臨床血液
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33 巻, 8 号
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総説
  • 河野 道生
    1992 年 33 巻 8 号 p. 999-1011
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
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    形質細胞増多症には形質細胞自身が増殖するものと形質細胞への分化促進により形質細胞が増多するものに大別される。形質細胞の増殖機構はその腫瘍性疾患である骨髄腫の骨髄腫細胞の増殖がインターロイキン6 (IL-6)で促進されることが明らかとなり次第に解明されつつある。さらに骨髄腫細胞から産生されるIL-1βが破骨細胞刺激因子として骨融解病変に密接に関与していることも明らかとなった。このように,形質細胞の増殖および機能にサイトカインが重要な働きをしている。しかし,骨髄腫細胞は均一な細胞集団ではなく実際にIL-6により増殖している細胞は一部でありほかの細胞は非増殖細胞集団である。このような不均一性は接着分子の発現の相違により前駆(未熟)細胞と成熟骨髄腫細胞の存在を同定することにより明らかにされつつある。したがって,形質細胞増殖性疾患特に骨髄腫の病態を考えるに,サイトカイン活性の動態とともに前駆骨髄腫細胞と成熟骨髄腫細胞の動態を把握することが重要である。
臨床研究
  • 井上 靖之, 鈴木 憲史, 榎本 英壽, 武村 民子, 中村 恭一
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1012-1016
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    β2-ミクログロブリン(β2-MG)は,腫瘍マーカーのひとつとして知られている。特に,多発性骨髄腫患者においては,血清β2-MG値はもっとも重要な予後決定因子とされている。われわれは,14例の多発性骨髄腫(MM), 13例の良性M蛋白血症(BMG), 25例の健常者の血清β2-MG値を,ラジオイムノアッセイ(RIA) 2抗体法を用い比較した。また多発性骨髄腫患者腎のβ2-MGを抗β2-MGポリクローナル抗体,ペルオキシダーゼ—抗—ペルオキシダーゼ(PAP)法を用い染色し,各々の臨床症状と染色態度を比較検討した。血清β2-MG値は,健常者群においては加齢とともに上昇傾向にあり,また骨髄腫群においては,同年代健常者と比較すると有意な高値を示した。腎糸球体でβ2-MG染色陽性となった患者はほとんどが80歳台で経過は短かった。腎糸球体での染色陽性強度は骨髄腫細胞よりのβ2-MG産生量を反映していると考えられた。
  • 福田 隆浩, 牧野 茂義, 田村 和夫, 鈴宮 淳司, 木村 暢宏, 大島 孝一, 菊地 昌弘, 佐川 公矯
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1017-1024
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    過去5年間に当院へ入院した成人T細胞白血病を除く慢性型リンパ性白血病10例を,1989年FAB分類と対比してその臨床像,細胞形態,表面形質について検討した。内訳はT-chronic lymphocytic leukemia (CLL) 3例,T-prolymphocytic leukemia (PLL) 2例,B-CLL 2例,B-PLL 1例,nonT nonB-CLL 1例,Waldenström's macroglobulinemia 1例であった。慢性型リンパ性白血病は一般に慢性の経過をとるB細胞性が多いといわれているが,当院においてはT細胞性が10例中5例と多かった。T-CLLでは細胞の大小不同や核の切れ込みなど形態的に多様性が強く,核小体や胞体内のアズール顆粒は認めなかった。PLLでは顕著な核小体と豊富な胞体をもつ大型の細胞が増加していた。治療はサイクロフォスファミドとプレドニゾロンを中心に行ったが,特にT細胞性では治療抵抗性であり生存中央値は1カ月であった。今後T細胞性の分類,治療法については検討が必要である。
症例
  • 野田 美恵子, 西村 甲, 池田 昌弘, 宮川 知士, 原 光宏, 番場 正博, 木下 明俊, 中沢 真平
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1025-1030
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    1987年2月に発症した13歳女児のALLに対し,TCCSG L84-11 protocolで治療し,同年6月完全寛解を得た。1988年4月維持療法中に突然,歩行困難,めまいおよび食思不振を訴えた。入院時,失調歩行,右方視における右方向水平眼振,両側膝蓋腱反射亢進を認めた。入院後,感情失禁,尿失禁,左顔面神経麻痺,左外転神経麻痺が出現し,5月中旬には右上下肢痙性麻痺,右知覚麻痺があきらかとなり,左側橋底部尾部の病変部が推定され,同時期のMRIで病変部が確認された。病状は,進行性で,入院5カ月後,中枢性の無呼吸発作を繰り返し死亡した。病理所見では,橋,延髄および脊髄上部にかけて広範な脱髄病変が認められた。大脳半球および小脳には病変を認めなかった。脳幹部に限局した脱髄病変の原因を明らかにする陽性所見は得られなかったが,頭蓋放射線治療と髄注療法の影響の可能性が考えられた。
  • 白川 親, 大野 基樹, 杉島 仁, 森田 恵, 正木 秀幸, 藤本 卓也, 前田 裕弘, 入交 清博, 堀内 篤
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1031-1035
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
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    著明な好塩基球増加を伴ったMDS overt leukemiaを経験したので報告する。症例はRAEBと診断されていた52歳の女性。末梢白血球数が上昇したため本院に入院した。入院時末梢白血球数30,900/μl, 分類では芽球14.0%, 好塩基球49.0%, 骨髄像で芽球30.2%, 好塩基球21.1%と増加しており,RAEB in tと診断された。入院後好塩基球数は増加し,血清ヒスタミン濃度の増加とともに高ヒスタミン血症による消化性潰瘍や発熱が認められ,呼吸不全と敗血症で死亡した。好塩基球は成熟型であり,トルイジンブルーで異染性に染まる顆粒をもっていた。好塩基球の増加機序を明らかにすることはできなかったが,白血病細胞と同一クローンから分化増殖したものと考えられた。
  • 加藤 治子, 山下 えり子, 藤野 由美, 徳弘 英生
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1036-1040
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    症例:30歳,女性。昭和52年はじめての溶血発作をおこし,以後くり返すようになった。検査結果より不安定血色素症が疑われ,貧血の進行も著しいため昭和54年摘脾術施行。溶血はおさまらず,腎機能障害も進行。昭和59年8月貧血と全身の浮腫で当院入院。入院時現症:貧血,チアノーゼ,四肢の浮腫を認めた。入院時検査:Hb 7.1 g/dl, LDH 830 IU/l, ハプトグロビン28 mg/dl以下。熱変性試験,イソプロパノール試験ともに陽性。赤血球内酵素異常,血色素のアミノ酸配列の異常は認められず。入院後経過:溶血発作とともに腎機能も徐々に悪化,11月に透析導入となる。患者の所持品より白色粉末が発見され,phenacetinと鑑定された。尿中N-acetyl-P-aminophenolは強陽性を示した。昭和52年より,phenacetinの服用を認めた。薬剤中止後,溶血発作は完全に消失した。診断に困難を覚えた症例である。
  • 橘 順子, 福徳 雅章, 竹内 洋子, 吉岡 律子, 広瀬 優子, 清水 史郎, 菅井 進, 滝口 智夫, 紺田 進, 湯浅 幸吉, 清水 ...
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1041-1045
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
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    肺結核人工気胸術後の慢性膿胸壁に悪性リンパ腫を発症した1症例を経験したので報告する。症例:60歳男性,26歳時,肺結核に対し右人工気胸を施行。60歳時,右緑膿菌性膿胸を合併し,治療のため右開窓術を施行。処置中,膿胸壁より増大する腫瘤が出現し,生検の結果“malignant lymphoma (diffuse large, immunoblastic, B cell type)”と診断し,VEAP-Bleo. 療法にて治療を開始した。治療に対する反応は良好であった。右胸郭の開放腔を閉鎖するため,化学療法開始後7カ月目に広背筋および大網充填術を兼ねた胸郭形成術を行った。手術後約1.5年間にわたり月に1度の化学療法を施行した後は無治療で経過観察中であるが,初回治療開始時より49カ月間完全寛解を続けている。このようなリンパ腫の症例で膿胸腔を充填術により閉鎖した報告はわれわれが検索したかぎりでは認めず,また2年間無治療で寛解を続けている点も興味深い。
  • 郷田 治幸, 安部 康信, 油布 祐二, 牟田 耕一郎, 勝野 誠, 後藤 達郎, 定村 伸吾, 西村 純二, 名和田 新, 平田 譲治, ...
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1046-1051
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    症例は27歳,男性。1990年7月全身リンパ節腫脹出現し,同年9月左鼠径部リンパ節生検にてリンパ芽球型悪性リンパ腫と診断。骨髄穿刺にてペルオキシダーゼ染色(POX) (-), CD7 (+), CD4 (-), CD8 (-), CD13 (-), CD33 (-)芽球を55.4%認めた。MACOP-B療法にて骨髄中のリンパ芽球や体表部リンパ節腫脹は一旦消失するも,同年12月骨髄およびリンパ節に再発した。骨髄ではPOX (+), CD7 (+), CD13 (+), CD33 (+)芽球を36.4%認め骨髄性白血病へのlineage switchと診断した。初発時と再発時の芽球は染色体分析にて11p-という共通の核型異常を認め,またTCRδ鎖,γ鎖,β鎖遺伝子の同一再構成バンドを認めたため,同一クローン由来と考えられた。興味深いことに再発時,頸部リンパ節より施行した吸引細胞診では骨髄と異なるPOX (-)芽球の増殖を認めた。本症例は多系統(リンパ系および骨髄系)へ分化能を有す多能性幹細胞レベルでの腫瘍化と考えられた興味ある症例である。
  • 宮崎 仁, 井野 晶夫, 祖父江 良, 都築 基弘, 前田 拓司, 野村 俊之, 脇田 待子, 平野 正美
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1052-1056
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    症例は40歳女性で,1989年8月に当院で急性前骨髄球性白血病と診断され,modified-DCMP療法にて完全寛解となったが,治療終了後より抗生物質に抵抗性の高熱が持続し,CTにて肝,脾に多発性小膿瘍像が認められた。真菌性膿瘍を疑い,amphotericin B (AMPH-B), fluconazole点滴静注を長期間投与したが無効であったため,経皮経肝的に門脈内カテーテル留置を施行し,AMPH-B持続注入(維持量20 mg/日)を行ったところ,1週間後には37°C以上の発熱はなくなった。カテーテルは29日後に抜去したが,症状の再燃はなく,CT上肝膿瘍像も著明に縮小した。副作用としてはステロイド剤の前投薬を要する悪寒戦慄と低カリウム血症が認められた。カテーテル抜去時の造影で挿入部に一致した門脈血栓が認められた。真菌によると思われる難治性肝膿瘍に対する治療法として,門脈内留置カテーテルによるAMPH-B投与は有効であるが,今後,それに伴う副作用,合併症に対しても考慮する必要があると思われる。
  • —自験例の観察から—
    入交 清博, 岩本 一郎, 川西 一信, 辻 光次郎, 森田 恵, 小山 敦子, 濱崎 浩之, 堀内 房成, 堀内 篤, 秋山 利行, 岩永 ...
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1057-1065
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    今回われわれは38歳,女性の急性前骨髄球性白血病にみられたpseudo-Chediak-Higashi (P-CH)顆粒を細胞化学および電子顕微鏡的に観察し,この巨大顆粒の形成について考察した。この巨大顆粒の大きさは小型の顆粒は1-2 μm, 大型の顆粒は4-5 μm, ライト・ギムザ染色ではアズール好性を示した。特殊染色ではペルオキシダーゼ,PAS, 多染性メチレン青染色が陽性,ASDクロロアセテートエステラーゼ,酸フォスファターゼ染色は陰性であった。電子顕微鏡所見では,アズール顆粒の癒合によりp-CH巨大顆粒が形成され,これらの顆粒は1)均等なマトリックスを示す高電子密度の円形顆粒,2)高電子密度の顆粒の一部が自己融解した顆粒,3)結晶状構造を示し,アウエル小体と微細構造が類似している顆粒,4)空胞化した顆粒などが認められた。このアウエル小体様顆粒はアウエル小体の一種の変形したものと考えられた。
  • 坂野 章吾, 高田 勝利, 脇田 充史, 岩木 理, 仁田 正和, 御供 泰治, 山本 正彦
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1066-1070
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    症例は31歳,男性。1991年3月,右頸部,鎖骨上窩リンパ節腫脹のため入院した。8歳のとき筋サルコイドーシスと診断され副腎皮質ステロイド剤をうけている。18歳頃より皮膚はサルコイドーシスのため紅斑,潰瘍を伴い次第に皮膚萎縮となった。リンパ節生検の結果,大細胞型の非ホジキンリンパ腫と診断された。リンパ節細胞はサザンブロット法によりTCR-β鎖に遺伝子再構成を認めた。CHOP, CHOP-Bleo療法に抵抗性であったがシスプラチン,エトポシド療法により寛解となった。しなしながら,再発し肺出血のため約4カ月後に死亡された。いわゆるサルコイドーシス,リンパ腫症候群は本邦では少ない。報告例の10例中9例がサルコイドーシスの経過中に悪性リンパ腫を合併していた。サルコイドーシスは,ほとんどが慢性活動性でステロイド剤の全身投与を必要としていた。合併するリンパ腫は外国例で多いホジキン病は本邦ではなかった。サルコイドーシス,リンパ腫症候群が本邦で少ないのはホジキン病が比較的まれであるのと関係があると考えられた。また,サルコイドーシスにリンパ腫が合併する原因としてサルコイドーシスにおける免疫異常が関連していると考えられる。
  • 高井 和江, 真田 雅好, 渋谷 宏行
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1071-1076
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    症例は63歳男性で貧血と血小板減少にて入院。骨髄は過形成で異常赤芽球を66.6%, 芽球を19.8%認め,染色体分析では5q-, -7, -17を共通とする多彩なMAKA (major karyotypic aberrations)型異常を示し,赤白血病(FAB M6)と診断した。6カ月後,末血に幼若顆粒球が増加し,骨髄では芽球25.8%, 前骨髄球20.0%と顆粒球系主体のRAEB-T類似の病態を示した。さらに3カ月後,末血の芽球が33%と増加し,表面抗原ではCD41b (GPIIb/IIIa) 69%, CD42a (GPIb) 63%陽性,電顕的血小板ペルオキシターゼ陽性芽球が主体となった。骨髄はdry tapで,細網線維の増生を伴う芽球と異型巨核球の増殖を認め,巨核芽球性白血病(FAB M7)への進展と診断した。FABにおけるM6の多くは赤芽球過形成を特徴とした,stem cellの異常によるmultilineageの疾患であり,骨髄異形成症候群から急性白血病への進展過程の1つととらえうるものと思われる。
  • 坂井 紀夫, 澤田 賢一, 小泉 和輝, 垂水 隆志, 佐藤 典宏, 家子 正裕, 櫻間 照喜, 安河内 太郎, 松永 泰子
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1077-1083
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    30歳,女性。妊娠27週にて破水し帝王切開術施行。術中の出血量は700 mlで輸血は施行しなかった。鉄剤を投与されたが,患者のHb値は7.8 g/dl前後にとどまり貧血は改善しなかった。第9入院病日に突然の悪寒,発熱の出現とともに一過性の白血球減少症,網状赤血球の消失がみられた。骨髄検査で赤芽球消失,巨大赤芽球の出現,ウイルス学的検査でウイルス血症,抗HPV IgM抗体を認め,急性HPV感染症と診断した。その後,貧血はHb値が6.0 g/dlまで進行したが,まもなく急速に回復した。in vitro colony形成法による検討では,急性期血清は用量依存性にBFU-E, CFU-Eを抑制したが,回復期血清では抑制がみられなかった。CFU-GMはいずれの時期の血清でも抑制は認められなかった。このことからHPVの抑制効果は赤血球系に特異的であり,HPV感染症における一過性の赤血球造血障害はHPVが原因と考えられた。しかし白血球減少症の原因は不明である。本症例は,erythropoietic stressのような特殊な条件下では,健常人においてもHPV感染症により一過性aplastic crisisが発症しうることを示している。
  • 横山 健次, 小島 勝, 小松本 悟, 奈良 昌治, 中野 優, 池田 康夫, 外山 圭助
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1084-1089
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)にビンクリスチン(VCR)緩速静注が著効した1例を経験した。症例は40歳女性。突然の性器出血によりショック状態となり当院に入院した。血液検査上著明な貧血,血小板減少,LDH上昇を認めた。当初ステロイドパルス療法,免疫グロブリン大量投与を試みたが無効であった。次第に意識障害,腎機能障害が出現しTTPと診断し,血漿交換を施行した。意識レベルの改善,LDHの低下を認めたが,貧血,血小板減少は続いた。そこで週1回VCR 1∼2 mgを4∼8時間かけて緩速静注したところ,著効を呈し寛解に至った。その後VCR中止,あるいは抜歯に伴いTTPの再燃を繰り返したが,いずれもVCR再開により寛解再導入に至った。VCR緩速静注は難治性のTTPに対して,試みる価値のある治療法と思われる。
  • 藤井 浩, 中川 均, 加納 正, 松山 文男, 浦田 洋二
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1090-1094
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    末梢血や骨髄中の形質細胞に,大きな空胞状封入体がみられたIgG-λ型多発性骨髄腫の白血化症例を報告した。67歳の男性が骨痛で入院。尿BJ蛋白1.5 g/日,末梢血(63%)と骨髄(90%)での著明な形質細胞増加,血清M成分(IgG-λ型,6.0 g/dl),多数の骨融解像などより,白血化IgG-λ型骨髄腫と診断。末梢血や骨髄の形質細胞の多くは細胞質内に空胞状封入体を有した。大きさは1∼8 μmで,PAS染色とペルオキシダーゼ染色は陰性。AcP染色では封入体周辺部が強陽性で,内部は微細顆粒状に陽性。電顕では多くの空胞状封入体は一層の限界膜に囲まれて,内に微細小胞を含有していた。一部の空胞状封入体はfibrillary structureを呈した。これらの所見より,形質細胞の空胞形成にlysosomal systemが重大な役割をはたしたと推定された。
短報
  • 海渡 健, 小野 益照, 小林 正之, 川本 進也, 西脇 嘉一, 増岡 秀一, 島田 貴, 落合 成正, 酒井 紀
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1095-1097
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    A case with multiple myeloma complicated with hemophagocytic syndrome (HS) is presented. Because pancytopenia, liver dysfunction and increase of mature histiocytes in the bone marrow appeared rapidly a diagnosis of HS was made. The patient died of multiple organ failure, despite steroid therapy. Autopsy revealed marked invasion of hemophagocytic histiocytes not only into the bone marrow but also into many other organs such as the liver, lymph nodes and kidneys. HS is a histiocyte proliferative disorders, which is likely to be seen in immunocompromised hosts, but there is no previous report about HS and multiple myeloma.
  • 坂野 章吾, 仁田 正和, 脇田 充史, 岩木 理, 竹内 元二, 高田 勝利, 御供 泰治, 山本 正彦
    1992 年 33 巻 8 号 p. 1098-1100
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル 認証あり
    A 39-year-old female diagnosed as acute myelogenous leukemia received allogenic bone marrow transplantation (BMT) pre-conditioned with busulfan and cyclophosphamide regimen from her HLA identical sibling. To distinguish donor and recipient cells, we analyzed variable numbers of tandem repeats (VNTRs) polymorphisms using a YNH-24 probe by Southern blot hybridization. VNTRs polymorphism analysis documented the engraftment of donor cells, relapse of recipient cells, and mixed hematopoietic chimerism. Assessment of the chimerism state is important for determining the prognosis of patients undergoing BMT, and VNTRs polymorphisms analysis is very useful for identifying the chimerism state.
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