日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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46 巻, 7 号
選択された号の論文の29件中1~29を表示しています
  • 本庄 一夫
    1985 年 46 巻 7 号 p. 871
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 城所 仂
    1985 年 46 巻 7 号 p. 872-873
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 浅野 献一
    1985 年 46 巻 7 号 p. 874
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • -その適応と手術々式-
    石川 浩一
    1985 年 46 巻 7 号 p. 875-876
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 矢沢 知海
    1985 年 46 巻 7 号 p. 877-878
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • -適応と術式の選択-
    石川 七郎
    1985 年 46 巻 7 号 p. 879
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 梶谷 鐶
    1985 年 46 巻 7 号 p. 880-881
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • -各種治療法の選択とその評価-
    杉浦 光雄
    1985 年 46 巻 7 号 p. 882
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • -適応と投与法について-
    服部 孝雄
    1985 年 46 巻 7 号 p. 883-884
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 酸素代謝に関連して
    八木 聡, 石山 秀一, 飯澤 肇, 薄場 修, 亀山 仁一, 塚本 長
    1985 年 46 巻 7 号 p. 885-891
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    教室で扱ったsepsis患者12例について呼吸循環動態を測定し,特に酸素代謝との関連について検討した.
    対象12例は急性汎発性腹膜炎11例,腹腔内膿瘍1例であり,全例感染巣除去の目的で開腹手術を施行した.測定は術直後より平均6日間計150回行った.
    Sepsisでは,心指数4.41/min・m2以上の高心拍出量を示す場合が多く,これに伴い末梢血管抵抗も低下し,いわゆるhyperdynamic stateとなる傾向が認められた.
    酸素代謝についてみると,心拍出量の増加に伴い,動静脈血酸素濃度較差の低下が著明となり,また酸素消費量の増加も対照と比して軽度であった.
    術後72時間までの経過をみると,心指数は術後48時間にても増加している例が多く,また動静脈酸素濃度較差,酸素消費量も対照群に比較して術後長期にわたり有意に低値を示していた.
    以上の結果より, sepsisにおいては末梢での酸素摂取の障害が存在し,心指数の増加はこの代償作用であると考えられた,また術後経過においては,酸素摂取の障害が長時間改善せず,酸素消費量も低値をとり亢進した酸素需要を十分に満たしていない可能性がありcriticalな状態の続くことが示唆された.
    Sepsis患者の術後管理においては,単に血行動態のみならず酸素代謝に関する指標まで測定し,これらの改善を図るよう努めることが重要と考えられた.
  • 阪本 一次, 奥野 匡宥, 池原 照幸, 長山 正義, 李 在都, 田中 俊司, 紙野 建人, 梅山 馨
    1985 年 46 巻 7 号 p. 892-901
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    主として肝硬変症に基づく食道静脈瘤に対して手術を施行した際の術前後における血清アルブミン(Alb),プレアルブミン(PA),レチノール結合蛋白(RBP),トランスフェリン(Tf)と術前の肝障害の程度ならびに術後静脈栄養時のエネルギー投与量,アミノ酸投与量との関連を検討した.同時に,脂溶性ビタミン特にVit. A, Vit. EについてRBP,総脂質との関連および脂溶性ビタミン投与との関連について検討し,以下の結果を得た.
    1) Albは術前のアルブミン非投与時には術前ICG 15分値, Ch-Eと有意の相関を示したが,術後のアルブミン投与時にはアルブミン投与量とよく相関した.
    2) 術前のPA, RBPは術前ICG 15分値, Ch-Eとよく相関し,術後にはエネルギー投与量,体重の変化とも有意の相関を示した.
    3) 術後合併症発生例では術前のPA, RBPは低値を示す傾向があった.
    4) 術前のVit. A, Vit. Eは術前ICG 15分値が高値を示すほど低値を示した.また術前のVit. Aは術前のRBPと正の相関を示した.
    5) 脂溶性ビタミン非投与例では投与例に比べ術後のVit. A, Vit. Eは明らかに低下した.
    以上, PA, RBPは肝障害の指標,術後栄養効果の指標および術前手術危険度の指標として有用であると思われた.また術後静脈栄養時には,水溶性ビタミンのみでなく脂溶性ビタミンの投与も必要であると考えられた.
  • 碓氷 章彦, 蜂須賀 喜多男, 山口 晃弘, 近藤 哲, 堀 明洋, 広瀬 省吾, 深田 伸二, 官地 正彦, 渡辺 英世, 石橋 裕之, ...
    1985 年 46 巻 7 号 p. 902-909
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    急性虫垂炎の診断で手術を行ない,開腹時に急性回腸末端炎と確認された77例の臨床的検討を行った.年齢は6~52歳,平均20.8歳で,学齢児から若年成人に好発し,性比は1:0.67で男性優位であった.病悩期間は平均3.3日で,臨床症状では急性虫垂炎に比して,発熱(75.3%),下痢または軟便(51.4%)の出現が多く,嘔吐(12.2%)の出現が少なかった.なお,検索した59例中23例(39.0%)にYersiniaが証明された.その内訳は糞便または虫垂内容からの分離培養法による(54例に施行)Yersinia enterocolitica13例, Yersinia pseudotuberculosis 1例と,血清検査でYersinia enterocolitica血清抗体価陽性例の15例であった(59例に施行).検出したYersiniaの各種抗生物質に対する最小発育阻止濃度(MIC)を測定すると, Tetracycline系のDoxycycline, Aminoglucoside系のGentamicin, Cephalosporin系第3世代のCeftizoxineに強い感受性がみられ,急性回腸末端炎にはYersinia感染症を想定し,これら抗生物質を使用することが肝要と考えられた.
  • 田村 利和, 三浦 連人, 川人 幹也, 宇高 英憲, 古味 信彦, 柳田 淳二
    1985 年 46 巻 7 号 p. 910-917
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    炎症性腸疾患のなかでもクローン病と腸結核は類似した病態を示し,鑑別困難な症例も少なくない.今回,著者らは過去7年6カ月間に当科で経験し確定診断を得たクローン病10例,腸結核8例について臨床病理学的検討を加え,以下の結果を得た.
    1) 平均発症年齢は,クローン病が25.1歳,腸結核が46.4歳であった.
    2) 臨床症状は両者に腹痛が高率にみられたが,特徴的なものはなかった.
    3) 検査所見上,両者に赤沈の亢進,貧血,低蛋白血症等がみられたが,クローン病の方が概して高度であった.また,ツベルクリン反応の陽性率は,クローン病が40%, 腸結核が100%であった.
    4) 病変部位では,両者ともにskip lesionがみられた.
    5) 切除標本肉眼所見では,クローン病では縦走潰瘍,腸結核では不整形潰瘍がみられた.炎症性ポリポージスは両者にみられcobblestone appearanceとの鑑別は困難と考えられた.
    6) 組織学的には,肉芽腫が乾酪性か否かで両者を鑑別することは困難で,むしろ裂溝形成やリンパ管拡張がクローン病で高率にみられた.
    以上より,両者の鑑別は治療経過を含めて総合的に行う必要があると考えられた.
  • 伊藤 徹, 針原 康, 高見 実, 大西 清, 出月 康夫, 万代 恭嗣
    1985 年 46 巻 7 号 p. 918-922
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    インスリノーマと診断された3例を対象に術中超音波検査を施行した.このうちMEA I型の1症例では,術中所見にてインスリノーマが2個存在していた. 3例4病変のインスリノーマは,術中超音波画像上はいずれも正常膵よりも低エコーレベルを呈する腫瘤像として描出された.腫瘍の最大径はそれぞれ, 10mm, 10mm, 13mm, 25mmであった.諸家の報告からも,インスリノーマの超音波像の特徴は低エコーレベルの腫瘤像と考えられた.手術術式としては, 4病変のすべてに核出術を施行した.このうち10mmのインスリノーマが膵頭部に存在した1例では,腫瘤は膵の深部に膵管と接するようにあり,術中超音波検査の助けなくしては安全な核出術は施行し得なかったと考えられた.術中超音波検査はインスリノーマと膵管との位置関係を確実に把握する点で有用と思われた.
    術中超音波検査はインスリノーマの局在診断が不確実な場合に,最後の決め手となるのみならず,インスリノーマの多発病変の検索,安全な核出術のガイドとして,その有用性は高いと考えられた.
  • 清水 哲, 横山 日出太郎, 松川 博史, 城島 標雄, 有田 峯夫, 須田 嵩, 五島 英迪, 松本 昭彦, 田中 耕作, 萩原 明, 井 ...
    1985 年 46 巻 7 号 p. 923-927
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    乳癌集団検診の二次検診において,コンタクトサーモグラフィーを,マンモグラフィー,エコーグラフィーと共に補助診断法として用い,その有用性,限界について検討を行なった.使用したサーモブレートは,イタリアFinpat社製 “Breast Thermo Detector” であり今回は特に,腫瘤部の温度の高低に注目して診断した.その結果,乳癌症例の正診率は全体で68%, T>2cmでは86%, T〓2cmでは38%であった.病理組織学的には,線維腺腫,乳腺のう胞腫との鑑別は容易であったが,乳腺症との鑑別は難しかった.したがって,コンタクトサーモグラフィーは乳癌の精密検査法としての利用価値は低いとおもわれた.しかし,触診の補助診断法として用いることにより,手軽で安価な検査法としての利用価値があるのではないかと考えられた.
  • 新しい染色法を用いて
    野口 芳一, 天野 富薫, 松本 昭彦, 佐々木 秀之, 片山 清文, 岡田 賢三, 富田 康彦, 有田 英二, 有田 峯夫, 神野 勝己, ...
    1985 年 46 巻 7 号 p. 928-934
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    一般臨床医にとって血管侵襲の検索を容易ならしめる有効な一手段として,癌研,横川,加藤らにより開発されたVictoria blue+HE染色法を応用し,乳癌腫瘍内血管侵襲を検討し,以下の結論を得た.
    対象は, 1970年から1983年迄に横浜南共済病院外科にて施行された乳癌手術例200例,内,術後再発例30例を含む137例とした.
    1. Victoria blue+HE染色法は, HE染色標本の中で,弾性線維のみ青く染別するもので, HE単独の染色能を損わず,弾性線維の染色性は, Elastica Goldner法に比し遜色なく良好で,血管の同定は明らかに容易となった.
    2. 血管侵襲頻度は,検索症例135例中62例(45%),再発例に限局すれば, 30例中21例(70%)であった.
    3. 侵襲頻度は,リンパ節転移の程度が上昇するにつれ増加した. (n036%, n1α44%, n1β61%)しかし,再発,非再発に分け検討すると, n1β以上の症例で,再発群に血管侵襲陽性例が著明に多かった.すなわち,血管侵襲陽性所見は,リンパ節転移n11β以上の症例で,術後早期再発の重要な予測因子であるといえる.
    4. 組織型別では,小葉癌(60%:3/5例),髄様腺管癌(56%:23/41例)に頻度が高く,これに乳頭腺管癌,硬癌が続いた.粘液癌,髄様癌では,各々20% (1/5例), 30% (3/10例)と低率であった.
    5. 血管侵襲様式を血管腔と腫瘍塊の関係から, I: occluded, II: partially occluded, III: floatingさらに,著明なelastosisを伴うIV型, lymphocyte infiltrationの著明なV型の5型に分け検討したが,再発率に有意差は認められなかった.
  • 稲治 英生, 弥生 恵司, 前浦 義市, 森 武貞
    1985 年 46 巻 7 号 p. 935-940
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    過去10年間に2例の異所性乳癌を経験したが,これは同期間の原発乳癌症例491例の0.4%にあたる.
    症例1は48歳女性で右腋窩部の腫瘤に対して生検を行ったところ,病理組織学的に乳頭腺管癌と診断された.さらに,その隣接部に乳腺組織を認めたが,原乳腺との連続性は認めなかったので,異所性乳癌と診断した.
    症例2は59歳女性で左腋窩部腫瘤を主訴として来院した.腫瘤の穿刺吸引細胞診でPapanicolaou class Vの所見を得たが,精査の結果,潜在性乳癌や他臓器癌などからの腋窩リンパ節への転移は否定的であった.生検の結果は乳頭腺管癌であり,乳腺組織を認めなかったものの,腫瘤のエストロゲンおよびプロゲステロン受容体を測定したところ両者とも陽性であったので,異所性乳癌と診断した.
    手術としては,症例1, 2とも限局性であり原乳腺に異常を認めなかったので,腋窩の広範囲切除とリンパ節郭清にとどめ,術後厳重に経過観察することにした.ともにリンパ節転移はなく術後補助療法として,症例1には化学療法,症例2には化学内分泌療法を行ったが,術後それぞれ9年6カ月, 10カ月を経た現在健存中である.
    以上2例と文献的に集計し得た30例の計32例の異所性乳癌につき検討し,以下の結論を得た.すなわち,診断面では腋窩の皮下腫瘤に対しては積極的な生検(あるいは穿刺吸引細胞診)が望まれること,治療面では局所の広範囲切除+腋窩リンパ節郭清か乳癌根治手術に準じて乳房切断術を行うか,一律ではなく症例毎に適応を吟味する必要のあることを強調したい.
  • 長岡 真希夫, 中尾 量保, 宮田 正彦, 津森 孝生, 伊藤 寿記, 小関 万里, 長谷川 利路, 川島 康生
    1985 年 46 巻 7 号 p. 941-947
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    乳腺の“いわゆる癌肉腫”は,稀な疾患であり,本邦報告例は1917年以降17例にすぎない.今回,我々は乳腺の“いわゆる癌肉腫”の1例を経験したので,文献的考察を加え報告した.
    症例は41歳女性で右乳房上外側に18×19cmの腫瘤を認め,表面は自潰していた.アドリアマイシンを動注した後,右定型的乳房切断術を施行した(T4bN3M1 Strge IV). 組織学的には髄様癌と紡錘細胞癌からなり, “いわゆる癌肉腫”と診断された,腋窩リンパ節および鎖骨下リンパ節に転移を認め,組織学的には,髄様癌が主で一部に紡錘細胞癌を認めた.術後, 3カ月後,骨転移を認め,その後6カ月目に,悪液質にて死亡した.
  • 浅越 辰男, 青木 明人, 岡芹 繁夫, 中田 宗彦, 中山 隆市, 花上 仁
    1985 年 46 巻 7 号 p. 948-953
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    最近14年間に当院外科で取り扱った原発乳癌245例中,現在までに何らかの術後再発,転移を来たした症例は44例(18%)であった.再発44例の再発発現後の経過は, 3年以上生存7例(16%), 1から3年死亡12例(27%), 1年以内死亡19例(43%), 3年以内生存中6例(14%)の4群に分けられた.再発後3年以上と長期生存した症例と, 1年以内と短期死亡した症例の比較を中心に検討し,次の結論を得た. 1) 原発腫瘍の組織型が髄様腺管癌,組織学的腫瘍悪性度Grade III,所属リンパ節転移n1β以上の症例は再発することが多かった. 2) 初発再発部位は,骨,肺,肝,対側腋窩,鎖骨上リンパ節,対側乳房の順であった. 3) 手術後再発までの平均潜在期間は25.2カ月,潜在期間の短い症例は再発後短期間で死亡し,潜在期間の長い症例は再発後長期間生存する傾向が認められた. 4) 再発後3年以上生存症例の平均年齢は40.0歳で, 1年以内死亡症例より10歳若かった. 5) 再発後3年以上生存症例の初発再発部位は,局所,リンパ節,対側乳房が57%を占めたが, 1年以内死亡例では肺,肝,骨,脳が95%であった. 6) 再発後3年以上生存症例では,初発再発部位が局所,リンパ節,対側乳房の4例は,いずれも手術的切除+放射線照射を施行し,骨,肺の3例はいずれも内分泌+化学療法を施行していた. 7) 乳癌術後の再発症例に対する治療方針として,われわれは現在のところ, (1)化学療法剤は全例に施行する, (2)局所,リンパ節,対側乳房に対しては,可能な限りの病巣切除後,放射線照射を施行する, (3)骨,肺,肝,脳に対しては,エストロゲン・レセプター陽性例はもちろん,陰性あるいは非測定症例にも,積極的に内分泌療法を施行してみるべきである,と考えている.
  • 本邦食道平滑筋腫354例の検討
    細川 俊彦, 大谷 洋一, 薬師寺 公一, 成高 義彦, 小川 健治, 菊池 友允, 矢川 裕一, 榊原 宣
    1985 年 46 巻 7 号 p. 954-959
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    食道平滑筋腫は自覚症状が少ないため,偶然発見されることが多く,まれな疾患とされていたが,近年,診断技術の進歩に伴い報告例も増え,その数も300例を越えている.しかしながら,食道平滑筋腫で長径10cm以上ある巨大例の報告はいまだ少ない.今回,われわれは,長径14cmの巨大食道平滑筋腫の1例を経験したので報告する.
    症例は38歳,未婚女性.主訴は咳嗽で,諸検査により食道平滑筋腫と診断した.当科にて右開胸開腹胸部食道全摘胸骨後食道胃吻合術を施行した.腫瘤は胸部上部食道から中部食道に位置し,大きさ14×8×5cm,重さは170gであった.病理組織学的には食道平滑筋腫と診断した.
    われわれが集計しえた本邦における食道平滑筋腫症例は354例(自験例を含む)で,そのうち長径10cm以上の巨大例は42例の報告をみるにすぎず,自験例が43例目にあたる.集計しえた結果をもとに,食道平滑筋腫症例の性差・年齢,自覚症状,発生部位,診断,治療などについて,長径10cm以上の巨大例と非巨大例との比較を若干の文献的考察を加えて行った.
  • 食道と肺の一期的切除・再建例
    宗像 周二, 川西 孝和, 麓 耕平, 藤田 敏夫, 真保 俊, 唐木 芳昭, 藤巻 雅夫, 広野 達彦, 山田 雅之
    1985 年 46 巻 7 号 p. 960-965
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    食道癌を含む他臓器の三重複癌症例は稀であり,かつ治療においては,外科的治療を一期的に行うか,二期的に行うかが問題となるところである.私達は胃癌術後で,食道と肺は同時性の三重複癌に対し,一期的手術を施行し,切除し得た症例を経験したので報告する.
    症例は61歳男性で,昭和54年に胃癌の診断で胃亜全摘術を受けた.切除標本の組織像では高分化型管状腺癌であった.術後の経過観察中,右下肺野の孤立性陰影を認め,入院,精査の際,上部消化管透視で食道癌を発見した.昭和58年8月に,胸部食道切除術と右下葉肺切除術を一期的に施行した.食道再建は胸骨後経路で,回盲部上行結腸間置術を行った.切除標本の組織像で,食道は高分化型扁平上皮癌,肺は中分化型乳頭状腺癌であり, Warren & Gatesらの定義に従い,三重複癌と診断した.患者は昭和59年5月食道癌の肝転移で死亡した.
    第23回食道疾患研究会の報告では,食道癌を含む多重複癌は同時性,異時性を加えて14例,他に私達が調べ得た本邦報告例は11例であった.異時性多重複癌の予後は良好な症例もあったが,同時性の症例は悲観的であった.治療において,重複癌が胃癌の場合,食道再建臓器には,空腸,回結腸が多く使用され,胃管は早期胃癌症例に限られていた.食道と肺の同時性重複癌の場合,一期的切除再建は手術侵襲が大きく,二期的手術が行われる傾向にあったが,手術手技の向上,術後管理の進歩等により,一期的切除再建が可能な症例もあると考えられた.
  • 佐藤 直樹, 高木 知敬, 米山 重人, 川向 裕司, 馬場 栄治, 徳永 雄幸, 佐々木 文章, 今野 哲朗, 秦 温信, 安住 典夫, ...
    1985 年 46 巻 7 号 p. 966-971
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    症例は55歳女性.右乳癌(infiltrating papapillotubular adenocarcinoma)の切除2年9カ月後に肛門癌(karatinizing squamous cell carcinoma), 3年6カ月後に肺癌(moderately differentiated adenocarcinoma)の根治的切除を行った.三重複癌切除後に,脳腫瘍とAFP, CEAの異常高値をきたし,死亡したが,第4癌の発生が推定された.
    日本病理剖検輯報(昭和33~56年度)にみられた三重複悪性腫瘍は431例で,漸時増加する傾向にあり,男女比は約7:3と男性に多い.乳癌術後重複癌の報告例では,術後の治療法別による発生率と好発臓器に差異がみられ,多重複悪性腫瘍の発生に関する要因について,今後さらに検討されるべき問題と考える.
  • 藤岡 正志, 石田 清, 甲田 英俊, 杉谷 一宏, 青木 則之, 広瀬 佳生, 高田 勇則, 森田 孝夫, 龍野 博昭, 金沢 諭, 里見 ...
    1985 年 46 巻 7 号 p. 972-978
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    腹腔動脈幹閉塞を合併した十二指腸乳頭部癌症例に対し膵頭十二指腸切除術を行った.背膵動脈を温存することで上腹部臓器の血流を確保した.患者は67歳女性で,術後合併症もなく経過し,術後5年3カ月の現在再発の徴候なく健在である.
    腹腔動脈幹閉塞はそれだけでは臨床的に問題になることは少ない.膵アーケードを介して上腸間膜動脈から豊富な血流が供給されるため上腹部が虚血になりにくいからである.しかし,膵頭十二指腸切除術のような膵アーケードに侵襲の加わる手術をするときには,何らかの方法で血流を維持しなければ,上腹部は虚血し,術後重大な合併症を招来するであろう.
    現在,上腹部の虚血による合併症がどれほどあるかは不明であるが,動脈硬化に伴う高度の腹腔動脈幹狭窄症例が増えつつある今日,膵手術後の上腹部臓器の虚血は術後合併症の原因として今後問題にされるべきであろう.
    術前に上腹部動脈撮影(殊に側面像)を行うことの重要性を強調したい.
  • 大熊 隆介, 膳所 冨士男, 久富 啓介
    1985 年 46 巻 7 号 p. 979-985
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    昭和54年7月産業医科大学病院開設以来5年間に,当第1外科教室にて10例の肝膿瘍を経験した.年齢は8カ月より70歳で,性別は男7例,女3例であった.発生原因別分類では,胆管性4例,特発性3例,直接性1例,外傷性1例,門脈性1例で,併発合併症は,腹膜炎および横隔膜下膿瘍4例,敗血症1例であった.発生部位は,右葉6例,左葉3例,両葉1例で,数は単発8例,多発2例であった.診断には, US, CT, PTCが多用され,術前診断は, 10例中9例に可能であった.治療としては, PTADが6例に施行され,有効3例,無効3例で,無効例は開腹ドレナージに切換えられた.最初より開腹ドレナージを施行したものは3例で,残り1例は内瘻術を施行した.治療成績は全例治癒し,肝膿瘍による死亡例はない.
  • 胆嚢・総肝管瘻と胆嚢・十二指腸瘻の共存
    久次 武晴, 山岡 宏太郎, 原田 貞美, 溝口 哲郎, 副島 真一郎, 十時 忠秀, 副島 寿太郎
    1985 年 46 巻 7 号 p. 986-990
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    69歳の女性が高血圧,左三叉神経痛,右季肋部不快感を主訴として入院した. 20年前に右季肋部激痛発作,発熱あり某病院に2カ月間入院した既往があるが今まで黄疸を認めたことはない.腹部単純撮影で胆管内ガス像を認めた,胃十二指腸透視および十二指腸ファイバスコープの所見で胆嚢・十二指腸瘻および胆嚢・総肝管瘻が共存することを術前に診断し得た.手術所見は胆嚢部は癒着高度で萎縮を認めた.胆嚢切開を加え胆嚢粘膜を電気焼灼した.直径8mmの胆嚢・十二指腸瘻が存在しこれを縫合閉鎖した.さらに直径5mmの胆嚢・総肝管瘻を確認した.胆石は存在しなかった.できるだけ胆嚢壁を切除しここに部分的胆嚢摘出術を施行した.胆嚢・総肝管瘻の部にはネラトン管を挿入して胆汁ドレナージとした.創も治癒して術後69日目に退院した.このような2つの瘻孔を有する症例は本邦では文献的に未だ報告がなく,極めて稀でありしかも術前に診断し得たことが意義あることと考えられる.
  • 渡辺 善則, 伊藤 三則, 永澤 康滋, 小野田 肇
    1985 年 46 巻 7 号 p. 991-995
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    3例の胆石イレウスを経験したので,術前診断の検討を中心に,若干の考察を加え報告した. 3例は全て胆嚢十二指腸瘻によるものであった. 1例は空腸で, 2例は回腸で結石が嵌頓していた.手術は全例結石摘出術を行っただけで,胆嚢摘出術,瘻孔処置は行わなかった.胆石イレウスは胆石症の合併症として稀な疾患であり,近年においても,術前に診断される症例は半数に満たない.われわれは術前診断困難な症例に, DIC断層撮影による胆道内ガス像と, Miller-Abott管を用いた小腸造影での結石像を確認し,術前診断を得た.
  • 副島 真一郎, 久次 武晴, 山本 裕士, 原田 貞美, 副島 寿太郎
    1985 年 46 巻 7 号 p. 996-999
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胆石イレウスは本邦では比較的稀な疾患とされており,本邦報告は150余例を数えるにすぎないが,その成因,診断,治療に興味を持たれる疾患である.今回イレウス症状にて緊急手術を施行し,治癒せしめた症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は75歳の女性で突然の腹痛及びコーヒー残渣様の嘔吐にて発症.高齢者である事を考慮し,悪性疾患によるイレウスも考え,緊急開腹術を施行.回腸末端より70cm口側部に超母指頭大の混合石(コレステロール色素石灰石)が嵌頓しているのを認め,これを腸切開にて摘出.さらに15cm口側の部にも示指頭大の混合石(コレステロール色素石灰石)を認め,計2個の胆石を摘出した.更に術後便こしにて1個の胆石を認め,計3個の胆石を認めた.術後検査で胆嚢・十二指腸瘻由来の結石であることが推定できた.本症例は高齢者であるにもかかわらず,手術により治癒せしめることができた.
    胆石イレウスはその成因において胆嚢・十二指腸瘻が多い事はよく知られた事であるが,イレウスという病態より緊急手術として開腹され,術前その原因は明確につかめない事が多い.しかし本症ではコーヒー残渣様の嘔吐が出現しており,それから急激に胆嚢・十二指腸瘻が出現したものとも考えられ,成因論をretrospectiveに推定できるかも知れないことが非常に興味ある所であった.
  • 北見 義輝, 薄井 裕治, 頼 文夫, 冨永 純男, 端野 博康, 久山 健
    1985 年 46 巻 7 号 p. 1000-1005
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    49歳,女性,高アンモニア血症,巨大な肝内門脈-肝静脈短絡を伴なう肝性脳症の1手術例を報告した.術前血管造影の所見から,特発性門脈圧亢進症の存在が推定されたが,術中の門脈圧は,正常範囲であった.脾摘および門脈左枝結紮後,巨大な短絡は消失し,脳症発作も見られなくなった.脾重量は, 305gで,組織学的にfibroadeniaの所見であった.肝左葉の被膜下には,門脈左枝の拡張蛇行による著しい静脈瘤があり,組織学的に門脈領域の軽度の線維化をみとめた.巨大な肝内門脈の短絡は,特発性門脈圧亢進症の経過中の肝細胞の局所的壊死に続発したことが推定された.
  • 高 楓, 浜田 建男, 長尾 和治, 松田 正和, 庄嶋 健, 堀 志朗, 中垣 悟, 佐野 収, 濱田 哲夫, 荻原 直樹
    1985 年 46 巻 7 号 p. 1006-1012
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    腸管型Behçetの1例と不全型のBehçet病に腸病変を合併した1例について報告し, Behçet病の消化管潰瘍の特徴とされる高い穿孔率と再発率という観点から,その手術適応と術式についても文献的考察を加えた.
    症例1は男性で31歳のとき右下腹部痛を初発症状とし,回盲部腫瘤の術前診断で右半結腸切除術を行った.術后にBehçet病の三つの主症状が発現し,病理所見とあわせて確定診断に至った.その后,吻合部を主とする腸管再発のため,ステロイドによる全身症状の寛解を待って再切除を行ったところ経過良好で通院中である.
    症例2は女性で48歳のときBehçet病を発症し,不全型の診断で皮膚科,眼科に通院治療中,ある日突然,回腸の多発穿孔による急性腹膜炎を発症し緊急手術を行った.術后5年以上経過しているが腸管再発の徴候はみられない.本例は穿孔腸管および胃,直腸の生検により病理組織学的にSecondary Amyloidosisと診断された. Behçet病に合併したAmyloidosisの報告は本邦ではほかにみられない.
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