38歳,女性。感冒様症状後,一過性意識消失発作にて平成4年5月10日高岡市民病院入院。末梢血は小球性低色素性貧血(MCV 62 fl, MCH 14.4 pg, Hb 4.1 g/d
l), 白血球数2,600/μ
l, 血小板数7.9万/μ
lと汎血球減少症を呈した。網状赤血球は6‰(補正値2.3‰, 17,000/μ
l)と低値であり,骨髄像で赤芽球の著減,前赤芽球以後の分化が停止した急性赤芽球癆,巨大前赤芽球の出現が認められた。血清抗parvovirus抗体はIgG, IgM共に陽性,骨髄液よりparvovirus DNAが証明された。本症例では溶血性貧血を示唆する所見はなく,末梢血液所見,骨髄可染鉄の欠如と鉄剤への造血反応より鉄欠乏性貧血を有した患者にparvovirus B19感染にてaplastic crisisをおこしたと診断された。溶血性貧血患者がparvovirus B19感染にてaplastic crisisをおこすことが知られているが,鉄欠乏性貧血患者においても著明な造血障害を引き起こすことが示された。
抄録全体を表示