正常のNK (natural killer)細胞の大部分はCD16
+ CD56
+であり,CD16
+ CD56
-のサブセットはごくまれにしか存在しないといわれている。われわれはCD16
+ CD56
-のNK細胞が増えた顆粒リンパ球増多症(NK-GLPD)を2例経験したため,臨床像,細胞の性状などを,CD16
+ CD56
+の通常のNK細胞が増えているNK-GLPDの2症例と比較検討した。CD16
+ CD56
-の症例とCD16
+ CD56
+の症例では,細胞形態に若干の違いはあるものの,臨床像に著変なく,慢性に経過した。CD16
+ CD56
-の細胞でも強いNK活性を認めたことから,NK活性の発現には接着分子のCD56は関与していないことが示された。CD56抗原は未熟なNK細胞に強く発現しているといわれているが,CD16
+ CD56
-のNK-GLPD細胞をインターロイキン2で活性化すると,短期間でCD56の発現が誘導されたため,CD56の発現の強さは分化だけではなく活性化とも関係していることが示された。
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