日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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44 巻, 6 号
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  • 1983 年 44 巻 6 号 p. 603-612
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 44 巻 6 号 p. 613-622
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 44 巻 6 号 p. 623-633
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 44 巻 6 号 p. 633-638
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1983 年 44 巻 6 号 p. 639-647
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1983 年 44 巻 6 号 p. 647-656
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1983 年 44 巻 6 号 p. 656-667
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 加辺 純雄, 大森 幸夫, 本田 一郎, 武藤 輝一
    1983 年 44 巻 6 号 p. 668-674
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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    年齢が他の胃癌予後規定因子におよぼす影響をみるために,深達度mの癌を除き,治癒切除が施行された胃癌338例,所属リンパ節10,134個(1例平均30個)を用い検討した.
    年齢を40歳未満, 40~69歳, 70歳以上の3群にわけ,他の胃癌予後規定因子との関係を検討し次の結果を得た.年齢の上昇にともない: 1) 男女比が1.25から4.0へと男性の比が増加した: 2) 占居部位ではAが増加した; 3) 肉眼的癌型分類では限局型である2型が増加した; 4) 組織型ではpap, tub1, tub2といった分化型腺癌が増加し, por, sigといった低分化型腺癌が減少した; 5) 深達度でsmが減少し. ssα, βが増加した; 6) 転移リンパ節個数が減少した; 7) 5年生存率が減少した; 8) 加齢と間質リンパ球浸潤減少を組合せると, 5生率の減少はより著明となった.
    以上より治癒切除における加齢は,他の胃癌予後規定因子にも影響をおよぼす重要な因子であった.
  • 高場 利博, 片岡 徹, 吉沢 綱人, 舟波 誠, 堀 豪一, 門倉 光隆, 石井 淳一
    1983 年 44 巻 6 号 p. 675-680
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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    昭和47年7月から昭和57年6月までの10年間に経験した65歳以上の急性腹症症例について,とくに血管疾患を中心に検討した.
    症状別にみるとイレウスが最も多く.次いで穿孔性,非穿孔性を含めた炎症で,この2群で全体の約2/3を占めた.他には出血,血管性のもの,疼痛を主徴としたものであった.血管疾患を除くと,急性腹症発生の基礎に悪性疾患が存在している場合が多く,これはヘルニア嵌頓,腹部大動脈瘤などとともに高齢者における特徴と考えられた.
    腹部大動脈瘤は予想していたよりも多く,加齢とともに腹痛を主とした症状の発現がみられ,この症状の発現は破裂の危険信号であることが確認された.破裂例も高齢となるにしたがってその頻度は高くなり,また破裂例の手術予後は不良であることから,破裂前に本症を診断し,外科治療を行なうことが重要である.
    上腸間膜動脈閉塞症は高齢者では症状発現から外科治療までの時間が長くなり,診断に未だ問題を残している.本症ではEndotoxinの関与により術後経過を不良とする例がみられ,また術後急性期を乗り越えても,広範囲小腸切除となる例が多いことから,術後の栄養管理に未解決の点もあり,社会復帰の困難な例がみられた.
    解離性大動脈瘤も急性腹症として取扱われることがあり,今回の対象の中には2例あった.腹痛のみならず,麻痺性イレウスを伴った例もあり,鑑別診断上注意すべき疾患である.
  • 鑑別を要する比較的稀な疾患について
    里見 昭, 石田 清, 時松 秀治, 森田 孝夫, 阪田 章聖, 高橋 茂樹, 三宅 由子
    1983 年 44 巻 6 号 p. 681-687
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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    頚部の異常を主訴として来院する小児は少なくない.一概に小児の頚部疾患といえども先天性奇形,炎症,腫瘍に由来するものなど多彩である.これら疾患のうち,多くはリンパ節腫脹であるがなかには,比較的稀な疾患も含まれており,特に腫瘍の場合,存在部位や性状などの理学的所見のみでは確定診断が困難である症例もみられる.しかも小児期の頚部疾患に関する統計的報告は,内外をとわずきわめて乏しい.これは,頚部という発生部位の関係上,対象となる科が多く多岐にわたっている事,また臓器系統が単一でなく,多種多様である事などが一因と成り,発生頻度の正確な実態を把握できないものと考えられる.そこで,我々は,埼玉医科大学第2外科で経験した70症例について検討し,あわせて,我々の経験した症例の中で,鑑別する必要がある稀な頚部疾患について紹介した.
    小児頚部疾患は,充分な認識が無いと過大侵襲になりかねず,その特殊性を充分に認識して,検査,治療にあたるべきである.
    ちなみに,教室の症例70例のうち,先天性奇形によるものが16例(23%),炎症性疾患が36例(51%),頚部腫瘤が18例(26%)であった.年齢別頻度は, 5歳以下の乳幼児が43例(61%)で,特に1歳以下の症例が20例(29%)を占めていた,男女比は, 34:36でほとんど差を認めなかった.
  • 石田 常博, 佐藤 治夫, 細野 治, 飯野 佑一, 星野 和男, 横江 隆夫, 水口 滋之, 佐藤 尚文, 川井 忠和, 泉雄 勝
    1983 年 44 巻 6 号 p. 688-694
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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    甲状腺に発生する血管腫は極めて稀なものであるが,最近教室では甲状腺海綿状血管腫の3症例を経験したので報告するとともに,内外の文献的報告例を集計し,考察を加えた.
    〔症例1〕57歳,女性. 20年前に前頚部腫瘤を指摘され, 3年前より急速増大をみた.甲状腺右葉に手拳大,弾性硬,表面平滑,多少可動制限のある腫瘤を触知する.癌の疑いをおいて右葉切除.腫瘤は8×6.5×3cm, 180gで,厚い線維性被膜に包まれ,内部は血液凝塊と壊死巣が混在していた.
    〔症例2〕4歳,男児. 1年前に前頚部腫瘤に母親が気付き,徐々に増大した.腺腫の診断下に手術すると,錐体葉に青色調の内容が透見される小嚢胞状腫瘤があり,これを剔出した. 1.8×0.9×0.3cm, 3gで血液を混じた海綿状構造を示した.
    〔症例3〕46歳,男性. 20年前に前頚部腫瘤に気付き,徐々に増大. 1ヵ月前の発熱時より急速増大,圧迫感,体重減少を訴えた.右葉に可動性不良の巨大腫瘤があり,一部に膿瘍化をみた.穿刺吸引細胞診は血性液が吸引され,悪性像はない.右葉切除で,腫瘤は14×10×9.5cm, 590gであった.以上3症例とも組織像は海綿状血管腫であった.
    甲状腺血管腫の文献的報告例は今回の3例を含めても14例と極めて稀なものである.年齢は生後21日~57歳までにわたり,男女比は7:6である.急性増大や圧迫症状を伴う症例があり,腫瘤もかなり大きくなるものもあるが,今回の症例3の14cm大, 590gが最大である.術前診断はほとんど困難であり,腺腫ないし癌の疑いにて手術を行ない,組織学的にはじめて判明されることが大部分である.治療は健常甲状腺を含めた腫瘤別出術にて,その予後は全く良好である.
  • 小池 綏男, 花村 直, 大橋 昌彦, 丸山 雄造
    1983 年 44 巻 6 号 p. 695-698
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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    症例は39歳,女性. 19年前に気付いていた左乳腺腫瘤が, 3回の分娩後,急激に増大し,腫瘤部の疼痛と熱感を訴えて来院した.葉状線維腺腫の疑いのもとに腫瘤摘出術を施行した.腫瘍は病理組織学的には渦状ないし流線状の構造を示す短紡錘型細胞の増生から成り,一部に胞体が好酸性の細顆粒状構造を示す悪性葉状嚢胞肉腫の部分と,管周囲型線維腺腫,小嚢胞状拡張あるいは乳頭状増生を示す良性部分から成っていた. Maddenの手術を追加したが,組織学的にリンパ節転移は認めなかった.術後, 5-Fluorouracilを1日600mg, 計39.6g投与した,以上の症例を報告するとともに若干の文献的考察を行った.
  • 小森山 広幸, 金杉 和男, 福田 護, 山口 晋, 渡辺 弘
    1983 年 44 巻 6 号 p. 699-705
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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    両側乳癌は原発性両側乳癌と転移性両側乳癌があり,前者は同時性,異時性に分けられる.欧米において両側乳癌の記載は古く1800年までさかのぼることができ,今日まで多数の報告がある.本邦では1960年代に原発性,転移性についての診断基準が論議されたが,いまだにそのcriteriaは定まっていない.原発性,転移性を厳密に区別することは困難な場合も少なくなく,われわれは臨床,病理組織の両面より総合的に判断している.
    昭和49年2月より昭和57年11月までの8年10カ月間における聖マリアンナ医科大学第一外科での男性乳癌,外人症例を除いた乳癌手術症例は410例であった.このうち両側乳癌と診断された症例は20例(4.8%)で,同時性両側乳癌10例,異時性両側乳癌10例であった.これら症例のうち,診断,治療,追跡においてそれぞれ問題となった症例を提示した.また20症例を検討した結果,次の様な点が指摘できた.
    (1) 初診時には両側乳房のマンモグラフィーを撮影する必要がある.
    (2) 術後の経口抗癌剤投与法につき,対称的な病態を示した症例を経験したため,投与方法や期間の再検討が必要とされた.
    (3) 外来追跡においては定期的に対側乳房の検索が必要である.
    乳癌が増加している現状をみると,両側乳癌ことに異時性両側乳癌に遭遇する機会も多くなるものと思われる.したがって術後の再発,転移を検索することは勿論であるが,対側乳房への充分な配慮も必要であると考えられた.
  • 松本 賢治, 石飛 幸三, 古田 凱亮, 折井 正博, 阿部 令彦
    1983 年 44 巻 6 号 p. 706-711
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    重複下大静脈奇形の報告は剖検例では多いが臨床例ではまれである.われわれは最近4例の臨床例を経験したので,本邦における臨床報告例を検討するとともに,重複下大静脈奇形の臨床面における問題点について若干の考察を加えて報告する.
    症例1は再発をくり返す下肢深部静脈血栓症にみられたものであり,症例2は肝癌に伴い偶然発見されたもの,又,症例3, 4は左下肢静脈瘤に伴うものである.このうち症例3, 4においては左側下大静脈に還流障害の存在することが証明され,静脈瘤発生との因果関係が示唆された.
    一方,本邦における臨床報告例はこれまで13例であるが,ほとんどが泌尿器科領域の疾患あるいは合併奇形により発見されたものである.従って,重複下大静脈奇形そのものが臨床症状に影響を及ぼしたと思われるような症例の報告はまれである.
    ここで,左側下大静脈に還流障害が出現するのは,同静脈が腎静脈と合流して右側下大静脈に流入する際,解剖学的に脊椎骨と大動脈を乗り越えねぽならず,そのため同部に圧迫が生ずることが主因と考えられた.さらに,左右総腸骨動脈による左総腸骨静脈及び左右総腸骨静脈間吻合枝への圧迫も一因をなすものと思われる.従って,今後このような症例に対しては左下肢静脈瘤の増悪や,静脈瘤手術後の再発,静脈血栓症の発生等に対して厳重なる経過観察が必要である.又,左下大静脈と腎静脈合流部における還流障害は特発性左腎出血との関連性も考えられる.そこで,原因不明の血尿や左下肢腫脹を呈するような症例では,骨盤静脈や下大静脈の造影を試みることが大切である.その際,重複下大静脈奇形が認められ左側下大静脈と腎静脈合流部に還流障害が証明されれば,経過によっては同部の還流路変更手術の考慮も望まれると考えられた.
  • 飯塚 益生, 塚田 邦夫, 丸野 要, 上原 孝一郎, 市川 敏郎, 井上 敏直, 岡村 経一, 木村 信良, 三島 好雄
    1983 年 44 巻 6 号 p. 712-717
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
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    著者らは昭和53年12月より昭和56年12月までの3年間に7例の胆嚢隆起性病変を描出した.これは超音波検査を行った胆嚢195例の3.6%に相当する.胆嚢摘出術を行った5例はいずれも直径1cm前後の小隆起性病変で,腺腫1例,コレステロールポリープ4例(単発性2例,多発性2例)であった.腺腫例は組織学的に悪性化は認められず,胆嚢結石を合併していた.自覚症状のあったコレステロールポリープ2例では,胆嚢摘出後に症状は消失した.
    胆嚢内小隆起性病変は術前に質的診断を行うことは困難であるが,諸家の報告では,本病変には胆嚢のポリープ型や高率に悪性化する腺腫が高い頻度に含まれているので,かかる症例に遭遇した場合,とくに40歳以上の有石例では,胆嚢摘出術を積極的に行うべきことを強調したい.
  • 佐々木 英人, 渡部 泰和, 苔原 登, 吉峰 修時, 古田 紘一, 久瀬 弘, 安保 喜久郎
    1983 年 44 巻 6 号 p. 718-723
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    小児の腹部悪性腫瘍は,肝腫瘍,神経芽細胞腫, Wilms腫瘍が大多数を占め膵癌を初めとする膵頭部領域癌は非常に稀である.最近私達は15歳女子に発生した十二指腸乳頭部癌に対し根治的切除を施行したので報告する.
    症例は15歳5ヵ月の女子で,食思不振,黄疸,全身倦怠感を主訴として来院.精査の結果,閉塞性黄疸にて発症した十二指腸乳頭部癌であった. PTCDにて減黄した後,膵頭十二指腸切除術兼胆嚢摘除術を施行した.術後67日目に退院し現在術後1年8ヵ月で元気に通学中である.
    本症例は外科胆道癌取扱い規約によると,腫瘍の居部位はAc, 腫瘤潰瘍型を呈する大きさ0.8cm×1.0cmの腫瘍で, H0, Panc0, D0, P0, N(-)のstage Iであり,組織学的にはpanc0, d2, n(-)でありM(-), St(-), 膵頭十二指腸切除術, R2, W0の絶対治癒切除と判定できた.
    乳頭部癌は消化器系癌のなかでは比較的稀で剖検例では0.1~0.2%と報告され,また11文献を集計すると男女比は1.25:1と男が多く,平均年齢は53.9歳であった.
    本邦及び欧米の臨床報告例中乳頭部癌の若年例は剖検例,切除例とも20歳未満の症例はみあたらず,本症例が最年少例と考えられる.
    若年者の乳頭部癌も成人同様黄疸で発症することが多いと考えられるが,小児の膵頭部領域癌,特に十二指腸乳頭部癌は極めて稀であるため初診時には本症例の如く肝炎もしくは良性の胆道系疾患と誤診されがちである.
    しかるに若年者膵頭部領域癌といえども他の部位の癌と同様早期発見と早期切除によって治癒が期待できるため常に乳頭部癌を初めとする膵頭部領域癌の可能性を考慮して早期発見につとめるべきである.
  • 山崎 元, 岡本 英三, 桑田 圭司, 豊坂 昭弘, 大橋 秀一, 田中 信孝, 山中 若樹, 柏谷 充克, 折山 毅, 中山 孝麿
    1983 年 44 巻 6 号 p. 724-728
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    最近,我々は肝鎌状間膜内の腫瘤を2例経験したが, 1例は未分化癌であり,他の1例は膿瘍であった.
    症例1は74歳,女性で浮腫及び腹部腫瘤を主訴に来院した.超音波検査, CTスキャン,肝シンチグラム,血管造影所見より肝腫瘍(肝外発育型)又は肝鎌状間膜内腫瘤の診断にて手術施行した.腫瘤は肝鎌状間膜内に存在し腫瘤切除術を施行した.組織学的には未分化癌であり,転移性腫瘍の可能性が十分に考えられたため精査を行ったが他に異常は認めず,原発巣は不明であった.術後経過は良好であったが,約7ヵ月後に再発を認め死亡した.
    症例2は32歳,女性で腹部腫瘤を主訴に来院した.超音波検査, CTスキャン,腹腔鏡所見より肝鎌状間膜内膿瘍を疑い手術施行した.腫瘤直上の腹膜切開とともに膿の流出を認めドレナージ術のみを施行した.細菌学的検査では特に病原性細菌は認めなかった.
    文献的には肝円索内の腫瘍は今までに5例の報告を認めるも肝鎌状間膜内の腫瘍の報告は未だない.又,肝鎌状間膜内の膿瘍の報告は,成人例では著者らを含めて3例を見るのみである.以上の極めて稀な肝鎌状間膜内腫瘤の2例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 本田 雅之, 小竹 利一, 山下 義信, 青垣内 龍太, 兼平 暁夫, 麻田 栄, 坂本 一夫
    1983 年 44 巻 6 号 p. 729-732
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胃十二指腸潰瘍手術後の吻合部潰瘍から内瘻形成することはまれな合併症である.胃空腸結腸瘻は本邦において32例の報告にすぎない.今回われわれは胃潰瘍術後吻合部潰瘍から胃十二指腸結腸瘻を形成した症例を経験した.本症は内外文献上はじめての例と考えられるので発表する.
    症例は49歳男性で, 10年前に胃潰瘍にて胃切除術(Billroth I法で再建されている)を受けた.昭和56年3月に下痢便が持続し, 2カ月間に約14kgの体重減少を来し,曖気に便臭を来して本院放射線科を受診し,精査の結果Billroth I法の吻合部潰瘍から横行結腸に内瘻を形成しているのを発見され,外科に転科し手術にて完治し,術後1年で18kgの体重増加を認めている.
  • 花井 拓美, 鈴木 芳太郎, 羽藤 誠記, 相羽 公則, 花之内 基, 林 活次
    1983 年 44 巻 6 号 p. 733-737
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    結腸における平滑筋肉腫はきわめて稀とされている.今回,穿孔を来した横行結腸の平滑筋肉腫を経験したので文献的考察を加え報告する.
    症例: 43歳,男性.既往歴,家族歴:特記すべきことなし.主訴は腹痛である.
    現病歴および経過:下腹部に疝痛様の疼痛を訴え急性腹症の診断で入院した.腹部X-P上亜イレウス像を認めた.腹痛消退後の注腸造影では左側横行結腸に約5cmの範囲にわたり軽度の狭窄像,半周性の圧排像の所見を認めた.大腸内視鏡検査では注腸造影の狭窄部に一致して管腔の狭窄および充血がみられ易出血性であった.腹痛が再燃し腹部の膨隆,下血出現時の腹部超音波像では膨隆部に一致しのう腫型の腫瘤を確認した.横行結腸穿孔による限局性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.手術所見:左横行結腸から発育・穿破した小児頭大ののう腫状腫瘤で大網,小腸ループ,腸間膜,後腹膜で被れた腫瘍穿孔による限局性腹膜炎の状態であった.手術は腫瘍を含め横行結腸を口側,肛門側それぞれ10cm切除した.腫瘍の病理組織診断は核分裂像の多い平滑筋肉腫であった.術後は経過良好で普通食摂取可能となる.しかし術後, 1カ月頃から腹痛,腹部膨隆再燃し腫瘍再発の診断で再手術施行,再手術所見は左上腹部を中心とした腫瘍性腹膜炎の状態であった.腫瘍の掻爬術,ドレナージ, MMC 10mg腹腔内投与を行なった.術後,腹部膨満軽減し小康を保つ. ADM 20mg/W腹腔内投与,ピシバニールの全身投与の化学療法を行う.しかし,腫瘍は漸次増大し症状発現後約100日,術後77日にして死亡される.
    考案:本例は穿孔を来した横行結腸壁外型の平滑筋肉腫である.穿孔はしたものの術後77日目の早期に死亡されており,本例のごとき発育速度の速いLeiomyosarcomaもあることを報告するとともに腫瘍の早期発見が切望される.
  • 堀江 文俊, 岡 寿士, 宮川 貞昭, 根本 明久, 坪井 嘉彦
    1983 年 44 巻 6 号 p. 738-743
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    急性虫垂炎の診断の下に開腹された若年者上行結腸単発性憩室炎の2例を報告した.症例1は27歳の男性,症例2は26歳の女性で,いずれも右下腹部痛を主訴として来院し,急性虫垂炎の術前診断の下に手術を施行された.術中上行結腸憩室炎と診断され,症例1では憩室切除,症例2では回腸・盲腸・上行結腸切除が一期的に行なわれた.両者とも術後経過は良好で,注腸造影にて他に結腸憩室は認められなかった.
    結腸憩室は本邦において発見頻度が増加しつつあるが,これは検査法の進歩,食事の欧米化などに由来すると考えられる.それとともに結腸憩室炎も多くなってきたが,なかでも盲腸および上行結腸の憩室炎は急性虫垂炎との鑑別が困難なことも少なくなく,術中発見されることも多い.その際,切除を行なうか否か,どの術式を選択するか,また手術を一期的に行なうか二期以上に分けて行なうかは,各症例に対し慎重に考慮して決定すべきであると考えられた.
  • 自験例と本邦報告例の考察
    青柳 豊, 宮田 道夫, 金澤 暁太郎, 森山 伸一, 森岡 恭彦
    1983 年 44 巻 6 号 p. 744-752
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    1963年から1981年の多発性内分泌腺腫症1型(MEA I型)の本邦報告例は, MEA I型の3要素のうち2腺以上に病変のある症例は32例あり,検討の結果,男性16例,女性15例,不明1例とほぼ男女比は同数で,平均年齢は42.8歳であった.
    初診時の主訴は,膵腫瘍に関する症状が半数以上を占め,罹患する内分泌腺は,上皮小体が32例中29例(90.6%)と多く,次いで,膵臓27例(84.4%), 下垂体19例(59.4%), 副腎14例(43.8%), 甲状腺4例(12.5%) であった.
    消化性潰瘍の合併率は, 32例中22例(68.8%)であり,消化性潰瘍合併例22例中13例(59.1%)がZollinger-Ellison症候群であった.また,膵病変を持つ27例中15例(55.6%)がZollinger-Ellison症候群であり,膵ラ氏島腺腫のうち68.4%が多発性病変であった.
  • 冨田 憲朗, 紫田 昌彦, 平野 裕, 柄谷 茂温, 本多 俊伯, 黒須 康彦, 森田 建, 伊沢 四郎
    1983 年 44 巻 6 号 p. 753-758
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    我々は,最近,後腹膜胎児性癌でCis-platinumを主体とした多剤併用免疫化学療法施行後,切除し得た1例を経験したので報告した.
    患者は21歳の男性で,某医にて腹部腫瘤を指摘され,当科入院となった.入院後,諸検査にて後腹膜悪性腫瘍と診断したが,周囲臓器への浸潤が予想された.そこで,まず組織診の目的にて開腹術を施行した.腫瘍は予想されたごとく右尿管,腹大動脈,右総腸骨動静脈および下大静脈をとり巻いて増殖しており,切除困難と判断し,試験切除に終った.切除切片の組織診断は胎児性癌であった.
    術後は, MERRINらのプロトコールに準じてCis-platinum bleomycin, vincristine, vinblastine, actinomycin DにOK-432を加えた6者併用免疫化学療法を実施した.その結果,腫瘍の急速な縮小をみた.そこで,免疫化学療法開始より第18週目に再手術を行なったところ,完全に切除し得た.現在,第2回目手術後9カ月,維持免疫化学療法施行中であり,再発の徴候を認めない.
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