臨床血液
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36 巻, 3 号
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臨床研究
  • —Ara-C中等量,mitoxantrone併用療法との比較—
    斉藤 憲治, 古沢 新平, 山田 圭志, 和賀 一雄, 青柳 有名, 小池 利幸, 有村 博成, 野口 雅秀, 大和 肇, 佐久間 秀人, ...
    1995 年 36 巻 3 号 p. 165-174
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    再発AMLを対象に,最近われわれが施行した少量Ara-C, aclarubicin, G-CSFの同時併用療法(CAG療法)の効果を報告するとともに,副作用について,Ara-C中等量,mitoxantrone併用療法(MC療法),ないしこれにetoposideを加えたMEC療法と比較検討した。CAG療法では完全寛解率83%(18例中15例),寛解持続期間中央値6カ月および生存期間中央値15カ月とこれまでのサルベージ療法とほぼ同様の成績が得られた。CAG療法はMC/MEC療法に比し正常造血の抑制の程度は軽いため重症感染症が少なく,その他の非血液学的副作用も著しく低率かつ軽症であった。CAG療法は患者のQOLの面からも有用な治療法と考えられ,AMLのサルベージ療法の一つとして試みる価値のある治療法である。
  • —多施設共同臨床試験成績—
    北村 聖, 浦部 晶夫, 野村 武夫, 溝口 秀昭, 高久 史麿
    1995 年 36 巻 3 号 p. 175-184
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    重症の再生不良性貧血および赤芽球癆患者を対象としてprospectiveにシクロスポリンの有効性を検討した。原則としてシクロスポリンは6 mg/kg/日として16週間投与した。再生不良性貧血に対する有効性はpartial response以上のものが,投与8週後で13.8%, 16週後で28.0%であった。また,重症度も改善し,投与前全例が重症であったが,投与16週後には中等症が47.8%, 軽症が21.7%であった。Good response例では赤血球輸血,血小板輸血量の減少をも認めた。一方,赤芽球癆患者に対する有効性は投与16週後で有効が60%であった。副作用の発現は44.4%の症例にみられ,主なものは多毛であった。また29.6%の症例で血清クレアチニン値の上昇を認めた。以上のことから,重症再生不良性貧血および赤芽球癆に対してシクロスポリンが有効であることが認められた。
  • 中川 均, 藤井 浩, 有山 由布子, 薗田 精昭
    1995 年 36 巻 3 号 p. 185-192
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    造血器および精巣腫瘍24例でエトポシド大量療法後に末梢血幹細胞(PBSC)採集を行った。対象は急性リンパ性白血病1例,急性骨髄性白血病(AML) 4例,RAEB-T 1例,悪性リンパ腫11例,悪性組織球症(MH) 1例,多発性骨髄腫2例,精巣腫瘍4例,年齢は30∼74歳,男性20例,女性6例である。エトポシド500 mg/m2を4日間投与し,G-CSFを併用して,白血球回復期にPBSCを採取した。治療開始後15∼24日に白血球数1,900∼50,000/μlで採取を行った。1) PBSC採取量:1回の採取量はCFU-GM数で0.01∼59.4×105/kg, 26例中19例(73%)で安全に移植可能な5×105/kg以上を採取した。2) 抗腫瘍効果:白血病,RAEB-TではAML 1例が再発し,他の5例は完全寛解を維持した。悪性リンパ腫の13例中10例に評価可能病変が有り,WHO分類でcomplete response (CR) 2例,partial response (PR) 7例,no cahange (NC) 1例であった。多発性骨髄腫2例はNC, 精巣腫瘍はPR 3例,NC 1例であった。3) 末梢血幹細胞移植併用超大量化学療法を11例,のべ15回行い,移植後好中球500/μl以上への回復は7∼11日であった。エトポシド大量療法は,効率的な幹細胞動員療法と考えられた。
  • 石本 盛治, 藤村 吉博, 山中 貴世, 下山 丈人, 西田 幸世, 松岡 弘樹, 西川 潔, 吉岡 章, 成田 亘啓, 本多 三男, 福島 ...
    1995 年 36 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    HIV-1のgp120の中にあるV3はprincipal neutralizing determinant (PND)を有する点が特に重要である。今回,我々は血友病患者について抗PND抗体を測定する酵素免疫測定法を確立した。用いたV3 domain由来合成ペプチドは全長15アミノ酸残基よりなる北米・ヨーロッパ型5種(IIIB, MN, RF, SC, WMJ-2)とアフリカ型2種(Af1. Con, Af2. Con)である。正常健常人血清49例を測定した結果は平均-0.002±0.064の間に分布し,カットオフ値はそれぞれの平均値+4SDとした。HIV-1抗体陰性48例の血友病血清は全例カットオフ値以下を示し,HIV-1抗体陽性44例の血友病血清IIIB 2例,MN 20例,RF 1例,そしてAf1. Con 1例,Af2. Con 5例で抗PND抗体陽性,SC, WMJ-2では全例抗PND抗体陰性であった。本邦のHIV-1抗体陽性血友病Aの45%が抗MN抗体を有し,しかもAIDS発症死亡例は10例中8例が抗MN抗体力価が陰性であった。
症例
  • 森 和夫, 鈴木 宗三, 石川 正明, 阿久津 保之, 豊田 隆謙, 酒井 秀章
    1995 年 36 巻 3 号 p. 200-205
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    生後まもなくKasabach-Merrit症候群と診断され,右足および下腿の巨大血管腫のため,2歳のときに右下腿切断術をうけた。術後も残存血管腫内持続的血栓形成により,腫瘤の増大および激しい疼痛を訴えていたが,12歳のときに経口抗凝血薬ワーファリン投与による抗凝固療法のため,東北大学第三内科に入院した。ワーファリン2.5 mg/日の投与後,DICはよくコントロールされ,ときに凝固異常はみとめたものの,20歳の今日まで長期間(8年間)良好な臨床経過を示している。典型的な先天性消費性凝固障害を示すKasabach-Merrit症候群本症例において,長期間有効な治療成績を得た経験から,われわれは,ほかの疾患(例えば癌など)に伴う慢性型消費性凝固障害の治療にも,経口抗凝血薬は有用であろうと考えている。
  • 河村 雅明, 竹内 仁, 八田 善弘, 相磯 ますみ, 堀越 昶, 大島 年照, 堀江 孝至
    1995 年 36 巻 3 号 p. 206-211
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は47歳の女性。貧血と末梢血へのリンパ芽球の出現を指摘され,1988年10月当科に入院した。ALL (L2)と診断され,JALSGのALL-87プロトコルが開始された。治療開始10日目に39.6°Cの発熱がみられ,緑膿菌による敗血症とそれに伴うエンドトキシンショックを合併したが,抗生剤の併用により軽快した。白血球の回復に伴い,胸部X線写真で左上肺野に浸潤影が出現し,陰影は急速に拡大するとともに,三日月状空気透亮像(air crescent)を伴う空洞形成を呈した。経気管支鏡的に起因菌の検索とAMPH-Bの注入を行ったところ,菌は証明されなかったが空洞は軽快した。完全寛解後,腰痛が出現し,腰椎X線写真で,腰椎椎体の壁不整および椎間腔の狭小化を認めた。腰椎椎弓切除術および病巣〓爬術を施行し,病巣部よりアスペルギルスの1コロニーが培養された。AMPH-Bの静脈内投与で腰痛は軽快し,その後の化学療法は支障なく行えた。AMPH-Bは本症例の治療に有用と考えられた。
  • 佐藤 直明, 高橋 芳右, 新国 公司, 関 義信, 和田 研, 帯刀 亘, 柴田 昭
    1995 年 36 巻 3 号 p. 212-217
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は78歳,男性。骨髄異形成症候群のRAEB-Tの経過中に白血化し,入院となった。血清FDP値54.91μg/mlに対し血漿Dダイマー値は1.44 μg/mlと著明な解離を認め,またFDPプラズマ法による血漿FDP値は正常範囲だったため,DICではないと判断し,抗凝固療法は行わず経過観察した。芽球数は少量Ara-C, VP-16およびG-CSFの併用療法で減少傾向を認めたが,FDPとDダイマーの解離は持続した。本症例では血清FDPの高値を裏付ける持続的な凝固線溶亢進状態は認められず,著増したFDPの大部分はプラスミンによるフィブリノゲンまたはフィブリンの分解産物に由来するものではないと判断された。血清FDPは鋭敏な指標であるが,可溶性フィブリン,非凝固性フィブリノゲン,プラスミン以外のプロテアーゼによる分解産物などの影響で高値を示す可能性があり,DICの診断に当たっては血清FDPと血漿ダイマーの同時測定が重要であると考えられた。
  • 通堂 満, 森口 寿徳, 中山 弘, 田澤 煕, 井上 雅美, 河 敬世
    1995 年 36 巻 3 号 p. 218-223
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は18歳男性。1カ月以上続く39°Cの発熱と著明な肝脾腫,汎血球減少のため入院。骨髄,肝生検などから悪性組織球症,悪性リンパ腫,血球貪食症候群は否定され,その特徴的な臨床症状とEBウイルスに対する通常みられない抗体反応(VCA-IgG抗体×2,560, EA-IgG抗体×1,280)およびPCR法により末梢血単核球にEBウイルスDNAが強陽性に証明されたことから慢性活動性EBウイルス感染症と診断した。末梢血には顆粒リンパ球が相対的に増加しており,表面抗原はCD 3 (-), CD 56 (+), IL-2 Rβ (+)のNK細胞タイプであった。このクロナリティの検討で,IL-2刺激後の染色体分析では45X, -Yの異常を認め,さらにEBウイルス終末反復配列のサザン解析で単一構造であったことから,顆粒リンパ球の単クローン性増殖が示された。EBウイルス感染とNK型顆粒リンパ球増多症もしくはNK細胞白血病の強い関連が示唆される。
短報
  • 松下 章子, 石川 隆之, 永井 謙一, 久保 亨, 田中 晴夫, 内田 博也, 高橋 隆幸
    1995 年 36 巻 3 号 p. 224-226
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    Neoplastic angioendotheliosis (NAE) is a rare neoplastic disease, and its pre-mortem diagnosis is extremely difficult. A 49-year-old male developed vertigo, hearing and visual disturbance, transverse myelopathy below Th 5 and hypercalcemia. These symptoms were markedly improved by VEPA chemotherapy. Thiry-four months after onset, diffuse reticular shadows were noted on chest X-ray. The biopsy specimen of the lung revealed intravascular lymphoid cells differentially stained with L26 and LCA. Southern blot analysis of the DNA from the tissue showed rearranged bands for the immunoglobulin gene (JH). A diagnosis of NAE of B-cell nature was established.
  • 蔵 良政, 沢田 海彦, 壺井 功, 鈴木 菊生, 山崎 哲男, 佐藤 靖, 堀江 孝至
    1995 年 36 巻 3 号 p. 227-229
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
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    A case of NHL which has been in long-term remission following vigorous treatment for CNS relapse with intrathecal administration of Ara-C and focal irradiation to the brain is presented. The patient was a 61-year-old man, who was successfuly treated with CHOP followed by MACOP-B for diffuse large cell NHL in 1988. Five months later he was admitted to our hospital because of loss of visual acquity and numbness in the right upper and lower extremities. The presence of lymphoma cells in CSF, abnomal shadow in the left frontal lobe on a cranial CT scan and MRI scan, and positive Ga scintigraphy yielded a diagnosis of CNS relapse of NHL. Twenty one whole brain and additional 1.0 Gy to the left frontal lobe of irradiation were performed. Eight days later the left tumor disappeared. Neurological remission was obtained and has continued until now.
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