日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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47 巻, 5 号
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  • 中村 卓次
    1986 年 47 巻 5 号 p. 529-532
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 石川 浩一
    1986 年 47 巻 5 号 p. 533-536
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 井上 正
    1986 年 47 巻 5 号 p. 537-539
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 遠山 博
    1986 年 47 巻 5 号 p. 540-543
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 矢川 寛一
    1986 年 47 巻 5 号 p. 544-547
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 沼田 克雄
    1986 年 47 巻 5 号 p. 548-551
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 山中 英治, 西 正晴, 細田 信道, 渡辺 直, 日置 紘士郎, 山本 政勝
    1986 年 47 巻 5 号 p. 552-560
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    外科患者,特に悪性消化器疾患例では入院時すでに栄養不良に陥っていることが少なくない.したがって栄養状態を的確かつ迅速に把握することは重要である.今回は昭和59年1月より12月迄に当科に入院した成人患者324人について,各種栄養指標を用いて栄養評価を行ったところ以下のような結果を得た. 1) 身体計測値では,上部消化管進行癌において%ideal body weight (%IBW), %triceps skinfold (%TSF)が著明に低値を示した.また胆石症で%TSFが比較的高値であった. 2) total protein, albuminなどの血清蛋白値ではStage IVの胃癌症例がStage Iに比して有意に低下していた. 3) 術前術後などの短期間の栄養状態の動きにはrapid turnover proteinが鋭敏であった. 4) %IBWと%TSF, prealbuminとretinol binding proteinとビタミンA値はそれぞれ相関関係を示した.入院時または長期の栄養状態の評価には%TSFとalbuminが,経日的な評価にはrapid turnover proteinが有用であると考えられた.
  • 豊野 充, 星川 匡, 薄場 修, 仁科 盛之, 石山 秀一, 大内 清則, 亀山 仁一, 塚本 長
    1986 年 47 巻 5 号 p. 561-565
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    Stage IV胃癌の切除例90例を対象にして,根治度別,各因子別,規定因子数別および亜分類別に累積生存率を用いて予後を検討した.全切除90例では5生率8.0%であるが,治癒切除例(n=18)では37.5%,非治癒切除例(n=72)では2.3%であり,両群の生存曲線に有意差を認めた(p<0.01). 各因子別には, S3の切除可能例(n=19)が切除不能例 (n=20) より, N3(n=30)がN4(n=8)より, P1(n=30)がP2,3 (n=20) より,またH1 (n=7) がH2,3 (n=7) より予後良好であった. Stage IVの規定因子数では, 1因子(n=44)の5生率は16.5%であり, 2因子以上 (n=46) の生存曲線に比較して良好だった(p<0.02). 亜分類では, IV-a (S3切除可能, N3, P1, H1)(n=46)の1生率59.0%, 2生率47.2%, 5生率18.2%に対し, IV-b (S3切除不能, N4, P2,3, H2,3)(n=44)では1生率17.1%, 2生率0%であった. IV-aがIV-bに比べ予後良好であり,生存曲線に有意差を認めた(P<0.01).
  • 清水 康廣, 久保 義郎, 栗原 英樹, 岡野 和雄, 松前 大, 松前 大, 今脇 節朗, 今吉 英介, 内田 發三, 寺本 滋
    1986 年 47 巻 5 号 p. 566-570
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈・腸骨動脈領域の慢性動脈閉塞疾患に対する血行再建で,大動脈-大腿動脈バイパスを行った症例において,旁腹直筋切開による腹膜外到達法の長所を評価する目的で,経腹膜到達法との比較検討を行った.
    腹膜外到達法では,術後回復が早く,術後合併症もない.創移開,癒着性腸閉塞の発生はみられず,術後腸管麻痺の期間は短く,経口摂取開始が早かった.また,本法による腹部大動脈の露出は,左右いずれからも可能であり,両側腸骨動脈病変に対する大動脈-両大腿動脈バイパスも行うことができる.さらに主要腹部手術既往症例では,再開腹の必要がなく極めて有用であり,また高齢者で,心肺機能障害を有するpoor risk症例に対しても,比較的安全に施行でき,今後幅広く応用されるべき術式であると考える.
  • 石井 博, 新井 一成
    1986 年 47 巻 5 号 p. 571-580
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胆嚢管は胆汁の流入・流出に関与しているが,その形態に関する研究は,いまだ,十分ではない.内視鏡的逆行性胆管造影を施行し,胆管像の得られた341例を対象に胆嚢管形態を検討した.胆嚢管付着部位は総胆管の右側後壁が多く,上部・中部胆管付着例の頻度が95%以上であった.総胆管への胆嚢管付着角度は胆嚢内に結石を有する群に鋭角をなす傾向がみられ,そのsinθに有意差を認め,胆嚢管形態も胆石生成の一因をなすことが示唆された.胆嚢管ラセン最大径(以下,ラセン径)は総胆管最大径と有意に相関し,さらに,更旋部を境として胆嚢結石症では胆嚢側,総胆管結石症では総胆管側ラセン径が拡張する傾向を示し,更旋部には,胆道内圧の上昇や炎症の波及などの影響を防ぐ,何らかの役割を有することが示唆された.これらのことから,胆道造影時および胆嚢摘出術に際し,更旋部を含めた胆嚢管に留意し,形態学的特徴を明示することが必要と考えられた.
  • 竹内 仁司, 小長 英二, 川真田 修, 種本 和雄, 片岡 和彦, 中西 克之, 河村 武徳, 榎本 正満, 井出 愛邦
    1986 年 47 巻 5 号 p. 581-587
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    消化管穿孔は急性腹症の代表的疾患の1つであるが,下部消化管穿孔は上部消化管に比較し稀であり予後不良である.過去15年間に経験した空腸以下の下部消化管穿孔25例を検討し以下の結果を得た.
    1. 原因疾患として小腸病変で7例中4例(57%),大腸病変で18例中13例(72%)が良性疾患であった.
    2. 平均年齢が60.6歳と高齢者が多く,また症状,所見に乏しかった.
    3. 早期より全例に細菌性腹膜炎が関与し,グラム陰性桿菌と嫌気性菌による複数菌感染が多かった.
    4. 白血球減少例では死亡率71.4%と著しく予後不良であった.
    5. 死因としてendotoxinの影響と思われるmultiple organ failure (MOF), Disseminated intravascular coagulopathy (DIC)が5例(62.5%)に認められた.
    以上より,予後を左右するものとして適正なる手術術式,抗生剤の選択とともに術後の全身管理が重要である.
  • 坂口 雅宏, 勝見 正治, 石本 喜和男, 山本 真二, 湯川 裕史, 康 権三, 山口 和哉, 太田 正孝, 林堂 元紀
    1986 年 47 巻 5 号 p. 588-592
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍に対する放射線療法は有効で既に確立された治療法である.しかし,それに伴う合併症も多く,代表的な一つに放射線腸炎があげられる.放射線による強い組織障害のために治療に難渋することもしばしばある.
    私達の教室で16年間に外科的治療を行った26例について検討を加えた.放射線照射を受ける原因となった疾患は子宮癌が15例と最も多く,次いで膀胱癌の7例であった.全例60Coの外照射を受けていた.障害部位は回腸が最も多く,次いで直腸, S状結腸,下行結腸の順であった.また,照射終了より放射線腸炎発症までの期間は2カ月から10年で平均28カ月であった.腸切除術は10例,バイパス手術は4例,人工肛門造設術は12例に施行された.腸吻合法としてGambee 1層縫合を多く用い良好な結果を得た.一方,下血,瘻孔形成例に対する人工肛門造設術の成績は良好ではなかった.
  • とくにRichterヘルニアの特異性について
    伊藤 隆夫, 田中 千凱, 松村 幸次郎, 坂井 直司, 大下 裕夫, 野々村 修, 加藤 元久
    1986 年 47 巻 5 号 p. 593-599
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    1972年から1984年までに当科で経験した嵐径部ヘルニア1,027例のうち,嵌頓例32例,とくにRichterヘルニア5例の特異性について検討した.
    鼡径ヘルニアは971例で若年男性に多く,嵌頓例は19例(2%),大腿ヘルニアは55例で高齢女性に多く嵌頓例は12例 (21.9%), 閉鎖孔ヘルニアは1例で嵌頓例であった. Richterヘルニアは大腿ヘルニアの4例と閉鎖孔ヘルニア1例に認めた(全ヘルニアの0.5%).
    大腿ヘルニアによる嵌頓例のヘルニア嚢の内容は全例小腸であった.鼡径ヘルニアで腸切除をしたのは3例,死亡例は1歳以下の男児の2例であったのに対し,大腿ヘルニアでは5例に腸切除を行い, Richterヘルニアの2例が死亡したが,いずれも80歳以上の高齢者であった.嵌頓例とくにRichterヘルニアではいずれも絞扼性イレウスまですすみ,重篤な合併症をまねくことから,早急な診断と迅速な加療が必要と思われる.
  • 小野 隆男, 生田目 公夫, 小嶋 信博, 宮田 信之, 坂本 道男, 福本 泰知, 緑川 武正, 李 健次, 桜井 修, 大久保 雅彦, ...
    1986 年 47 巻 5 号 p. 600-605
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    術後食道吻合部狭窄3症例に対する食道狭窄拡張用バルーンカテーテルの使用経験を報告する.
    症例1は食道癌にて食道胃吻合を行い,術後に狭窄長の長い軸偏位を伴う高度吻合部狭窄となり,内視鏡的レーザー切開とバルーンカテーテルとの併用にて拡張が得られた.症例2は食道癌にて食道胃吻合を行い,術後に軸偏位のない狭窄長の短いリング状の中等度狭窄にてバルーンカテーテル単独で拡張が得られた.症例3は喉頭癌にて喉頭全摘後, skinrollによる食道再建を行い,術後吻合部狭窄となり,マーキュリーブジーとバルーンカテーテルとの併用にて拡張が得られた.
    バルーンカテーテルは挿入が容易かつ安全で,狭窄部への確実な設置が出来るという利点をもっている.しかし高度な搬痕性狭窄に対してバルーンカテーテル単独で十分な拡張効果を発揮することは難しいが,軽~中等度狭窄に対してはバルーンカテーテルは第一選択として,単独で十分な効果を発揮し得るものと考えた.
  • 加辺 純雄, 佐々木 光一, 柿原 稔, 門田 俊夫, 黒川 胤臣, 玉熊 正悦
    1986 年 47 巻 5 号 p. 606-611
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    デスモイドは稀な良性腫瘍であるが,最近我々は3例を経験したので報告する.症例1は17歳女性で妊娠,手術歴なく,左殿部の腫瘤と排膿を手術目的に来院.摘出腫瘍は14×10×10cmで嚢胞性,組織学的に膿瘍とfibromatosisが併存していた.術後再発をくり返し,半年間に4回手術が施行された.
    症例2は34歳の経産婦,外妊の手術既往はあるが,手術瘢痕と左鼡径部腫瘤と関連はなかった.摘出腫瘍は4.5×3.5×2cm灰白色腱様で,組織学的にはfibromatosisであった.摘出後6年間再発所見はない.
    症例3は31歳経産婦で胆摘術の既往を有する.右下腹部腫瘤の中心は右季肋下手術瘢痕と離れていたが,一部で連結を認めた.摘出腫瘍は13×7×7cm辺縁の嚢胞と灰白色腱様実質部より成り,組織学的にはfibromatosisであった.摘出後の腹壁欠損はpolypropylene meshと凍結乾燥硬膜で補綴,術後2年半再発はない.
  • 加藤 裕, 和田 喜美夫, 松村 弘章, 大倉 國利, 立松 輝, 飯田 忠夫
    1986 年 47 巻 5 号 p. 612-616
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胸部及び腹部鈍的外傷において,胃は比較的損傷を受ける事が稀な臓器である.今回左胸部鈍的外傷による胃粘膜裂傷の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告した.
    症例は52歳の男性であり,左胸部を角材にて打撲し,左第7肋骨々折にて入院中に受傷後4時間を経過して吐血を生じ,内視鏡により胃粘膜裂傷と診断され緊急手術となった.鈍的外傷において,胃損傷は稀なため,胃は検索を忘れがちな臓器であるが,急激に発症する例もあるため慎重に対処する必要がある.
    本例は,鈍的外傷による胃粘膜裂傷例として本邦文献報告例では3例目にあたり,吐血を初発症状とした最初のものである.
  • 塚田 邦夫, 菊田 英夫, 飯塚 益生, 鳥屋 城男, 関口 令安, 渡辺 正道
    1986 年 47 巻 5 号 p. 617-622
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    慢性骨髄性白血病(CML)と胃癌合併例の報告は少ないが,本症の手術例を経験した.患者は72歳男性で,昭和56年8月よりCMLにて治療を行っていた.昭和59年5月,胃前底部のIIc型早期胃癌を発見. CMLは寛解期と判断して6月,幽門側胃切除術と摘脾術を施行した.病理学的検索にて, sm, n0, ly0, V0の低分化型早期胃癌で,脾にはleukemia cellが認められた.
    本邦では, CMLと胃癌の合併がCML重複癌で一番多いことより, CML患者は上部消化管の定期的検査が望ましいと考えられた. CMLが寛解期にあれば外科手術は積極的に行ってよいと考えられる.またCMLの早期摘脾術および晩期摘脾術には賛否両論あるが,本例のように他疾患で開腹する機会があれば,晩期の巨脾による症状を避けるため摘脾術を付加すぺきであると考えた.
  • 佐藤 浩一, 熊谷 一秀, 白沢 光太郎, 辻本 安雄, 渡部 洋三, 城所 仂, 矢ケ崎 喜三郎
    1986 年 47 巻 5 号 p. 623-627
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    最近我々は,主に胃上部に発達進展した隆起性表層拡大型早期胃癌の1例を経験した.
    症例は60歳,男性で,現病歴は昭和58年12月2日,会社の胃集検で異常を指摘された.胃X線検査および胃内視鏡検査では,胃体部後壁小弯を中心として噴門部まで至る粗大顆粒状および結節状の隆起性病変が認められた.生検組織所見では高分化型腺癌であった.切除胃標本所見では胃体部小弯を中心に噴門部から胃体下部にかけて前後壁に拡がる9.6×6.4cm大の隆起性病変が認められ,深達度は一部smに達するがほぼmに留まっていた.なお癌巣全体は中間帯に占居していた.病理組織所見は,分化のよい乳頭管状腺癌であった.
    本症例は病巣面積が61.4cm2と非常に広く,sm浸潤は微量,主占居部位はc領域および中間帯領域と教室の他の隆起性表層拡大型と比較し異なる特徴を有し,胃癌の発育進展における多様性を考える上で示唆に富む症例と考えられた.
  • 飯塚 益生, 馬来 忠道
    1986 年 47 巻 5 号 p. 628-632
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    胃アニサキス症2例の超音波検査を経験した.患者は36歳と29歳の女性で,ともに特徴ある画像を呈した.すなわち胃幽門前庭部から胃体下部にかけての全周性の壁肥厚像で,表面は平滑,内部エコーは低く均一で,粘膜面のエコーはやや高く認められたが各層は分離してみられなかった. 1例は水飲用と体位変換により内腔の開大を認め,壁の伸展性が十分保たれている所見をえたが,このことは悪性疾患との鑑別に有効であると思われた. 2例とも内視鏡検査で虫体を発見し,これを生検鉗子で摘出したことで症状は消失した.1例に1カ月後再度超音波検査を行ったところ,胃壁が正常の厚さにもどっていた.このことより,超音波検査はアニサキス症の治癒の判定にも有効であると思われた.
  • 原発性大動脈腸瘻本邦報告例の検討を加えて
    石橋 宏之, 蜂須賀 喜多男, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 深田 伸二, 加藤 純爾, 神田 裕, 松下 昌裕, 小田 高司, 原川 伊寿
    1986 年 47 巻 5 号 p. 633-639
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    極めて小さい大動脈瘤が原因となった原発性大動脈十二指腸瘻の1例を経験したので,本邦における原発性大動脈腸瘻の文献的考察を加えて報告する.
    症例は75歳の男性で,胃切除術の既往がある.吐下血を主訴に来院したが,内視鏡検査や腹部血管造影で出血源は不明であった.吐下血,ショックをくり返すため手術を施行したが,術中の検索でも出血源は不明であり,残胃全摘術を施行した.術後も消化管出血は続き,術後9日目死亡した.剖検したところ,下腸間膜動脈起始部直上に大きさ1.0×0.8cmの嚢状の動脈瘤があり,これが十二指腸第III部に穿孔し,大動脈十二指腸瘻を形成していた.組織学的には動脈硬化性変化による大動脈瘤と考えられた.
    本邦では文献上22例の原発性大動脈腸瘻が報告されているが,自験例のような小さい大動脈瘤が原因となった例は報告がなく,極めて興味ある症例と考えられた.
  • 稗方 富蔵, 北川 博昭, 桑原 幹夫, 横手 薫美夫, 荒瀬 一己, 岡田 忠彦, 川田 忠典, 野口 輝彦
    1986 年 47 巻 5 号 p. 640-646
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    高位腹部大動脈閉塞症とは,腎動脈の起始部,あるいは更に高位の腹部大動脈の閉塞をきたす疾患である.慢性閉塞で,腎血流が保たれており,側副血行が発達し,下肢の動脈が開存している場合には良好な成績が得られているが,急性閉塞の場合は急性腎不全や腸管壊死を合併し,致命的となることが多い.
    本論文では,慢性閉塞の症例を2例,急性閉塞で致命的となった2例,更にBuerger病に閉塞性動脈硬化症を合併し,閉塞が高位に進行した症例を報告し,これら症例について考察すると共に,大部分を占める慢性閉塞症を中心に本症の外科治療につき総説的に述べる.
  • 松下 昌裕, 蜂須賀 喜多男, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 深田 伸二, 石橋 宏之, 加藤 純爾, 神田 裕, 小田 高司, 原川 伊寿
    1986 年 47 巻 5 号 p. 647-653
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    中結腸動脈瘤破裂の1例を報告し,上腸間膜動脈分枝に発生した動脈瘤本邦報告例25例を集計した.症例は52歳男性で,突発する腹痛とショックを主訴として来院した.右上腹部に腫瘤と圧痛と筋性防御があり,超音波検査で腸管周囲の腫瘤像と腹腔内の液体貯留を認めた.緊急手術を行い,中結腸動脈破裂による,結腸間膜から後腹膜におよぶ血腫と少量の腹腔内出血を認めた.止血後,結腸右半切除術を施行し,術後経過は良好であった.本邦報告例では,上腸間膜動脈分枝に発生した動脈瘤25例のうち, 19例が破裂後発見されている.臨床的には,粘膜下の動脈瘤は,腸管腔内に破裂し,下血とショックを来し,腸間膜内の動脈瘤は,一旦腸間膜血腫をつくった後,腹腔内へ破裂し,急激な腹痛とショックを来す.血管撮影を行わなければ術前診断は困難であるが,早期に止血されれば予後は良好であり,時期を失することなく開腹手術をすべきである.
  • 自験例と本邦集計例について
    松崎 安孝, 矢野 孝, 池澤 輝男
    1986 年 47 巻 5 号 p. 654-659
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    孤立性腸骨動脈瘤は比較的稀な疾患であり,腹部大動腫瘤に対する相対頻度は5%以下と考えられる.最近10年間に我々は3例の孤立性腸骨動脈瘤を経験し良好な手術成績を得たので報告し,本邦報告例46例とあわせ診断,治療について考察を加える.
    症例は57歳, 61歳, 82歳の男性で両側の総腸骨および内腸骨動脈瘤の1例と片側の総腸骨動脈瘤の2例である.このうち1例は腹痛発作で来院し,切迫破裂を疑い緊急手術を施行した. 3例とも非破裂例で原因は動脈硬化性であった.本症患は腹部大動脈瘤と比較すると破裂の危険性が高いとされ,本邦報告例でも37%が破裂例であった.破裂してはじめて診断されることも多いといわれるが,破裂例の予後は悪く,本邦報告例でも手術死亡率は44.4%である.このため他に手術禁忌となる合併症がなければ,早期に血行再建を行うべきであると考える.
  • 関谷 雄一, 神津 照雄, 磯野 可一, 山崎 義和, 円山 正博, 村島 正泰, 今野 秀次, 岡田 淳一, 植松 貞夫
    1986 年 47 巻 5 号 p. 660-665
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    症例l:46歳男性.排便時出血を主訴に来院し,肛門縁より4cmの位置に直径約1cmの粘膜下腫瘍を指摘された.内視鏡下レーザー焼灼を行った後,残存腫瘤に対し内視鏡的ポリペクトミーを施行した.摘出標本の組織所見からカルチノイドとの診断を得たため,ポリペクトミー後の潰瘍底にエタノール局注療法を行った.
    症例2:53歳男性.主訴は特になく,ドックにて直腸粘膜下腫瘍を指摘され来院した.肛門縁より8cmの部位に直径約6mmの山田II型の腫瘤を認め,内視鏡的ポリペトミーを行った.摘出標本からカルチノイドとの組織診断を得たため,ポリペクトミー後の潰瘍底にNd-YAGレーザー照射を行った.
    症例1, 2ともに23カ月及び13カ月後の現在経過良好である.内視鏡的ポリペクトミーとエタノール局注療法又はレーザー照射療法との併用は直腸カルチノイドの小病変に対する治療法として有効と考える.
  • 津留 昭雄, 矢野 真, 松永 章, 篤永 荘司, 中村 秀三, 西田 博之, 小西 浩, 笹栗 靖之, 深江 俊三
    1986 年 47 巻 5 号 p. 666-672
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    肝肉腫のうち,稀な疾患である肝未分化肉腫の1例を経験したので報告する.症例は73歳男性で腹部膨満を主訴に来院し,腹部画像診断,超音波映像下肝生検にて,肝未分化肉腫と診断された,切除不能と判断されたため肝動脈ヘチュービングを行い,術後化学療法を行ったが,入院7カ月後死亡した.剖検時腫瘍の割面像では出血壊死を含む小嚢胞と肝外側区域に肝内転移巣を認めた.光顕所見,各種特殊染色及び電顕検索にても同様に原発性肝未分化肉腫という診断を得た.
    本症は1978年, Stockerの31例の報告以来,著者らの集計では現在までに本邦で7例の報告を数えるに過ぎない.これらの報告例に自験例を加え若干の文献的考察を行った.
  • 鈴木 俊輔, 森 昌造, 菅野 千治, 斎藤 和好, 吉田 博, 佐藤 雅夫, 鈴木 克, 中村 隆二, 富地 信和
    1986 年 47 巻 5 号 p. 673-679
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    陶器様胆嚢はまれな疾患とされ,菅野らによる本邦の集計では1979年までに55例をみるにすぎない.今回我々は石灰乳胆汁を合併した陶器様胆嚢の1例を経験したので報告するとともに,菅野らの報告と合わせ本邦報告例100例を集計し検討した.症例は56歳男性で,腹痛を主訴として来院し,陶器様胆嚢の診断で手術を施行した.胆嚢頚部に結石の嵌頓が見られ,その表面には石灰乳胆汁が付着していた.また赤外線分析では胆嚢壁の石灰化層はリン酸カルシウムが主成分であった.
    本邦報告例の検討:男女比は約1:4で,好発年齢は50~70歳台であった.臨床症状は腹痛が多く,本症に特有な症状は見当たらなかった.本症の胆嚢内有石率は78%で,また慢性炎症による胆嚢管閉塞あるいは結石による胆嚢頚部嵌頓閉塞がほぼ全例に見られた事,さらに胆嚢癌の合併率が約11%と高率であった事から,術前の十分な精査と共に可及的に手術を行うぺきものと考える.
  • 高田 忠敬, 安田 秀喜, 内山 勝弘, 長谷 川浩, 三須 雄二, 土屋 繁之, 四方 淳一
    1986 年 47 巻 5 号 p. 680-685
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    32歳,男性の遊走胆嚢(Gross A)を要因とした不完全型胆嚢捻転症を超音波検査とERCPにて術前診断しえた.体位変換にて,症状の改善がみられることも特徴的であった.本例は,術前診断しえた不完全型胆嚢捻転症の本邦第一例とおもわれ報告した.
  • 宍倉 実, 古屋 徹, 池宗 芳夫, 三原 純司, 美島 利道, 朝倉 斌, 北野 善昭, 佐藤 重樹, 四方 淳一
    1986 年 47 巻 5 号 p. 686-689
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
    78歳の女性で,肝硬変症を合併し,急性胆嚢炎のため入院した全内臓逆位症の1例を経験した.術前の問診および入院時一般検査から適確な診断を得て,抗生剤投与などの積極的な保存的治療により急性期を脱し,内視鏡的膵胆管造影法などの胆道系の術前精査ののち待期手術を行い治癒せしめた.
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