「5q-症候群」を示すRAEB in Tからmast cell leukemiaへ進展した12歳女児例を報告する。症例は全身倦怠を主訴とし,初診時に貧血と好塩基球様細胞の増加を伴う白血球増多が認められた。末梢血液像および骨髄像では赤血球,顆粒球,巨核球の血球3系統の形態異常と芽球の増加がみられ,RAEB-Tと診断された。骨髄細胞の染色体は5q-のみの異常を認めた。Prednisolone, vitamin D
3, oxymetholone, cytosine arabinosideの少量持続療法のいずれにも効果が得られず6カ月の経過で白血病化をきたした。Daunorubicin, enocitabine, etoposide, 6-mercaptopurineによる治療に対しても反応なく汎血球減少,出血,肝脾腫の増大が進行し死亡した。本症例は,1) 白血病化時の染色体検査では5q-は認められず,46, XXの正常核型となっていたこと,2) 電顕的検索より芽球はmast cell blastであり,一部の芽球では同一細胞内にmast cellと好塩基細胞の形質を合わせ持つ中間的細胞が出現していたことに特徴があった。
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