症例は68歳男性。1989年某病院にてリンパ球増多(WBC 39,090/μ
l, リンパ球93.5%)を指摘され,その表面マーカー検索では,CD5, CD19, CD20, CD21, sIgG, κ陽性であった。慢性リンパ性白血病(CLL), Rai分類Iと診断され,Bestrabucil(総投与量35,150 mg),etoposide(総投与量23,100 mg)が経口投与されていた。1995年9月頃より貧血,血小板減少が次第に進行したため,1996年1月当科紹介入院となった。表在リンパ節腫脹,肝脾腫認めず。WBC 21,200/μ
l (blast 4%), Hb 7.9 g/d
l, PLT 5万/μ
l, 骨髄検査では過形成で,骨髄芽球および単球様細胞が70.6%を占め,その表面マーカー検索では,CD11c, CD13, CD15, CD33, HLA-DR陽性であり,急性骨髄性白血病(AML-M4)と診断された。染色体検査は,正常核型を示し,MLL遺伝子再構成も認められなかった。化学療法に対する反応は良好で完全寛解の状態を維持している。本例はCLL発症後6年目にAML-M4を続発した症例で,われわれが検索した限りでは本邦第1例目である。
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