日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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44 巻, 5 号
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  • 渥美 和彦
    1983 年 44 巻 5 号 p. 457
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 現況と将来の展望
    阿久津 哲造
    1983 年 44 巻 5 号 p. 458
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 44 巻 5 号 p. 459-468
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 44 巻 5 号 p. 469-478
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 44 巻 5 号 p. 479-487
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 44 巻 5 号 p. 488-511
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 加辺 純雄, 大森 幸夫, 本田 一郎, 武藤 輝一
    1983 年 44 巻 5 号 p. 512-516
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胃癌進行度分類における4因子のなかでも重要な漿膜浸潤において, stage Iを規定する予後的漿膜面因子陰性ps(-)の均一性の有無をみるため,治癒切除が施行されたps(-)例213例を用い,深達度ならびに各種予後規定因子につき検討し,次の結果を得た.同じps(-)群のなかにあっても,深達度が深くなるにともない: 1) 5年生存率はm 91.2%, sm 88.4%, pm 77.1%, ssα, β43.2%と減少した; 2) 肉眼分類で浸潤型である4型は0.9%と大変稀であったが,早期癌では陥凹型が増加し,進行癌では潰瘍型が増加した; 3) 組織型ではsigが減少した; 4) 間質リンパ球浸潤中等度以上例が減少し,軽度乃至陰性例が増加した; 5) 転移リンパ節個数が増加した; 6) n番号ならびにstageが増加した.
    以上より同じps(-)とされている症例であっても,その深達度による変化は, 5生率,肉眼型,組織型,間質リンパ球浸潤,転移リンパ節個数, n番号とstageに連動して変化を起こすことから,壁深達度の重要性がps(-)例においても認められた.
  • 花上 仁, 野本 信之助, 吉崎 聰
    1983 年 44 巻 5 号 p. 517-521
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍患者に対する免疫療法を効果的に行うためには治療経過中に担癌患者の免疫能,特に腫瘍免疫上重要な細胞性免疫の状態を把握し予後を推定することのできる信頼にたる免疫学的パラメーターを持たねばならない.現在一般で広く用いられている免疫学的パラメーターの再評価を目的として,溶連菌製剤OK-432とFT 207による免疫化学療法が2ヵ月以上施行された手術不能胃癌患者41例において治療開始前,開始後定期的に末梢血リンパ球数とそのT-cell比, purified protein derivarate (PPD), phytohaemoaglatinin (PHA), polysaccharide extracted from Su-strain of streptococcus pyogens (Su-Ps)による皮内反応,溶連菌菌体凝集抗体価が測定され,それぞれ患者の生存期間,生存率との関連について統計学的に再検討された.治療開始後2ヵ月において測定した免疫学的パラメーターでは,末梢血リンパ球のT-cell比, PHA皮内反応以外すべての色疫学的パラメーターが正常値を示した症例はその他の症例に比較し有意に優れた予後を示した.なかでも, OK-432と密接な関連をもつSu-PSによる皮内反応と溶連菌菌体凝集抗体価は,担癌患者の生存期間,生存率を最も忠実に反映しているので, OK-432の免疫療法において推賞できる免疫学的パラメーターと考えられる.
  • 大森 勝寿, 三川 正秀, 加藤 政男, 星野 正美, 渡辺 岩雄
    1983 年 44 巻 5 号 p. 522-528
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    担癌生体では,血清中に糖蛋白が増加するといわれている.
    我々は胃癌,大腸癌,肝胆道系癌,乳癌,甲状腺癌などの悪性腫瘍患者を主とした157例の血中過塩素酸可溶性糖蛋白(Acid Soluble Glycoproteins: ASP)を, ASPRO-GP Kitを用いて測定し,病態との関連から臨床における意義を検討した.
    健康成人の血清ASP値は108.6±24.4mg/dlであるが,胃癌では155.9±67.0mg/dl,大腸癌137.1±34.1mg/dl,肝胆道系癌220.3±101.7mg/dl,乳癌125.2±42.7mg/dl,甲状腺癌123.5±35.5mg/dlと,いずれも高値をとっており, 160mg/dl以上の症例は全体の32%を占めていた.最高値を示したのは,肝癌の症例であった.
    Stage別にみると,進行するにしたがって血清ASP値も上昇する傾向があり,胃癌では, Stage IVの75%が200mg/dl以上であったが,このような高値例は手術不能の経過をとった.
    甲状腺の疾患別検討では,亜急性甲状腺炎に癌腫例より高い値を示す例がある.
    治療前後の変動は,治療効果がうかがわれる症例では,明らかに前値より減少する傾向がみられ,全体として概略10%の減少が得られたが,試験開腹に終った例では増加していった.
    各種検査と血清ASPの関係は, α1-globulinとの相関が推測されたが, CEA, AFPやT cell, IgG FcR+ T cellなどとの関連は見出し難なかった.
    以上より,血清ASPの変動は,担癌生体の病態をある程度反映するように思われるが,これのみで判断することは困難であり,他のParameterと対比して検討するなら,悪性腫瘍患者の経過観察に際し,有用な一指標となり得ると考えられた.
  • 橋本 直樹, 石川 羊男, 山村 武平, 芦田 寛
    1983 年 44 巻 5 号 p. 529-533
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    昭和48年8月から昭和56年12月までに教室で治療した食道静脈瘤症例114例のうち直死例を除き,術前に50g OGTTを施行しえた症例23例を対象とし, 1年以上の生存例(A群)と1年未満死亡例(B群)の2群に分け,糖代謝動態を中心に比較検討した.
    (1) 血糖pattern:両者ともparabolic typeで差はみられなかった.
    (2) 50g OGTTにおけるInsulin動態: 30'ΔIRI/ΔBSはA群で平均0.85, B群では0.5とp<0.10であるが両者に差が認められた.一方ΣIRIではA群で495μu/ml B群で350μu/mlと両者に有意差は認あられなかった.
    (3) 総ビリルビン(T-B)アルブミン(Alb)コリンエステラーゼ(ChE) KICGでの比較: T-BではA群1.2mg/dl B群で1.4mg/dl AlbではA群3.1g/dl B群3.2g/dl ChEではA群3.5IU B群3.4IUと共に両群において有意差は認められなかった.一方KICGではA群0.08 B群0.05とp<0.05で両者間に有意差が認められた.
    (4) 以上よりKICGおよび50g OGTTにおける30'ΔIRI/ΔBSは共に手術予後判定の基準になりうることが判明した.そこで両者の相関を検討してみるとp<0.05r=0.46で正の相関がみとめられ, x2分布で検定するとKICG>0.08, 30'ΔIRI/ΔBS>0.8ではp<0.01で9例中全例に1年以上の生存がみられ,一方KICG<0.05, 30'ΔIRI/ΔBS<0.5ではp<0.01で4例中3例に死亡がみられた.
    以上より膵β細胞の機能を反映する, 50g OGTTにおける30'ΔIRI/ΔBSは肝の予備力の指標になり, Hepatotrophic factorの1つであるInsulin分泌反応の良好な症例ほど,術後肝不全に陥いりにくい傾向がみられた.
  • 宍倉 実, 高田 忠敬, 安田 秀喜, 内山 勝弘, 増田 丈実, 山川 達郎
    1983 年 44 巻 5 号 p. 534-539
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胆石症術後の総胆管遺残結石は近年でも約5~10%に存在し,胆道外科において今もなお問題とされる1つである.これに対し種々の非観血的截石術の進歩は目ざましいものがある.本研究は術後胆道鏡により総胆管遺残結石を治療した症例を対象として,それによる截石成績,ならびに完全截石とされた症例の追跡調査を行ない術後胆道鏡治療の再評価を試みたものである.
    総胆管遺残結石に対し術後胆道鏡による截石術が行なわれたものは48例で,うち45例は術後胆道鏡療法で完全截石とし得た.残り3例はT-tube瘻孔の破壊,巨大結石,遺残胆嚢胆管内結石のため治療困難例とされ,再手術が行なわれた.追跡調査は術後胆道鏡により完全截石とされた45例に行ない, 45例中5例に胆管結石を発見した.うち2例は再発結石, 3例は遺残結石であった.再発結石例は,嚢腫状胆管拡張症例で胆汁うっ滞によるもの1例と,絹糸結石1例であった.遺残結石例の3例はretrospectiveにみると截石完了時の胆管像に結石透亮像が存在し,いずれも截石完了の判定に問題がみられたものである.このような截石完了時の判定には慎重性が必要とされるものであり,術後胆道鏡直視下選択的胆管造影法の重要性を確認した.
  • 滝沢 隆雄
    1983 年 44 巻 5 号 p. 540-550
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    著者は細菌感染を有するか,あるいはまたその病態に細菌が一つの重要な役割を果していると思われる外科的消化器疾患におけるエンドトキシン血症の発現頻度をLimulus Testにより検索すると,腹膜炎では34.9%で,腹膜炎以外の疾患の14.7%に比べて明らかに高率であった.さらにLimulus Test陽性例の死亡率は38.9%で,陰性例の16.4%に比べて明らかに高い値を示し,とくに腹膜炎では陽性例が50%で,陰性例の21.9%に比べて著しく高い値を示した.
    そこで,腹膜炎の死因におよぼす腸内細菌,とくにグラム陰性桿菌のエンドトキシンについての役割を明らかにするために,主として無菌動物を用いて実験的に研究した.
    ICR系無菌マウスに腸管穿孔を起こすと,腹膜炎が惹起され,無菌群の生存時間は平均164時間であったのに対し,大腸菌単独汚染群の生存時間は無菌マウス群に比べて約1/6という短縮がみられた.無菌群の腹腔内と腸管内容は全く無菌であったが,大腸菌単独汚染群の腸管内容はもちろんであるが,腹水中からも大腸菌がfull growthの状態ともいうことが出来る程の極めて大量が検出された.大腸菌単独汚染群では無菌群と異なり,血中にエンドトキシンが明らかに出現する事実が,抗エンドトキシン・ウサギ血清を用いたmicrotitorによる感作血球凝集阻止反応によって確認された.
  • 鬼束 惇義, 渡辺 寛, 尾関 豊, 不破 誠行, 松本 興治, 広瀬 光男
    1983 年 44 巻 5 号 p. 551-555
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    従来,薬物療法に抵抗する難治性腹水に対しては腹腔穿刺を繰り返すより方法がなかったが,近年これらに対し腹腔・大静脈シャントが用いられるようになり良好な結果が得られている.このシャントの造設で大量の腹水が一挙に循環系に流入することによりおこる循環動態の変化を, 6症例についてSwan Ganzカテーテルを用いて検討した.
    術前に大量の腹水を有する患者は,心指数,右房圧が低く,全末梢血管抵抗は上昇し,心仕事量は低下しておりhypovolemiaの傾向にある.これらの症例にシャントを施行すると,シャント植え込み当日に,心指数,右房圧が上昇し,全末梢血管抵抗は低下,心仕事量は増加しoverhydrationの状態となるが,手術翌日からは心指数は高いが,肺動脈楔入圧,全末梢血管抵抗は低下し, hyperdynamicの傾向を持続するようになる.すなわち腹腔・大静脈シャント造設後の循環動態は手術当日にもっとも急激な変化を示し,植え込み直後の手術室の段階からSwan-Ganzカテーテルによる厳重な管理を必要とするが,手術翌日からはほぼ安定し,この時期を過ぎれば循環動態的には危険はないと考えられる.
  • 善甫 宣哉, 小林 修, 新谷 清, 守田 知明, 兼行 俊博
    1983 年 44 巻 5 号 p. 556-560
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    患者は56歳の男性で,右胸腔内腫瘤と胃潰瘍の診断で入院した.胸部エコー, CTスキャンを施行,心膜嚢腫と診断した.胃切除の後,右第5肋骨床,前側方開胸を行なった.嚢腫は,小児頭大で右心横隔膜角にあり,心膜と有茎性に連結していた.組織学的に,嚢腫内面は一層の中皮細胞で被われ,周囲に粗性結合織の増生とリンパ球の浸潤を伴っていた.
    心膜嚢腫は比較的まれな疾患であるが,増大すると種々の圧迫症状を呈し,悪性化の報告もある.他疾患との鑑別が困難なものや,症状を有する場合は,積極的に摘除すべきである.
  • 岡本 好史, 山田 公弥, 小野 恵司, 児玉 啓介, 渡辺 裕
    1983 年 44 巻 5 号 p. 561-565
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    年齢16~80歳,平均62歳,男性18例,女性7例の25例にextranally stented PTFE人工血管を使用したextra-anatomicバイパス術式を施行した.使用した人工血管のサイズは8 mmが14例, 6 mmが8例であった.
    extra-anatomicバイパスの種類は,大腿-大腿動脈交叉バイパス法16例,閉鎖孔を介する腸骨-大腿動脈バイパス法3例,大腿-膝窩動脈交叉バイパス法1例,両側腋窩-大腿動脈バイパス法2例,腋窩-両側大腿動脈バイパス法1例,腕頭-鎖骨下動脈バイパス法1例,頸動脈-鎖骨下動脈バイパス法1例であった.
    54歳,男性で右腸骨動脈閉塞症に対する腸骨-大腿動脈バイパスが閉塞し再手術として大腿-大腿動脈交叉バイパスを施行したが, 6ヵ月後に再閉塞をきたした.経路およびanastomotic geometryの異常が主要な因子と考え,右閉鎖孔を通る左腸骨動脈-右大腿動脈交叉バイパス術を通る左腸骨動脈-右大腿動脈交叉バイパス術を施行しその後よく開存している.
    いまだ最長で約2年の経過観察にすぎないがgraft failureは上記の1例のみであった. extra-anatomicバイパスを施行するにあたって従来の人工血管では早期閉塞の中にも,また晩期閉塞の中にも人工血管の緊張圧迫,変形等に無理な体位が加わり血栓閉塞にいたることがあることを知った.体腔内に移植する人工血管とは異なり管腔を維持するということはきわめて重要となる. extranally stented PTFE人工血管はこの条件に近いものとしてえらんだ.
    周囲よりの圧迫・屈曲によく抗し,従来の人工血管より開存成績の向上が期待される.
  • 石田 寛
    1983 年 44 巻 5 号 p. 566-569
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    症例は71歳の女性で胸部異常陰影を指摘され,当外科に入院した.縦隔腫瘍の疑いで開胸術を施行しMorgagni孔ヘルニアと判明し,経胸的にヘルニア根治術を行ない治癒せしめた.術後経過順調で50日目に退院し現在まで再発をみていない.
    全横隔膜ヘルニアのうちMorgagni孔ヘルニアの頻度は2-3%にすぎず稀な疾患である.
    Morgagni孔ヘルニアの発生要因は,先天性であるが,肥満や妊娠による筋肉の脆弱化等の後天的要因も加わりうるものとされている.
    本症の症状は比較的軽微であり他疾患の検査時や健康診断に偶然発見されることも多い.
    ヘルニア内容が大網や実質臓器の場合,診断が容易でないことがあり,横隔膜上に胸腔内または縦隔内腫瘍を思わせる陰影がみられた場合には本症をも念頭に置くべきである.
  • 武 純, 鈴木 時雄, 森田 建
    1983 年 44 巻 5 号 p. 570-576
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胃内視鏡検査などの発達にともない,いわゆるメネトリエ病についても種々の論議がなされているが,その概念や名称はいまだに確立されていない.われわれは,全胃に巨大皺襞とPolyposisを合併し,メネトリエ病の概念に興味ある示唆を示した極めて稀な一症例を経験し,胃全摘により治癒せしめた.
  • 菅野 干治, 岡田 恒良, 平田 善久, 吉田 博, 斉藤 和好, 森 昌造
    1983 年 44 巻 5 号 p. 577-581
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    肝海綿状血管腫は比較的稀な疾患とされている.最近,われわれは肝海綿状血管腫の1治験例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は58歳の主婦で昭和57年1月頃より心窩部痛,悪心,食思不振がみられるようになり,当科入院時までに10kgの体重減少がみられた.精査の結果,肝右葉後区域と肝左葉外側区域の海綿状血管腫と診断した.肝左葉外側区域の血管腫は6.0×5.5cmと大きく, Adamら1)の巨大血管腫に相当し,かつ疼痛,発熱を繰り返し,食思不振から体重減少も著明であったので手術適応と考え,肝左葉外側区域切除術を施行した.右葉後区域の血管腫は3.0×3.0cmと小さく,血流遮断と縫縮術を行った.術後には上記症状は消失し,元気に退院した.本症の診断には腹腔動脈造影とCTが有用であった.
  • 堀田 敦夫, 深井 泰俊, 菊川 政男, 吉川 高志, 桜井 隆久
    1983 年 44 巻 5 号 p. 582-588
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    過去10年間に教室で手術を施行した胆石症手術症例339例中5例(1.5%)にConfluence stoneを経験した.主要症状は黄疸(4例),発熱(3例),右季肋部痛(2例)であった. Confluence stoneの診断はなかなか困難とされているが自験例では4例が確定しており他の1例の診断は胆のう結石,総胆管結石であった.診断を確定させた検査方法はPTC, 或いはPTC Drainageからの胆管造影であることから直接胆管造影法の重要性が示唆される.手術方法は症例によって相違する点があるが胆のう摘出後出来れば拡張した胆のう管開口部から截石しその部にT字管を設置する術式が術後胆道狭窄の発生を防止するのではないかと考える.
  • 稲葉 周作, 黒須 康彦, 岡村 治明, 森田 建, 逸見 明博, 桜井 勇
    1983 年 44 巻 5 号 p. 589-592
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    我々は,最近, 28歳,女性で,虫垂に主病巣を有し,組織学的にEpithelioid cell granulomaの所見を呈した症例を経験した.そこで,症例の概略について報告するとともに, Läwenの狭義の線維形成性虫垂炎,および虫垂にGranulomaを形成する疾患,それもとくに,結核,クローン病, Yersinia感染症, Granulomatous appendicitisとの関連について,文献的に考察を加えた.本例は,現時点では, Payanらが述べているごとく, Granulomatous appendicitisと診断するのが最も妥当と思われた.
  • 光野 正人, 野田 和人, 朝倉 孝弘, 山田 育宏, 田原 昌人, 木曽 光則, 松井 俊行, 小山 〓甫, 福富 経昌, 吉岡 一由, ...
    1983 年 44 巻 5 号 p. 593-599
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    近年,結腸憩室症は,診断技術の進歩により,その報告例が増加している.最近,私達は, S状結腸憩室症に合併した結腸膀胱瘻の1症例を経験したので,その症例報告に,若干の文献的考察を加えて報告した.
    症例は気尿および糞尿を主訴とした46歳の男性で,膀胱鏡にて頂部左後壁に周囲粘膜の発赤を併った小隆起が観察され瘻孔開口部と思われたが,注腸造影では, S状結腸~下行結腸にかけ多数の憩室を認めたものの,両病変の間に瘻孔は確認できなかった.
    手術所見上, S状結腸中央部が膀胱体~頂部後壁と炎症性に固く癒着し腫瘤状になっていた.瘻管の1部を含めてS状結腸を切除し,端々吻合した後,膀胱を瘻管部を含めて部分切除し, 2層に縫合閉鎖した,術後8日目に結腸吻合部の縫合不全をきたし,人工肛門を造設した.翌年5月に人工肛門閉鎖を行った.
    結腸憩室症の多くは,外科的治療の対象とはならない.しかし,憩室炎による合併症を生じた場合は,外科的治療が必要となる.本疾患による合併症の1つである結腸膀胱瘻は,欧米では多数の報告例があるが,本邦では,私達が集計した限りでは,自験例を含めて24例のみであった.その男女比は, 17:7と男性に多く, 40~60歳代に多く見られた.症状は,膀胱剤激症状,気尿,糞尿など,泌尿器科的症状が多かった.手術方法については,最近では, One-stage operationで好成績を納めたという報告が多いが,本症例のような,炎症性変化の強い症例ではMultiple-stage operationも考慮されるべきであろう.
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