好酸球増多を合併し,ATL細胞の培養上清中にGM-CSF活性を認めたATL症例を報告する。症例は75歳の女性でリンパ節腫大を主訴とし当院入院。白血球数73,300/μ
l, 異常リンパ球35.5%, 好酸球19%。リンパ球の表面形質はCD4+CD8-であり,抗HTLV-I抗体陽性,末梢血単核球にHTLV-I proviral DNAのモノクローナルな組み込みを認めたため急性型ATLと診断。THP-CV療法にて病態改善し退院。その後,再びリンパ節が増大し当院再入院。白血球数76,300/μ
lで異常リンパ球は89%まで増加。vincristine, cyclophosphamide, doxorubicinで治療し,リンパ節は一時的に縮小したが,その後,治療抵抗性となり死亡。好酸球増多の原因としてATL細胞から産生されるサイトカインの関与を考え,患者血清およびATL細胞培養上清中のIL-3, IL-5, GM-CSFの活性を測定したが,血清中にはいずれのサイトカインも認めず,ATL細胞培養上清中にGM-CSF活性のみ認めた。以上より,ATL細胞から産生されたGM-CSFが本症例の好酸球増多に関与している可能性が示唆された。
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