臨床血液
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38 巻, 2 号
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臨床研究
  • 鈴木 訓充, 小池 正, 古川 達雄, 庭野 裕恵, 丸山 聡一, 成田 美和子, 瀧澤 淳, 佐藤 直明, 橋本 誠雄, 新国 公司, 鳥 ...
    1997 年 38 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    成人ALLにおいてはHLA一致同胞が存在すればすべて第一寛解期での骨髄移植を行うべきかどうか議論がある。当施設では1981年から1990年の10年間,成人ALL症例(15歳以上45歳未満)に対してHLA適合同胞が存在した場合,第一寛解期移植を積極的に行う方針で臨んだ。またHLA適合同胞の存在しない例では6MP連日,MTX週1回,さらに3カ月ごとにVCR+CY+6MP+Predを繰り返す維持療法をおこなった。BMT群(n=13)と化学療法群(n=16)について10年の無病生存率を比較した。患者年齢,初診時白血球数,表面形質,Ph1染色体の有無,寛解到達までの期間に両群間に有意差はない。10年の無病生存率はBMT群が52±13%, 化学療法群が30±11%で有意差を認めなかった。再発および治療関連死は化学療法群ではそれぞれ10例,1例(胃癌併発),BMT群ではそれぞれ4例,2例(間質性肺炎,VOD各1例)であった。Ph1陰性の若年者(30歳未満)に限った場合ではBMT群(n=9)が67±15%, 化学療法群(n=8)が62±15%で両群の生存曲線はほぼ重なった(p>0.9)。Ph1陰性の若年成人ALLでは第一寛解期での骨髄移植の適応は慎重にすべきである。
  • —CCLSG-ANLL9205の治療成績—
    三間屋 純一, 堀越 泰雄, 清水 宏之, 前田 秀典, 小泉 晶一, 川上 清, 渡辺 新, 内海 治郎, 菊田 敦, 岡 敏明, 麦島 ...
    1997 年 38 巻 2 号 p. 100-107
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    小児癌白血病研究グループ(CCLSG) ANLL-9205プロトコールに登録された小児AML 45例につきその治療成績を検討した。本プロトコールでは寛解導入としてAVC療法(THP-ADR, VCRおよびAraC)を行い,以後,強化維持療法としてAVCとVP-16+HD-AraCを交互に32週または48週まで行った。11例は幹細胞移植を施行した。
    評価可能例43例中38例(88.4%)に初回寛解がえられた。3年でのEFSは55.6% (S.E., 10%)であった。この良好な反応はFAB分類M5, M7および初診時白血球数10万以上群にもみられた。3年でのEFSは治療終了時期32週と48週の間で差はみられなかった。重篤な副作用は特にみられなかった。
    以上の結果よりANLL 9205プロトコールは小児AMLに有効な治療法と考えられる。治療期間32週と48週でその治療成績には統計的有意差はみられなかった。
  • 森島 泰雄, 柳田 正光, 神谷 悦功, 下川 高賢, 北折 健次郎, 坂井 恭子, 坂野 明美, 佐尾 浩
    1997 年 38 巻 2 号 p. 108-116
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    最近の造血幹細胞移植の多様化と患者の病態に応じた至適な感染予防法の確立を目的に,無菌化の実態と無菌化薬剤の有効性につき成人白血病42症例を用いて検討した。スタンダードリスク(SR)症例(急性白血病第1寛解期と慢性骨髄性白血病第1慢性期のHLA適合同胞間移植と自家移植)の38°C以上の発熱日数は平均1.33日,ハイリスク(HR)群(白血病進行病期での移植と非血縁者間骨髄移植)は平均4.93日とHR症例で発熱し易い傾向を認めた。無菌化のための服薬状況は移植開始後はほとんどの症例で不十分なものであり,抗生剤服薬の可否は腸内無菌化(便中細菌培養結果)に影響を及ぼしていた。さらに,HR症例では腸内細菌無菌化の有無は移植後の白血球低値時の易発熱性に関連していた。以上の結果からHR症例では無菌化は感染予防に重要であり,今後より実施可能な方法を検討する必要があり,SR症例では無菌化を軽減してもよい可能性が示唆された。
症例
  • 岸本 国也, 坂田 亨, 伊東 克郎, 富永 一則, 猪野 裕英, 室橋 郁生, 陣内 逸郎, 別所 正美, 竹内 仁, 斎藤 昌信, 平嶋 ...
    1997 年 38 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    59歳女性。35歳より尋常性乾癬にて当院皮膚科で治療されていた。1993年6月尋常性乾癬の増悪,リンパ節腫脹を認め8月16日精査加療目的にて当科入院となった。入院時頸部,腋窩,鼡径部に1∼3 cm大のリンパ節を認めた。WBC 19,380/μl, RBC 301×104l, Hb 7.2 g/dl, Plt 71×104lであった。またESR 146 mm/1h, CRP 23.6 mg/dl, IgG 2,880 mg/dlと高値を示したが,M蛋白は認めなかった。骨髄は,過形成でmyeloid hyperplasiaを呈しplasma cellは軽度増加していた。血清IL-6は62.1 pg/ml, G-CSFは66 pg/mlと高値であったがIL-1α, IL-1β, TNF-αは正常であった。リンパ節生検によりidiopathic plasmacytic lymphadenopathy with polyclonal hyperimmunoglobulinemia (IPL)と診断し,ステロイド剤等の投与にてリンパ節腫脹,皮疹,CRPの改善を認めた。その後の再燃に対しetretinate, hydroxyurea, MP療法を施行するも,進行性の末梢及び中枢神経障害により死亡の転帰をとった。IPLおよびCastleman病において多発性神経炎および中枢神経障害合併の報告は極めて少なく,貴重な症例と思われる。
  • 瀧本 理修, 茂木 良弘, 倉 敏郎, 新津 洋司郎
    1997 年 38 巻 2 号 p. 124-128
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は69歳女性。脳梗塞後遺症,僧帽弁置換術後および胃潰瘍穿孔術後で当科紹介入院中に肺炎を発症,全身状態が悪化し経口摂取不良となったため,中心静脈栄養を開始した。この際ラニチジン経口投与をシメチジンの経静脈投与に変更したところ,10日目頃より急激に貧血が出現した。LDH上昇,ハプトグロビン低下から溶血性貧血が疑われたが,原因が特定されず輸血にて経過観察していた。しかしその後,徐々に血小板減少も見られたため,シメチジンを中止したところ貧血,血小板減少は劇的に改善した。その後,再度ラニチジン経口投与を行ったところ,貧血と血小板減少が再発した。H2ブロッカー投与によりしばしば血小板減少は経験されるが,溶血性貧血を合併することは稀であり若干の文献的考察を加え報告する。
  • 川野 千鶴, 室井 一男, 窪田 直人, 高徳 正昭, 鈴木 俊之, 角田 純一, 間野 博之, 畠 清彦, 三浦 恭定
    1997 年 38 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は27歳の女性で,1979年非定型性再生不良性貧血と診断されたが,その後の骨髄標本の再検討により,骨髄異形成症候群(RA)に診断は訂正された。1995年3月に口渇と多尿が出現。1995年4月の骨髄穿刺で,異型性芽球の増加(28%)が認められ,2カ月後,骨髄中の芽球が30%と増加し白血病へと進展した。骨髄中の芽球0.5%は弱いperoxidase活性を有し,芽球はCD13, CD33陽性で,CD11a, CD11b, CD44, CD54, CD56の接着因子を有していた。骨髄染色体は45, XX, -7であった。多尿は中枢性尿崩症によるものであることが判明した。本症例はまた胸膜炎,大腸潰瘍,副鼻腔炎,視床下部機能障害も合併した。これらの徴候は,白血病細胞の浸潤が原因と判断した。多剤併用療法を行ったが,病勢を抑えられず死亡した。
  • 富田 直人, 藤田 浩之, 小原沢 英之, 丸田 壱郎, 児玉 文雄, 山本 敏晴, 小林 昭一, 大久保 隆男
    1997 年 38 巻 2 号 p. 135-141
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は19歳男性。16歳時に大腿部滑膜細胞肉腫にて手術および化学療法(adriamycin 320 mg, cisplatin 780 mg, etoposide 4,200 mg, ifosfamide 30,000 mg)を受けた。化学療法終了後1年6カ月で二次性白血病を発症した。当初は芽球のα-ナフチルブチレートエステラーゼ染色が陰性と思われたためALL L3と考え,L-asparaginase 5,000 U/m2 day 8-21, vincristine 1.5 mg/m2 day 1, 6, 11, 16, 21, 26, prednisolone 40 mg/m2 day 1-28(LVP療法)による寛解導入療法を施行した。その後に判明した検査結果では,表面マーカーでCD33 98.6%, CD4 66.7%, CD10 0.3%, CD19 0.6%, CD20 0.6%, HLA-DR 99.2%, CD14 0.8%であり,リゾチーム104.0 μg/ml, またα-ナフチルブチレートエステラーゼはスライドの一部で芽球が強陽性に染まっている部分があり,染色むらのため陰性と判定してしまったことが判明した。さらに染色体分析でt(9;11)を有する細胞を19/20に認めたこと,JH, JK, TCR Cβ1の遺伝子再構成がいずれも陰性,MLL遺伝子再構成が陽性であることと併せてAML M5aと再診断した。しかしLVP療法1クールにて完全寛解が得られた。その後,cytarabine+daunorubicin+6-mercaptopurineおよびcytarabine+mitoxantroneによる地固め療法を計3クール施行後,非血縁者より同種骨髄移植を施行し,16カ月間寛解持続中である。二次性白血病M5aにLVP療法が奏功した1例を経験したため報告する。
  • 藤崎 智明, 権藤 久司, 内田 直之, 松尾 勇, 竹中 克斗, 谷本 一樹, 大塚 輝久, 峰松 俊夫, 南嶋 洋一, 仁保 喜之
    1997 年 38 巻 2 号 p. 142-145
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は36歳,女性。慢性骨髄性白血病に対する非血縁間骨髄移植後にganciclovir治療抵抗性サイトメガロウイルス(CMV)肝炎を合併した。トランスアミナーゼ値とCMV抗原陽性細胞数がよく相関し,CMV抗原血症検査はCMV肝炎の病勢把握に極めて有用であった。Ganciclovir投与が当初一時的には有効であったものの,次第に抵抗性となり,ganciclovir継続投与にもかかわらずCMV感染は持続した。肝炎の増悪も認めたためfoscarnetを投与したところ,CMV抗原陽性細胞はすみやかに消失し,肝機能も正常化した。同種骨髄移植後に合併するganciclovir治療抵抗性のCMV感染症にはfoscarnet投与を考慮すべきと考えられた。
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