日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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45 巻, 5 号
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 517-520
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 520-522
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 522-525
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 525-527
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 528-530
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 530-533
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 533-535
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 535-538
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 538-540
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 541-543
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 543-545
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 546-547
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 548-550
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 551-553
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 553-558
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 1984 年 45 巻 5 号 p. 558-560
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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  • 再発症状による分類の試み
    榊原 譲, 三重野 寛喜, 箕浦 宏彦, 門脇 憲, 高橋 俊毅, 比企 能樹, 阿曽 弘一, 陳 春謀
    1984 年 45 巻 5 号 p. 561-568
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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    胃癌治癒切除後再発死亡例62例を主として再発の臨床症状から9型に分類し,それぞれの特徴を検討した.
    (1)肝転移型は限局型胃癌,分化型, INFαおよびβが多く,また占居部位Aに多い.術後再発までの期間が短かく,術後平均生存期間も10ヵ月間と最も短かい. (2)小腸狭窄型は40歳台に最も多く,女性にやゝ多い傾向がみられた.浸潤型胃癌で未分化型が多く,深達度はseでリンパ管侵襲の高度なものが多い. (3)直腸狭窄型はBorrmann III型に多く,分化型も未分化型もあるが, INF γで浸潤傾向がきわめて強い.術後の平均生存期間は2年6ヵ月間で最も長い. (4)腹水型は未分化型で浸潤傾向の強いものが多く,全例ps(+)であった.術後再発までの期間が平均1年9ヵ月間で最も長い. (5)局所再発型は分化,未分化両型ともあるが, seの進行した癌で術後再発までの期間も9ヵ月間と短かい. (6)閉塞性黄疸型は占居部位Aに多く限局型のものも浸潤型のものもあり,組織学的にも分化型も未分化型もみられ,黄疸の発現機転も単一ではなかった.術後生存期間は1年3ヵ月と短かい. (7)肺転移型は,分化型癌の血行転移例と未分化型癌のリンパ行性転移と思われた例とが混在した. (8)骨転移型は未分化型で年齢も若年寄りのものが多くみとめられた. (9)その他の型は1例のみで特殊な型と考えられた.
    以上のように,分類した各型はそれぞれ特徴がみとめられた.従って手術所見や切除標本が検討することにより,再発し易い型がある程度推測できると考えられた.
  • 大谷 洋一
    1984 年 45 巻 5 号 p. 569-583
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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    Natural Killer(NK)細胞は生体の免疫学的監視機構において重要な役割を担っていると考えられている.しかし,ヒトNK細胞のin vivoにおける性格や役割,さらには免疫能をみる指標としての臨床的意義などはいまだ明らかでない.そこで胃癌48例と乳癌20例を対象に,手術前後における末梢血リンパ球のNK細胞活性について検索し,つぎのような結果を得た.胃癌,乳癌における術前のNK細胞活性は,良性疾患,健常人に比較し,低下していた.とくに胃癌ではstage, リンパ節転移度,深達度,脈管侵襲などがすすむにしたがい低下する傾向がみられ,術前のNK細胞活性よりstageを予測しうることが示唆された.また,胃癌,乳癌におけるNK細胞活性と,既知の免疫学的指標であるPHAリンパ球幼若化反応およびT細胞比との関係をみたが,いずれも相関を認めなかった.これによりNK細胞活性は癌患者の免疫能を把握する新しい指標となりうることが示唆された.一方, NK細胞活性の術前・術後の動態は,術後1週では胃癌,乳癌,良性疾患とも低下, 2~3週では疾患の悪性度,手術侵襲などに応じて回復した.またNK細胞活性は免疫賦活剤の投与により上昇することから,術後免疫化学療法施行の有用な指標となりうることが示唆された.さらに, NK細胞活性と体重指標,血清総コレステロール値との間には相関を認め, NK細胞活性と栄養状態との間には関連があることが示唆された.また胃癌,乳癌における栄養指標の術前・術後の変動は,術後1週で低下, 2~3週で回復し,同疾患におけるNK細胞活性の動態と同じ傾向を示した.
  • 第3報,粘膜の厚さについて
    伊藤 正秀, 佐藤 薫隆, 工藤 玄恵
    1984 年 45 巻 5 号 p. 584-589
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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    目的:十二指腸潰瘍に対する迷走神経切離術(迷切と略す)前後の胃粘膜の厚さを経時的に測定し,その変動をびらん再生の頻度(stage cycleと名付ける)と減酸効果との関連から検討した.対象:選択的近位側迷走神経切離術(SPVと略す)20例と選択的迷走神経切離術兼幽門洞切除術(SV+Ant.と略す)30例である.方法:内視鏡による佐野の4点生検を術前とSPV例に,筆者らの残胃8点生検をSV+Ant.例に,それぞれ定期的に施行し最長57ヵ月まで追跡した.生検標本を筆者ら独自の病理学的基準により4 stageに分類し, stage cycleを観察するとともにstage I (安定固有期)の腺窩上皮層と固有胃腺層の厚さを測定した.同時にhistimine負荷による胃液検査を施行し減酸効果をみた.成績:体部腺領域の腺窩上皮層ではSV+Ant.例では術前平均235.7±106.4μmが術後18ヵ月の平均412.5±169.4μmへ(P<0.01), =またSPV後十二指腸潰瘍非再発(SPV非再発と略す)例では術前平均216.7±55.8μmが術後51ヵ月の平均309.4±86.4μmへ(P<0.01)と術前より厚くなった. SPV後十二指腸潰瘍再発(SPV再発と略す)例では厚さは術前と変らなかった. stage cycleおよび減酸効果の高いSV+Ant.例ではその肥厚の程度が強かった.体部腺領域の固有胃腺層の厚さはSV+Ant.例で術前平均685.7±203.3μmが術後18ヵ月の平均387.5±90.8μmへ(P<0.001)と薄くなり, SPV再発例では術後42ヵ月の平均750.0±175.3μmが術後57ヵ月では1028.6±193.3μmへ(P<0.1)と厚くなった.この変化はstage cycleや減酸効果とは負の相関であった. SPV非再発例では術前と変らなかった. SPV例の幽門腺領域では腺窩上皮層は術前と変らなかったが,固有胃腺層は非再発例で薄くなり(P<0.02),再発例では厚くなった(P<0.05).
  • 自験6例の報告と外科治療に関する考察
    金子 源吾, 宮川 信, 菅谷 昭, 千賀 脩, 小林 克, 花村 直, 横沢 保, 岨手 善久, 石坂 克彦, 飯田 太, 代田 廣志, ...
    1984 年 45 巻 5 号 p. 590-596
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    1980年3月より1983年4月までに信州大学第2外科で手術を施行した経梨状窩瘻性急性化膿性甲状腺炎の6症例を報告し,併せて治療上の問題点について考察した.
    症例は男性1例,女性5例.初発時年齢は生後2週~19歳,平均8歳,手術時年齢は7歳~20歳,平均12歳であった.罹患側は全例左側で,発症時所見は甲状腺左葉に一致する部位に硬く,圧痛をともなう腫脹ないしは腫瘤を触知した,いずれも抗生物質の投与,切開排膿により寛解を得たが, 4例は2回以上発症をくり返した.
    検査所見では白血球増多,血沈の亢進を示す症例もあったが,甲状腺機能は正常であった.咽頭食道造影所見では全例に左梨状窩の先端より前下方に走る細い瘻孔が認められた. 123Iあるいは99mTCシンチグラムでは甲状腺左葉に取り込みの低下が認められたが,寛解時には正常に近い取り込みを示すようになった.超音波検査では急性期には甲状腺は周囲組織と強固な癒着を示した.
    手術は炎症の消褪を待って施行したが,期間は1ヵ月~10ヵ月,平均3.5ヵ月を要した.全例に術前メチレンブルーを服用させ瘻孔の染色を試みたが染色されたのは1例にすぎなかった.このためネラトンカテーテルを用い梨状窩への加圧注入を追加したところ,施行した4例すべてに瘻孔の染色に成功した.瘻孔の末端は, 3例は甲状腺外, 2例は甲状腺内に貫通していた. 4例に瘻孔切除と甲状腺左葉切除, 1例に瘻孔切除を施行した.瘻孔を確認できなかった1例に対しては梨状窩付近を縫縮した.術後は全例に経管栄養を施行した.現在までに再発例はない.
    本症の治療は完全な瘻孔の切除が原則である.手術に際しては施行時期ならびに術中瘻孔の確認が重要な問題で,前者には,シンチグラム,超音波検査,後者には瘻孔染色が有効な手段であった.また瘻孔が甲状腺に及ぶ症例には葉切除が必要と考えられた.
  • 升田 鉄三, 神 雅彦, 北島 修哉, 洞口 篤, 高橋 正倫, 松本 純, 塩谷 晃, 久保園 善堂, 菊池 彬夫, 能登 陞
    1984 年 45 巻 5 号 p. 597-603
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
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    男子乳癌は比較的まれな疾患であるが,当科では過去18年間に13例の男子乳癌を経験し,若干の文献的考察を加えたので報告する.
    発生頻度は原発乳癌全症例541例の2.4%で,年齢分布は41歳から84歳で平均64.2歳であった.臨床所見では13例全例に腫瘍が触知され,腋窩リンパ節腫大10例,疼痛7例,皮膚固定5例,乳頭陥凹5例,発赤4例,潰瘍,乳頭分泌,胸郭固定がそれぞれ3例にみられた.発生部位は左右とも6例で,同時性両側例が1例であり, 14病巣中9病巣は乳頭中心性に発生していた.大きさは径1cm大から18×12cmにおよび,径2.0cm以下が4病巣, 2.1~5.0cmが7病巣, 5.1~10.0cmが1病巣,径10.0cm以上が2病巣であった.病悩期間が1年以内のものが13例中7例あり,そのうちの4例は既に腋窩リンパ節転移があり, Stage IIIb, Stage IVの進行例が各1例であった.一方病悩期間が6年に達する例が2例あった.病理組織学的分類では,非浸潤癌1例,乳頭腺管癌5例,髄様腺管癌6例7病巣, Paget癌1例であった.手術は定型的乳房切険術を6例7病巣に,両胸筋保存術式を1例に,単純乳房切断術を2例に,乳腺全摘術を1例に施行したが,単純乳房切断術の2例を除き治癒手術を施行しえた.また病態に応じて化学療法,放射線療法,内分泌療法,免疫療法のいずれかを付加療法として施した.非手術例は進行例の2例で, 1例に除睾術を施行した,遠隔成績をみると,原病死は2例のみで,いずれも進行癌のため単純乳房切断術または非手術に終わった症例であり,少数例ながら自験例の結果をみる限り治癒手術例の予後は良好と思われた.
    男子乳癌は女子乳癌に比べて予後不良といわれてきたが,今後早期発見はもちろんのこと積極的な根治的乳房切断術および術後の付加療法により,男子乳癌の治療成績はさらに向上するものと思われた.
  • 千葉 廸夫, 菊地 洋一, 稲岡 正己, 竹田 晴男, 鎌田 幸一
    1984 年 45 巻 5 号 p. 604-609
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    近年,他の先天性心疾患と同じく,二次孔心房中隔欠損症ASDにおいても,高年齢での根治手術が,安全に行い得るようになっている.
    当施設で施行したASD根治手術症例は, 114例であるが,このうち40歳以上の高年者は20症例を占める.
    これらの症例からは,高年者ASDにおいては,幼小児期とは異なるいくつかの相異点問題点が根治手術前後に存在することが知られる.そこで,この20症例の分析を中心として,根治手術前後における高年者ASDの問題点について検討を試みた.
    根治手術前,全例がNYHA II-IV〓の心不全症状を示し,心電図上心房細動など不整脈の合併が高率であった.また,左右シャント率,肺対体血流量比は比較的低値の例が多かった.
    このことから,高年者ASDの手術前の状態として,長年にわたる高度の右心系負荷の継続や,肺血管床の閉塞性変化の進行が存在すること,さらに左心不全発症への移行期にあることなどが推測される.
    肺対体血圧比,肺対体血管抵抗比の検討からは,手術適応上その可否が問題となる重症例は,ごく少なく,また根治手術の成績も良好であった.
    根治手術後の問題点としては,術前の心房細動などの不整脈は術後も残存することが多いこと,胸部レ線写真上心胸郭比の改善は得られ難いこと,術後も比較的長期にわたり薬物療法に頼る傾向があることなどが挙げられる.
    これらの問題点があるにかかわらず,根治手術により,一方では大部分の症例で肺のうっ血像が減少し,今回算出を試みたST indexの改善が得られており, NYHAの改善,日常活動性の増加が著るしかった.
    従って,進行性心不全を阻止し活動性を増加させ得る点で, 40歳以上のASDにおいても,積極的に根治手術を施行すべきであろう.
  • 市倉 隆, 福留 厚, 松峯 敬夫
    1984 年 45 巻 5 号 p. 610-615
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    われわれは最近,膵炎に起因すると思われる脾静脈血栓症を伴ったDouble pylorusの1手術例を経験したので報告した.
    症例は41歳の男性で,長年の飲酒歴を有する. 28歳頃より左季肋部から背部の疼痛をくり返し,昭和57年5月9日,下血および心窩部痛を主訴に当院内科に入院した.胃X線検査,胃内視鏡検査,選択的腹腔動脈造影など諸検査の結果,脾静脈血栓症による左側門脈圧亢進症,糖尿病,難治性胃潰瘍, Double pylorusの診断にいたり,胃潰瘍に対する内科的治療が無効のため,昭和57年9月8日開腹手術を施行した.手術所見では術前診断に加えて慢性膵炎の所見を認めた.脾剔を行い,また胃切除に際し,冠状静脈を損傷したため胃全剔を施行した.切除胃の病理組織学的検索によると, Pseudopylorusの部位では粘膜筋板の消失,筋層の断裂,円形細胞浸潤,強い浮腫と線維化がみられ,幽門前部の潰瘍が十二指腸球部に穿通してDouble pylorusが形成されたと考えられた.
    本症例では, 1) 膵炎, 2) 膵炎由来の脾静脈血栓症による左側門脈圧亢進症, 3) 膵炎由来と思われる糖尿病,の3者が胃潰瘍の発生,増悪,難治性に重要な影響をおよぼしたと推測され,この因果関係を中心に若干の考察を加えた.
  • 鬼束 惇義, 矢野 好弘, 日野 晃紹, 尾関 豊, 渡辺 寛, 林 勝知, 松本 興治, 広瀬 光男, 不破 誠行
    1984 年 45 巻 5 号 p. 616-621
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    近年,薬物療法に抵抗する難治性腹水に対し,腹腔,大静脈シャントが用いられかなり良好な効果が得られているが,シャント植え込みにともなう種々の合併症の報告も散見されるようになった.とくに術後のDICはしばしばみられ,時に致命的となるものもある.この点を明らかにするため,著者らはシャント植え込みをおこなった8例について術前後の凝固線溶能について検討した.血小板は術前26.2±11.2×104/mm3であったのが,手術翌日には14.1±6.1×104/mm3と著明に減少,フィブリノーゲンは術前327±164mg/dlが同じく146±63mg/dlと激減し,プロトロンビン時間は術前70±15%が,同じく43±15%と急激に低下する. FDPは術後2日目までに全例増加し, 7~10日目まで持続する. SK活性化プラスミンは術前4.0±0.5mmであったのが,手術翌日には全例低下し3.1±0.3mmとなり,プラスミノーゲンの消費が認められる. β-thromboglobulin, Fibrinopeptide Aは4例の測定で,シャント造設後全例いずれも著明な高値を示した. 8例中7例がDICの基準をみたし,うち4例では皮下に植え込んだチューブに沿って著明な皮下出血をみた.術後,貧血の増悪が7例にみられた. DICからMOFにおちいり1例が死亡した.術後の重篤なDICの防止には術前の腹水点滴静注試験は意味がなく,術中からのヘパリン投与が重要である.
  • 藤村 嘉彦, 小林 修, 新谷 清, 守田 知明, 兼行 俊博
    1984 年 45 巻 5 号 p. 622-627
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈・腸骨動脈閉塞症の6例を経験した.本症は動脈硬化に基因することが多く,高血圧,心障害,脳障害,腎障害等の合併症を高率に伴なっている.従って他の疾患に比べて全身状態不良例が多く,麻酔をも含めて手術侵襲の軽減を計る必要がある.我々は5例中4例にextra-anatomical shunt, 1例に大動脈・腸骨動脈バイパスを行なった.また,末梢動脈run off不良例はグラフト閉塞率が高く,何らかの補助手段を必要とすることが多いが,我々は末梢動静脈瘻の造設を行ない有効であった.その他術後合併症として心不全,肺炎増悪, Aortoiliac stealを認めた.
    腹部大動脈の急性閉塞で,前脊髄動脈症候群,挫滅症候群を来した症例を経験したので併せて報告した.
  • 中野 秀麿, 大原 正己, 倉田 悟, 江里 健輔, 毛利 平
    1984 年 45 巻 5 号 p. 628-631
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    我々は最近,両側内腸骨動脈瘤切迫破裂症例に動脈瘤曠置手術を行い治癒せしめたので報告する.患者は70歳の女性で,左下腹部痛を主訴に来院した.腹部CT検査で,左総腸骨及び内腸骨動脈瘤,左水腎症と診断された.その後,左下腹部痛は次第に増強し,腸骨動脈瘤切迫破裂の診断で当科に入院した.入院時,左下腹部に5cm×3cm大の表面平滑,弾性硬で圧痛を有する腫瘤を触知した.腹部大動脈造影で,左総腸骨動脈は,内径4cmと拡大し,左内腸骨動脈領域に造影剤の停滞を認めた.右総腸骨動脈は,やや拡張し,内腸骨動脈は造影されなかった,また,下腸間膜動脈は造影されなかった.手術は,腹部大動脈分岐部より約1.5cm中枢側腹部大動脈を横断し,切断端末梢側を7号絹糸で結紮した.左右外腸骨動脈は, 7号絹糸で結紮切断した.血行再建は, Cooley double velour Y字型人工血管を用い,中枢側を端々吻合,外腸骨動脈切断末梢側と右側では端々に,左側は端側に吻合した.下腸間膜動脈は術前より閉塞しており,手術で両側の内腸骨動脈の血流も途絶したが,腸管の虚血症状を生じることはなかった.術後18日目のRI血管造影で人工血管の開存は良好であった.
  • 東 尚, 原田 昇, 山口 孝, 山内 和雄, 富岡 勉, 内田 隆寿, 前田 治伸, 押渕 徹, 土屋 凉一
    1984 年 45 巻 5 号 p. 632-636
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    虚血性要因が慢性膵炎の成因として強く関与していたと考えらるる症例を報告した.
    症例は37歳男性, ERCP,腹部CT,脾動脈造影で,膵体尾部の膵癌を疑い手術を施行した.術中悪性所見はなく,膵体部から膵尾部にかけて限局した慢性膵炎像を呈しており,膵体尾部切除を行なった.切除膵の組織学的検索では,膵頭部側からほぼ正常の膵組織像を示す部位,結合織の増生の強い部分,完全に脂肪置換された組織の部分の3部分からなり,その境界は極めて明瞭であった.切除膵組織内の脾動脈は中等度の動脈硬化を呈し,膵内血管の軽度の新生像もみられた.また,術前の血管造影では,後膵動脈および下膵動脈は上腸間膜動脈より分枝していた.これらのことから,膵内血管の走行異常が存在し,膵体部から膵尾部にかけての慢性の虚血傾向にある領域にアルコール性または胆石による障害が加わり本症のような特異な慢性膵炎像を呈したものと考えられた.
  • 中村 亮, 佐々木 寿彦, 石田 考, 島田 明, 橋口 文智, 小室 恵二, 安藤 博
    1984 年 45 巻 5 号 p. 637-641
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    54歳男性で, 6年前当科にて食道静脈瘤にに対し経腹的食道離断術および脾摘術を行ない,退院後外来にてAFPを定期的に測定していたが,昭和58年1月よりその漸増を認め, Echo, CTを行なったが病変は確認できず,入院後血管造影にてCouinaudのsegment 4 (以下S4)と思われる部位に血管新生像を認め再度CT (Bolus injection)を行ない位置を確認し,術中Echo下穿刺にて区域染色を行ない区域切除を施行しえた.腫瘍は1.9×2.0×1.6cmのEdmondson III型微小肝細胞癌で,乙型肝硬変を合併していた.かかる症例に対しては外来におけるAFPの連続測定およびEcho, CTなどの画像診断を定期的に行なうことが望ましく,また発見された微小肝癌に対してはその占拠部位,肝予備能にもよるが,系統的肝区域切除は有効な術式の1つといえよう.
  • 本邦報告例の検討
    冨岡 勉, 浦 一秀, 山本 賢輔, 井沢 邦英, 野田 剛稔, 角田 司, 吉野 尞三, 原田 昇, 土屋 凉一, 中村 憲章, 原 耕平 ...
    1984 年 45 巻 5 号 p. 642-647
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    肝嚢胞腺癌の1例を報告した.
    症例は75歳,女性.主訴は肝機能異常.本症例は左肝管と交通のある単房性肝嚢胞より発生した肝嚢胞腺癌が,左肝管内へ発育したもので,そのために左肝管の拡張と肝機能異常を伴った症例であると考えられた.
    肝嚢胞腺癌は非常に稀な疾患であり本邦における報告は本例を含めて19例にすぎなかった.これらの報告例の臨床的検討を行った所,平均年齢は53.7歳,男女比は1:3と女性に多くみられた. CT,エコーでは隔壁を有する多房性嚢胞として描写される場合が多く,隔壁の一部に充実性の部分が認められれば診断価値がある.肝内における腫瘍の好発部位はみられず,割面では腫瘍は多房性を示すものが多くみられた.
    組織学的に良性,悪性の区別がつきにくい場合は,血中のCEA値が正常でも,嚢胞液や胆汁中のCEA値が高値を示している場合があり,悪性化の判定に役立つものと考えられた.さらに組織標本に酵素抗体法を用い, CEAの局在を検索することにより診断がより確実になるものと考えられた.
    肝嚢胞腺癌の発生母地に関しては,肝嚢胞腺腫からの発生が一番多いと考えられるが,その他にも様々な関係が考えられ,シェーマに示すとともにそれらの鑑別点についても言及した.
  • 内山 勝弘, 高田 忠敬, 安田 秀喜
    1984 年 45 巻 5 号 p. 648-653
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    最近,我々は総胆管十二指腸瘻が診断の契機となった肝内結石症の2例を経験した.症例1はpneumobilia像と胆管内への造影剤逆流により総胆管十二指腸瘻が発見された.超音波検査では肝内胆管の空気像と結石との鑑別が困難であったが, ERCPにて肝内結石が診断された.症例2はERCP施行時の十二指腸ファイバースコピーにて総胆管十二指腸瘻が発見され,超音波誘導下PTCにて肝内結石が確診された.これら2例はともに胆嚢ならびに肝外胆管に結石がなく左肝内胆管内にのみ結石が存在した原発性肝内結石症である.
  • 平田 公一, 江端 俊彰, 及川 郁雄, 大久保 衛, 山田 毅, 丸山 芳朗, 臼井 朋明, 桂巻 正, 小林 謙二, 金野 有光, 白松 ...
    1984 年 45 巻 5 号 p. 654-660
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    急性閉塞性化膿性胆管炎を含む重症化膿性胆管炎の病態は,胆道の閉塞と感染という二因子に規定されることが多く,胆管内がempyemaの状態となったもので,内圧の亢進とともに起炎菌がcholangio-venous refluxにより血中に移行し敗血症性ショックを起こし,緊急なドレナージをしない限り救命できない状態を呈する.
    過去9年間に当教室で経験した22例の重症化膿性胆管炎症例について予後良好例・不良例の2群に分け,臨床所見・経過の比較検討を行ない,本症の予後に影響を与える因子について検討した.その結果,予後不良例においては,血小板の減少,多発性肝膿瘍・リムルステスト陽性・原疾患として悪性腫瘍の存在・PTCDの施行遅延などを認める症例が多く, Reynoldsの5徴や一般臨床検査値(血清総ビリンビン値・トランスアミネース値・BUN値)については特に両群間に差はなかった.また,一般に悪性腫瘍における本症発生率は低いといわれているが,急速閉塞機転を伴うものも,決して少なくないと考えられた.
  • 今田 達也, 有馬 純孝, 梅野 寿実, 副島 伸一郎, 二見 喜太郎
    1984 年 45 巻 5 号 p. 661-664
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    良性食道狭窄はその原因として酸あるいはアルカリを誤飲または自殺目的で飲用後におこる腐蝕性食道狭窄,機械的損傷後の瘢痕性食道狭窄,逆流性食道炎などがある.
    今回,われわれは,青酸化合物を自殺目的で服用し食道狭窄を来した1例を経験したので報告すると共に本邦の良性食道狭窄症の症例報告を集計し文献的考察を加えた.
    症例は36歳,男.主訴は嚥下障害.現病歴として昭和56年11月5日,青酸化合物を自殺目的として服用し,解毒剤(チオ硫酸ナトリウム)にて一命は取り留めたが,中枢神経障害が現われた.食道レ線検査で気管分岐部より2~3cm肛門側より噴門部まで約10cmの高度狭窄が認められた.食道鏡では, EDチューブがぎりぎり通る程度の高度狭窄が認められた.手術は栄養改善と共に非開胸下食道抜去術により食道亜全摘術,胃管による食道再建術を施行した.術後経過は良好である.
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