臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
35 巻, 6 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
臨床研究
  • 嶋崎 明美, 加藤 忠彦, 尾崎 由基男
    1994 年 35 巻 6 号 p. 529-534
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    偽性血小板減少症6例(16∼70歳,男性2例,女性4例)について抗凝固剤EDTA-2K (1 mg/ml), ヘパリンナトリウム(25 U/ml), 3.8%クエン酸ナトリウム溶液(1:9)を用い,末梢血各血球数をCoulter Model S Plus STKRにて経時的に測定した。その結果EDTAとヘパリンで血小板減少を認め,クエン酸では減少を認めなかった。塗抹標本では血小板凝集塊が存在したが,衛星現象は認められなかった。血球ヒストグラムでは,抗凝固剤に特有な所見は明らかにできなかった。また,テオフィリン(10 mg/ml), プロスタグランディンI2 (1 μM), アスピリン(1.8 mM)を添加して凝集抑制を行ったところ,ヘパリンでは3物質とも抑制効果を示したが,EDTAではアスピリンに抑制効果が認められなかった。EDTA, ヘパリンともに血小板を活性化しており,EDTA凝集はトロンボキサンA2の産生が関与しない過程であることが推測できた。なお,ヘパリンは健常人にも凝集を生じうるため,不適当な抗凝固剤と考える。
  • 井上 信正, 宮崎 栄二, 岡田 昌也, 和田 浩, 西村 朋子, 田村 周, 藤盛 好啓, 岡本 隆弘, 武元 良整, 神前 昌敏, 金丸 ...
    1994 年 35 巻 6 号 p. 535-540
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    高度悪性,治療抵抗性,再発性などの非ホジキンリンパ腫(NHL)に対しMCNU, VP-16, CPA, ADM, VCR, BLM, MTXおよびPSLの8剤によるMECHOP-BM療法を施行し,その治療成績を検討した。対象は20例で,初回治療例が5例,治療抵抗例が4例,再発例が11例,男性16例,女性4例,年齢は15∼64歳(中央値50歳)であった。病理分類ではび漫性13例,濾胞性5例,その他2例で臨床病期ではII期2例,III期5例,IV期12例であった。評価可能全例のCRは33%, 奏効率は78%で,CR中1例が再発,CR例の無病生存期間は59∼243日(中央値178日)であった。もっとも重篤な副作用は白血球減少で,治療後の白血球数の最低値は平均1,300/μl, 4例で白血球数が500/μl以下であった。
    MECHOP-BM療法は難治性のNHLにおいて有用と思われた。
  • 三好 保由, 高橋 尚樹, 多田 淳一, 樋口 敬和, 前田 剛, 清水 透, 原田 浩史, 岡田 定, 森 啓, 新倉 春男, 小峰 光博 ...
    1994 年 35 巻 6 号 p. 541-546
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    PPOまたはCD41b陽性芽球が10%以上の急性白血病9例を巨核芽球性白血病と診断し,細胞学的所見と予後を検討した。3例は骨髄異形成症候群や骨髄増殖性疾患からの移行であった。PPO陽性芽球の比率は7∼55%(メディアン45%),CD41b陽性芽球の比率は1.6∼67.0%(メディアン16.4%)であった。電顕MPOやグリコフォリンA陽性細胞を認めた症例があり,またPPOに比しCD41b陽性率は不釣合いに低い症例があったことから,6例は骨髄系あるいは赤芽球系との混合性白血病である可能性が示唆された。治療成績は,多剤併用療法を行った小児3例は全例がCRに達したのに対して,成人6例でCRを得たのはシタラビン少量療法の1例のみで,多剤併用療法では比較的早期に死亡した。
症例
  • 伊東 俊夫, 大前 義文
    1994 年 35 巻 6 号 p. 547-551
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は65歳,女性。昭和40年ころより慢性関節リウマチ(RA)の診断で治療を受けていた。平成3年1月急性肺炎で本院内科に入院した際に初めてM蛋白血症(IgG 3,220 mg/dl, IgA 139 mg/dl, IgM 216 mg/dl)を指摘された。血清IL-6は4.0 pg/ml以下であった。骨髄の形質細胞は14.6%で,骨病変を欠くため経過観察していたところ,平成4年3月骨病変が出現したため入院となった。関節炎症状は認めないが血清γ-グロブリン分画に著明なMピークを認め,IgG 5,148 mg/dl, IgA 114 mg/dl, IgM 106 mg/dlであった。CRPは陰性。RA, RAHAテスト,抗核抗体は共に陽性。血清IL-6 14.8 pg/mlと増加していた。骨髄に形質細胞を30.6%認め,免疫電気泳動でIgG (κ)のM bowを認めたが,尿中Bence-Jones蛋白は陰性であった。X-Pで関節の破壊,骨吸収,punched out lesionなどを認めた。以上より,RA発症約25年後に多発性骨髄腫を合併したものと診断した。
  • 大江 賢治, 岡村 孝, 有馬 文統, 嘉村 巧, 高松 泰, 村川 昌弘, 岡村 精一, 原田 実根, 仁保 喜之
    1994 年 35 巻 6 号 p. 552-556
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は,51歳男性。1991年7月,盗汗,胸痛出現し,左側胸水を認めたため近医受診した。胸水細胞診から悪性リンパ腫の診断にてVEPA療法施行し,胸水は軽減した。6カ月後,根治目的にて,1992年1月28日当院入院した。骨髄穿刺にてペルオキシダーゼ陽性芽球を21.2%認め,芽球の表面マーカーよりCD7陽性AMLと診断。染色体解析では正常核型を示した。2月5日よりDaunorubicine, Ara-C投与による寛解導入療法後,完全寛解となった。2回の地固め療法を施行したのち,末梢血幹細胞移植術(ABSCT)を施行。ABSCT後,8カ月間寛解が持続した。胸水貯留で発症したAMLはまれであり表面マーカーで示される芽球のimmaturityと髄外増殖との関連が示唆された。
  • 佐藤 俊之, 後藤 秀夫, 虎谷 彰久, 山形 昇, 芦原 英司, 奥 成聡, 稲葉 亨, 藤田 直久, 島崎 千尋, 中川 雅夫
    1994 年 35 巻 6 号 p. 557-561
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    患者は76歳,女性。下肢の有痛性紅斑および右動眼神経麻痺にて入院し,皮膚生検によりneoplastic angioendotheliosis (NAE, B cell type)と診断された。VEPA療法にて速やかに軽快したが,3カ月後右動眼神経麻痺,右視力障害,右滑車神経麻痺,右三叉神経痛とTolosa-Hunt症候群様症状にて再発した。化学療法,コバルト照射は無効で,6カ月後には髄液検査にてリンパ芽球様異型細胞(B cell type)の浸潤を認めた。平成3年3月19日腫瘍細胞の肺浸潤による呼吸不全にて死亡した。死亡直前には右眼窩内に急激な腫瘤形成を認めた。剖検では,髄腔内,脳以外に軟膜,肺,肝,腎,膵,副腎の小血管内に腫瘍細胞の浸潤を認めた。本症例は,血管内病変以外に,髄腔内浸潤,眼窩内腫瘤形成など,特異な腫瘍細胞の進展形成をみせ,NAEの病態を考える上で貴重な1例と思われた。
  • 正木 康史, 清水 史郎, 竹下 昌一, 福徳 雅章, 吉岡 律子, 荒井 俊秀, 広瀬 優子, 菅井 進, 紺田 進, 滝口 智夫
    1994 年 35 巻 6 号 p. 562-568
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    Plasma cell leukemiaは,通常予後不良の疾患として知られている。今回われわれはVEP-IFN-αが奏効した非分泌型plasma cell leukemia(BJ-κ型)の1例を経験したので報告する。症例:82歳,男性。るいそうと脱水で入院。IgG·IgA·IgM著減,高Ca血症,腎障害,血中β2-MGの増加を認めた。白血球数30,100/μlで64%をplasma cellが占めており,骨髄では80.4%を占めていた。Light chain-κ鎖のみcytoplasmic Ig (C-Ig)が陽性であった。血清・尿中免疫電気泳動ではM-bowは認められなかった。VEP-IFN-α療法開始後,plasma cellは末梢血・骨髄共に著減し,IgG·IgA·IgM量は正常化した。同療法6クールの投与後寛解が維持され,更に2クールの強化療法を施行した。他の原因(偶発的気道閉塞)で死亡するまで12カ月間生存し,血液学的に明らかな改善を認めた著効例と考えられた。
  • 飯田 浩充, 田地 浩史, 飯田 美奈子, 鈴木 律朗, 杉原 卓朗, 南 三郎, 小寺 良尚, 山本 一仁, 瀬戸 加大, 上田 龍三
    1994 年 35 巻 6 号 p. 569-575
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    11q23染色体異常は乳児白血病,二次性白血病などで高頻度に認められ,乳児白血病における転座関連遺伝子はmixed-lineage leukemia (MLL)遺伝子と呼ばれている。今回われわれは悪性リンパ腫の化学療法終了10カ月後に急性骨髄性白血病を発症し,サザンブロット解析によりMLL遺伝子に再構成が認められた症例を経験したので報告する。症例は50歳男性。左腋窩リンパ節腫脹を主訴に受診し,リンパ節生検にてIBL like T cell lymphomaと診断された。LSG-9プロトコールにて寛解となり退院したが10カ月後発熱を主訴に再入院,骨髄穿刺にて急性骨髄性白血病と診断された。染色体検索で11q23領域に異常が認められ,etoposideによる二次性白血病が示唆された。サザンブロット解析を施行したところMLL遺伝子に再構成が認められた。この結果により二次性白血病における11q23領域の転座切断点は乳児白血病と同様MLL遺伝子にあることが示唆された。
  • 丸澤 宏之, 濱本 健次郎
    1994 年 35 巻 6 号 p. 576-580
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は57歳の女性。発熱と発疹を主訴に来院し,白血球数1,600/μl, 血小板数1.7×104lを指摘され入院となる。フェリチン520 ng/ml, 血清リゾチーム11.4 μg/mlと高値を示し,骨髄は有核細胞数2.4×104lで血球貪食を伴う組織球系細胞を4%認めた。ウイルス抗体価ペア血清で風疹ウイルス抗体価の有意な上昇(×64→×256)を認めたため,風疹ウイルスによるVirus Associated Hemophagocytic Syndromeと診断した。ステロイド大量療法とγ-グロブリンの併用投与により,臨床症状の著明な改善と血球減少の速やかな回復が認められた。VAHSは,成人発症例では小児に比して明らかに予後不良であり,早期から積極的な治療が必要と考えられ,ステロイド短期間大量とγ-グロブリン併用投与は試みるべき価値のある有用な投与法であると考えられた。
  • 加藤 元浩, 梅田 正法, 小菅 孝明, 安濃 周威知, 塚原 敏弘, 白井 達男
    1994 年 35 巻 6 号 p. 581-587
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    われわれは末期に急性骨髄単球性白血病に移行し,さらに非ホジキンリンパ腫を合併した原発性骨髄線維症のまれな1例を経験したので報告する。症例は64歳,女性で,貧血と白血球増多の精査のために入院した。入院時肝を4横指,脾を3横指触知した。検査所見では,Hb 6.8 g/dl, 白血球数26,200/μlで各成熟段階の好中球がみられ,骨髄生検により好銀線維の増生が認められ,ほかに悪性疾患を示唆する所見は認められず,原発性骨髄線維症と診断した。外来にて経過観察していたが,15カ月後に末梢血に芽球が増加し,肝脾腫も著明となった。右耳下部の腫瘤も同時に認められ,生検したところ非ホジキンリンパ腫と診断され,また,末梢血芽球の検索より急性骨髄単球性白血病と診断した。その後化学療法を開始するも,心不全,呼吸不全,腎不全を併発し死亡した。
  • 福田 淳子, 吉原 俊雄, 新井 ゆかり, 金子 多香子, 鄭 〓, 森 茂郎, 青山 雅, 増田 道彦, 泉二 登志子, 押味 和夫, 溝 ...
    1994 年 35 巻 6 号 p. 588-592
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は57歳男性。平成4年夏ごろより鼻閉感,鼻出血が出現。平成5年5月中旬より発熱,寝汗,軽度の体重減少を認め,6月1日当院入院。鼻腔内に径2 cmの腫瘍を認めた。生検で,びまん性混合型非ホジキンリンパ腫の診断。スタンプ標本では胞体にアズール顆粒があり,電顕でもdense granuleを認めた。表面マーカーは,CD2+3-7+16+56+57-HLA-DR+で,T細胞レセプター遺伝子は胚細胞型であった。NK活性は強陽性であった。以上,形態,表面マーカー,遺伝子解析,NK活性から,本例は活性化NK細胞の腫瘍と考えられた。腫瘍細胞のEBウイルスとCD21が陽性のため,EBウイルスがCD21抗原陽性NK細胞に感染し腫瘍化したものと推定された。MDR P-glycoproteinが陽性であった。鼻の悪性リンパ腫が化学療法抵抗性で予後不良であるのは,このためと思われる。
  • 奥山 美樹, 北詰 浩一, 岩部 弘治, 臼杵 憲祐, 浦部 晶夫
    1994 年 35 巻 6 号 p. 593-597
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は73歳男性。1992年12月,進行する汎血球減少のため近医より紹介され,当科入院となった。入院時所見では,WBC 1,100/μl (Stab 9.0, Seg 11.5, Eosino 3.5, Mono 1.0, Lymph 75.0), RBC 176×104l, Hb 6.6 g/dl, Plt 4.6×104lと汎血球減少を認めた。骨髄検査では有核細胞数1.4×104l, Blast約30%(ペルオキシダーゼ陽性)よりhypoplastic leukemiaと診断した。1993年1月5日よりシタラビンオクフォスファート50 mgの経口投与を開始し,1月13日より100 mgに増量し,1月23日退院となった。以後外来にてシタラビンオクフォスファート投与を続けている。投与開始1カ月後ころより汎血球減少は次第に改善を認め,5月7日現在WBC 3,500/μl (Stab 2.0, Seg 37.5, Eosino 1.5, Baso 1.0, Mono 16.5, Lymph 41.5), RBC 249×104l, Hb 10.4 g/dl, Plt 15.4×104lにまで回復した。3月12日に行った骨髄検査では,有核細胞数22.0×104l, Blast 3.0%と完全寛解の状態であった。また副作用は特に認めていない。
  • 和泉 透, 畠 清彦, 今川 重彦, 吉田 稔, 大田 雅嗣, 佐々木 龍平, 三輪 哲義, 須田 年生, 坂本 忍, 三浦 恭定
    1994 年 35 巻 6 号 p. 598-602
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例:44歳女性。1988年4月発症のAPL(t(15;17), +8, +12の染色体異常あり)。完全寛解(CR)を得たが1989年第1回再発後CR, 1990年4月,2回目の再発(この時はt(15;17)は消失,t(3;13)(q26;q22), +8の染色体異常あり),5月当科入院。VP-16+MIT+BHAC療法によりCRとなるが,その後3回目の再発。11月3日より本人および家族の同意を得てetretinate 40 mg/日を17日間投与したが無効であったため,代わりに11月20日より29日間all-trans retinoic acid(以下ATRA)60 mg/日を投与した。効果は顆粒球増加のみで,十分な分化誘導は起こらなかった(minor response)。この理由として3回目の再発であったこと,t(15;17)が消失していたことが推定された。ATRA投与中12月初めより口腔内腫瘤を認めmyeloblastomaと診断した。なお皮膚乾燥,高トリグリセライド血症,および膵炎の合併がみられた。これらの合併症についてATRAとの因果関係は不明であるが,過去の報告例に乏しく,貴重な症例と思われた。
  • 増本 暁, 大林 由明, 川田 浩志, 有森 香, 笹尾 保, 小川 吉昭, 藤原 光, 福田 竜基, 渡辺 茂樹, 梅田 祥克, 米倉 修 ...
    1994 年 35 巻 6 号 p. 603-608
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は42歳,男性。1992年4月汎血球減少を主訴に入院した。骨髄異形成症候群(MDS)·refractory anemiaと診断し,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の投与を開始した。初診時は染色体異常なく,G-CSFの効果は良好であった。G-CSF継続投与中の1993年1月(診断後10カ月)骨髄染色体分析において,46XY, +Y, -7の異常を認めた。この後,芽球増加のない著明な汎血球減少が進行し,G-CSFに対して不応性となった。このため,cytarabine ocfosfate (SPAC) 50 mg/dayをG-CSFとの併用で投与したところ,投与開始24日目に白血球数は1,000/μlを超え,40日目には5,000/μlを超えた。ただし貧血および血小板減少に対しては効果なく,染色体異常の改善も認めなかった。臨床的には,部分的な分化誘導効果と推察された。SPACはG-CSF長期投与中のMDS患者における白血球減少に対して,G-CSFの反応性を回復させる可能性がある。
  • 福田 稔, 堀部 敬三, 宮島 雄二, 松本 公一, 小崎 武, 小宮山 淳
    1994 年 35 巻 6 号 p. 609-615
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は女児,5歳時に鼻出血と出血斑で受診,PLT 35,000/μlで骨髄に小型巨核球あり。貧血,白血球減少なし。肋骨の骨膜線維腫と,IgEの高値を伴うアトピー性皮膚炎あり。特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断でプレドニゾロン,アザチオプリン(28カ月間,総量20 g)が投与されたが無効であった。ITPの診断から9年後に呼吸困難と貧血で入院,WBC 23,600/μl(単球17%),Hb 3.9 g/dl, PLT 9,000/μl, 骨髄は過形成で三系統の異型性および染色体異常47, XX, +21を認めた。慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)と診断し,HLA一致の姉からブスルファン,メルファランの前処置で骨髄移植を受けて完全寛解が得られたが,1年5カ月後に再発した。染色体異常は47, XX, +21, 7q+。エトポシド,シクロフォスファミド,全身照射の前処置で再移植を受けたが再発死亡した。アザチオプリンが関与した可能性はあるが,長い経過でCMMoLへ移行した興味ある小児例と考えられた。
feedback
Top