臨床血液
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38 巻, 12 号
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臨床研究
  • 玉井 佳子, 高見 秀樹, 中畑 理恵子, 名久井 結佳, 鈴木 裕子, 赤木 智昭, 苅谷 克俊, 対馬 健一, 棟方 昭博, 河村 節子
    1997 年 38 巻 12 号 p. 1243-1248
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    当科で再生不良性貧血(AA)として治療中に染色体異常が検出され,低形成性骨髄異形成症候群(MDS)と診断された5例についてその初期における血液学的特徴を検討した。症例は男4名,女1名で,初診から低形成性MDSと診断されるまでの期間は平均10.4カ月(6∼18カ月),診断時平均年齢は51.0歳(31∼61歳)であった。内訳はRA 3例,RAEB 1例,RAEB-T 1例であった。5例における染色体異常検出前の血液学的特徴としては,末梢血中への赤芽球の出現,大球性貧血,網赤血球数が比較的保たれている,骨髄における相対的赤芽球過形成があり,相対的リンパ球増多の所見が顕著でないなどであった。全例ともMDS診断以前の染色体が正常核型であったことが確認されており,本疾患とAAの鑑別,異同あるいは病型の移行を考えるうえで興味深い所見と考えられた。
  • 谷川 宗, 坂巻 壽, 森 慎一郎, 秋山 秀樹, 宮本 博史, 田中 祐次, 吉永 治彦, 岡元 るみ子, 前田 義治, 向山 雄人, 佐 ...
    1997 年 38 巻 12 号 p. 1249-1253
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    我々は,同種骨髄移植の骨髄採取の際,ダウンズイスラム骨髄採取針(側孔付き)を使用してきたが,現在までに,側孔が付いている針(有孔針)と付いていない針(無孔針)での採取効率を実際に比較検討した報告はない。このため,当院で血縁者間同種骨髄移植のために採取を行った健常ドナー20例で,骨髄採取針の側孔の有無が採取骨髄細胞数に及ぼす影響を検討した。1人のドナーで左右片側ずつ針をかえて1回5 mlで10回ずつ採取した。クロスオーバー解析を行ったところ,個体差と時期(1回目か2回目か)で有意差がみられたが,左右差と採取針では有意差はみられなかった。目算での細胞濃度は有孔針で33.06±12.93×103l, 無孔針で32.90±15.25×103l, (平均±標準偏差)でほとんど差はみられなかった。95%信頼区間を考慮すると,有孔針の方がたとえよくとれるとしても同じ採取液量で最大10%程度細胞収量がよくなる程度であり,その有用性は低いものと考えられる。
  • 岡田 潔, 小口 尚仁, 篠原 健, 田村 信子, 石井 幸司, 野口 容子, 林 重光, 山本 浩文, 武市 美鈴, 藤本 博昭, 代田 ...
    1997 年 38 巻 12 号 p. 1254-1262
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    東京医科大学第三内科の多発性骨髄腫の初回治療例41症例(形質細胞性白血病2例を含む)について,予後因子の解析をretrospectiveに行った。単変量解析で生存率に対して有意であった14の予後因子(P<0.05)のうちで,3つの因子(BUN, Bence Jones蛋白の有無,染色体異常の有無)が多変量解析で独立した予後因子であった(P<0.05)。それらの3つの予後因子を用いて3群のリスクグループを設定した。lowリスクグループ(20例)は初診日より60カ月以内の死亡例はなく,生存期間の中央値は観察期間中に到達しなかった。intermediateリスクグループ(14例)の生存期間の中央値は49.2カ月であった。highリスクグループ(7例)は初診日より24カ月以内の早期死亡例が多く,生存期間の中央値は31.6カ月であった。(P<0.0001) Durie & Salmonの病期分類を用いてわれわれの症例の生存率を解析した結果,3つの病期の間に有意差を認めた(P=0.0222)。今回の検討で設定した3群のリスクグループによる予後因子モデルは,すでに多発性骨髄腫の予後因子モデルとして広く用いられているDurie & Salmonの病期分類と比較し,より良く多発性骨髄腫の予後を反映していると考えられた。
症例
  • 藤原 史博, 加納 原, 小川 弘, 高屋 和志, 日比 成美, 嶋 緑倫, 吉岡 章, 今宿 晋作
    1997 年 38 巻 12 号 p. 1263-1268
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    経過観察中にインヒビターの自然消退を認めた血友病Aの2例を経験した。症例1は8カ月時に皮下血腫を主訴に来院。F. VIII:C 1.5%にて血友病Aと診断,2歳時の麻疹罹患時に2.5 Bethesda Units (BU)/mlのインヒビターを検出。臨床的にも止血不良で,インヒビターは2歳5カ月時には11.6 BU/mlと上昇するも,経過観察にて1.5 BU/mlへと低下し,2歳8カ月には消失した。症例2は皮下血腫を主訴に5カ月時に来院,F. VIII:C<1%以下と判明。8カ月時に19 BU/mlのインヒビターを認めるも,出血症状も少なく経過観察にて1歳時には11.5 BU/mlと低下し,1歳2カ月時に消失した。これまでの文献報告例からその自然歴をみると,第VIII因子製剤投与開始後中央値で225日(79-448日)に2 (0.5-19) BU/mlのインヒビターが出現し,速やかに最高値3.6 (0.5-60) BU/mlとなり,投与開始後665日(282-1140日)で消失していた。インヒビターの発症病態の観点から見て,自然消退例の存在は大変興味深く,インヒビター治療に際して考慮すべき現象と思われた。
例会
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