臨床血液
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34 巻, 7 号
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臨床研究
  • 谷口 修一, 山崎 和夫, 大野 裕樹, 萩本 直樹, 樋口 和行, 加藤 雅人, 浅山 良吉, 田北 淳, 兵働 貞夫, 原田 実根, 仁 ...
    1993 年 34 巻 7 号 p. 809-814
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    第1再発以降の造血器悪性腫瘍8例(悪性リンパ腫6例,急性骨髄性白血病2例)および進行期の各種固形腫瘍9例に対し,大量エトポシドを含む移植前治療を行った後,自己造血幹細胞移植を行った。治療効果は,造血器悪性腫瘍群では3例の寛解期移植例は全例無治療で寛解を持続しているが,多剤耐性期群では評価可能4例中1例のみで寛解持続中である。悪性固形腫瘍群では腫瘍縮小効果は劇的であったが9例中2例が寛解持続中であるほかは,全体としては寛解持続期間が短い結果となった。VP 16の用量斬増による影響を検討したところ,用量制限毒性は口内炎であった。臨床効果に対する用量斬増の効果は明らかとならなかった。口内炎に対する評価から,安全投与量は45 mg/kg/72 hr持続投与,可能投与量は60 mg/kg/72 hr持続投与と考えられた。
  • 小島 勢二, 松本 公一, 加藤 剛二, 松山 孝治, 杉原 卓朗, 南 三朗, 小寺 良尚, 宮島 雄二, 片山 功, 堀部 敬三
    1993 年 34 巻 7 号 p. 815-820
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    24例の再生不良性貧血患者(重症:19例,中等症:5例)を抗胸腺リンパ球グロブリン(ATG: Lymphoser Berna®)と大量メチルプレドニゾロンの併用療法で治療した。ダナゾールまたはメピチオスタンを同時に少なくとも3カ月投与した。この間に3ロットのATGが使用されたが,2ロットは血小板非吸着製剤であり,1ロットは血小板減少の副作用を予防する目的で血小板による吸着操作が加えられていた。治療開始より3カ月以内に評価可能な20例のうち9例(45%)に血液学的改善が得られた。血小板非吸着製剤で治療された14例のうち9例(64%)が治療に反応したのに対し,血小板吸着製剤で治療された6例では,1例も反応がみられなかった。全体としての3年生存率は81±27%であった。今回の成績から,わが国においても,ATGは再生不良性貧血の治療薬として,きわめて有効であると考えられた。
  • 後藤 明彦, 川西 慶一, 黒澤 一代, 宮澤 啓介, 大高 正裕, 相澤 信, 木村 之彦, 吉川 治, 外山 圭助
    1993 年 34 巻 7 号 p. 821-828
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    生体内造血系においてgranulocyte macrophage-colony stimulating factor (GM-CSF)は骨髄単球系前駆細胞の分化・増殖を,Steel factor (SLF)はより未熟な幹細胞の増殖を支持する造血因子として知られている。われわれは12例の急性骨髄性白血病患者について白血病芽球の試験管内でのSLFとGM-CSFの作用を検討し,12例中10例にいずれかに対する,7例で両者に対する有意な増殖反応性を認めた。そこで,造血因子依存性白血病細胞株MO7eをモデルとして,おのおのの造血因子とその併用の細胞回転に対する作用と,cytosine arabinoside (ara-C)の感受性増強効果について検討した。その結果,SLFとGM-CSFは単独で休止期MO7e細胞の細胞回転導入効果とara-C感受性増強効果を示し,さらに両者の併用では相乗的な効果を認めた。以上よりSLFとGM-CSFの併用による前処置は同種あるいは自家移植を利用した治癒を目指す強力な白血病治療において有力な手段になる可能性をもつと思われた。
  • 新津 望, 原 明博, 梅田 正法, 白井 達男
    1993 年 34 巻 7 号 p. 829-834
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    Adriamycinを含む化学療法に治療抵抗性あるいは再発性の悪性リンパ腫に対し,ACVP-16療法とG-CSFを併用し治療成績を検討した。対象は非Hodgkinリンパ腫20例で,男性11例,女性9例,年齢中央値54歳。病理分類は,D. large 14例,D. medium 4例,D. mixed 2例であった。初回治療はCOP-BLAM療法,IMV-triple P療法,COP-BLAMIII療法であった。方法は,ara-C 100 mg/m2第1日目から5日目,CBDCA 250 mg/m2第1日目,VP-16 70 mg/m2第1日目から3日目まで点滴静注とし,第7日目よりG-CSF 2μg/kgを皮下投与した。治療効果は,CR 7例(35%), PR 8例(40%)で奏効率は75%であった。本療法開始後の50%生存期間は,CR例11カ月,PR+NR例4カ月であった。副作用は1,000/μl以下の白血球減少15例(75%), 5万/μl以下の血小板減少12例(60%)に認めた。ACVP-16療法は,治療抵抗性あるいは再発性非Hodgkinリンパ腫において有効であると思われた。しかし,G-CSFを併用しても白血球減少をきたした症例がみられ,重症感染症に注意する必要があると思われた。
  • 権藤 和美, 宮地 勇人, 田中 由美子, 川田 勉, 加藤 俊一, 有森 茂, 安藤 泰彦
    1993 年 34 巻 7 号 p. 835-841
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    われわれは,平均血小板容積(mean platelet volume: MPV)が,化学療法後の骨髄抑制からの血小板・巨核球系造血の指標となり得るかを検討した。完全寛解導入療法を施行された14例の急性白血病におけるMPVの経時的変動は,有意差(P<0.01)をもって,化学療法前(9.7±0.8fl)に比較し,化学療法後(9.2±0.4fl)に低下し血小板数回復時(10.2±0.5fl)または回復に先行して一過性に増加する傾向がみられた。また21例の骨髄移植患者においてMPVの経時的変動を検討した結果は,急性白血病化学療法時と同様の変動がみられた。さらに,血小板数回復に先行するMPV上昇を基準とした生着確認日を設定することが可能で,MPVによる生着確認日(19.9±5.8日)は,有意差(P<0.05)をもって血小板数による生着確認日(24.8±6.7日)より早期であった。急性白血病化学療法時または骨髄移植時においてMPVは,血小板・巨核球系造血回復の早期の指標となり得ると考えられた。
症例
  • 島 孝友, 奥 成聡, 後藤 秀夫, 稲葉 亨, 村頭 智, 伊藤 邦彦, 藤田 直久, 島崎 千尋, 三澤 信一, 中川 雅夫
    1993 年 34 巻 7 号 p. 842-846
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は46歳,男性。32歳時に同種腎移植を受け,その後azathioprine (100∼150 mg/day), prednisolone (10 mg/day)の経口投与を継続。昭和63年8月から感冒様症状,発熱があり,白血球増多を指摘され,12月入院。末梢血白血球数は32,700/μlで,芽球が2%, 単球が38%と増加し,骨髄染色体分析にて45, XY, -7を認めた。慢性骨髄単球性白血病と診断し,Ara-C少量療法を行ったが,平成元年2月より急性白血病に移行し,2カ月後に肺感染症による呼吸不全で死亡した。また,入院中の内視鏡検査にて食道扁平上皮癌を認めた。慢性骨髄単球性白血病および食道扁平上皮癌の発症に,臓器移植後の免疫抑制療法の関与が示唆された。
  • 家原 敬子, 田代 栄子, 芦原 英司, 大川 克則, 奥 成聡, 後藤 秀夫, 稲葉 亨, 伊藤 邦彦, 藤田 直久, 島崎 千尋, 中川 ...
    1993 年 34 巻 7 号 p. 847-852
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は56歳,女性。1990年1月発熱,皮下出血を主訴として入院した。末梢血液検査では,WBCは41,000/μl, 89%の未熟細胞を認め,骨髄有核細胞数は16.5万/μlで96.2%の未熟細胞を認めた。これらは中∼やや大型で,約半数にアズール顆粒を認め,多くはPOX陽性,トルイジンブルーでmetachromasiaを呈した。電顕にて好塩基球性顆粒を認め,CD13, 33陽性でG-CSF, GM-CSF, IL-3に反応した。以上より急性好塩基性白血病と診断し,BHAC-DMP, B triple-V療法を施行したが寛解がえられず,肺炎,消化管穿孔を併発し3月30日死亡した。
  • 高松 秀行, 熊走 一郎, 真智 俊彦, 斎藤 靖人, 北川 駿介, 大竹 茂樹, 松田 保
    1993 年 34 巻 7 号 p. 853-858
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の2例に頻回の血漿交換を行った。症例1(57歳,女)にはTTPと診断してから11日間で6回,症例2(70歳,女)には診断から13日間で8回の血漿交換を施行した。その結果,一時期意識レベルの改善,血小板数の増加,治療前高値であったLDHの低下などを認めた。しかし血漿交換を休止したところ再び血小板減少と急速なLDHの上昇をきたし血漿交換の再開にもかかわらず出血性ショックのため死亡した。このような難治性のTTPに対しては,一定の基準に達するまでさらに頻回に血漿交換を行うことが重要と考えられた。
  • 岩瀬 理, 大隅 彰, 藤枝 広巳, 栗山 謙, 川西 慶一, 長主 正也, 矢口 誠, 相沢 信, 中野 優, 外山 圭助
    1993 年 34 巻 7 号 p. 859-864
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は38歳,男性。昭和57年2月,自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断でプレドニゾロン(PSL)投与されたが通院中断。平成3年2月息切れ訴え来院し,AIHAの再燃と診断され入院。治療再開前の検査でCD4+CD45RA+/CD4+比の著明な低下を認めた。PSL投与により1カ月後には寛解に到達。CD4+CD45RA+/CD4+比は正常化した。同年9月溶血再燃。CD4+CD45RA+/CD4+比も低下傾向を示した。なお同時に著明な血小板減少がみられPAIgGも高値であったため本症をEvans症候群と診断。PSLの増量とダナゾール,アザチオプリンの併用で貧血は改善したが,血小板は増加せず,またCD4+CD45RA+/CD4+比もさらに低下した。そこで平成4年3月摘脾施行。その結果,血小板数は正常となりCD4+CD45RA+/CD4+比も正常化した。平成4年9月現在,再燃はみられない。以上よりCD4+CD45RA+/CD4+比の低下はAIHAないしはEvans症候群の病態発生に深く関わっているものと推察された。
  • 清水 宏之, 榊原 吉峰, 藤本 孟男
    1993 年 34 巻 7 号 p. 865-869
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    Hodgkin病の患者に縦隔腫瘤が出現した場合には,しばしば再発が疑われるが,このほかに化学療法後の反跳性胸腺腫大など良性病変も鑑別診断に含まれる。われわれは,頸部原発Hodgkin病(病期I, 結節硬化型)の症例で,低線量放射線およびMOPP療法による治療終了後3カ月時の定期胸部レ線撮影で縦隔腫瘤の出現した症例を報告する。本症例では縦隔病変出現時に臨床的異常を認めず,ほかの検査所見も正常のため再発は否定的であった。経口プレドニゾロンの短期試験投薬で腫瘤の著明な縮小をみとめたことから良性胸腺腫大が強く疑われた。胸腺腫大のみられた時期は抗癌治療ストレス解除後の免疫能の回復期に一致していた。治療終了後20カ月以上再発なく経過している。このような良性病変による縦隔腫瘤の存在を念頭に置くことにより,不必要な外科的検査や化学療法を避けることができる。
  • 朴 英薫, 砂本 正明, 三好 毅志, 小中 義照
    1993 年 34 巻 7 号 p. 870-875
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は57歳男性,1990年12月,めまい,霧視出現,近医で“眼の炎症”といわれた。この時,血小板数2.2万/μl, 1991年1月,大量の鼻出血があり,本院を紹介され入院,前胸部に紫斑認め,血液検査で血小板数0.1万/μlと著減,またPAIgG 4,025 ng/107 cellsと著増,さらに抗核抗体,I.C. ともに高く,LEテスト陽性,CH50, C3, C4は各低値であった。さらに肺門リンパ節腫脹,前房の炎症,PPD皮内反応陰性,血中リゾチーム高値を認めた。以上よりSLE, sarcoidosisが関与するautoimmune thrombocytopeniaと診断,PSL, m-PSL, plasma exchange, γ-globulin大量療法,CPA, AZP, VCR, colchicine, cyclosporin-A, mizoribine, danazol, ascorbic acid, IFNα 2bを試みたがPAIgGは一時200 ng/107 cellsまで下がったが血小板数は増加しなかった。その後Dapsone®の投与を試みたが不完全であった。しかし血小板数の増加がみられたので1992年1月9日より75 mg/日の服用を確実にしたところ,同23日2.7万/μl, 2月20日4.5万/μl, 3月5日6.2万/μlと血小板数は増加し,中止後も4∼5万/μlを現在維持している。
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