HTLV-I unrelated peripheral T-cell lymphoma (PTLC)のleukemic conversionと思われる症例を報告する。患者は,69歳の女性で食欲不振と発熱により当院に紹介された。入院時現症は,皮膚に貧血,黄疸,出血斑なく,皮疹や紅斑は認めなかった。リンパ節の腫脹は,頸部に最大直径4 cm, 腋窩,鼠径部に直径1∼2 cmのものが認められた。また,検査所見では,貧血はなく,WBCは163,000/μ
lで深い切れ込みのあるものや花弁状の核を有する異常細胞が93%を占めていた。リンパ球表面マーカーでは,CD2, 3, 4, 29, 45RA, 38が陽性,CD8, 16, 25は陰性であった。抗HTLV-I抗体はゼラチン凝集法,酵素免疫法,ウエスタンブロット法で陰性であった。HTLV-Iプロウイルスの組み込みは,サザンブロットハイブリダイゼーション法やPCRを用いた方法においても認められなかった。本症例のようなHTLV-Iの関与しないPTLCのleukemic conversionは非常に稀で興味深いと考えられ報告した。
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