最近の各種画像診断法の進歩はめざましく,黄疸症例に対する質的診断の過程に大きな変遷をもたらした.我々は過去12年間に経験した黄疸症例を分析し,これらに用いられた各種画像診断法を評価することによって,その合理的な使用法について考察した.
昭和44年10月より昭和56年12月までに黄疸を主訴として来院した症例は301例であり,このうち,悪性疾患が170例と過半数を占め,良性疾患は129例,確定診断不詳なものは2例であった.悪性疾患の中では胆管癌が63例と最も多く,以下,膵癌,胆嚢癌,肝細胞癌,膨大部癌の順であった.一方,良性疾患では胆石症が83例を占め,良・悪性を通して最多であった.
各種検査の施行頻度をみると, PTCが163例と最も多く施行され,以下, Angio., US, ERCP, CT, DICの順であった. PTCとAngio.は悪性疾患に多く用いられており,一方, US, ERCPは良性疾患に多く用いられていた.
各種検査の診断率をみると, PTCが90,2%と最も高い診断率を示し,以下, ERCP 75.5%, CT 74.5%, US 64.6%, Angio. 63.2%, DIC 28.6%,の順であった.悪性疾患においては, PTC, ERCPなどの侵襲的検査の診断率が高かった.一方,良性疾患においては, PTC, ERCPなどとともに非侵襲的検査であるCTも良好な成績を示していた.
DICはその施行率,診断率ともに低率であった. USは急速に普及し,近年ほぼ全黄疸症例に対して施行されているが,膵癌・膨大部癌・胆嚢癌などで低い診断率を示した. CTは各疾患を通して平均した診断率を示したことが特徴であった. ERCPは胆道・膵臓疾患に対して特に有効であった. PTCは良性・悪性を通して最も良い成績を示した. Angio.は胆管癌・膨大部癌では低い診断率を示した.
以上,黄疸の原因疾患とその検査法について検討した.
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