臨床血液
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36 巻, 5 号
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第36回総会
教育講演
  • 大野 竜三
    1995 年 36 巻 5 号 p. 395-399
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
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    Due to the advance of chemotheapy and bone marrow transplantation, adult acute leukemia has become a curable disease. In acute myeloid leukemia, the JALSG AML89 study resulted in 77% complete remission (CR) rate in 326 adults and 38% 4.5-year disease-free survival (DFS) in CR cases. However, the result of acute lymphoblastic leukemia in the JALSG ALL87 study is not satisfactory; 84% CR in 116 adults and only 24% 6-year DFS. For acute promyelocytic leukemia (APL), all-trans retinoic acid works remarkably, and the JALSG AML92 study for newly diagnosed APL resulted in 89% CR in 109 adults and 81% 2.5-year DFS.
  • 中内 啓光
    1995 年 36 巻 5 号 p. 400-405
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    FACSとモノクローナル抗体を用いて分取したc-Kit陽性Sca-1陽性Lin陰性の細胞は僅か100個の細胞を致死量放射線照射したマウスに移植しても3カ月以上にわたりリンパ球系を含む全ての血球細胞を再建することができた。このような長期骨髄再建能を持つ幹細胞はc-Kit陽性Sca-1陽性Lin陰性分画だけに存在することも確認された。また500個のc-Kit陽性Sca-1陽性Lin陰性細胞を同様に移植し,経時的に脾臓および骨髄での増殖の状況を解析したところ移植後早期に脾臓で一過性に造血幹細胞の自己複製が起こり,やがて骨髄に造血の場が移って行き,最終的に造血幹細胞が100倍に増幅していることが示された。以上の結果はc-Kit陽性Sca-1陽性Lin陰性分画に含まれる造血幹細胞が,少なくともin vivoの環境下では自己複製できることを直接的に示すと同時に,移植後初期の造血に脾臓が重要な役割を果していることを示唆するものである。
  • 松七五三 仁
    1995 年 36 巻 5 号 p. 406-409
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    Temporally orderly activation of the cyclin-dependent kinases (cdks) governs the progression and the transitions of the cell cycle in mammalian cells. Macrophages require a specific growth factor, M-CSF/CSF-1, for their proliferation throughout the G1 phase of the cell cycle. Once cells enter S phase, macrophages complete mitosis in the absence of M-CSF/CSF-1. During the G1 phase, cyclin D1 is induced by M-CSF/CSF-1 stimulation and forms enzymatically active complex with cdk 4. The enzymatic activity of the cyclin D1 and cdk 4 complex could be negatively regulated by recently reported inhibitory proteins to determine the timing for entry into S phase in macrophages.
  • 前川 平
    1995 年 36 巻 5 号 p. 410-418
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    従来の癌化学療法では正常細胞も障害を受けてしまい,腫瘍特異的な効果は期待できない。分子生物学の進歩により明らかとなった疾患特異的な異常遺伝子の発現をアンチセンス・オリゴデオキシヌクレオチド(AS ODN)を用いて塩基配列特異的に制御し,腫瘍の増殖が抑制されれば,これらの問題は解決されよう。AS ODNを用いた人為的遺伝子発現制御法に関するZamecnikとStephensonの先駆的業績以来,多くの疾患原因遺伝子のクローニングと核酸合成技術の進歩と相俟って,この方法を癌やエイズなどの治療に応用しようとする研究がたいへん盛んになってきた。将来の臨床応用を考慮し,ヌクレアーゼによる分解に耐性なホスホロチオエート型AS ODNなどの化学修飾分子が開発されている。これらのAS ODNを用いて異常遺伝子の発現やウイルスの複製を制御することにより,腫瘍細胞やウイルス・ゲノムの増殖が抑制されることが実際にin vitroおよび動物実験で確かめられている。米国やフランスでは,これらの臨床治験(フェーズI)がすでに始まっている。AS治療の開発はまだ緒についたばかりであり多くの困難も予想されるが,明らかとなった遺伝子異常が疾患の本態であるならば,不治の病をも治癒させうる治療法として,遺伝子治療とともにAS治療に寄せられる期待は大きい。
シンポジウム2
HIV感染症の病態と臨床
  • 曽田 研二
    1995 年 36 巻 5 号 p. 419-423
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
  • 臨床経過と追跡マーカー
    三間屋 純一
    1995 年 36 巻 5 号 p. 424-434
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    静岡県立こども病院で1983年から13年間にわたりフォローされているHIV感染者34例(血友病32例,ホモセクシャル2例)につき,厚生省研究班Natural History委員会登録HIV感染者1,082例と対比させながら,その臨床経過と各種追跡マーカーを検討した。その結果HIV感染の追跡マーカーとして1) CD4およびCD8陽性細胞数。2) lgA, lgGおよびβ2ミクログロブリン。3) HIVp24抗原およびHIV培養分離。4)血清HIV-RNAがあげられた。その中でも特に血清HIV-RNAの定量はHIV感染者の予後推定,治療開始時期の判定および抗HIV剤の効果判定に極めて有用と考えられた。また今回,長期未発病例(long-term survivor)の定義に合致すると思われる2症例を経験した。今後これら症例の要因解析が臨床的にも重要な課題となろう。
  • 本多 三男, 北村 勝彦, 岡本 ゆかり, 渡邊 くほみ, 吉崎 ひとみ, 福島 誉子, 長縄 聡, 宮本 綱, 染谷 健二, 山田 兼雄, ...
    1995 年 36 巻 5 号 p. 435-441
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    臨床検体からのHIV株の分離とその特性の解析が6年前より続けられている。その結果は,感染者の治療指針の確立の為の資料として,あるいは新しい治療法の確立に役立てられている。1993年度になり6検体のタイ型ウイルスを非血友病感染者に認め,その後次第に増加している。まず,臨床検体のなかで150例を用い細胞DNA, 血漿ウイルスRNAよりHIVenv蛋白のC2-V3領域の遺伝子組成を解析し,それらの遺伝子組成と臨床経過の相関について検討した。1) 日本共通株のDNA組成を明らかにした。2) 更に,日本共通HIV株はB亜型に分類され,しかもHIV·MN株に対する中和抗体で中和されることにより,欧米での伝搬株と遺伝子学的・生物学的によくにていることが明らかになった。3) 年を経るに従い徐々にHIV·MN株の組成から変位が強くなっていることが明らかとなった。これらの結果より,Bおよび,E型のウイルスを標的としたエイズワクチンの開発が必要であることがわかった。さらに,代表的な5株のB亜型ウイルスの中和部位ペプチドを合成し,末梢血中和抗体価を測定すると,1) MN型に対する中和抗体がみとめられ,2) 最初から高値を持続する症例は,経過が良好であるが,2) 急速に進行した症例は,低値を示した。これらのことから,初感染ウイルスの中和部位抗体価の持続が有用であることが示唆され,感染者においても,中和部位抗体の有用性が明らかになった。われわれは,これまでのエイズワクチン開発データを参考にしながら,日本独自のワクチン開発が期待できると予想されるリコンビナントBCGをもちいて,エイズ候補ワクチンの開発を試みた。まず,上記であきらかにした日本共通株のV3ループ遺伝子DNAを可溶性蛋白遺伝子に挿入してBCGに発現させた。このリコンビナントBCG候補ワクチンはモルモットに強い細胞性免疫と液性免疫を誘導した。またマウスを用いると,細胞障害性T細胞の誘導能のあることが判った。さらに,この免疫血清IgGはコアシーケンスの一致した実験室株のみでなく臨床株を中和することが判った。この抗体をSCID/huマウスおよびSCID/PBLマウスに受動移入すると,HIV-MNの感染を防ぐことができた。これらの結果より,このリコンビナントBCG-HIVワクチンは,臨床応用に有用であることが期待される。
  • 森 茂郎
    1995 年 36 巻 5 号 p. 442-444
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
  • 木村 哲
    1995 年 36 巻 5 号 p. 445-450
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    HIV感染症の治療のストラテジーとしては抗HIV療法の他,免疫賦活療法,随伴する日和見合併症に対する治療(予防を含む)などが考えられる。私たちは抗HIV療法としてはこれまでzidovudineを初めとするヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤を中心検討して来た。臨床適用の認可も進んでいる。この他,非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤やHIVプロテアーゼ阻害剤の効果も確認されつつある。しかし,いずれも単剤では耐性ウイルスが出現し,効果がなくなることから,併用療法や交互投与が試みられ,単剤より良好な成績が得られつつある。今後,併用療法が主流となって行くであろう。ワクチンの臨床試験が盛んに行われており,中和抗体やCTLの誘導が認められるものもあるが,まだ臨床的に有効なものは見つかっていない。HIVはつぎつぎ変異を起こし,ワクチンからエスケープするHIVが生じてしまうので,ブロードスペクトラムのワクチンを作る戦略が必要である。遺伝子治療も新しい抗HIV療法に一手段として,具体的に考えられている。他方,遺伝子工学的手法を用いた日和見感染症の早期診断法が発達しつつあり,治療薬の開発も進んでいる。
  • —アンケート調査を基にして—
    松田 重三, 山田 兼雄
    1995 年 36 巻 5 号 p. 451-456
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    厚生省HIV感染者エイズ発症予防ならびに治療に関する研究班班員,班友を対象に,各医療機関におけるHIV感染者に対する対応の実態を,郵送形式によるアンケートにより調査した。その結果,多くの医療施設で,HIV感染者への適切な対応が充分でないこと,とりわけHIV感染新患患者や,外科的処置が必要な患者の受け入れに難色を示す施設が多かった。さらにHIVが陽性であっても,未だ告知を受けていない患者も多く存在し,また少なからぬ二次感染者が存在することが判明した。以上より,これら問題点を早急に解決すべき適切な対応の必要性がある。
教育シンポジウム
  • —低形成性白血病—
    朝長 万左男
    1995 年 36 巻 5 号 p. 457-464
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    低形成白血病(HL)の診断基準を確立するため骨髄cellularity 40%以下の自験例32例(平均年齢67歳)を検討した。対照はMDS 40例,高齢者(≥60歳)AML 27例,若年者(<60歳)AML 39例。骨髄のcellularityはHLで平均30%, MDSで85%, 高齢者AMLで87%, 若年者AMLで95%とHLの低形成性は際だっていた。骨髄の芽球%はHLではリンパ球を含むall nucleated cells (ANC)で17∼70%, non-lymphocytic cells (NLC)で36∼93%, non-erythroid cells/non-lymphocytic cells (NENLC)で全例50%以上となり明瞭なmaturation arrestを認めた。これはovert AMLのそれに匹敵する。low-dose ara-Cで治療した20例中13例(65%)に完全寛解を得たが,ほとんどが早期に再発し再び骨髄は低形成となった。高齢者白血病としてHLは独立した病型であり,cellularity 40%以下,芽球% (NLC) 30%以上で定義される。
  • —低悪性度リンパ腫—
    平野 正美
    1995 年 36 巻 5 号 p. 465-470
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    低悪性度リンパ腫は日本では非Hodgkinリンパ腫の約10%に過ぎずまれな疾患である。その自然歴は緩慢で生存期間中央値は7∼10年である。放射線療法や化学療法による初期治療に良く反応するが再発率高く,治癒困難で,最終的には腫瘍死に至る。臨床病期(CS) I/IIでは長期生存率60%∼70%, 無病生存率(DFS) 50%∼55%が報告されている。病期診断が厳密なほど成績が良い。CSIIで腫大リンパ節の数が多い症例や巨大病変を有する症例では化学療法あるいは放射線療法+化学療法で成績の向上が報告されている。CSIII/IVの進行期症例では,まだ標準治療は確定していない。高度に選択された症例においてではあるが初回無治療で経過観察する方法や,アルキル化剤単独あるいは併用化学療法(C-MOPP, CHOP, ProMACE-MOPPなど)±放射線療法に至る各種の治療間に生存期間については有意の差がみられていない。Aggressive lymphomaの予後モデルとしての“International index”が低悪性度リンパ腫の予後分類にも適用できることが報告された。今後は単に生存期間のみでなく,無病生存期間および患者のquality of lifeをエンドポイントとした治療研究が望まれる。
  • —多発性骨髄腫—
    木谷 照夫
    1995 年 36 巻 5 号 p. 471-479
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    骨髄腫(MM) 330例,良性M蛋白血症(BMG/MGUS) 51例において,背景因子,生存期間に関連する因子,治療法,診断基準の問題点などを検討した。BMG 51例中長期観察の間に(診断後平均61.1カ月)MMへ移行した例が7例みられた。これらはBMG診断時に特に変りはなかったが,M蛋白量を追跡できた5例で,いずれもわずかながら次第に増加するという所見がみられた。MM全例の診断開始からと治療開始からの生存期間をみると前者が約1年長く,これは病期Iの例の無治療観察によっている。病期III群ではこの差はない。病期I群の生存期間は即時治療群と観察後治療群との間に差がなく画一的な即時治療はさけ,進行性をみて開始すべきである。MM例の生存期間は病期,M蛋白クラス(G>A>BJP)と相関し,治療後プラトー相のある例は生存が長い。DMVM+IFNα治療で高率にCRがみられ,新鮮例で特に高率で,生存期間も長く,3年後生存率70%を示している。
  • —本態性血小板血症—
    藏本 淳
    1995 年 36 巻 5 号 p. 480-486
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    本態性血小板症(ET)は慢性骨髄増殖症候群(MPD)に属する造血幹細胞の腫瘍であり,血小板数が60∼100×104l以上に増加する疾患である。ETの診断はET以外のMPDおよび反応性血小板増多症を除外することによって行われており,その現状を報告した。ETの症状として出血,血栓症状がみられるが,これらに対する治療としては,増加した血小板数を50×104l以下にコントロールすることが重要である。コントロールの目的に使用される薬剤であるブスルファン,ヒドロキシウレア,インターフェロン,anagrelideについて,それぞれの特徴を述べた。さらに無症状ETの患者に対する治療の適応,妊婦に対する治療についても報告した。
症例
  • 西村 忠隆, 南雲 文夫, 植田 寛, 田島 裕, 佐野 雅之, 嶋本 義範, 只野 寿太郎
    1995 年 36 巻 5 号 p. 487-492
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    HTLV-I unrelated peripheral T-cell lymphoma (PTLC)のleukemic conversionと思われる症例を報告する。患者は,69歳の女性で食欲不振と発熱により当院に紹介された。入院時現症は,皮膚に貧血,黄疸,出血斑なく,皮疹や紅斑は認めなかった。リンパ節の腫脹は,頸部に最大直径4 cm, 腋窩,鼠径部に直径1∼2 cmのものが認められた。また,検査所見では,貧血はなく,WBCは163,000/μlで深い切れ込みのあるものや花弁状の核を有する異常細胞が93%を占めていた。リンパ球表面マーカーでは,CD2, 3, 4, 29, 45RA, 38が陽性,CD8, 16, 25は陰性であった。抗HTLV-I抗体はゼラチン凝集法,酵素免疫法,ウエスタンブロット法で陰性であった。HTLV-Iプロウイルスの組み込みは,サザンブロットハイブリダイゼーション法やPCRを用いた方法においても認められなかった。本症例のようなHTLV-Iの関与しないPTLCのleukemic conversionは非常に稀で興味深いと考えられ報告した。
  • 宮城島 拓人, 中馬 誠, 原 俊之, 岸本 篤人, 熊谷 研一, 常松 泉, 青島 優, 石塚 淳, 小林 隆彦, 藤本 望, 高橋 達郎
    1995 年 36 巻 5 号 p. 493-499
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    大腿の巨大皮下軟部組織腫瘤として発症した非ホジキンリンパ腫を報告する。症例は62歳男性。2年前から徐々に増大する右大腿部腫瘤の精査のため来院。腫瘍は小児頭大の弾性硬,表面平滑な腫瘤として触れ,表在リンパ節は触知しなかった。超音波検査で網目状パターンの低エコーを呈し,MRIでは,腫瘍は皮下脂肪織や骨格筋と明確に区別されており,軟部結合織由来と考えられた。血管造影では極めて血流の豊富な腫瘍として描出され,Gaシンチグラムでも同部位に著しい集積を認めた。また血清IgMが高値で,IgM, λタイプのM蛋白が証明された。生検結果は非ホジキンリンパ腫,B細胞性lymphoplasmacyticであり,外科的切除と局所放射線療法および全身化学療法の併用により寛解を維持し,血清IgMも正常となっている。標本の免疫染色ではL26陽性,かつIgM, λともに陽性であり,腫瘍と血清IgMのモノクローナルな上昇との関連が示唆された。
  • 高井 和江, 真田 雅好, 渋谷 宏行
    1995 年 36 巻 5 号 p. 500-505
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    20歳女性。高熱,肝脾腫,高度の肝障害,凝固異常にて入院。汎血球減少を呈し,NK細胞抗原(CD2+CD3-CD16+CD56+CD57-TCRαβ-TCRγδ-)を有する顆粒リンパ球がWBCの97%を占めた。末血単核細胞のDNA解析ではTCRβ, γ, δ鎖に再構成を認めず,EBV-TRprobeによるサザン解析でEBV-DNAをsingle episomeとして認めた。骨髄所見より血球貪食症候群の合併として,VP-16投与し一時軽快したが,10カ月後,高度の消化管出血にて死亡した。剖検では骨髄,脾,リンパ節にin situ hybridizationにてEBER-1陽性を示す腫瘍細胞浸潤を認めた。肝は脂肪肝を呈し,グリソン鞘の浸潤リンパ球はCD3+EBER-1陰性のT細胞が主体で類洞に少数の腫瘍細胞を認めた。本例はEBVに関連したNK細胞の単クローン性増殖症であるが,臨床的特徴は白血病というより慢性活動性EBV感染症やVAHSと類似し,骨髄移植など治療には今後の検討を要する。
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