日本臨床外科医学会雑誌
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44 巻, 2 号
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  • 過去20年間の変遷
    林 四郎
    1983 年 44 巻 2 号 p. 105-109
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 鬼塚 卓弥
    1983 年 44 巻 2 号 p. 110-111
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 田中 承男, 内藤 和世, 能見 伸八郎, 栗岡 英明, 山岸 久一, 柴田 純祐, 橋本 勇
    1983 年 44 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    放射線照射による消化管障害22例の手術を経験した.直接死亡は6例であった.主症状は, 22例中20例がイレウスと穿孔性腹膜炎であり, 18例が回腸の病変に対し手術が施行されており,小腸病変の重要性が示された. 7例に障害腸管の切除と吻合再建が一期的に施行されたが, 3例が縫合不全で死亡している.これらの症例は障害腸管で吻合が行われた可能性が高い.術中の障害腸管の判定は,触診と視診によって行っているのが現状であり,穿孔による腹膜炎の場合,炎症のために健常腸管の境界の判別が困難な時もある.障害腸管での吻合は絶対にさけるべきであるが,判定の困難な場合は人工肛門を造設し,二期的に吻合再建を行うべきである.本症の晩期障害は,血管閉塞による阻血性変化であるので,保存的療法による完全治癒はありえず,出来る限り積極的に,切除吻合を行うことが良好な結果をもたらすと考えられた.
  • 水間 公一, 宇野 賢, 戸塚 守夫, 早坂 滉, 福井 四郎
    1983 年 44 巻 2 号 p. 118-121
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    われわれは上部消化管手術後患者に静脈注射可能な抗アルドステロン剤(Canrenoate-potassium, C-K)を投与し術後のK平衡, N平衡,血清アルブミン値を対照群と比較検討した. C-K投与によって術後のK平衡, K保有率は共に対照群に比べて高値を示し良好な結果を得た.さらにN平衡もC-K投与群では術後4日目より正に転じており,対照群に比べ明らかに正常化が早いといえた.しかし一方,血清アルブミン値はC-K投与群と非投与対照群との間に差異は認められず,他の要因の関与も考えられた.以上よりC-K投与は術後のK代謝,蛋白代謝をより早期に回復させ,高齢者, poor risk等の症例には効果が期待出来るものと考えられた.副作用としての高カリウム血症は1例に認められたがC-K投与の中止により正常値に復した.
  • 芳賀 陽子, 芳賀 駿介, 小川 健治, 松本 紀夫, 飯田 富雄, 中田 一也, 菊地 友允, 服部 俊弘, 梶原 哲郎, 榊原 宣
    1983 年 44 巻 2 号 p. 122-126
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    過去11年間に当科外来において乳腺の生検がなされた症例は830例あり,このうち良性疾患は647例(78.0%),悪性疾患は183例(22.0%)であった.男女比は女性775例(93.5%),男性55例(6.5%)で,男性に悪性疾患はなかった.今回は女性生検症例775例について,その年次的な推移や各疾患別特徴などについて検討した.
    生検症例数の年次推移をみると漸次増加の傾向を示し,とくに30歳代の症例,悪性疾患例が増加している.
    年齢別では30歳代がもっとも多く239例(30.8%),ついで40歳代199例(25.7%), 20歳代175例(22.6%)の順である.
    疾患別では乳腺症がもつとも多く285例(36.8%),ついで線維腺腫195例(25.5%),癌腫183例(23.6%)となっている.この3疾患につき年齢別にみると,乳腺症は30~40歳代に,線維腺腫は20~30歳代に,癌腫は40歳以上に多い傾向が認められる.
    癌腫の生検症例に占める割合は, 40歳代では29.0%であるが, 50歳代62.8%, 60歳代75.5%, 70歳代83.3%,となっている.
    乳腺症と癌腫の多くみられる40歳代の症例ではとくにその鑑別診断に留意し,乳腺症の組織診断であっても長期にわたる経過観察が必要である.
    以上,乳腺の腫瘤を主訴とした生検症例における検討の結果, 40歳代以上の症例には癌腫の発生率が高く,腫瘤を認めたものについては生検を行うべきであると考える.また,乳腺症と組織診断されたものでは長期にわたる経過観察が必要である.
  • 小林 哲郎, 弥生 恵司, 梶 正博, 宮内 昭, 神前 五郎
    1983 年 44 巻 2 号 p. 127-131
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    われわれは最近3年間に4例の男子乳癌症例を経験し,同期間における老年期女性化乳房症52例と比較し,以下の結果をえた.
    (1) 男子乳癌は,傍中心性に発生することが多く,比較的早期より皮膚および乳頭の変化を来しやすい. (2) 一方,老年期女性化乳房性は,腫瘤が大きくなっても皮膚および乳頭の変化を来すことはまれで,内分泌療法によく反応する.
  • 浅井 康文, 山田 修, 山口 保, 山岸 真理, 上田 睦, 安倍 十三夫, 小松 作蔵
    1983 年 44 巻 2 号 p. 132-138
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    過去22年間に,先天性大動脈狭窄症23例の外科治療を経験した.
    1) 大動脈弁上狭窄症は4例で,すべて砂時計型であった.全例に人工布によるパッチ拡大術を行った. 1例に大動脈弁上狭窄の解除が不充分なため,術後高度の溶血が生じたが,種々の保存的療法により,術後1年7カ月の現在,正常生活を送っている.他の3例は,術後19年を筆頭に経過良好である. 2) 大動脈弁狭窄症は,原則として,左室・大動脈圧較差50mmHg以上が適応となり, 16例に手術を施行した.直視下交連切開術を14例,弁の荒廃のひどい2例に大動脈弁置換術を行なった.術後の大動脈弁閉鎖不全は2例がSellers 1度, 1例がII度であった.大動脈弁置換を行った1例を,抗凝血薬療法の不備による冠動脈塞栓にて失った.他の17例は若干圧較差を残している症例はあるも,経過良好である.
    3) 大動脈弁下狭窄は3例で, 1例はKelly I型(discrete型)の21歳男性で,経大動脈的に弁下線維輪の切除と筋性線維組織を除去し,術後圧較差は110mmHgより50mmHgとなったが,術後7年6カ月,易疲労性などのため精査予定である.他の2例は13歳および6歳の特発性肥厚性大動脈弁下狭窄で, 13歳は心室中隔のmyotomy後15年で経過良好である. 6歳例は感染性心内膜炎よりの心不全で7年目に失った.
    以上の教室の症例を中心に,大動脈狭窄症について, 2~3の考察を行った.
  • 前田 耕太郎, 山口 ほづえ, 高野 真澄, 中村 修三, 大山 廉平, 藤田 博正, 佐藤 正典, 丸谷 巌, 橋本 敏夫, 富田 濤児, ...
    1983 年 44 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    我々は, Borrmann 4型胃癌に合併した十二指腸球部の腺管絨毛腺腫を経験したので,本邦報告例の検討も加えて報告する.
    症例は67歳の男性で,上腹部痛を主訴として近医を受診し,胃癌と診断され手術目的で来院した.
    高血圧はあるが,家族歴には特記すべき事はなかった,上部消化管レ線で, Borrmann 4型胃癌と,十二指腸球部の鶏卵大の腫瘤陰影があり,内視鏡では,縻爛を有する粗〓な胃粘膜と,十二指腸球部の無茎性カリフラワー状腫瘤を認めた.生検所見では,胃は低分化腺癌で,十二指腸球部は,表面被覆上皮の絨毛状の過形成像と炎症反応がある十二指腸粘膜であった.胃癌と球部乳頭状腫瘤の診断で,腫瘤を含む単純胃全摘術を施行した.切除標本では,胃は幽門前部を残し,全体にBorrmann 4型胃癌が占め,球部には, 7.0×6.5cmの広基性,カリフラワー状腫瘤があった.組織学的には,胃は低分化腺癌で,球部腫瘤は, Paneth細胞を有する腺管絨毛腺腫であり,軽度の異型を認めるが,癌とすべき所見はなかった.
    本症例を含めた本邦報告例94例の年齢は, 25歳から80歳にわたり, 40-70歳に好発し,男女比は, 52:34で,発生部位では,第1, 2部が82例とその殆んどを占めた,症状では,上腹部不快感が各発生部位にわたって多く認められた.大きさは, 59例中46例が直径2cm以上であり,最大は12cmで,有茎性のものが多いが,乳頭部では無茎性の腫瘤が多かった.組織学的には,腺管絨毛腺腫が,約半数を占めた.合併病変は,胆嚢もしくは総胆管の結石が11例あり,胃癌,胃潰瘍も認めた.
    治療は,外科的摘除が主であるが,内視鏡的ポリペクトミーの報告も増加している.治療に際し,開腹摘除時の術中病理診断の必要性と,粘膜内癌の取り扱いについて若干の検討を加えた.
  • 安藤 久実, 伊藤 喬廣, 弥政 洋太郎, 杉藤 徹志
    1983 年 44 巻 2 号 p. 145-148
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    先天性胆道拡張症における胆管の拡張原因として,膵胆管合流異常に伴う膵液の胆管内逆流が重要とするBabbittの説に賛同する意見が多い.しかしわれわれは, 11歳の先天性胆道拡張症の患児を偶然9年4カ月前に手術しており,この間における胆管の拡張程度の変化について検討する機会を得たが,胆管の拡張原因はBabbittの説では説明し難いと考えられたので報告する.
    患児の1歳時の最大胆管横径は10mmで, 11歳時には14mmであった.患児の成長を考慮して,第2腰椎上関節面内側間距離との比をとって比較したところ共に0.50であり,胆管径には変化がないと考えられた.胆汁中アミラーゼは2,680U/dlで,胆管粘膜の脱落もみられたことより,膵液の胆管内逆流が確認できた.膵胆管合流異常を伴い膵液の胆管内逆流がありながら, 9年を経ても胆管の拡張程度に変化を来さなかったことは,膵液の胆管内逆流は胆管拡張とは大きな関連はないと考えられた.
  • 永川 宅和, 浅野 栄一, 東野 義信, 佐久 間寛, 滝 邦知, 高田 道明, 上野 一夫, 小西 一朗, 新村 康二, 泉 良平, 小西 ...
    1983 年 44 巻 2 号 p. 149-152
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    著者らの教室では, PTCドレナージを安全かつ確実に行うため,穿刺に用いるドレナージ針の開発や排液用のドレナージチュブの改良など,幾つかの努力を重ねてきたが,さらに最近,刺入に際して2方向式X続テレビを利用するようになった.この様に行うと,選択的に胆管の穿刺が確実となり,従来困難であった肝門部閉塞症例でもドレナージが容易になった.本法は昭和55年1月より施行され,この1年半で,時には複数のドレナージを行った症例を含め31例に達した.閉塞部位別にその減黄効果の成績をみると,有効例は,下部閉塞90.9%,中部閉塞100%,上部閉塞53.8%であり,とくに上部閉塞例で,従来の方法ではやや有効例を含めても30%以下であったのに対し,本法ではやや有効例を含めると80%近くの有効率を得,明らかな差異をみた.なお,本法によって刺入に成功しても減黄効果不良例が数例あり,これらについても幾つかの観点から検討を行ったので,これらの検討結果ならびに本法の手技についてあわせて報告する.
  • 大山 廉平, 丸谷 巌, 中村 修三, 高野 真澄, 神徳 純一, 山口 ほづえ, 富田 濤児, 西田 一己
    1983 年 44 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    今回,我々は膵体部及び尾部の進行癌の2切除例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例1. 女性, 40歳,主婦. 22歳時より腹部腫瘤を自覚し,増大のため受診した.腹腔動脈造影にて膵尾部癌と診断し,膵体尾部及び脾合併切除,肝転移巣の部分切除術を行なった.膵尾部より下方へ発育した11×6×6cmの腫瘤であり,組織学的にはnon-functioning islet cell carinomaであった.術後2年11ヵ月の腹腔動脈造影にて著明な肝及び局所再発を認めるも,術後11年の現在生存している.
    症例2. 女性, 71歳,主婦. 1年前より腹部腫瘤を自覚し,増大のため受診した. CEA 8.9ng/mlと高く,超音波断層, ERCP, 腹腔動脈造影により,膵体部癌と診断し,膵体尾部及び脾合併切除術を行なった.腹腔動脈も切断したが,肝・胃への血行は上腸間膜動脈から胃・十二指腸動脈を介し保持され,胃を温存可能であった.術後CEAは正常値へ復した.腫瘍は膵体部上部より発生し, 10×12×6cmを呈し,組織学的にはnon-functioning islet cell carinomaであり,術後1年の現在,再発微候はなく,健在である.
    膵体尾部癌の切除率は極めて低く,予後も不良である.しかしラ氏島を原発とする腫瘍では,長期生存切除例もあり,膵管上皮原発の膵癌との生物学的態様の差に注目され,従って膵癌に於ける早期癌の概念に一考が必要とされる,ラ氏島腫瘍の良・悪性の鑑別は難しさがあり,また非活動性の場合には,悪性度が活動性よりも非常に高い.診断に関し,腹腔動脈造影法が非常に有効であり,更にERCPが強く活用されるべきである.術式に関し,その根治性の点からappleby手術を応用した報告もあるが,腹腔動脈を切断し,胃を温存しつつ,膵体尾部脾合併切除を行なう事も可能であり,今後検討されるべきであろう.また, CEAについて自験例では,切除と共に著明な低下を来し,その消長に注目される.
  • 金 秀男, 勝見 正治, 田伏 克惇, 河野 裕利, 野口 博志, 青山 修, 小林 康人, 川嶋 寛昭
    1983 年 44 巻 2 号 p. 160-166
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    1972年4月から1982年3月までの10年間に当教室で経験した慢性型ITP脾摘症例は5例,骨髄線維症脾摘症例は2例(うち1例は小児例)であった.
    脾摘結果を慢性型ITP症例については, 1) 術前術後の血小板数の変動, 2) 術後corticosteroids投与の有無, 3) 術後出血性素因の再発の有無の3点より,また,骨髄線維症症例については, 1) 術後脾機能亢進症の改善の有無, 12) 術後合併症の有無, 3) 脾腫による隣接臓器の圧迫症状の改善の有無の3点より検討し,これら2疾患の手術適応,手術時期および脾摘効果に影響を及ぼすと考えられる因子に関し若干の考察を加えた.
  • 綾部 公懿, 君野 孝二, 梶原 啓二, 田川 泰, 石橋 経久, 江口 正明, 高田 俊夫, 中尾 丞, 川原 克信, 石井 俊世, 中村 ...
    1983 年 44 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    肺癌の小腸転移は比較的稀であり,その報告例も少ない.著者らは最近肺癌の小腸転移に対する手術を経験した.
    患者は50歳の男性で右肺上葉原発性肺癌に対し右肺上葉切除術を施行した.組織型は低分化腺癌であり,肺門,縦隔リンパ節には転移はみられなかった(T2NoMo Stage I).しかし術後28日頃より腹痛,嘔吐をきたすようになったので,小腸造影をおこなったところ腸重積症が疑われた.開腹術を施行した結果,空腸に腫瘤を先進部とした腸重積症が存在したので,重積部を解除後,腫瘤を含め小腸を切除し,端々吻合をおこなった.摘出標本にて肺癌の空腸転移と診断された.この症例を報告するとともに本邦における肺癌小腸転移に対する小腸切除の施行された11例の報告例を加え検討した.
    肺癌原発巣はいずれも進行癌のため自験例を除いては肺切除は施行されず,放射線療法を中心にした治療がおこなわれている.組織型は低分化腺癌が6例と半数を占め,低分化扁平上皮癌3例,大細胞未分化癌2例,未分化癌1例と殆んどが低分化癌であった.開腹の理由は腸閉塞6例,消化管穿孔による汎発性腹膜炎5例,下血1例であったが,開腹前に肺癌の小腸転移と診断されたものは1例もなかった,手術は殆んどが腫瘤を含めた小腸切除,端々吻合がおこなわれているが,バイパス手術の併用も少数にみられた.再開腹の施行された2例はいずれも新たな小腸転移巣の穿孔による汎発性腹膜炎によるものであった.予後は肺癌進行例が多いことから当然不良で, 2例を除いて9カ月以内に他臓器遠隔転移の出現または呼吸不全により死亡している.
  • 西方 俊, 武 純, 丹正 勝久, 黒須 康彦, 森田 建
    1983 年 44 巻 2 号 p. 174-177
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    虫垂炎の診断にて約1年半前に虫垂切除術を受け,右下腹部に有痛性腫瘤を来たした47歳男性で,バリウム注腸造影にて盲腸内側の陰影欠損と回腸末端の狭小化を認め,大腸ファイバースコピー,生検にて盲腸の炎症性腫瘤を疑い,腫瘤を含めて回盲部切除を行なった.組織学的には,著明な結合組織の増生を伴った炎症性の腫瘤であり,現在の疾患分類に属さぬ非特異性炎症性腫瘤の一例と考え,ここに報告した.
  • 丹山 桂, 舘林 欣一郎, 年光 昌宏, 山時 脩, 美崎 幸平, 福田 進太郎
    1983 年 44 巻 2 号 p. 178-182
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    Mirizzi症候群の手術では,炎症による癒着や合流部結石のため総肝管に欠損が生じ再建に苦慮することがある.我々も2例の症候群で胆管欠損を生じたので報告した.
    症例1は52歳の男性で半年前よりの黄疸と発熱を主訴として来院した.胆のう及び胆道の悪性腫瘍の診断にて開腹したところ,胆のう頚部の結石が肝管合流部に穿破している状態であった.総肝管に半周の欠損が生じ直接縫合が困難であったので右肝管へはTチューブを,左肝管へはストレートチューブを挿入し欠損部を粗に縫合した.以後2年になるが経過は良い.
    症例2は53歳の女性で主訴は右季肋部痛であった.逆行性胆道造影にて総胆管及び胆のう結石の診断にて開腹術を行なった.結石は胆のう管と総肝管にまたがるように存在し採石後には総肝管に1/3周の壁の欠損を生じた,右肝管内にTチューブを挿入し欠損部は粗に縫合し,術後狭窄をきたさないようにした.以後6カ月をすぎたが経過は良好である.
    Mirizzi症候群の手術での胆管欠損は側面の部分欠損が主である.全周欠損をきたした場合は直接端々吻合や総肝管空腸吻合もやむをえないが,部分欠損ではそのような方法では術後狭窄をきたしたり過大な侵襲となることもあるので,チューブドレナージが良い方法と考えれる.
  • 河村 正生, 白羽 誠, 須藤 峻章, 竹本 雅彦, 石山 堅司, 梅村 博也, 久山 健, 青木 矩彦, 榎本 雅一, 山本 俊夫
    1983 年 44 巻 2 号 p. 183-190
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    両側結節性副腎皮質過形成によるクッシング症候群について報告する.この患者はクッシング症候群の典型的な症状を呈し,デキサメサゾン抑制試験の大量法に反応を示した. LVPテスト, ACTH刺激試験やその他の内分泌学的検査により,腫大した副腎はわずかではあるがACTHに対する感受性を示したため,経鼻的に脳下垂体マイクロアデノーマ剔除術が施行された.症状は部分的に改善したが,高コルチゾール血症は持続し,その後10カ月間に徐々にその値は上昇した.そこで我々は両側副腎全剔術を行い,症状は完全に治癒した.剔出した副腎は両側合計114gであり,その表面および割面には様々な大きさの結節を多数認めた.我々はここに,若干の文献的考察を加えると共に,この病態の原因が副腎原発というよりも,むしろ間脳下垂体系にあるのではないかと推察した.
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