臨床血液
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34 巻, 9 号
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臨床研究
  • 清水 宏之, 中舘 尚也, 多賀 崇, 内海 治郎, 西川 健一, 具志堅 俊樹, 堀越 泰雄, 岡 敏明, 菊田 敦, 前田 秀典, 川上 ...
    1993 年 34 巻 9 号 p. 989-996
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    小児癌・白血病研究グループ(CCLSG)加盟施設で治療した小児急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia: APL) 40例の臨床的特徴,治療成績を後方視的に検討した。診断時年齢中央値は8歳で,90%の症例で出血症状を伴いDICを合併した。肝腫大,脾腫大,リンパ節腫脹を各35%, 10%, 15%の症例にみとめた。白血球数中央値は4.25×109/lで,貧血(Hb<8 g/dl), 血小板減少(<30×109/l)は過半数でみられた。染色体分析では約90%にt(15;17)をみとめた。治療にはアンスラサイクリンとcytosine arabinosideを中心とする化学療法を用いた。寛解導入率は73%で非寛解例の大部分は出血による早期死亡例であった。生存率は,3年28%, 5年24%, 10年7.9%で晩期骨髄再発のため減少が持続した。アンスラサイクリンによる白血病寛解時の心不全死が3例あった。これらAPLの臨床的特徴を考慮した治療法の開発が望まれる。
  • 武田 力男, 槍澤 大樹, 村井 一範, 成ケ澤 靖, 宮入 泰郎, 厨 信一郎
    1993 年 34 巻 9 号 p. 997-1001
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    薬剤性無顆粒球症に対するG-CSF投与適応判定の簡便な指標を探る目的で,本症の5例について診断時の骨髄像を分析した。5例中2例の骨髄は細胞密度が著しく低くME比は極端な低値で,骨髄球以降の好中球系細胞は完全に欠如していた。この2例中,G-CSFを投与した1例では末梢血好中球数が500/μl以上に回復するのに要した期間は5日だったのに対し,G-CSF非投与例ではその期間が9日と長かった。一方,ほかの3例の骨髄は正ないし軽度に過形成でME比は中等度の低下に止まっており,また骨髄球以降の好中球系細胞がすでに認められた。この3例では末梢血好中球数が500/μl以上に回復するのに要した期間はrhG-CSF投与の有無にかかわらずいずれも3日であった。以上の観察結果より,診断時の骨髄像が低形成でME比が極端に低く,さらに骨髄球以降の好中球系細胞が欠如している薬剤性無顆粒球症患者はG-CSF投与の適応と考えられた。
  • —第II相臨床試験—
    浦部 晶夫, 溝口 秀昭, 高久 史麿, 宮崎 保, 谷内 昭, 新津 洋司郎, 三浦 恭定, 武藤 良知, 藤岡 成徳, 野村 武夫, 外 ...
    1993 年 34 巻 9 号 p. 1002-1010
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    15歳以上の再生不良性貧血患者37例(Hb濃度10 g/dl未満)に対して遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO, エポエチンアルファ)を3,000∼24,000IU/body/日の漸増法にて連日皮下投与し,有効性および安全性を検討した。投与前非輸血例はHb濃度が1 g/dl以上上昇した症例,投与前輸血例は輸血量が50%以上減少した症例を有効例と判定した。全体の有効率は34.5%(10/29例)であり,軽症例ほど高い有効率が得られた。軽症例は6,000IUまでの増量で効果が認められたが,中等症,重症例は24,000IUまでの増量を必要とする症例が多かった。特に重篤な副作用,臨床検査値異常は認められなかった。以上の結果より,再生不良性貧血に対するrHuEPO投与は有用であると考えられた。
症例
  • 富山 順治, 工藤 秀機, 鈴木 不二彦, 青木 幹雄, 足立 山夫, 榎原 英夫
    1993 年 34 巻 9 号 p. 1011-1015
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    胸水貯留と,著明な好酸球増多症を呈した57歳,男性,非Hodgkin T細胞リンパ腫(びまん性大細胞型)の1例を報告する。白血球数12,500/μlで,うち好酸球数は53%で絶対数は6,600/μlであった。患者血清と,リンパ腫細胞を多く含んだ患者胸水,患者末梢血T細胞培養上清,特にinterleukin-2 (IL-2)添加T細胞培養上清には高いEo-CSF活性が認められた。また,患者血清中のIL-5と,T細胞培養上清,特にIL-2添加培養上清中のGM-CSFは高値であった。以上の結果から,リンパ腫T細胞,あるいは腫瘍抗原によって刺激された正常T細胞から産生されたEo-CSFが,本症例の好酸球増多症の誘因であること,およびEo-CSF活性にはIL-5とGM-CSFの2種類のサイトカインが関与していたことが推察された。
  • 宮林 秀晴, 北野 喜良, 寺島 益雄, 斎藤 博, 古田 精市
    1993 年 34 巻 9 号 p. 1016-1021
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は58歳,男性。1987年11月上旬より発熱,その後全身皮膚・口腔粘膜の色素沈着および貧血・体重減少をきたし,1988年5月当科入院。US, CTにて全身のリンパ節腫脹・肝内腫瘤・脾腫および両側副腎腫大を認めた。Virchowリンパ節生検にてnon-Hodgkin lymphoma, diffuse large, B cell typeと診断した。また,ACTH 189.9 pg/mlと高値を呈したが,cortisol, 尿中17-OHCS, 17-KSは正常,ACTH刺激試験は無反応であり,部分的Addison病と診断した。その後MACOP-B療法などの多剤化学療法により臨床症状の改善,血中ACTH値の正常化,および画像上腹腔内リンパ節,肝脾腫,副腎腫大の縮小を認めた。lymphoma cellの副腎浸潤はまれではないが,副腎破壊が90%以上におよばなければ,Addison病症状があらわれないと報告されており,本症例は両側副腎の高度破壊が起こったものの,完全な副腎機能消失には至らず,部分的Addison病の状態をきたしたと考えられた。
  • 池田 洋子, 吉永 健太郎, 壹岐 聖子, 大林 由明, 浦部 晶夫
    1993 年 34 巻 9 号 p. 1022-1026
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    32歳男性。1980年(20歳時),起床時の褐色尿が出現し,某院にて発作性夜間血色素尿症(PNH)と診断され,輸血を施行された。1983年,2カ月間内服治療を受けたが自覚所見に著変なく,本人が通院を中断した。1992年5月,朝の倦怠感が増強し,当院を受診。溶血性貧血とヘモジデリン尿が認められ,Sugar water testおよびHam test陽性,DAF陽性率38.8%(正常100%),CD59陽性率45.4%(正常100%)で,PNHの診断を確認した。骨髄はやや低形成で赤芽球系が優勢であった(M/E比:0.68)。鉄剤,オキシメトロンの投与で貧血の改善が認められず,リコンビナン・ヒト・エリスロポエチン3,000単位の連日皮下投与を施行した。Hbは7.5 g/dlから12.0 g/dlに上昇し,患者の自覚症状は著明に改善した。現在は,合併するC型慢性肝炎に対しα型インターフェロンの投与を併用し,Hbは10∼11 g/dlを維持している。溶血による赤芽球系の生成亢進状態においてもエリスロポエチン投与の効果が認められ,興味深い症例と考えられた。
  • 山田 一成, 中牧 剛, 横山 明弘, 日野 研一郎, 友安 茂, 桜井 雅温, 鶴岡 延熹
    1993 年 34 巻 9 号 p. 1027-1032
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は78歳男性。高度の血小板増加(126.4×104l), 好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコアー低値,核型46, XY, del(20)(q11q13)を認めた。明らかな貧血はなく,骨髄で環状鉄芽球を認めなかった。本態性血小板血症と診断し,ラニムスチン(MCNU)を使用した。約2年後,赤血球の大小不同,奇形,末梢血での赤芽球出現を伴う大球性貧血を認めたため入院した。骨髄は赤芽球優位の過形成を呈し,環状鉄芽球の著増(赤芽球の85%)を認めた。核型は初診時と同じ異常を示し,NAPスコアー低値も初診時と同様であった。中等度の血小板増加(71.7×104l)を認めた。c-src遺伝子の増幅および再構成は認められなかった。核型異常20q-を共通として,本態性血小板血症が鉄芽球性貧血に先行した本例の存在は,20q-を有する種々の造血器疾患,特に慢性骨髄増殖性疾患と骨髄異形成症候群の病型移行や境界的病態を理解する上で重要である。
  • 松田 信, 斉藤 由理恵, 神林 裕行, 田中 鉄五郎, 佐久間 秀夫, 丸山 幸夫, 大野 竜三
    1993 年 34 巻 9 号 p. 1033-1038
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    46歳女性が急性前骨髄球性白血病のため入院した。Japan adult leukemia study groupのAML-92 M3プロトコールにしたがって,all-trans retinoic acid (ATRA)と化学療法で治療を開始した。治療開始7日目より18日にかけて発熱,胸部不快感,咳嗽,呼吸困難,全身倦怠感が出現した。胸部レントゲン写真は両側の間質性肺炎像を示した。治療14日目より白血球数は急激に増加しはじめ6,400/μlを示した。著明な低酸素血症(PO2 35.9 mmHg)を示し,retinoic acid (RA) syndromeと診断,人工呼吸器管理としmethyl-prednisolone (m-PSL)のpulse療法を併用した。これらの治療で症状は急激に改善した。ATRA療法は継続し白血球数は44,800/μlに達したが,48日目に完全寛解を得た。
  • 畑江 芳郎, 大越 優美, 上野 倫彦, 中舘 尚也, 飯塚 進, 武田 武夫
    1993 年 34 巻 9 号 p. 1039-1043
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    原発性骨髄線維症は慢性骨髄増殖性症候群の1型と考えられる。骨髄の線維化,赤白血病様の血液所見,涙滴赤血球,髄外造血を特徴とする疾患で,多くの例は50歳台以降の発症であり,小児の本症はまれである。本例は1991年8月7日生まれの女児で,妊娠歴,分娩歴には異常はみられなかった。誕生時から肝腫,多血症や白血球増多がみられた。子宮内感染に基づく髄外造血と考えられ,函館中央病院にて経過観察されていたが,状態は変わらず,精査のため生後7カ月時に当科入院となった。入院時の末梢血標本で涙滴赤血球,赤芽球や幼弱骨髄系細胞などの出現がみられた。骨髄穿刺は繰り返し試みられたが,吸引不能で,骨髄生検がなされ,骨髄線維症が確定した。患児は現在に至るまで一般状態は良好で無治療で経過をみている。本邦の原発性骨髄線維症の小児例をまとめ,本例との比較および小児例と成人例との比較を試みた。
  • 堀越 昶, 澤田 滋正, 相磯 ますみ, 河村 雅明, 飯塚 芳一, 竹内 仁, 大島 年照, 堀江 孝至, 直江 知樹, 大野 竜三
    1993 年 34 巻 9 号 p. 1044-1049
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    All-trans retinoic acid (ATRA)使用中,発熱,胸痛,呼吸困難を訴え,胸水貯留および肺野の浸潤影を示した急性前骨髄球性白血病(APL)の2例を報告した。症例1は50歳女性再発例で,結核性胸膜炎と診断され,抗結核薬投与後軽快したが,症状の消失が遅れた。症例2は,46歳男性初発例で,ARDSと診断され,症状発現後早期にプレドニゾロンを使用し,症状は急速に改善した。症例1はATRA使用後53日,症例2は38日目に完全寛解となった。retrospectiveにみて,本2例はいわゆる「retinoic acid syndrome (RAS)」を発症した本邦初例と考えられた。自験5例の比較では,RAS発症例は白血球が増加し,DICを伴ったものに認められたが,10万以上の芽球増加を示した症例では発症しておらず,leukocytosisがその直接の原因ではなさそうである。今後ATRA使用例は増加すると思われ,その際,重篤な呼吸器症状を呈するRASの発生を念頭に置き,発症時はステロイド投与を躊躇しないことが必要である。
短報
  • 加納 正
    1993 年 34 巻 9 号 p. 1050-1052
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/04/25
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    Although bullous amyloid lesions are very rare, the cutaneous lesions of this type can be a crucial manifestation of plasma cell dyscrasia. [Case Report] A 66-year-old man with a six-year history of multiple myeloma (IgG-λ, λ-type Bence Jones proteins) was admitted to the hospital because of hemorrhagic bullous lesions of the skin, chronic diarrhea and general malaise. A diagnosis of myeloma-associated amyloidosis with renal failure was made. One month later, he died as a consequence of progressive renal failure and systemic amyloidosis. A postmortem examination revealed myelomatous infiltrations (bone marrow and kidneys) and widespread amyloid deposits (skin, heart, lungs, kidneys, liver and intestine). The histologic examination of a bullous lesion showed amyloid deposits with formation of an intradermal blister.
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