971例の11.4%に当る)について切除胃の病理組織学的所見,予後,再発形式ならびに長期生存が得られた症例の特異点などを中心に臨床病理学的に検討した.(以下多発癌症例の3例を除外して検討した.)断端陽性例の内訳は, ow(+) 74例(68.5%), aw(+) 24例(22,2%), ow(+)・aw(+) 10例(9.3%),また,断端陽性だけで非治癒切除となった症例46例(42.6%), P,H,S,N(R)因子が加わり非治癒切除となった症例62例(57.4%)であった.断端陽性となった部位から切除端までの距離では, ow, aw=0 mm 80例(74.1%), 0<ow,aw≤5 mm 28例(25.9%)であり, ow(+)例ではow=0 mmの頻度が高(82.4%), aw(+)例では0<aw≤5 mmが50%を占めていた.
    病理学的所見の特徴としては,病巣の拡りが大きいものが多く(長径8 cm以上が80.6%),肉眼型4型(49.1%),梶谷分類の浸潤型が多く,組織型は低分化型が多く(70.4%),脈管侵襲でとくにly(+) が多く(82.4%),しかも高度なものが多く, INFでγが多く(75%),やはり浸潤傾向の著しい症例が多かった.断端陽性となった癌巣先進部の深達度ではsm(45.3%)もss(33.3%)が多かった.
    断端陽性例の3生率, 5生率は全症例で13.1%, 9.5%,断端陽性だけで非治癒切除となった症例で29.7%, 21.6%であった.断端陽性だけで非治癒切除となった症例46例中39例が死亡(35例が再発), 6例は生存中である.これら再発死亡35例の再発形式では腹膜再発(51.4%)が最も多く,次いで断端再発(37.1%)であり,晩期再発では断端再発が多くを占めていた.断端陽性で3年以上生存例は13例(8例死亡), 10年以上生存例が4例(2例が断端再発死亡),再発死までの最長期間は16年10カ月であった.これら長期生存例の検討から推論すると,胃癌発生から人を死にいたらしめるような末期癌まで発育進行するまでには,恐らく10数年の歳月を要するものと考えられる.
  • 能見 伸八郎, 田中 承男, 堀 勝文, 栗岡 英明, 井口 公雄, 山谷 和則, 内藤 和世, 山岸 久一, 柴田 純祐, 弘中 武, 橋 ...
    1982 年 43 巻 9 号 p. 1052-1055
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    直腸切断術後の会陰創は,今日では一期的縫合閉鎖が一般的術式になっている.著者らは教室で経験した97例の直腸癌症例を,切断術後の会陰創をガーゼタンポナーデにて開放創とした症例,一期的縫合閉鎖しドレナージ,又はポーティナーによるドレナージを追加した症例に分類し,会陰創の治癒について検討した.さらに会陰創治癒に影響を与えると考えられる要因についても若干の検討を加えた.
    その結果,直腸切断術後会陰創の早期治癒をはかるには,一期的縫合閉鎖が不可欠であり,創感染により創治癒が遷延しても開放創とほぼ同じ日数で創治癒がはかれた. Rb症例はRa症例よりもやや創治癒が長びく傾向があるが,癌の進行度,大きさ,年齢,血清アルブミン値および術後早期からの癌化学療法には影響を受けなかった.
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