症例は62歳,男性。動悸を主訴に1989年2月に近医を受診。末梢血検査所見ではWBC 3200/μ
l, RBC 213×10
4/μ
l, PLT 11.4×10
4/μ
lと汎血球減少を示し,骨髄穿刺所見では正形成であるものの,Myelodysplasiaとblast 2.2%を認め,骨髄異形成症候群(MDS)-RAと考えられた。その後,外来にて輸血などの対症的な治療を受けていたが,経過中,汎血球減少が高度となり,1990年1月当科へ入院となった。入院時の末梢血検査所見,WBC 2,000/μ
l, WBC 134×10
4/μ
l, PLT 2.9×10
4/μ
lであり,骨髄穿刺はdry tapであった。骨髄生検像では高度の線維化を,また染色体検査では47XY, +8, 13q-, 14p+, 48XY, +8, +19, 13q-と多彩な異常を認めた。そこで,BHAC-AMP療法を3クール施行したところ汎血球減少の改善と染色体異常の消失を認めた。本症例はMDSの病態から急性骨髄線維症(AMF)へ移行したと考えられるが,強力な化学療法が著効したことから若干の文献的考察を加えて報告する。
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